コメディ度 ★★★
キャスト ★★★
結論:キモさ全開の山田孝之が見たい方におすすめ。
2009年 日本
監督:福田雄一
※あらすじ・結末含めたネタバレあり。未視聴の方はご注意ください※
目次
ストーリー
大洗の海の家「江ノ島」でバイトしていた野郎どもの下に、同じバイト仲間でアイドル的存在だった江里子から「また海の家で会いたい」という手紙が届く。イヴの夜、真冬の大洗の海の家に集まった男たちは、我こそが江里子の恋人だと名乗りだし収集がつかなくなる。そこへ、海の家の撤去を求めやってきた弁護士が、江里子が本当に誰のことを愛していたのかを探る為、それぞれの「江里子に愛されエピソード」を聞きだすが・・・
登場人物とあらすじ
マスター(演:佐藤二朗)
「運命と書いて・・・うんめい?」
雨の日が多く大爆死した海の家「江ノ島」のマスター。口が死ぬほど軽い自称ちょい悪おやじ。ただしちょい悪いのは胃。
江里子の手紙がきっかけでクリスマスイブまで海の家を撤去せずに守り抜き、イヴ当日は45年間の独身生活にピリオドをうつため、こっそりタキシードを用意していた。
相変わらずどこまでがアドリブなのか全然わからない台詞回しが素敵。だがよしみちゃんとの電話でのやりとりは色々とヒドい。
猫田(演:ムロツヨシ)
モジャモジャなヘアスタイルをした男。
どうみてもハリーポッターなマフラーをしている。野郎どもの中でもダサめだが、実は東京ドーム4個分のブスと評判のよしみちゃんと付き合っているが、そのことは周囲には秘密にしている。にも関わらず、「浮気のスリルを味わいたい!!」と江里子と二股かけようとするダメ男。だが、彼女のよしみからいまどこサーチされていることに気付いていない。
杉本(演:山田孝之)
ロンゲ野郎。
一人だけタキシード&オールバック姿で登場したが、化けの皮が剥がれていくにつれて酷い風体となる。バイト仲間だったよしみのことを「ザラキを唱えても死なないブス」と称した。そんな中の人は現在、某ドラマでドラ○エ勇者となって活躍中である。
女が目の前で髪をかきあげたら「抱いて」のサインだと思っているなど、勘違い度がケタ違い。毎日彼女の家を見つめたり郵便物をチェックしていたりと、行動が完全にストーカー。だが友情に厚い面もある。
【脳内江里子エピソード】
バイトが終わり、眠っていた江里子に寄り添い、起きた後は帰りたくないという江里子につきあい、夜明けの海岸を「待てよこいつぅ~v」と追いかけっこしていた。回想の中の江里子は絵に描いたような清純派マドンナ。
【真実】
エッセンシャルの香りが嗅げるほどの距離で、疲れて眠っていた江里子の側にいた。さらに、寝起きの彼女にコーラにみせかけ黒ビールを飲ませるなど完全に確信犯。座っていた江里子の体の向きから、実は江里子から怖がられており、自分の方を向いてもらえなかったことが判明。また「帰ろうとか」という言葉に江里子が「イヤ」と言ったのは、杉本がしきりに自分の部屋に誘ったから。彼女がいもしないイルカを見たといったのは、何とか理由をつけてその場を逃げたかったからだと関口は推測している。
松山(演:山本裕典)
見た目はイケメン。真冬なのにTシャツ姿でいる。
大学でもサメを研究するなど筋金入りのサメヲタ。実は来年アメリカに留学する予定があり、後半はそれを利用し江里子に告白する権利を譲ってもらおうと画策する。友情に厚いストーカー・杉本のはからいで江里子に告白する流れとなり、メンバーにどう告白するかを相談していたが・・・。
【江里子エピソード】
2人で同じ日に休みをとり、江里子の希望で鴨川シーワールドへデートに。家まで送った帰りには「今度は江ノ島にいこう」と言われるなど、一見するとかなり親密そう。回想の中の江里子はかなり積極的なイメージとなっている。
【真実】
鴨川以外にも品川へ行こうとしていたり、当日は熱帯魚柄のシャツを着ていたことから、江里子が本当に好きだったのは松山ではなく実は「魚」の方。サメに詳しい松山を魚くん扱いしていた。どしゃぶりの後、車内で「寒いね・・・」と言っていたのも別に誘っていたわけではなく、真冬でもTシャツ姿でいられるほどの暑がりである松山が、クーラーをガンガンかけていたからである。
仁科(演:小柳友)
ハイテンションでのっぽな男。
拾わなくてもいいギャグもいちいち拾う。
【江里子エピソード】
江里子と2人で箱根の温泉旅館に1泊した。証拠の写真もある。(だがなぜか回想の江里子はウサミミ姿で登場。コスプレのようなミニスカ浴衣衣装で、若干おバカなイメージとなっている)
【真実】
一緒に温泉に行ったというのは大嘘。写真上では江里子と仁科の間には距離があり、アングルもなぜか低めに撮影されている。これは実際は仁科が親戚の子供に撮影させたから。江里子が箱根へ旅行へいくことを知り、彼女を油断させるために甥っ子まで連れて行き、偶然を装い会いにいったというのが真相。回想の江里子のイメージがぶりっ子じみていたのは、徳川家が箱根から江戸までお湯を運ばせたというエピソードに「よく冷めなかったね」と実際に発言したのが写真を撮ってくれた甥っ子だったからである。
関口(演:安田顕)
海の家を撤去しにやってきた弁護士。
バツイチ。何かと距離が近い近い近い近い。
猫田のよしみ騒動の間完全に忘れ去られていたが、その後はこの茶番を終わらせる為に客観的立場からそれぞれの江里子エピソードを分析。真実を明らかにしていく。
常識人かと思われたが、中の人がヤスケンでそんなわけはなく、話を聞いていただけで会った事もない江里子を好きになり、大洗の海に向かって「えぇーりこぉ──!!好きだぁ──!!」と低音ボイスで告白する変人だった。
林(演:白石隼也)
冒頭で「調子」と「銚子」を勘違いし、茨城の大洗から千葉の銚子にまで行っていた青年。とことん要領が悪い天然ボーイで、終盤に登場。江里子に惚れており、松山の告白を応援するつもりが自分の妄想を爆発させていた。
しかし本人曰く、重い脳の病気で、松山が留学するまで生きていられないとのこと。留学と死では比べ物にならないと、松山に代わり江里子に告白する権利を得るが・・・。
実は、江里子の名前を騙って全員に手紙を出した張本人。どのバイトも長続きせず、周囲からも自分のおっちょこちょいさを指摘されることもなく遠巻きにされていたが、海の家のバイトではじめて面と向かって怒られたことで彼らに友情を感じはめる。脳の病気が発覚したあと、全員ともう一度会いたいという思いで野郎どもに手紙を出していた。
その他の登場人物
■ヨシミ
江里子ともう一人の女性。
名前しか登場しない。電話するシーンがあるのみである。
作中では「とんでもないレベルのブス」と称され、西田敏行の女装版だの散々な言われようだが、彼氏の猫田に黙ってGPSをつけていたりと性格も色々とアレな予感。
■江里子(演:戸田恵梨香)
みんなのマドンナ。
各人のイメージに差異がありすぎて本当の性格は定かではないが、非の打ち所がない美人らしい。だが、彼女も実際の姿はよしみと同じく登場していないので、どの程度バイアスがかかっているかは正直わからない。
ラストのオチ~来年の話
よしみと江里子には手紙を出していないかったが、猫田を探していたよしみが電話してきた際、猫田が江里子に会いにやってきたことをごまかすため、周囲が咄嗟に「海の家にバイト仲間で集まっている」とウソをついた。結果、それがきっかけでよしみが江里子を連れて海の家にやってきたことで、全メンバーがそろうことになった!
・・・そして次の夏がやってきた。
海の家「江ノ島」では、去年とほぼ変わらない顔ぶれが。
猫田はよしみと結婚。
江里子からも結婚を告げる手紙が届く(相手は沖縄でサメをとっている漁師)。
去年の林の告白は「彼氏がいるの」の一言であっさりと終了となったが、実は一連の病気騒動は、医者からの「どうしよう」という言葉を「脳腫瘍」と聞き間違えただけであり、林は今年も元気にバイトしていた。
新しいバイトの女の子も加わり、
彼らのおバカな夏が、また、はじまる──!
小劇場の空気そのままな映画
元が舞台なため、劇中でも上手と下手にハケ口がそれぞれある作りに。一応大洗の海も映るのだが、ほとんどが狭い海の家「江ノ島」での会話劇と、各個人の妄想で構成されている。お話のスケールも本っっ当に小さく、オチも弱いので、「抱腹絶倒!」なコメディ映画ではない。過度な笑いは期待せず、あくまでゆる~いノリで観て楽しむ系な感じ。
が!
素面とか信じられないくらい、アドリブと台本の境目が解らない佐藤二朗さんの芝居とか、破壊的なダンディーボイスでバッサバッサと切り伏せていく弁護士役のヤスケンとか、ひたすらにキモいストーカーを演じきった山田孝之さんとか、各役者陣の魅力は詰まっているので、福田雄一さんの世界観が好きな方、各キャストのファンの方にはおすすめです。
最後に
今ではすっかりガルパンの聖地となった大洗を舞台にしたコメディ映画。ゆるゆるすぎて人によっては笑えない映画ではありますが、山田さん&ムロツヨシさん&ヤスケンという最強に俺得なキャストは見逃せなかったんだ・・・。
現在は再びヨシヒコで共演中のお二人。あくまで暇な時に、暢気に気ままに見るのがいいかと思います。
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