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【アニメ】昭和元禄落語心中 10話感想~師匠であり父であった八雲の死を経て、死神は完成する※ネタバレあり

昭和元禄落語心中10話 菊比古
これがあたしの
心底欲した孤独──

※アニメ第十話のネタバレあり!
※原作はほぼ未読の状態で視聴しています。

結論:ロリ小夏めっちゃカワイイな!

今週、ついに先代・八雲が病気で倒れてしまいます。そして病床の彼の口から、なぜ助六を破門したのか、彼がどんな人生を送り、"八雲"という名を受け継ぐことになったのか・・・"助六"と"八雲"──二つの名前を巡る因果が語られます。

今週の落語:子別れ

女遊びをしまくっていた父親に女房が愛想をつかし、子供をつれて家を出ていってしまう。その後反省した父親は心機一転、女遊びも酒もやめ、一人前の大工となって女房と息子に会いにいくも、互いにすぐによりを戻すことが出来ずにいた。が、子供がきっかけとなって無事二人はまた夫婦に戻る・・・という、「子はかすがい」な人情話。

昭和元禄落語心中 7代目有楽亭八雲

師匠役の家中宏さん、初の本格的な落語シーンでしたね!おっかさんの声色と子供の声色、そしてだらしのない父親の演じ方・・・人格が次々に切り替わっていく"芸"が、これまた見事でした。今のアニメでベテランの声優さんの語りをじっくり見れる(聞ける)アニメなんてそうそうない。ほんと贅沢や・・・

師匠であり、父でもある八雲にしか演じられない落語「子別れ」。病気で息も絶え絶えながらも、最後まで噺を終え、一人で舞台をあとにするまで倒れなかった八雲師匠・・・彼の噺家としての意地が感じられるシーンでした。

その後病院のベッドの上で八雲は、己の命の灯火がもう消えかかっていることを自覚します。そんな彼の口から始めて語られる己の人生・・・。それは彼の最後の懺悔でもありました。

八雲の過去

噺家の家に生まれるも、父親に甘やかされて育っていた八雲。だがある日突然、父親に弟子入りを頼み込んできた男がいます。その男の落語の実力は当時の八雲を遥かに凌ぎ、みるみるうちに父親の関心を奪われてしまいます。

その男の名は・・・助六(CV:神奈延年)。

そう。
彼こそがあの助六を育てたという、落語好きなじーちゃん・・・先代の助六でした。

当時の彼は息子としての立場をフルに使って「八雲を継ぐのは自分だ」と言って周り、父親からもその約束を取り次ぐことに成功。実質、実力があった人間から名を奪った形となりました。

どうあがいてもこの名を誰かに奪われたくなかったという八雲。子供の頃の助六が、先代の助六そのものの落語をした時に既に気付いていましたが、過去”助六”から奪った名を、新たに現れた助六に継がせたくなかった。

昭和元禄落語心中10話

呪いのような醜い嫉妬を自覚しつつ、そんな思いがあったから「大事(でぇじ)な息子の一人を失った」と涙ながらに語る八雲。

息子同然に思いながらも、どうしても自分の憎んだ才能を持つ助六には・・・それどころか菊にすら本当はこの名をやりたくないと心情を吐漏する八雲。

もう既に落語の人気は落ち、以前のような隆盛は見る影もありません。結局は助六の言葉は真実だった。でも破門した理由は、弟子に図星を言われたから・・・というそんな簡単な感情ではなく、遥か過去の嫉妬心を、捨てきることが出来なかったからなんですね。

八雲の懺悔に、
「正直・・・師匠のそういうとこ、苦手です」
と返す菊。ほんとに正直だな!

でも、そういうところは似たくないという思いが、誰かの真似ではなく自分の落語を見つけるきっかけになった・・・と、自分を引き取ってくれたことに感謝しているとも告げます。

その言葉を聞き満足そうに笑みを浮かべた八雲。息子が成長した姿を見て、彼の中でやっと、長年の呪いが解けたのかもしれません。

そんな師匠の最後の落語が「子別れ」とは・・・何ともはや切ないものです・・・。

孤独の中で完成した「死神」

師匠の葬式のあとにこの落語のチョイス!でもだからこそ、なのでしょうか。みよ吉も、助六も、育ての父も、すべて去っていってしまった。正真正銘の孤独の中で演じなければ、「己の落語」は完成しない──そんな風に菊比古は想っていたのかもしれません。

美しい静寂の中。
菊の目には、噺の中の死神の姿形がはっきりと見えるようになりました。そして・・・

昭和元禄落語心中 10話 死神

「演じている自分の姿」を見下ろす菊。
俳優さんなど「演じる職業」の人がよく言われる光景を演出したシーンでしょうか。(演技に熱中しつつも、どこかで客観的に、演技をしている自分自身を見つめている自分がいるという話はよく聞きますね)

昭和元禄落語心中 10話 菊比古 死神

そして──
完全な孤独と引き換えに、彼にしか演じることができない「死神」は完成しました。

助六たちを探しに

父の訃報を伝える為、休みを利用して助六たちを探すことにした菊。が、とある蕎麦屋で助六そっくりの落語をするかわいいおチビちゃんが!

昭和元禄落語心中10話 小夏
「あたし、小夏よ」

最後に!

今週はなんだかんだでまだ、菊は八雲の名を受け継ぐことはありませんでしたね。もしかしてそれは最終回のお楽しみ(?)なんでしょうか?しかも今週の次回予告、石田さんではなくめぐさんだったし!小林ゆうさん演じるちっちゃい小夏の落語はもうめっちゃんこカワイかったですが、こんな可愛い子がこれから辿る運命を想うと・・・今から泣きそうになるんですけど・・・

↓次回の感想はこちら!

↓ついに2期放送開始!