びーきゅうらいふ!

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【映画感想】サイレン~FORBIDDEN SIREN~あらすじや島唄の考察!※ネタバレあり

サイレン スタンダード・エディション [DVD]
恐怖度 
ゲームの再現率 
森本レオの存在感 顔芸は評価する

結論:どうしてもぬぐえないTRICK臭。

2006年 日本
監督:堤幸彦

※本編ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意ください※

/主要人物/
■天本由貴(演:市川由衣 )
弟・英夫の療養のため夜美島にやってきた。弟思いなお姉ちゃんであり、異変に見舞われたあとも弟を守るため奮闘する。

■天本英夫(演:西山潤)
由貴の弟。
持病の発作がある。超無口。

■天本真一(演:森本レオ )
原作ゲームでもお馴染みの雑誌「アトランティス」のライターとして働いている(*1)。夜美島には子供たちの療養と、29年前に起きた島民失踪事件の取材も兼ねてやってきた。

■南田豊(演:田中直樹)
島で唯一の医者。
英夫たちの担当となってくれる。

■山中巡査(演:嶋田久作)
島の駐在さん。
初代SIRENの石田的存在。

ネタバレ満載のあらすじ

「サイレンが鳴ったら、外に出てはならない」

29年前。
一夜にして島民全員が失踪した夜美島。唯一生存していた男性(演:阿部寛)は、上記の言葉をうわ言のように繰り返したのち、自殺してしまう。

そして現代
この島に英夫の療養のために訪れた天本一家。異様に閉鎖的な島民たちの雰囲気に馴染めるか心配していた由貴だったが、ある日、いなくなった弟を探しているうちに迷い込んだ廃屋で、サイレンについて書かれた謎の手帳を拾うも、謎の男・東(演:松尾スズキ)から「サイレンが鳴ったら外へ出るな」と叫ばれながら襲われる。

次々に起こる異変
とある宗教施設的な建物の地下で父親の死体を発見したと思いきや、家に戻るといつもと様子が違う父親の姿が・・・。さらに翌日ペットのわんこ(オスメント)が消え、弟の前には謎の赤い服の女が現れる・・・。これらの現象は、父親が調べていた島の人魚伝説や失踪事件と何か関係があるのだろうか?

鳴り響くサイレン
サイレンが鳴り響いた夜、島民たちはみな一様に死人のような姿となり、由貴たちに襲い掛かってきた!家に逃げ帰り閉じこもるも、家の壁から隠し部屋を発見。そこには一面に島民たちの写真が貼られていた。

今と寸分変わらない、近所の女性や医者の南田の姿・・・だが、それらの写真は全て「1976年」と書かれていた!ここにいた島民たちは、みな29年前に失踪していた島民たちだったのだ!

変わり果てた父に襲われる由貴たち。全ての元凶であるサイレンを止める為、近づくなと警告されていた森の鉄塔に向かう。屍人と化した島民に襲われながらも鉄塔をよじのぼりサイレンを壊す由貴だが、現れた南田にこう告げられる。

「サイレンなんて鳴ってない」
「その音は君にしか聴こえてない」

「英夫くんはもう半年前に死んでるんだ」

全てを思い出した由貴。
その目には南田も、屍人のように映っている。

何かを悟った由貴は、南田の差し出した手を取らず、自ら鉄塔から飛び降りた・・・

エピローグ

29年前の島民失踪事件・・・その真相は、聴こえもしないサイレンの音を聴いた男が、島民たちを次々に殺していったことが原因だった。島の人間がいっていた「サイレンが鳴ったら外へ出てはならない」というのは、"サイレンの音が聞こえた人間を外に出してはいけない"という意味だったのだ。

さらに、由貴が拾った謎の手帳はその殺人犯のものだった。その破り取られた最後の1ページは南田が診断書と共に持っており、そこには「4度目のサイレンで奴らを皆殺し」と書かれていた・・・。

そして奇跡的に助かった由貴は、どこからか鳴り響く4度目のサイレンの音を聞く・・・。

どうあがいても絶望エンド

ナイフを持った由貴が、南田を刺すところでエンディング。

信じられるか・・・?劇場に観にいったんだぜこれ・・・。

森本レオさんやココリコ田中さんや島田久作さんといった、個人的に大好きなキャスト陣が揃っていたのは嬉しかったんですが、ホラー映画としてはイマイチだったなーというのが正直な感想です。

怪しい島民の雰囲気や異教臭ハンパない建物とかはトリックの堤さんらしい演出で嫌いではなかったんですが、ゲームの要素が、小道具、屍人、それと伝説の名セリフ「射殺します」ぐらいだったのがどうにも寂しい。

「見ているモノがおかしくなっているのではなく、見えている方がおかしい」というストーリーやオチはそこまで悪くは無いんですけど、弟の死でここまで壮大にきゅるっちゃうヒロインにあんまり感情移入できず・・・あの壁の写真とかも全部妄想とか、どんだけ想像力が豊かなの?

唯一怖かったのがレオ屍人だけってのも残念でした。

映画 サイレン 森本レオ
※このあと殺虫剤で退治されます。

唄と人魚伝説について考察

その昔。
不治の病に侵されていた人間が隔離されていた夜美島に、ある日病を哀れんだ人魚が現れ、その血で島民たちの病を治してあげました。島民たちは人魚を神の様にあがめていましたが、時が経ち、不老不死の誘惑に負けた島民たちはその人魚を食べてしまいます。これに怒った人魚は自分の血肉を呪いに変えた・・・という伝説が映画中にはあります。

幻の弟の前に姿を現した赤い服の女。ラストにも登場したことから、どうやら彼女だけは由貴の妄想ではなかったっぽい演出になっています。初代SIRENから考えれば、彼女が人魚ということになりますが・・・

さらに映画に登場する、人魚と思わしき像には「REVIVER」(復活させる人、みたいな意味)という言葉が彫られており、更に

鏡を覗きたる 狗は神へと転じたり 生者は悪へと転じたり。

という、鏡文字を暗示する言葉
「DOG」=「GOD」
「LIVE」=「EVIL」

みたいなそれっぽい暗号文があるのですが、このあとの文章が

変わらぬ者こそは 果て無き命を授かりし この世の理越ゆる者。

と続きます。

この"変わらぬ者"とは、「鏡に映しても字が変わらないもの」・・・ケイゾクなどにも登場した左右対称の名前の人物、ということなのではないでしょうか。

この映画の登場人物達の名前が全て左右対称になっているのは、ここにかけているのかも?(阿部さん演じる、29年前の事件の犯人も「土田圭」。)

また、島の外から来た人間だけがサイレンの音を聞いてしまう・・・という現象こそが、島民を全滅させるという人魚の呪いなのかもしれません。

サイレン FORBIDDEN SIREN

サイレン FORBIDDEN SIREN

 

~こんな人にはオススメできません~
■原作ゲームが好きな人
原作ゲームの再現ではなく、「屍人」「不死」「人魚」などの設定を使っているだけの映画なので、忠実な実写化を求めていた人には全くおすすめできない。武器も視界ジャックもなしで屍人を掻い潜るヒロインとかどういうことなの。

最後に

初代SIRENではなく要素としてはSIREN2に近いですが、やっぱ全っ然ベツモノなので、よほど「この世のホラーは全て見尽くす!!」みたいな人で無い限りはオススメはできません。さすがに原作のボリュームを1時間ちょっとで再現できるとは思ってませんでしたが、せめて最初のショボい救援隊員たちの芝居だけでもどうにかならんかったのだろうか・・・。

↓ホラゲー、お好きですか?

*1:SIREN2の主人公・一樹守は「アトランティス」の新米編集者である。