CGのチープさ ★★★★★
コメディ度 ★★★
結論:全てがちゃっちぃ。
貞子3D~2Dバージョン~
2012年 日本
監督:英勉
原作:鈴木光司「エス」
※ストーリー、ラストのオチのネタバレあり。
※未視聴の方はご注意ください。
/主要人物/
■柏田清司(演:山本裕典)
貞子厨。
この映画の諸悪の根源。
劣化版Lみたいなヴィジュアルのネットアーティスト(自称)だったがひょんなことから炎上。その結果ニコニコ生放送で公開自殺。その動画は見た者が死ぬという「呪いの動画」だと噂されていたが・・・
原作「エス」ではシリーズを通しての重要キャラクター。
■鮎川茜(演:石川さとみ)
主人公の高校教師。
実は絶叫で全てを破壊できるというトンデモエスパー。だがそんなもん使わずとも鉄パイプで十分無双できる戦闘能力を持つ。
■安藤孝則(演:瀬戸康文)
茜と同棲している恋人。
ヒロイン枠。
なんかよくわからんが助かった。
実は原作では彼が主人公であり、「らせん」に登場した安藤満男の長男という設定になっている。
■榎木(演:染谷将太)
孝則の仕事の同僚。チリチリヘアー。
ウザキャラっぷりをみせつけてよくわからんうちに死んだ。
■小磯勇吾(演:田山涼成)
連続自殺事件を追う刑事。
この映画の良心にして愛すべきおっちゃん。
「炎上したんですよ」「火事か!?」
■中村正彦(演:高橋勉)
小磯の部下。
ネットがさっぱりな上司に代わって動画を調査していたイマドキな男性。なぜかいきなり貞子化して死んだ。
■山村貞子(演:橋本愛)
ただし、美少女Verの出番はちょっとしかない。
ホラーの皮をかぶったコメディ
この映画の見所は貞子ちゃんが飛びでてくるというその1点のみで、あとはしょぼいオバケ屋敷レベルのなんちゃってびっくりポイントが連発しているだけ。
ストーリーも「呪いの動画を使って犠牲者をばんはん増やしながら貞子ちゃんが完全復活する為の器を探していたら、幼い頃の貞子と同じように念動力を持っていたヒロインを見つけ、彼女を器にしようと恋人を人質にとって融合をはかるも、なんかスマホを割っただけで全て丸く収まったよ!?」という「お、おう」としか言いようが無いストーリーで、もはや完全にコメディ映画と割り切らなければこっちが液晶画面をブチ割りかねない勢いである。
だが一度割り切ってみてしまえば、ひたすら石原さとみさんがちっとも怖くない貞子相手におびえながら絶叫し液晶をブチ割り続ける前半から一転、後半の鉄パイプ無双アクション映画となる展開にも腹筋崩壊できるので、そういう意味ではギャグ映画としての価値はあるような気がしなくもない。
ちなみに、ヒロインの鉄パイプのサビと消える貞子もどきたちのヴィジュアルを見て、自分が真っ先に思い出したのがケロロ軍曹に出てたこいつ。
タイガーホース:トラウマが大好物だよ!(*1)
パロディと笑っていた数年後、公式で似たようなことをするとは思いもよらなかった。とはいえ実物はこれよりずっと蜘蛛っぽくてキモい。ホントは貞子になりきれなかった哀しき女たちの無念のはずなんだが、どうみても「怪奇!クモ女」というサブタイがつきそうなクリーチゃーなのがさらに哀愁を誘う。
しかしいくら「細けぇことは気にするな!」系のトンデモホラーとはいえ、貞子の呪いの肝となる部分である「見ただけで死ぬ」という恐怖が、今作では割と死ななかったりとブレブレになってしまったのは残念と言わざるを得ない。
あくまで貞子ちゃんのヴィジュアルだけで全力で笑いをとろうとするスタンスは徹頭徹尾貫いていたが、貫いて欲しいところはそこじゃなかった。
ちなみに一応この映画は鈴木光司さんの「エス」を原作としているが、キャラクターなどが一部共通しているだけで完全な別物である。貞子の井戸がある場所が異なるなど、シリーズとの関連もほぼ無いに等しい。
原作の「エス」はループと同じ世界観の話なので、鈴木光司ファンなら一読してみることをおすすめする。
最後に
これで続編が作られるという邦画界の現状がホラー。
ヤケクソなのかなんなのか。しかし今年の6月18日に公開予定の「貞子VS伽椰子」は少なくとも監督が白石さんである以上もうこのような惨劇が繰り返されたりはするまい。・・・多分。
↓この頃は良かった・・・
↓だが最新作は嫌いじゃない。
*1:ケロロ軍曹第2シーズンの64話「ドロロ、トラウマからの脱出であります!」に登場した、人のトラウマに寄生する宇宙生物。名前の由来は勿論「虎馬」。