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放送禁止 ワケあり人情食堂 ネタバレ感想!(伏線まとめあり)~完全新作!今宵のフェイクドキュメンタリーは?

放送禁止 ワケあり人情食堂

1月2日、フェイクドキュメンタリーシリーズ「放送止」の最新作が放送!ストーリーテラーにくりぃむしちゅーの有田さんを迎えた今作では、一体どんな真実が隠されているのか・・・?早速感想を述べていきます!※本編のネタバレありなのでご注意ください!

人情食堂に密着取材

東京近郊にある、とある人情食堂「答々食堂」。
そこで働く女将の心さん(58歳)に密着するドキュメンタリー(という体になっている)。

この食堂は心さんが「お悩み相談0円」としてワケありのお客さんから様々な相談を受けてくれることで有名。(ちなみにこの食堂、放送禁止の本も置いてある)

全国各地からやってくるお客さんと、寡黙な旦那さんとアルバイトの日奈子ちゃん。3人で食堂を切り盛りする心さんの心温まる日常──と本来なら非常にハートフルなドキュメンタリーのはず・・・だが!

放送禁止あるあるの伏線

壁に貼られまくったメニュー欄(頭文字を読むしかない)
一言も喋らない旦那(奥さんに「所詮亭主なんて他人」とまで言われる。)
いつもいる赤い服の人(お客さんとの相談中も後ろに座ってる)
異様なほど多い外国人向けのメニュー
一部の客の席にだけかけられている・・・など。

シリーズファンにはお馴染みのギミックが盛り沢山となっている。

怪しい登場人物たち

■心さん(女将)
食堂名物の肝っ玉母ちゃん。
目の前の道路の交通量が多く、お客さんが轢かれて亡くなったり、店内の客席にトラックが突っ込んで亡くなったりと交通事故が絶えず、店主が自殺したりと「呪われた食堂」と曰く付きだった激安物件を買い取った豪胆な人物(店に張られている深大寺の魔除けのお札はこの時の名残なのかも)

食堂経営のかたわら、昼時や夕方など忙しくない時間に無料でお客さんの相談に乗っており、厳しくも優しいアドバイスをしていたが、いつしかそれが評判となり、今では全国各地から女将さんの相談目当てにお客がやってくる有名店となった。

女将になる以前は海外ボランティアをやっており、その時に知り合った外国人シェフの夫と、2014年の春から食堂を経営。そういった経緯からか、メニューに大量の外国料理を採用し、外国人留学生の相談には特に親身に応じる。

ちなみに「答々食堂」という名前は女将さんの「答えは一つではない」という持論から。「下手な鉄砲数うちゃ当たる」的な考えらしい。

■亜佐雄(旦那)
心さんの夫。メガネのおじさん。
無口な料理人で、初日には取材陣からの質問にも一切答えようとしない。が、次第に言葉を発するようになる。

■日奈子(アルバイト)
住み込みで働いている、食堂唯一のアルバイト。21才。2年前(2014年ごろ)から食堂で働いている。ここに来る前に両親が亡くなったが、女将さんに相談し、随分と助けられたらしい。

■トクさん(トラック運転手)
常連さん。本名は徳山秀次。
実はゲイであり、同僚の年下のイケメン(ノンケ)に恋をしてしまったことに悩んでいた。酷い酒乱で、酔った状態で罵倒されると暴力をふるってしまうという。過去には傷害でパクられたことがあるため、現在は断酒中。

■グエン(インドネシア留学生)
近所の工場で働いているお客さん。
2014年の春に東京にやってきた。答々食堂にはインドネシア料理があるのでよく通う。しかしなぜか、彼が座る席だけ壁にがある。

■フェイ(フィリピン留学生)
フィリピンからの留学生。
日本人に騙された恋人のガブリエルが「日本人を殺したい」と言うようになり、怖くなって逃げ出した。しかし、そんな彼女を殺そうとガブリエルが連日探し回っているという。警察も取り合ってくれず、困り果ててこの食堂にやってきた。(この話をしている時だけ、旦那とアルバイトもやってくる)

その後は女将さんに匿われる。
しかし後日。ガブリエルが「2年前にアジアの大富豪を殺害して日本逃亡したのち、この辺りに潜伏していると噂がある殺人犯なのではないか」と疑いを持つようになっていた。

■ガブリエル(フェイの恋人)
日本人に騙されて留学生としてやってくるものの、借金は減らず貧乏な生活が続き、日本人を殺したいほど憎んでいる。中盤、女将さんが差し入れに置いて行った皿に食堂の名前が入っていたことからフェイの居場所を突き止め食堂に乗り込み、暴力騒ぎを起こす。

結末は?

ガブリエルの暴力騒動後、フェイが失踪。
さらに、前々からグエンに気があったトクさんが告白するもフラれてしまう。泣きながらトクさんの相談に乗る女将。だが後日、そのグエンが殺害されるという事件が起きる。

犯人はトクさん。
彼はどうしても諦めきれず、つきまとい交際を強要するなどストーカー化。それに怒ったグエンに「キモいんだよ、このクソ日本人」「おまえなんか生きてる価値がない」などと罵倒され、カッとなってグエンが着けていたマフラーを使い絞殺してしまった。

事件に胸を痛めた女将は、店を閉める決意をする。
しかし、衝撃の事実が明らかになる。

2年前のアジア富豪殺人事件の犯人は、ガブリエルではなくグエン。

実はグエンは、国際指名手配されていた殺人犯・ムザディ。
かねてからフェイが口にしていた2年前の強盗殺人の真犯人であり、偽名を使い、留学生のフリをして日本に潜伏していた。

※追記※
インドネシアからの留学生となっているが、「グエン」はベトナムに多い名前で、グエンが偽名を使っていることの伏線となっている。(ちなみに本名である「ムザディ」はインドネシアの名前)
アジアンさん、AIR-J' さん、コメントありがとうございました!

感動のラスト・・・?

常連客の過去にショックを受けるも、自分には大事なお客さんだったという女将。そして3月26日、答々食堂最後の日を迎えた。

朝は開店と同時に、お馴染みの常連さんやかつて相談にやってきたお客たち。そして、以前暴力騒ぎを起こしたガブリエルまで現れる。

涙ながらに謝罪し、あらためて感謝の意を表明するガブリエル。彼の隣には、店を出て彼の元に戻ったフェイの姿もあった。

お客さんたちの温かい言葉に心を動かされた女将は、「まだ店を続ける」と表明。食堂は笑顔に包まれた・・・。

だが、このVTRは放送禁止となった

・・・ここまでは感動の展開だが、結局店はこのまま閉店となり、女将たちとは連絡がとれなくなった。まるで煙の様に消えてしまった人情食堂の面々。一体彼女たちはどこへ消えたのか・・・。

最後には店を続けるといっていた女将。
もしかしたら今もどこかに、あの肝っ玉母ちゃんの人情食堂があるのかもしれない・・・。

女将の正体は?

何かにつけて「答えは一つじゃない」という女将さん。
壁には食堂の名前にもなっている

「人生の答えは一つじゃない。答えは二つある」

との標語が。

文の最後には英語で「Answer two」と書かれており、これはアンサーツーで「暗殺」を意味している。安直とかいうなよ!絶対言うなよ!

そう、
女将・心の正体は暗殺者。
2年前、日奈子の両親の富豪を殺害した犯人(グエン)を殺すことが目的。
付近に潜伏していると噂されていた殺人犯・グエンを探すために、外国人向けの食堂を経営していた。

事故が多い場所を食堂にしたのも暗殺のためである。(なので過去、事故があった場所にわざと客席を作っている)

※追記※
コメントにて、お店の入口にかけられた「深大寺そば」の看板は、しんだいじ=死んだ遺児のそば=死んだ遺児側=日奈子側の人間であることの暗示ではないか?とのご指摘あり(※ただし正しい読みはじんだいじ)。

3人の優秀な部下の正体=全部旦那

フェイの話に登場した、殺された富豪の3人の優秀な部下とは、食堂を経営している3人のことではなく、旦那のこと。

実は作中で旦那は3人いる。
よく見ると旦那は日々入れ替わっているので、前半の初日、中盤、後半~最終日とそれぞれ別人となっている(中盤の「撤収しま~す」といっているビデオに、3人が一斉に集まるシーンがちょっとだけ映っている)。

またこの3人は、女将の海外ボランティア時代を紹介する写真に、日奈子と共に写っていた人間である。(ラストで日奈子と中国語らしき言葉で会話しており、日奈子は「これでやっと終わったよ。母さん」と言っている)

お客さん役も兼任

この3人は、旦那を演じていない日はそれぞれお客さんとして画面に登場している。

・序盤のグエンのインタビュー時、鏡越しにピントが合うお客は後日旦那を演じている人間。

・ガブリエル襲撃中、グエンを旦那とお客2人が取り押さえているが、この時の客は残りの部下の2人。

・グエンに振られたトクさんが店に相談にきた際、外に立っている白い服の男性は恐らく初日に旦那を演じていた人間。

この他にも、ガブリエルに料理を届ける女将の後ろを歩いていたり、グエンとトクさんの告白現場を見張っていたりと様々な場所に登場する。推測だが、彼らは旦那役以外の日はお客さんのフリをしながら、グエンや暗殺に利用する人間を尾行し、行動を逐一チェックしていたのだと思われる。

※追記※
匿名(お二人目)さん、初心者です。さん、深大寺そばの件と合わせて録画失敗さんのコメントから追記させて頂きました。ご指摘ありがとうございました!

メニューの伏線

冒頭からあからさまに登場するメニュー表。放送禁止シリーズにはお馴染みのヒントが今作にも登場する。

・冒頭。一番最初に登場するメニュー表の順番は文章にならないが、店の外に並ぶ地方客にインタビューしたあと、再び店内のシーンになった時にはメニュー表の並びが先ほどと変わっており、左から読みと「ひょうてきはぐえんおやのかたき」となっている。

・グエンとトクさんが座った時、壁にかけられているメニュー表が以前と変わり、頭文字をつなげてよむと「ぐうぜんをよそおってあんさつせよ」となっている。(またこの時、鏡越しに日奈子が2人を真顔で見つめている)

・トクさんがグエンを殺害したあとは、同じ場所にあるメニュー表が「もくてきはたっせいした」に変わっている。

取材当初からのメニュー表で既に伏線があったことから、取材時にはグエンが仇であることは既に見抜いていたようだ。

※追記※
コメントから冒頭のメニューを追記しました。放送禁止ファンさんありがとうございました!

伏線まとめ

ガブリエルの騒動について

・フェイを匿って帰らせず、自らガブリエルに「友達からここに住んでると聞いて」と聞いて会いにいき、店の名前が入った皿を置いて、自分の店で騒動を起こすように仕向けた。

・暴走時、旦那が持っていた包丁をわざわざガブリエルの近くに置く。

・日奈子も女将も、何かとグエンをガブリエルの前に押しやる。
またグエンが助かったとき、悔しそうに机にタオルを投げつける日奈子の姿がある。

この暴走の直前、グエンにマフラーをプレゼントしている女将の姿がある。のちにトクさんが殺害に使った凶器だが、どこまで計算だったかは不明。

※追記※
ガブリエル襲撃後に置いてある雑誌は「アタック(攻撃)」。スタッフのお遊び要素かもしれないが、ガブリエル襲撃を期待していた女将の願掛け的な要素もあるのかもしれない。よっさんさん、コメントありがとうございました!

トクさんの伏線

・トクさんにノンケの恋を諦めて次の恋を探すべきとアドバイスし、彼のタイプであろう年下のグエンに近づけようと相席にさせたり、「彼も気があると思う」と煽っていた。(インドネシアでは同性愛が違法ではないことから?)

・トクさんが酒乱で傷害歴がある過去を聞き「あんた、使えるね~」とのセリフ。

・(トクさんから言い寄られていることを相談してきた?)グエンに対し、「キモいんだよ、このクソ日本人」「生きてる価値が無いとはっきり言ってやればいい」と煽っている。

・トクさんがグエンに告白してフラれたあと、話を聞きながら、酒乱と知っていてを飲ませている。(おそらくこの時に「まだ諦めるな」などとストーカー行為を煽っていた可能性が高い)

考察

フェイについて

フェイがいきなり「ガブリエルが殺人犯かもしれない」と疑いを持ったのは、女将が吹聴していた可能性が高い。(フェイは殺されたアジアの富豪は人望が厚かったことや、3人の優秀な部下がいたことなど関係者しか知らないような詳細を知っていた

後半にフェイが忽然と姿を消し、終盤ラブラブになって戻ってくるのは、暗殺作戦をガブリエルではなくトクさんを利用したものに変更したため、フェイに「強盗殺人事件の犯人はガブリエルではなかった」ことを告げ、女将が彼の元に帰るようにそれとなく促したのかもしれない。

女将の「下手な鉄砲式」の暗殺作戦について

2014年春ごろ。グエンが外国人留学生を装い、日本の深大寺付近に潜伏したことを知っていた女将たちは、外国人労働者が多い工場が近くにあり、尚且つ死亡事故が多い場所に食堂を作る。

この時、メニューにインドネシア料理など多国籍料理を多く作ることで、「外国人留学生に優しい食堂」というイメージをつけさせて、グエンが来店しやすいようにする。同時に「人生相談」を名物にすることで、フェイのような悩みや問題を抱えた外国人留学生を暗殺に利用しようとする。

※合間に入る「専門家がデータを解析する」という放送禁止シリーズお馴染みの場面で、外国人犯罪率について説明する際、「外国人同士で殺し合いなどに発展する割合が高い」という話があったが、これは、女将が外国人留学生を暗殺に利用しようとしていることへの伏線だったと思われる。

ダルマの片目

ラスト、店を閉める直前にあったダルマの片目に、梵字(?)のような文字が描かれている。ターゲットを殺したことで描かれたものだと思われるが、もう一つの片目が空のままだ。
もしかしたら、もう一人ターゲットがいることへの暗喩のなのかもしれない。

追記:食堂の小道具について

コメントからのご指摘で、「だるま」「お札」「深大寺そばの看板」は、元々答々食堂のロケ地に使われたお店の私物とのこと。食べログのリンク先から店内の写真を確認できるそうです。鳴海さん、コメントありがとうございました!→https://tabelog.com/tokyo/A1326/A132601/13042055/dtlphotolst/3/smp2/

そして意味ありげにみえただるまの梵時は、深大寺の有名なイベントである「だるま市」で、僧侶の方が左目にはあうんの「阿」の梵字を入れてくださるそう。(右目には「吽(うん)」を書いてくれる)。また映像を確認したところ、片目に梵字が入っただるまはグエン殺害前から店にあるので、単なるミスリードの可能性も。

難易度は過去作と比べて易しめ

「世にも~」のタモリさんのように、冒頭や合間に有田さんのMC(?)が挟まれることで、最初からこの作品が「フェイクドキュメンタリー」であることが強調されている。放送禁止は普通に見ていると「本物のドキュメンタリー」だと思って騙されることが味なだけに今回の演出は残念ともいえるが、放送日が正月休み真っ只中の1月2日の深夜であること 、シリーズを知らない人にマジで受け取られることを懸念しての措置なのかもしれない。

また、番組終了後には有田さんが伏線ポイントをおさらい、再度確認シーンが流される・・・というか大筋の答えまで放送してくれるので、ぶっちゃけ難易度もへったくれもなく、過去作からのファンにとっては興ざめの演出。これもクレーマーがはびこる時代の流れなのか・・・

が、元々今作の話は「答えは2つ」が裏テーマでもある。まだ説明されていない、気付いていない謎も隠されているのかもしれない・・・。

最後に

心という名前も偽名で、「殺す」とかにかけてたらどうしよう。
※追記※
こちらにわかさん、名無しさん、シエロさんのコメントから、旦那の「亜佐雄(あさお)」に奥さんの「心(しん)」で合わせて「アサシン(暗殺者)」だとご指摘がございました。夫婦そろえて偽名で職業アピールとは・・・!ご指摘ありがとうございました!

そういえば本編では回収されていない伏線?として、赤い服のお客さんの謎がありますが、単なるミスリード的な存在だった可能性が高いですね(冒頭で、放送許可をとることが出来なかった人には一部ボカシが~との注意書きが)。でもあの状況で普通にいるのもおかしいので、夜にしか現れないことから幽霊説ってのも案外アリなのかも・・・?

ストーリーはちょっと強引ですが、映像に散りばめられたヒントをチェックする面白さは相変わらずでしたし、何よりも久しぶりに新作が見れて嬉しかったです。

現在はhuluとネットフリックスにて劇場版2作が配信されています。(アマゾンは劇場版2作が有料レンタル配信なので、あまりお得ではないかも)。これまでの過去作も大変面白いので、今回が初見で放送禁止シリーズが気に入った!という人は、是非過去のシリーズもレンタルなどでご覧になってみてくださいね!

↓ホラードラマ大好き!