疑心暗鬼度 ★★★
グロ度 ★★★
ラスボスの造形 もう少しなんとかならなかったのか。
結論:キャラの名前を覚える前にどんどん死んでく・・・。
原題:The Thing
2011年 アメリカ
1982年、南極大陸。
「遊星からの物体X」では既に壊滅していたノルウェー基地・・・そこには怪物の死体と、"何か"を氷の底から引き上げたらしいビデオが残されていた。一体、ノルウェー隊に何が起きたのか? これはその前日談である。
名作の続編=過去編!
マクレディ達の事件の始まりである、執拗にわんこを追っていたノルウェー隊員の二人・・・彼らがどのような経緯であの地へやってきたか、その前日談を描いた作品。焦らすことなく豪快にエイリアンが吹っ飛んできたりと、スピーディーな展開はエイリアンパニックものとしては決して駄作ではない。が、当然前作を知っていれば、全滅していることが確定している結末や、物語の最大の肝でもある「人間になりすますエイリアン」という設定、それよる隊員たちの疑心暗鬼に陥る展開を既に承知のものとして観ているので、やはり前作と比べて展開が読めてしまう分、面白味がないように感じてしまう。
ただ前作が好きな人ならば、あの頭が二つあった異形の焼死体はなんだったのか、自殺していた死体は?壁にあった斧は?といった数々の伏線が回収されていることが解って面白いだろうし、逆に未視聴の人間が見れば伏線が解らずとも、純粋にエイリアンものの一つとして見れるのかもしれない。
個人的な不満はラスボスの見た目。なんだあのSIRENの怪力屍人みたいなのは。CGがダせぇ!
登場人物紹介とあらすじ
※ストーリー、ラストのオチのネタバレあり!
※ノベライズ版のオチのネタバレあり!ご注意ください!
【あらすじ】
南極から発見された"何か"を発掘するため集められたアメリカとノルウェーの調査隊。南極基地の隊員たちと合流し、氷の底から引き上げた"何か"は、人間とは全く違う、未知の細胞を持つ地球外生命体だった!世紀の大発見に喜ぶ隊員たち。だが、溶け出した氷からエイリアンが飛び出してしまい・・・!
■ケイト(吹:本田貴子)
古生物学者。今作の主人公。
南極で発見した"何か"を引き上げるため調査隊に加わる。冷静で聡明な女性で、シャワー室に大量の血痕と歯の詰め物を発見したことから、エイリアンが無機物には擬態できないことを見抜き、血液検査が失敗したあと、歯に詰め物があるかどうかを判別した。(あればエイリアンじゃないことは確定。無ければグレー)
■サンダー博士(吹:稲葉実)
ホラー映画でお馴染みの「殺すな!そいつは貴重なサンプルだ!」とか言っちゃう系ハカセ。名誉のため人死にが出たあともエイリアンを執拗に調査しようとする。勿論そんなヤツが生存できるハズもなく、見事この映画の残念なラスボスとなることに。
犠牲者のみなさん
※ここからは犠牲になった順番に紹介。
■ヘンリク(吹:岩崎了)
ノルウェー基地の隊員。
わんこを惨殺したエイリアンを追い、軒下にいることに気付くという死亡フラグを立て、第一犠牲者となってしまった。
■グリッグス(吹:後藤光祐)
ヘリの乗組員。
ヘンリクと共にエイリアンに遭遇し、ショック状態になった隊員・オラフを病院へ運ぶためにヘリに乗車したが、エイリアンに変化。オラフを襲い、その時にヘリも墜落してしまった。(が、その間にシャワー室にあった血痕が消えていたため、ケイトはまだエイリアンが基地内にいることを確信した)
恐らく最初に氷からエイリアンが飛び出した際、一人でヘリの方に酒を取りに行っている描写があるので、その時に寄生されてしまったのだと思われる。
■ジュリエット(吹:衣鳩志野)
基地内で唯一の女性。ケイトと同室。
ヘリ墜落後、「基地内にまだ人間に擬態したエイリアンがいるから外へ出るな」というケイトと「早くここから出よう」というメンバーの意見が対立した際、一人ケイトの意見を支持した。外へ出る事ができないように車の鍵をケイトに渡そうとするが、ケイトが後ろを向いた途端にエイリアンに変化。襲い掛かってくる。
彼女はヘリ墜落前、ヘンリクを殺したエイリアンを解体中に具合が悪くなり、一人で部屋の外へ出ている。その際に廊下で(寄生された後の)グリッグスとすれ違っているので、そのあと襲われてしまった可能性が高い。
■カール(吹:かぬか光明)
メガネをかけたノルウェーの地質学者。ケイトが廊下でエイリアン(ジュリエット)に追われている際、運悪くひょっこりやってきてしまい、道すがらブチ刺されてしまうという気の毒な殺され方をする。
■ペーダー(吹:壇臣幸)
wikiでは「ペーダー」となっているが、吹き替え版では「ペデル」と呼ばれているノルウェーの観測隊の一人。銃火器を担当しているためか、中盤で血液検査の変わりにメンバーの歯の詰め物の有無を確認した時は、火炎放射器を持ち、ケイトの補佐をしていた。
墜落したヘリから生き延び基地に戻ってきたメンバー二人と遭遇した際に、疑心暗鬼に陥ったメンバーに煽られ、焼き殺そうとした所を逆に射殺される。
■エドヴァルド(吹:高瀬右光)
ノルウェー観測隊の隊長。
詰め物チェックで詰め物が無かった一人で、ペーダーに「二人は敵だ!焼き殺せ!」とやたら煽っていた張本人。つまり寄生済である。
■ヨナス(吹:岩崎了)
ヒゲモジャのノルウェー人。
ジュリエットを慰めたり、気絶したエドヴァルドを運んだりと優しい性格のおっちゃんだったが、それがアダとなり、エイリアンに変化したエドヴァルドに腕を突っ込まれて寄生され死亡する。
■デレク(吹:乃村健次)
黒人のヘリの副操縦士。
エイリアンが氷の中からふっ飛んだ瞬間を目撃した人。ヘリが墜落した際に奇跡的に生き延び、命からがら基地に戻るもエイリアンと疑われ監禁される。その後脱走したが、ペーダーに「汚物は消毒ダー!」されそうになったため仕方なく彼を射殺。が、その後エイリアンとなったエドヴァルドの舌で体を貫かれて死亡してしまう。踏んだり蹴ったりである。
■アダム(吹:加瀬康之)
サンダー博士の助手で科学者。ケイト寄りの人間のため、最後まで生き残る人間の一人かと思いきや、エイリアンとなったエドヴァルドに体を抉られ、動けなくなったところを頬ずりされ、ほっぺた同士がくっついてしまうという一番イヤな寄生のされ方をした可愛そうな人。
因みに、前作でノルウェー基地に登場した「人間の頭が二つくっついた焼死体」は、このアダムとエイリアンの死体。
生き残るのは誰だ?
この時点で生き残ったのは、わずか4人。一体彼らはどうなったのか・・・
■カーター(演:山野井仁)
ヘリの操縦士。
左耳にピアスをしている。ヘリが墜落した際にデレクと共に生存した。エイリアン・エドヴァルドが暴走しまくってる間ちゃっかり生き残り、それまであまり目立ってなかったにも関わらず、主人公と共に活躍する。(因みに、前作に登場した壁に刺さった斧は、カーターがエイリアン・エドヴァルドと戦った際のもの)
ラスボスとなったサンダー博士を追い、氷の下から発掘された宇宙船にケイトと共に向かうも、途中ではぐれてしまう。
その後なんやかんやで無事ラスボスを倒し、一緒に帰ろうとしたが、ピアスをつけていないことに気付いたケイトから「ピアスはどうした」と聞かれ、右耳を触ってしまったことでケイトに焼き殺される。
映画版ではカーターを焼き殺した際、エイリアンの鳴き声(?)が聞こえているので寄生済みだと思われるが、実は映画版を元にしたノベライズでは寄生されたケイトが人間社会に降り立ったという真逆のラストとなっている。
そしてエンディングへ。
生き残ったのはケイトだけではない。あと一人、後の事件へと繋がる重要な生存者が・・・。
■ラーシュ(演:原語流用)
一人だけ英語が喋れないノルウェー人で、ハスキー犬を飼っていたがエイリアンに殺されてしまう。中盤、監禁していたデレクとカーターの脱走に気付き、周囲を単独で捜索するも何者かに襲われ、その後行方不明となっていた。
が、これは単にデレクとカーターに襲われただけのようで、エンディングまで無事生き残る。しかし飼い犬に変化したエイリアンを発見してしまい、様子を見に来た調査隊のヘリと一緒に、エイリアンを殺すべく追跡を開始する。
彼が犬を追いかけるエンディングでかかっている曲は、前作「遊星からの物体X」冒頭でかかる、あの不気味なBGMである。
あれ?誰かわすれてる・・・
■コリン(吹:西健亮)
無線技師。
詰め物が無かった一人として怪しまれていたのだが、いつの間にかフェードアウトしていた。実は前作で発見された「剃刀で首を切って自殺している死体」は彼なのだが、目立った活躍もないせいか、ラストの自殺後の死体も「あれ、コイツ誰だっけ??」と言われるほど影が薄い。せっかく撮影した自殺シーンもカットされてしまうという、この映画最大の不憫キャラである。
~こんな人にはこの映画はオススメできません~
■前作が至高!な人
前作のリスペクトなのか、特殊メイクで作られたエイリアンの解体シーンのグロさは良いが、CG部分は逆にチープさを感じさせるシーンも・・・。
【最後に!】
前作が男所帯だったからか、今作では女性が二人追加に。ただ、やられ役の皆さんは一人ひとり目立った個性が描かれる事もないので、前作でブレアとお医者さんの区別がつかなかった人は今作でも見分けるのにちょっと苦労するかも。もうちょい日常生活というか、彼らの関係性が見えてくれば疑心暗鬼シーンが楽しめたような気がします。
↓そしてわんこを追った彼らの行く末は・・・