背景美術 ★★★★★
ストーリー ★★★
結論:そうだ新宿御苑行こう。
2013年 日本
監督:新海誠
美術監督:滝口比呂志
/主要人物/
■タカオ(演:入野自由)
高校1年生。15歳。
11歳年上の兄と母親の3人暮らしで、母親に代わり家事や料理を担当しており、そのためか実年齢より大人びて見える。将来の夢は靴職人で、そのための学費を捻出するため日々バイトに精進している。雨が好きで、雨が降ると午前中の1限目をサボるという習慣があり、その雨の日も、いつものように新宿御苑に立ち寄ったが・・・
■ユキノ(演:花澤香菜)
新宿御苑でタカオが出会った年上の女性。非常に綺麗な足をしている。
一人で昼間からビールの金麦を飲んでいた(おつまみはチョコのみ)。「どこかで会ったか」というタカオの質問に、万葉集の短歌を残し去っていくが・・・。
彼女が劇中で残した短歌は女性から男性への歌であり、これの返し歌として男性から女性への歌をタカオが口にする場面がある。
登場人物の美術
「言の葉の庭」の人物の描写を見た時、自分の中でまっさきに思い出したのが化物語の表紙で有名なVOFANさんのイラストでした。
「ほしのこえ」や「秒速~」とは違い、言の葉の庭では人物の主線が黒ではなく、周りの光の反射色で描かれていたからなんですね。
Other voices-遠い声- » 解説:「言の葉の庭」におけるセルの塗り分け表現
こういった手法のことをなんと言うのかはわかりませんが、てんで素人の自分でも、今までの作品と違って人物の「光」を意識させられました。初期の作品の人物は好き嫌いが分かれそうなかなり独特な絵柄ではあったので、今回の人物の作画や、すっきりとした絵柄は非常に好みです。(ただあの絵だからこそ"味"があったともいえるのですが)
誰よりも雄弁な"雨"
秒速が桜の「ピンク」。ほしのこえや約束の場所が空の「青」だとすれば、この作品のイメージカラーは「緑」!CGの機械的な滑らかさではない、作画で表現された新宿御苑の美しい自然と雨は、最高のクオリティでした。
特に雨のアニメーションは、そのシーンだけずっと見ていたくなるほど。
地面に跳ねる一粒一粒。
空を映す水溜りの透明感。濡れたタイルの質感、傘に当たる雨、陽の光に透ける雨・・・
細かい場面で主人公二人の感情を代弁する雨は、新海監督が言うように3人目の登場人物であり、また影の主役でもあるといえます。
なかでも1番ぐっときた雨は、
「今が一番幸せかもしれない」という二人が過ごす部屋の窓を、ゆっくりと伝っていく雨!二人の「この幸福な時間が、少しでも長く続いて欲しい」という想いが伝わってくる、素晴らしいシーンでした・・・。
そういえば今作で美術を担当している滝口比呂志さんは、最近だとアニメ「亜人」の美術を担当されている方だったんですね。美術が凄い!と思って名前を覚えている美術監督といえば、鉄コン筋クリートや青エクの劇場版で美術監督だった木村真二さんが思い浮かびますが、なかなかスタッフ全てに目を通す事が少ないので、徐々に詳しくなって行きたいですね。
二人の部屋のシーンが一番好き
オムライスが超美味そう。
これに尽きる。
ユキノさんタカオを嫁に貰うべきと心底思った。
他にも、ユキノさんが持っている黄色いマグカップがやたら印象的でした。これは欲しくなるわ・・・。言の葉の庭で登場したものって全部欲しくなってしまうから困る。金麦しかりチョコしかり。
足のエロス
靴を脱ぐ時の仕草・・・エロいよね。(残念な感想)
裸足になった時のあのドキドキ感といったら!誰かが男性が女性に靴を履かせるのは性的なメタファーって言っていた意味がよくわかった。特に足フェチじゃないけれど、タカオがユキノの足に触れるシーンは、そんじょそこらのエロシーンより遥かにヤバいものを感じた。でも多分この映画を見てこんな感想をいっちゃう自分の頭こそ一番ヤバイのだとも思う。
最後に
ラストに流れる「新宿御苑は飲酒が禁止されております」という事実が1番衝撃的だったかもしれない。
今回音楽は天門さんが担当ではありませんでしたが、BGMのピアノの美しさは変わらず。でも、秦さんのEDはあんまり自分には響きませんでした。前向きなエンディングにあわせたからでしょうか、なんだかさらりと流れていってしまった印象です。こればっかりは単に好みの問題なんでしょうね。
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