海のクオリティ ★★★★★
屋比久さんの歌 ★★★★
ストーリー ★★★
結論:海めっちゃ親切!!
2017年 アメリカ
監督:ロン・クレメンツ
この世界を生んだ命の女神・テフィティ。
だがマウイが彼女の心を盗んだため、世界は闇に閉ざされつつあった。
それから数千年の時を経て。
海はとある村の少女・モアナを選ぶ・・・。
※ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。
目次
あらすじ
16歳となったモアナは村長である父親に「サンゴ礁の外へ出てはいけない」とキツくいい聞かされていたが、島ではココナツが腐り、魚が全く獲れなくなるなど異変が相次いでいた。幼いころ、海から美しい緑色の石を授けられて海に選ばれていたモアナは祖母の死の間際の助言をうけ、かつて心を盗んだマウイと共にその心をテフィティに返し島を救うため、一人大海原へ漕ぎ出していく。
だが荒れ狂う海に翻弄されつつもやっと出会ったマウイは自分を英雄だといって人間の言う事を殆ど聞かず、魔法の釣り針を失くしたことで変身能力もないまま石を返しにいくことは出来ないとモアナをつっぱねる。モアナは今のあなたは英雄ではないが、石を返せばたくさんの人間に感謝され再び英雄になれると言いくるめ、2人の船旅がはじまる。
マウイの魔法の釣り針を探しに、海底にある魔物の国《ラロタイ》にやってきた2人は、そこに住むヤドカニの怪物・タマトアから釣り針を取り返す。モアナの勇気に救われたマウイは彼女を信頼しはじめ、船の操縦や星見など様々なことを教えてくれる。
だが、テフィティの元へいく前に立ちふさがる溶岩の悪魔・テカとの闘いでモアナを庇ったため、魔法の釣り針が壊れかけてしまい、怒ったマウイは飛び去ってしまう。
ひとり泣き崩れるモアナ。
だがそんな彼女の元に、エイの姿となった祖母の霊が現われる。先祖の霊に勇気付けられた彼女は、再びテフィティの心を帰す旅を続ける。
たった一人でテカに立ち向かうモアナだったが、そこへマウイがあらわれる。2人は協力して、テカと戦うが・・・
登場人物
モアナ(吹:屋比久知奈)
16歳の少女。
幼児のころ海亀の赤ん坊を海まで返してやったところ海に気に入られ、テフィティの心である緑の石を授けられていた。成長しその時の記憶はおぼろげになっていたが、ずっとサンゴ礁の先、海の向こうに憧れていた。
村長の娘として育てられていたためか年の割りにはしっかりしており物覚えがよく、危機的な状況でも咄嗟の判断ができる。また、マウイやタマトアを言いくるめたりと口もうまいが、運動神経もべらぼうにいい。作中ではロクに操船技術もないまま船旅へ出かけるが、マウイからの指導を経て後半では驚くほどの成長を遂げた。
ちなみにモアナはハワイ語で「太平洋」という意味である。
マウイ(吹:尾上松也)
魔法の釣り針の力で様々な動物に変身することができ、その力を持って島を釣り上げたり風を作ったり太陽をつかまえるなど、英雄としてあがめられている(と思っていた)神。
数千年前に人間が喜ぶと思って命を生み出す力の源であるテフィティの心を盗み出したが、溶岩の悪魔テカとの闘いに破れ、テフィティの心と魔法の釣り針を海に落とし失くしてしまう。さらに自身も千年間島に幽閉されていた。
性格は承認欲求に飢えた自信過剰な超ナルシスト。人間は全員自分のファンだと思っていた。しかし釣り針がなければ魔法能力が使えないため、当初は心を返しにいくのを嫌がったり、心の石を見たときはビビりまくったり、釣り針を取り返した時もうまく使えなかった時は激しく落ち込むなどややヘタレな面もある。
全身にタトゥーがあり、その中にある自分の姿をした体中を動きまわるタトゥー(ミニ・マウイ)と常に会話している。その姿は一歩間違えればなかやまきんにくんである。モアナを見捨てようとした時にはミニ・マウイが諌めるなど、マウイの良心のような存在らしい。その他のタトゥーは彼の思い出でできているようで、ラストではモアナのタトゥーが追加されている。
実は元人間であり、海に捨てられた過去を持つ。その後神々に拾われたが、人間に愛されたいという願望を常に持ち続けていた。※ただし実際のマウイの母親は神であり、この設定はディズニー独自のものであると思われる。
ヘイヘイ(吹:???)
目がイってるニワトリ。
まさかグッズ展開されている子ブタのプアよりもコイツの方が出番が多いとは夢にも思わなかった。
モアナの荷物にまぎれこんでおり冒険についてきてしまった、ディズニーあるあるの「お姫様が連れている動物マスコット」。歴代でもトップクラスのアホの子で、本気で脳みそ入ってるのか疑わしいぐらいのニワトリ頭。さらには公式のキャラ紹介で「知能指数ゼロ」と書かれてしまう始末。目の前にエサがあるのに見当違いな場所を突っついたり、石を食べようとチャレンジしちゃったり、船上でウロウロ歩いて目の前に海があるのに何度でも落っこちて、荷物置き場に封印されるほどのアホっぷりを披露する。
あまりの役立たずっぷりにマウイからは「おやつちゃん」と呼ばれ非常食扱いされていたが、終盤はテフィティの心を守りきったりとギリギリ役に立った。
タマトア(吹:ROLLY)
魔物の国に住む巨大なヤドカリ。
ピカピカ光ってるものが大好きで背中の甲羅を金銀財宝でデコっているが、その中に魔法の釣り針もあった。昔マウイに足をもがれたため、マウイに恨みを持っている。
自慢話が大好きで、モアナの口車に見事に乗せられた時にはミュージカル調で歌いだし、一人エレクトリカルパレードみたいなことになる。「シャ~イニィ~♪」
その後はモアナたちの活躍もあってひっくり返されてしまい、映画が終わってスタッフロールの後になってもまだひっくり返ったままであることが明かされる。だから席立つなよ!最後にはリトル・マーメイドのセバスチャンに恨み節を残していた。
海
今作の影の主役。
この項目をみて「???」と思った人も多いだろうが、今作では海そのもの意志を持ち、モアナたちの冒険を支え続ける。喋りこそしないがスライムのように形を変え、冒頭ではモアナにテフィティの心を届け、その際に彼女のヘアスタイルをアレンジしたりと遊んであげていた。モアナが初めて冒険にでかけた時もマウイの島へと導いたり、船でマウイから放り投げだされた時も即効で助け出していた。
当初はヘイヘイも一緒に助けて船上にあげていたが、あまりにも海に落ちまくるのでしまいには船上ではなく船内の荷物置き場につっこみフタをしてぺしぺし叩いていた。そしてなんだかんだで最後の最後までちゃんと面倒を見ている。いいやつ過ぎるだろ海!
その他のキャラ
■テフィティ
全知全能の女神。
全身を緑に覆われた巨大な山のような姿をしており、命や島々を生み出した後は眠りについていたが、マウイに心を奪われてしまった。その心は美しい緑色の石となっており、命を生む力があると信じられているため、魔物や海賊に狙われている。
■テカ
巨大な溶岩の姿をした悪魔。
発音的には「テカァ」に近い。テフィティの島の目前に立ちふさがり、マウイたちの最大の障壁となる。海に触れると体が一瞬固まるのが唯一の弱点。
■トゥイ(吹:安崎求)
モアナの父親。
村長としての戒律に厳しく、島が危機に瀕していても頑なにサンゴ礁の外へでることを禁じていた。が、青年時代はモアナ同様海の向こうに憧れており、船で出ようとしたものの嵐で転覆。一緒に乗っていた親友を亡くすという過去があった。
■シナ(吹:中村千絵)
モアナの母親。
父親に叱咤され落ち込むモアナにトゥイの過去を話してくれる。さらにモアナが海の向こうへ旅立とうとしているのを見つけた時は止めず、見送ってくれた。
■タラおばあちゃん(吹:夏木マリ)
モアナの祖母。
村で唯一テフィティの伝説を語り継ぎ、やがてこの豊かな島も災いに見舞われることを暗に忠告していた。モアナが海に選ばれた瞬間を目撃しており、その後モアナが拾い損ねたテフィティの心(緑の石)を持ち続けていた。しかし島に危機が迫っていることを悟り伝承は伝えたものの、あくまで選択はモアナ自身に委ね決して強制はしなかった。その後モアナに「私が死んだらエイとなって会いにいく」と告げ、寿命を迎える寸前に「お行き」とモアナに発破をかけた。
その後死した後もエイの姿を借りて霊となって現われ、マウイとケンカ別れしたモアナを勇気づけた。
吹替版は千と千尋の湯婆婆で有名な夏木マリさんが担当。癒し系おばあちゃんとしていい芝居をしている。
■プア
今作のマスコット。
・・・と思われていたが序盤とラストにしか登場しない。しかしグッズ展開の大半を担う。ヘイヘイの立場は一体。
■カカモラ
ココナッツの海賊。
もののけ姫のこだまに似ている。ゆるキャラのよう姿だがテフィティの心を狙う海賊団であり、矢を武器にマウイたちに襲い掛かってくる。しかしミニサイズなのでモアナのオールさばきであっさり吹っ飛んでいた。だがなぜかグッズ展開をプアと二分している。だからヘイヘイの立場は(ry
ラストのオチは?
モアナを守り、釣り針を失ってなおテカに一人で挑むマウイ。
テカをすりぬけテフィティの島へと向かうモアナは、目指す先にテフィティの姿がないことに気付く。そして、テカの胸に心をはめる渦の痕跡を見つける。
溶岩の悪魔・テカの正体は、心を失い暴走したテフィティだった。
それに気付いたモアナは海の力を借りて、彼女の胸に心を戻す。するとテカはテフィティの姿へと戻り、世界に再び命が戻る。そして心を盗んだことを謝罪するマウイには新しい魔法の釣り針を贈ってくれた。そして帰るための船も・・・。
また会うことを約束してマウイと別れるモアナ。数々の冒険を経て、家族が待つ島へと帰る・・・。
海の美術と屋比久さんが歌う「どこまでも」は素晴らしい
やはり最大の見所は海の表現!
かつては水の表現は最難間だったが、どこを見ても青く美しい海、白く泡立つさざなみや、文字通り海がみずみずしく動くシーンのクオリティは見事としかいいようがない。
あともう一つ見所なのはヤドカリのタマトアのミュージカルシーン!魔物が住む怪しげな海の色彩や造形、そしてタマトアのライトアップシーンは非常に美しい。そしてタマトア役のROLLYさんがカッコイイ。ヤドカニなのに・・・。『リトル・マーメード』・・・というより、ディズニーシーの『マーメイドラグーン』が好きな人にはたまらないシーンかもしれない。
これらの映像美と、主人公のモアナ役の屋比久さんが歌う主題歌「どこまでも」は、映画館の音響とスクリーンで見る価値は十分にある。登場キャラが少ないのもあるが、どの吹替キャストも違和感なく、浮いて聞こえることはない。また初主演である屋比久さんは歌も通常の芝居もとてもハマっていて素晴らしかった。
マウイのキャラが受け付けるかどうかが全て
映像や主題歌は素晴らしい。
が。その一方でストーリー・・・というより、マウイのキャラに愛着を感じるかどうかで作品の好き嫌いが分かれそう。
特に、当初は見下していた存在(モアナ)に心動かされ、やがて協力的に→そしてケンカする→仲直り・・・というのはズートピア前からずっとあるお約束の流れだが、そもそもこの時のケンカの原因であるモアナの判断ミスが、結局は誤りではなかったりすることもあって、マウイがモアナを許す描写が唐突にしか思えず、一体何で心変わりしたのかがよくわからない。
モアナの頑張りを影で見守っていたからなのか、急に許しちゃいたくなったのか結局そんなに怒ってなかったのか・・・。ニックとジュディのように仲直りシーンがあるわけでもないので、ここはもう少し何か欲しかったところ。このあたりのキャラクター描写は薄かったように思える。
あと、モアナが序盤からしっかりした女の子なので、一応は「島の生活しか知らない少女が外の世界を知って大人になる」という物語にはなっているのだが、正直外の世界が海ばっかなので成長する部分といえば操船技術など船の知識が主となる。モアナの精神面ではそれほど大きな進展は見られない(その部分はマウイが担っているのだろうが)。
色々な人や世界と関わって様々な価値観を知って成長するのではなく、基本的には自分で乗り切るという展開が少し無難すぎたのかもしれない。
最後に
海とヘイヘイのやりとりとかはすっごい楽しかったんですけど、海や命の神様が完全に人間に味方する存在として描かれているのは少々疑問だったかもしれません。
序盤のウミガメを助けるシーンも人間が殺そうとしていたのを助けたのならともかく、普通に自然界のサイクルの中で鳥が食べようとしたのを止めてたけど、これで鳥が飢えるのはいいのか?とか。まぁこんなところディズニー映画でツッコむところじゃないんですが。
あと多分ディズニー側の創作であろうテフィティが全能の神様で、マウイがその下っていうのもそれでいいのかな?っていう気もしました。そんなんいったら日本の擬人化ゲームやらファンタジーRPGはって話ですけどね!
あと、アナ雪の時もそうでしたが、EDで主題歌を別のアーティストが歌って流すのが流行ってるんでしょうか?正直ミュージカル用に作られている曲をポップな感じで歌われると迫力がなくて感動が薄れてしまうのですが・・・。美女と野獣のセリーヌ・ディオンは子供ながらに感動したというのに。英語版の曲を流すのじゃダメなのか・・・。大人の事情ってヤツですかねぇ。
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