ラブコメ度 ★★★
アクション ★★★★
結論:突然の小野Dに瀕死。
2017年 日本
監督:静野孔文
※犯人の正体やラストのオチ含むネタバレあり。
ご注意!
目次
あらすじ
爆破事件
大阪の日売テレビで、競技かるたの名門『皐月会』の会長と対談をすることになった小五郎は、少年探偵団・蘭・コナンのいつものメンバーをつれ、百人一首の高校生チャンピオン・大岡紅葉と、和葉が所属するかるた部の仲間・未来子との試合を見学していた。
試合後。テレビ局の廊下で大岡紅葉とすれ違う平次。だが初対面であるはずの紅葉はなぜか平次のことを知っており、さらには平次のことを「未来の旦那さま」と呼ぶ始末。幼馴染の和葉は気が気でない。
しかし、警察に日売テレビへの爆破予告が届いたことで事態は一変。テレビ局に避難指示が出されるも、皐月会の伝統ある百人一首一式を取りに未来子が戻ってしまう。その後を追った平次と数葉だったが、直後本当に爆弾が爆発。未来子たちは階下に降りられたが、2人は炎上するビルの中に取り残されてしまう。
なんとか屋上まで逃げるも、脱出方法もなく窮地に陥る2人。だが、隣のビルから飛び込んできたコナンが伸縮サスペンダーを使い、2人を地上まで降ろす。しかし今度は逆に、燃え盛るビルにコナンが取り残されてしまう。ビルの近くにある川まで飛び降りれれば助かるが、スケートボードを加速させるための場所がない。そこで咄嗟に、テレビ局の巨大パラボラアンテナを利用。サスペンダーを中心にひっかけ、遠心力を利用して側面をぐるぐると走り回ることでボードを加速させ、その勢いで川まで跳ぼうとするが、爆発の影響で飛距離が稼げず危うく地面に落下しそうになる。しかし、間一髪空中で平次が抱きとめてくれたおかげで、なんとか無事川に落下することに成功する。
想い人をかけて
無事に全員が脱出するも、未来子が腕をケガしてしまい、かるた大会参加が絶望的に。元々和葉が合気道部とかるた部を掛け持ちしていたのは、部員が少なく、まともにかるたが出来るのが未来子と和葉だけだったため。このまま何の結果も残せないままだと、部は廃部になってしまう・・・。
未来子は部の存続のため、試合未経験の和葉に大会に参加するよう頼み込む。そこへ再び大岡紅葉が現われ、彼女は試合で勝った方が「平次のお嫁さん候補」となり、告白する権利を有すると和葉につきつける。思わずそのケンカを買ってしまった和葉は徹夜で猛特訓をすることに。練習相手がおらず困っていたが、平次の連絡を聞き、彼の母親で元クイーンである服部静華が駆けつけ、稽古をつけてくれることになった。
殺人事件
一方。
京都では大岡紅葉の対戦相手とされていた矢島という男性が自宅で殺害されるという事件が起きていた。かけつけた平次とコナンは、以前京都の事件で会ったおじゃる警部・・・綾小路警部と再会。捜査の許可をもらい、現場検証を行う。
その結果。矢島はかるたをしていた最中に日本刀で真正面から撲殺され、手にはかるた札を握らされていたが、何者かによって札を無理やりはずされていたことが判明する。灰原に現場写真を送り、解析を頼むことにしたコナン。
小五郎に現場からつまみだされると、ちょうど矢島のライバルであり皐月会のカメラマンでもある関根が矢島邸にやってきたところだった。関根はまだ遺体を見ていないにも関わらず「このままじゃ矢島さんは無駄死に・・・殴られ損ですよ!」と発言したことで、コナンたちは彼が犯人ではないかと疑いをかける。凶器の日本刀が錆び付いていたため抜けず、撲殺したことを知っているのは犯人だけであり、尚且つ争った形跡もなく、真正面から殺害されていることから顔見知りの犯行であるためだ。
だが。
関根、紅葉、そして皐月会の会長である阿知波ら3人が車での帰宅中、警察から警護されていたにも関わらず、関根の車が爆発。意識不明の重体となってしまう。
名頃会
警察の調べで、テレビ局の爆破予告メールに百人一首のかるたの画像が添付されており、関根、大岡紅葉、阿知波会長のスマホにも、それぞれ「紅葉」の単語が入ったかるたの画像が送られていた事が判明。また灰原の調べで、矢島が握らされていた百人一首も「紅葉」が入ったかるた札であったことがわかる。さらに、矢島の殺害現場に残されていた写真に映っていた男性が名頃 鹿雄という、皐月会のライバルだった「名頃会」の会長であったことも明らかとなった。
名頃会とは少数精鋭式の20人弱の会で、名頃含めメンバーはみな実力者であったが、あまりにも勝利に固執する姿勢から、阿知波からは「美しくないかるた」と言われていた。
しかし5年前。
名頃は阿知波の妻でありクイーンだった阿知波 皐月と勝負を申し込み、マスコミにも大々的に宣伝する事で勝負を避けられないように仕向けるも、結局試合当日になっても姿を見せず、結果は皐月の不戦勝。名頃は消息を絶ち、行方知れずとなった。そして名頃はかるた会の面汚しと叩かれ、皐月はその2年後に病死してしまった・・・。
名頃の「得意札」が、自身の名前にちなみ「紅葉」が入った6枚の百人一首であること。それらのかるた札が今回の犯行予告に使われていたことに気付いたコナンたちは、紅葉や関根が元名頃会のメンバーだったことから、矢島の死体の第一発見者であった関根は、この犯行が元師匠の名頃のものだと思ったからこそ隠蔽工作をしたのだと気付く。
名頃は、自分の名誉を傷つけた皐月会を、そして名頃会消滅後に皐月会に引き取られた元弟子たちを裏切り者と逆恨みして犯行を繰り返しているのではないか・・・?そう推理した警察は、紅葉たちを厳重に警護することに。
だがコナンと平次は阿知波から、実は名頃は試合の前日に皐月に勝負を挑んでおり、そこで圧倒的な差をつけられて負け、その日以来姿を消した・・・という話を聞かされる。一体、名頃鹿雄に何があったのだろうか・・・。
大会
厳重警備のなか始まったかるた大会。和葉は特訓の成果もあってか順調に勝ち進み、ついに紅葉との一騎打ちとなる。皐月会の決勝戦は通常の会場とは別に、「皐月邸」と呼ばれる崖の上に作られた小さな社にて行われることになっていた。船でしか移動できず、部屋にはエレベーターを使わなければ辿り付けないという陸の孤島のような場所で、想い人を賭けて戦う紅葉と和葉。
だが地上では、何者かが爆弾を持って侵入していた。侵入者は誤爆によって死亡したかと思われたが、遺留品の指輪により、侵入者の正体が阿知波の秘書であったことが判明。コナンは、本来は彼は身元不明の死体となることで名頃が死んだと思わせるフェイクとして真犯人に殺害されたのではないかと見抜く。そしてこんなことができるのは一人しかいないとも・・・。
入口が爆破され火の手が迫る皐月邸──。平次はコナンを後ろに乗せ、バイクごとダイブし、和葉と紅葉を助けに向かう。
事件の真相(※ネタバレあり)
真犯人は、いままさに紅葉と数葉の試合で読手を務めていた、皐月会の会長・阿知波であった。彼は雑誌のインタビューで、妻・皐月の試合前には必ずゲンを担ぐために洗車をすると言っていたが、5年前に行われた名頃との試合日の車は汚れたままだった。
阿知波は、その日に試合が行われないことを知っていたのだ。なぜなら前日、試合を挑んできた名頃に、圧倒的有利な状況にも関わらず敗北した皐月が、ショックのあまり名頃を殺害してしまったのだから。
名頃の死体を皐月邸に隠し、その事実を隠し続けた阿知波。心を病んだ皐月は病気で死に、彼女の名誉だけは守られると思っていた。が、矢島が死の間際に見ていた紅葉の大会の試合・・・名頃と皐月の試合にも使われ、そして殺害時に現場にあった伝統のかるたが使われたその試合で、師であった名頃と同じ得意札、同じ並び順、同じプレイスタイルをしていた紅葉は、5年前師匠が殺害された状況と全く同じ札の並び順を再現してしまっていた。
TVの映像には、名頃が殺害された時の順番で札を重ねた時だけ現われる、名頃の血で濡れた誰かの指の跡がくっきり映っていたのだ。
名頃が皐月に殺されたことに気付いた矢島を殺した阿知波は、妻の名誉を守るため、以前の盗難騒ぎで厳重に保管されるようになってしまったかるたをTV局ごと爆破し、全ての罪を名頃に着せ、闇に葬るつもりだったのだ・・・。
結末
既に皐月邸の地下を爆破し、名頃の遺体ごと燃やし尽くそうとしていた阿知波。だが、名頃の弟子だった紅葉はいう。
名頃は目の病気であと1年ほどしかかるたが出来ない状態だったこと。それでも皐月と勝負するため、勝利に固執するようなスタイルとなってしまったこと。
だがそもそも皐月と闘いたかったのは、自分の実力を誇示したかったからではなく、初恋の人に「強くなったね」と褒めてもらいたかっただけだったということ・・・。
マスコミに試合日をリークしたあと、わざわざ前日に皐月と試合をしたのは、マスコミ用の試合日には、勝ちを譲ろうとしていたから・・・最初から彼女のことを叩き潰そうとなんて思っていなかったのだと。
全てを知った阿知波は泣き崩れるが、社もまた崩れ去ろうとしていた。火はコナンが脇を流れる滝に巨大サッカーボールを岩のようにあてることで流れを変え、水しぶきを真上からかけることで消火するが、崩壊は止まりそうにない。
さらに紅葉と阿知波をエレベーターに乗せたコナンと、平次と和葉が分断してしまう。落下するエレベーターを、サスペンダーをフル活用してなんとか食い止めたコナンだが、平次と和葉はいまだ取り残されたままだ。
バイクで隣の崖にある池にまで飛び移れれば助かるが、助走が足りない・・・。そこで平次はわざと爆弾を爆発させ、爆風で飛距離を稼ぐことで見事に窮地を脱する。
ラストのオチ:紅葉と平次の思い出
全てが終わり・・・。
結局廃部の危機は回避したものの、最後の紅葉と和葉の試合は紅葉の勝利で終わった。
実は平次は子供のころ、飛び入り参加したかるた会で紅葉を負かして優勝した過去があった。その際泣きじゃくる紅葉に「今度会った時はよめにとる」と約束したという。
その頃の約束をずっと覚えていた紅葉は、平次に昔プロポーズされたと言い張るが、平次自身は全くその気がなかった。
実はその時のは平次は、女の子だからケガさせないようにと気持ち弱めにかるたをやっていたらしい。そして紅葉には「今度あった時は、つよめにとる」と、次もまた頑張ろう的な意味合いでの発言だったことを明かす。
プロポーズ発言が勘違いだったことを知り、今日の所は・・・と引き返した紅葉。だが彼女は、平次のことを諦めるつもりはないらしい。彼女はこれからも、和葉の恋のライバルとして立ちふさがるつもりなのだろう。
そして帰りの電車の中。
蘭も自分が気に入った歌のかるたの写真を撮り、新一に贈る。すると新一からの返信で、またもや百人一首が贈られてくる。
「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」
──それは、
幾百年も前に詠われた、「今は離れていても、必ずまた逢える」という、恋歌だった。
劇場版主要キャラ
大岡紅葉(演:ゆきのさつき)
やっと逢えた・・・
未来の旦那さん・・・!
百人一首(競技かるた)の高校生チャンピオン。抜群の聴力と反射神経を持つ実力者で、クイーンを確実視されている。今作では名頃会という少人数による実力主義の会出身であることが判明した。
指の保護のためネイルが趣味と派手な外見をしており、小五郎も見惚れる美人さん。そして巨乳。実家は金持ちのお嬢様で武家屋敷のような和風な豪邸に住んでいるが、本人はクッキーに紅茶を嗜むなど洋食スイーツが好みらしい。
原作では既に登場しており、なかなかの推理力もみせた。今作では、幼いころ飛び入り参加してきた平次にかるた大会で負けボロ泣きした過去があることが発覚。その際平次にプロポーズされたことから、ずっと平次のことを慕い続けていた。
結局終盤にはプロポーズ発言はただの聞き間違いだったことが判明するが、それでも「狙った札は逃がさない」と発言したりと、平次への恋心は揺るがなかった。和葉の正統なライバルキャラとなるが、「葉っぱちゃん」から終盤では「和葉ちゃん」呼びになるなど、一戦交えたことで彼女のことを認めたようだ。
服部平次(演:堀川りょう)
バイクで飛びまくる男。
現実でやったら股が色んな意味で死にそう。今作ではアクションだけでなくラブコメも担当し、幼馴染の和葉と小学生のような言い合いを繰り返すも、大会に出るため夜通し稽古する和葉に練習相手を申し出た際、紅葉のこともあり素直になれない和葉から拒否られた時にはちょっと切なそうな顔をみせた。
紅葉に好意を寄せられ、腕をくまれた時はおっぱいにトキメキを隠せないなど健全な男子高校生っぷりを見せ付ける。が、過去にプロポーズした疑惑が持ち上がった際、蘭とコナンからは「意外にいい加減だからやりかねない」と評価されるなど、恋愛面に関して周囲の評価が低いことも判明した。
遠山和葉(演:宮村優子)
予告ではやたらカッコイイ今作のヒロイン。本編では普通にラブコメ担当として、紅葉にライバル心を燃やしまくる。ぷぅー!って顔がめちゃくちゃ可愛い。試合未経験という状態でいきなりかるた大会に出るというムチャ振りをされるも決勝まで勝ち進むなど、記憶力・瞬発力・体力・聴力がA級並だということが判明した。普通に凄すぎる。
その他キャラ
■伊織 無我(演:小野大輔)
紅葉の執事。
黒いパーマがかかったロングヘアーが特徴。だが中の人のせいでもう悪魔で執事にしかみえない。
■綾小路文麿(演:置鮎龍太郎)
「迷宮の十字路」にも登場した警部。リスだけがお友達の変人キャラだったが、今作では態度が大分軟化しており、終始平次とコナンの味方として色々便宜を図ってくれる。
■枚本 未来子(演:吉岡里帆)
和葉の同級生。
かるた部の主将であり、皐月会のメンバー。地味な印象のメガネっ子だが実力はあり、冒頭では紅葉と対戦していた。爆発騒ぎの中で彼女が皐月会の伝統のかるたを守りきったことで事件が起き、そして終結したともいえる。
■矢島 俊弥
今作の犠牲者。
冒頭、紅葉のかるた大会の映像を見ていたところを、顔見知りの誰かに撲殺される。犯人を「兄(あに)さん」と呼んでいたことから犯人が男性で、恐らくは年上であろうことは視聴者に解るようになっている。生前は名頃会の解散を強く希望していたことから、名頃に殺されたものと思われていたが・・・。
■関根 康史(演:宮川大輔)
皐月会のカメラマン。
元名頃会の出身で、かるたの腕前はプロ級。だが矢島には2年連続で負けている。実は矢島の死体の第一発見者だが、手に師匠の得意札が握られていたことで師匠の犯行だと誤解し、隠蔽工作をしてしまう。が、強盗にみせかけるために家を荒らすも、かるたに関するものは手付かずだったことや前述の失言もあり、のちにコナンたちに見破られる。その後車を爆破されるも、何とか一命はとりとめた。
■阿知波 研介(演:阪 脩)
浪花の不動産王と呼ばれた男性。趣味はかるただが、元々は読手になりたかったらしい。現在は皐月会の会長として活躍中。妻はかるたのクイーンであった皐月。皐月の試合前には車を洗車してゲンを担ぐなど仲が良い夫婦だった。今作の真犯人であり、亡くなった妻の名誉を守るため、名頃の犯行にみせかけて次々に爆破を繰り返していた人物。
■海江田 藤伍
阿知波の秘書のゴツい男。
皐月会の裏の面を担当していたと噂されており、実際に阿知波の手足となって暗躍。終盤のかるた大会では捜査員のフリをして潜入し、爆薬をしかけていた。が、彼もまた爆死させられる。本来は彼の死体を名頃のものとして、容疑者死亡という結末にしようとしていたが、指輪が見つかったことでコナンたちに正体を見破られる。
■皐月
3年前に亡くなった阿知波の妻。かるたのクイーンだったが、名頃から試合を申しこまれた前日、格段に聞き慣れていたはずの、夫が詠んだ読手テープを使って名頃と勝負したにも関わらず大敗してしまい、明日の試合を恐れる余り名頃を殺害してしまう。その際、名頃の血がついた手でかるたに触ってしまっていた。
■名頃鹿雄
名頃会の会長。
少人数の実力主義の団体で、関根や紅葉はもともと彼の元でかるたをやっていた。自身の名である「鹿=鹿肉=もみじ」という連想から「紅葉」の文字が入った札を得意札とした攻めがるたがプレイスタイルだったが、試合の度にもめる(かるた用語で「自分が先に触ったー!」などの言い合いのこと)など、評判はあまりよろしくなかった。
だがそれは、目の病気でかるたが出来る期間が決まっていたことによる焦りから。実は皐月が初恋の人であり、彼女に憧れてかるたを始めたらしい。是が非でも彼女とかるたで真剣勝負をしたかったその熱意がのちに悲劇となってしまった。
人相は悪く見えるが、紅葉や関根たちからは慕われており、厳しくも優しい人物であったようだ。
レギュラーキャラ
■江戸川コナン(演:高山みなみ)
最近のアクションが凄すぎて、もはや人間兵器と化している感があるちびっこ探偵。警察の捜査に普通にいても誰も気にしないところがほんと凄い。終盤は蘭からのメールにロマンチックな百人一首を返すなど、案外主演2人よりもラブラブしていた。
■毛利蘭(演:山崎和佳奈)
ラブコメのラブ担当。
最近劇場版で出番が少ない気がする。
■毛利小五郎(演:小山力也)
推理シーンがちょっとあるぐらいでほぼ出番なし。
■服部静香(演:勝生真沙子)
平次の母親。
剣道有段者なのに、今作では元かるたのクイーンでもあったことが判明した。
可愛い息子からの要請に応え、和葉に徹夜で稽古をつけてくれる。
■鈴木園子(演:松井菜桜子)
今作では風邪でダウンしているためほぼ関わらない。だがその状態でも鈴木財閥の力を当てにされるのだから割と大変。
■少年探偵団
大阪だろうが京都だろうが必ず同行してくる最強小学生軍団。和葉と紅葉の修羅場を目撃し、さすがの歩美も「すごいのみちゃった・・・」と若干ひいていた。
相変わらず元太の突飛な行動がコナンの推理のキッカケとなるが、もはやなんらかの特殊能力なんじゃないかと疑いたくなるレベルである。
■阿笠博士(演:緒方賢一)
今回は探偵団のお守を小五郎に任せ、灰原と一緒にお留守番組となる。爆破事件のニュースを見てコナンのことを心配していたのに、電話を代わってもらおうとした途端さっさと切られて「えげつなー・・・」とショックを受けていた。が、その後は探偵団に意地でもクイズを出す為に電話を自らかけてくる。
ちなみに、かるたを日本の伝統行事に例えるなら、「茶摘」「凧揚げ」「餅つき」「稲刈り」のどれか?という問題だったが、田んぼを狩る=狩る田で「稲刈り」と、灰原から即効で見破られていた。
■灰原哀(演:林原めぐみ)
お留守番組としてしっかり活躍。
矢島殺害現場の現場写真から散らばっていたかるた札を解析。血痕を照合し、被害者の手に握られていたかるた札を特定した。
今作では序盤の博士との会話がもう熟練夫婦のそれだったり、コナンとの「あなたこんな遅くまで~」という会話が新婚夫婦のそれだったりと、奥さん感がすごい。そして旅行先ではしゃぐ歩美たちに対して電話越しに、「あなたたち夜遅くまで起きてちゃダメよ」と注意する様はどこからどうみてもお母さんである。
登場する百人一首
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
予告でかっこよく和葉が詠んでいた歌。三十六歌仙の一人・平兼盛の歌で、ずっと心に秘めて耐え忍んでいたけれど、とうとう顔に出てしまった。人から「恋でもしているのか」と尋ねられるほどに・・・。という内容の恋歌。
作中では和葉が得意札に選ぶ。
内容もあるが、作者の「平」の名前が平次を連想させるというのも大きかったようだ。
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな
久しぶりに会ったのに、それがあなたがどうかもわからぬうちに帰ってしまった。まるで雲に隠れてしまった夜の月のように・・・。
という紫式部の歌だが、いつもニアミスする新一と蘭の状況と見事に被る歌である。得意札をどう決めようか悩む和葉に、自分が選ぶなら・・・と蘭が真っ先に選んだのがこの札というのが切ない。
瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
崇徳院が詠んだ恋の歌。
流れの速い川が、岩にせきとめられ2つに分かれてしまっても、いつかまた再びひとつになる・・・という、今は離れ離れでも、再び出会い結ばれるという内容の恋歌。
作中では蘭の返信に、新一がこの歌を返している。今は逢えなくとも、いつか結ばれる・・・新一と蘭の関係とかけているのだと想われるが、もう完全に告白してるよーなもんだがいいのだろうか。
感想:ラブ<<コメディ
前作がシリアス回だったためか、今作は女の子組中心のラブコメディ。どっちかというとラブの要素よりもコメディが強めな作品で、平次と和葉の仲は(まぁ当然だが)進展せず、思ったよりイチャつくシーンも少ない。終盤の蘭と新一(コナン)の方がラブラブに見えるくらいである。和葉ちゃんの思いが報われる日はいつ来るのだろうか。
ただどことなく、
全編通して電話・・・逢えない人との会話が重要なファクターになっているシーンが多い気がした。例えば灰原にかるたの解析を頼むシーン。用件が終わったらすぐに切ってしまうコナンにちょっとイラァ・・・っとする灰原の描写だったり、せっかく心配してたのに声もきかせずに切るコナンにまじつらぁ・・・状態になる博士だったり・・・。
平次も和葉が声を聞きたくて電話してきているのにアッサリ切ろうとするなど、この声を聞きたいと思う乙女心がさっぱり理解できてない探偵コンビ、という描写はわりと面白かった。
でもちょっと引っかかったのは名頃さんの行動。競技かるたをやっている人間が勝ちを譲るという考えになるだろうか?と疑問が・・・。クイーン相手にそんなことやったら逆に嫌われそうな気がするのだが・・・。名頃もちょっと女心が解っていない人だったのかもしんない。
アクション面について:サッカーボール万能説
前作「純黒の悪夢」といい、毎回コナンをフライングキャッチしなければならない法則でも生まれたのだろうか。
爆発&脱出がデフォになりつつあるコナンだが、ほかボードアクションが限界を超えたのか、サスペンダーとサッカーボールの有能性が色々とおかしいことになっている気がしないでもない。前回あんだけ膨らんだサッカーボールが今回もパンパンに膨らむとは思いもしなかった。
一応、
でっかくなったサッカーボールを岩代わりにして、滝の流れを変えて火事を消す・・・というのは、終盤に新一が蘭に送った百人一首「瀬を早み~」にもかけているのだと思うが、もう便利アイテムというより兵器に近い威力なので、黒の組織なんて阿笠博士がちょっと本気出せば潰せるんじゃねーかという気になってくる。
アクション面はこのままいくとネタ切れになるか、イクところまでイってしまいそうなのがちょっと心配。ヘリの操縦もやり船もやり・・・もうあとは宇宙にいくぐらいしか残ってないんじゃないだろうか・・・。
最後に
次作の映画予告は、東京の夜景が、安室さんが「ゼロ」といった瞬間に一瞬で暗くなるという、大停電を彷彿とさせる内容でした。次の劇場版は昨日の『純黒の悪夢』同様、安室さん中心の話になるのかもしれませんね。
わりと糖分高めなのかな?と思ってみましたが、高めだったのはコメディ成分!前回がどシリアスだった分気楽に楽しめますが、『迷宮の十字路』のように平次と和葉の距離が近づくようなエピソード・・・というわけでもないのがちょっと物足りないかもしれません。
個人的には不意打ちで小野Dの声が聞こえてきて死ぬかと思いました。突然の執事役とかまじカンベンしてもらいたいものです・・・!
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