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【映画】ミスト ネタバレ感想~史上最高に後味の悪いラスト!この絶望に貴方は耐え切れるか。

ミスト コレクターズ・エディション [DVD]

胸糞度 ★★★★★
恐怖度 ★★★★

グロ度 ★★★
結論:リアルSANチェック不可避。

2007年 アメリカ
原作:スティーヴン・キング
監督:フランク・ダラボン

※犠牲者&生存者、ラストのオチのネタバレ有。初見の方は完全に非推奨です。
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

あらすじ

「霧の中に何かいる!」

嵐の翌日。
街は一歩先も見えない深い濃霧に覆われ、大勢の買い物客で賑わうスーパーマーケットが孤立する。霧の中で何かに襲われたと逃げてきた男の言葉に誰もが不安に苛まれるなか、息子のビリーと買出しにきていたデヴィットは、裏口から外に出た店員が巨大な触手に引きずりこまれ殺される姿を目撃してしまう。頑なにバケモノを信じない数名が外へ出るも、一人が死体となって戻ったことで店内の客たちは守りを固めることになる。

だがその夜。
光に誘われ異形の虫たちがスーパーに集まり、さらにその虫を狙って翼竜のようなバケモノまで現われ入口のガラスを破壊し、怪物たちが店内に侵入。レジ打ちの女性と買い物客の一人が襲われて死亡し、さらに怪物を焼き払おうとして客の一人が全身に大火傷を追う。デヴィットは負傷した男の弟と数人の仲間たちと共に隣の薬局へ抗生物質をとりにいくが、そこは凶悪な蜘蛛の巣窟と化していた。仲間を2人失い逃げ帰るも、結局男性は死亡してしまう。

度重なる怪物の襲撃でみな心を病んでいったのか、狂信者のカーモディの言葉に賛同する人間が増え、気付けばデヴィットたちは少数派となっていた。聖書の言葉に熱狂する買い物客らはカーモディの言葉に煽動され、この事態を招いた軍の極秘計画『アローヘッド計画』の噂を知っていたジェサップ二等兵を刺し、スーパーの外へと放り出す。哀れな軍人は命乞いを繰り返しながら怪物の餌食となった。

狂っていく人間たちに恐怖したデヴィットたちは、仲間たちだけで外へ逃げようと画策する。しかしカーモディたちに気付かれ、子供を生贄にしろと煽られた買い物客たちにとりかこまれる。だが唯一の銃の使い手である副店長のオリーがカーモディを射殺。一行は外へ逃げ出すも、オリー含め3名が怪物に殺される。

ラストのオチ

生き残ったのはデヴィット、息子のビリー、最近街へやってきた女教師アマンダ、老教師のレプラー、そして一番最初に怪物に襲われて逃げてきたダンの5人。しかしスーパーの外へ出た彼らに待っていたのは、ビルが如く巨大な怪物が闊歩する崩壊した町並みだった。やがてガソリンもなくなり、辺りには怪物の鳴き声だけが響く。自分たちの運命を悟った面々は、デヴィットに銃を託す。・・・弾は4発しかない。

霧の中に響く4発の銃声。
仲間と愛する息子を撃ち殺したデヴィットは、霧にひそむであろう怪物に「さぁ殺せ!!」と絶叫する。しかし、霧の中から現われたのは軍服に身を固めた集団であった。救助された人間を大勢乗せたトラックがデヴィットの目の前を走り去っていく・・・。

霧が晴れた空の下。
デヴィットは絶望に打ちひしがれながら、ただ叫ぶことしか出来なかった。

登場人物

主要キャラクター

■デヴィッド(吹:堀内賢雄)
主人公。地元民。
職業はイラストレーター。ハリウッドの映画のポスターも手がける売れっ子である。ちなみに冒頭で彼が描いているポスターはキングのファンタジー小説『ダーク・タワー』のもの。(壁には「物体X」のポスターも飾ってある)だが嵐で祖父が植えていた大木が倒れ家の窓を突き破ってしまったため、折角描いた絵もおじゃんとなってしまった。

窓の修理に必要な材料を買いに、息子のビリーと隣人のノートンを連れスーパーに出かけたところで事態に遭遇。持ち前の主人公補正リーダーシップを発揮し異変に真っ先に対応するが、その行動がことごとく裏目に・・・。

作中では狂信者のカーモディと対立するが、彼もまた彼女同様、自分の信じる解決策を妄信していた人物ともいえる。

■ビリー(吹:佐藤利奈)
デヴィットの息子。
終盤、彼が父親とした「僕を怪物に殺させないで」という約束は果たされることになる。

■ノートン(吹:古澤徹)
デヴィットの隣人の黒人男性。
NYで弁護士をやっており、偉そうな態度から一部の街の人からの評判はよくないが、本人は田舎者が余所者に排他的なせいだと思っている。

最高裁入りも間近といわれるほどの一流弁護士だが、去年デヴィットと家の境界線について揉め裁判を起こし訴えるも逆に敗訴している。プライドが傷ついたのかそのことをずっと根に持っており、デヴィットとはしょっちゅう衝突していたらしい。だが序盤に彼の家の枯れ木かデヴィットのボート小屋をぺしゃんこにした際、デヴィットが車が潰れたことに同情してくれたためか一時和解。スーパーまで行動を共にする。

しかしデヴィットがバケモノを見たと言い出したときはかねてよりの不満が爆発。彼の言う事を一切信じず、取り巻き数人と一緒に外へ出てしまう。その後どうなったのかは不明だが、小説では映画とは違いスーパーを出たあと悲鳴が響き渡っているので、恐らく怪物に襲われたものと思われる。

■カーモディ(吹:宮寺智子)
狂信者。
旧約聖書に頭までどっぷり浸かった過激派で、自分は神の声が聞こえると思い込んでいるヤバい人。だが怪物が襲い来る異常事態のなか、度重なる偶然により彼女の預言が的中。虫に襲撃されなかったことで完全に調子に乗り、信仰者を集め客たちを煽りまくるなど暴走。生贄と称し殺人行為まで許すなど怪物以上に厄介な存在となるが、副店長のオリーにヘッドショットを決められる。

■オリー(吹:茶風林)
スーパーの副店長。
見た目は冴えないおっさんだが、実は今作一できる男。副店長という立場ながら上司である店長を説得する際に言い放つ「つべこべ言わずに黙って聞け!」の一言がやたらカッコイイ。

実は射撃が得意で94年の州チャンピオン。闇雲に乱射するようなこともせず、延長線上にガラスがあった時は撃たないなど終始冷静で的確な判断を下す。作中では動く的に対しても正確に射撃し、ムダ撃ちすることなく怪物を倒し続けたりと大健闘。さらに薬剤にも詳しいというハイスペックぶりを披露し、カルトの教祖と化したカーモディを撃退するなど主人公以上に活躍して好感度をかっさらった人物なのに、スーパー脱出時に最初にデヴィットの車に辿りつくもあっさり怪物に殺されるとか監督マジ鬼の所業。

■アマンダ(吹:日野由利加)
今学期からレブラーの小学校に赴任した女教師。旧約聖書だの生贄だの妄言を撒き散らしていたカーモディにビンタをお見舞いしたことで彼女からは敵意を持たれている。出張が多い夫から持たされた銃はのちにオリーの手に渡り、最後の最後まで大いに役立つこととなる。主人公一行の中で、人間は本来善良な生き物であるという善人説を唱えていた唯一の人物だったが・・・。

ちなみに演者は映画『サイレントヒル』で女警官シビルを演じ、『ウォーキング・デッド』ではアンドレアを演じていたローリー・ホールデンである。

■レプラー(吹:羽鳥靖子)
ビリーの小学校の老教師。
老いても聡明さは失わず、異常事態の中でも最後まで冷静でデヴィットの味方となった人物。中盤ではあることないことまきちらすカーモディに缶詰で一石を投じた。さらに薬局にも同行し、目の前に蜘蛛が現われた時も慌てずに即席の火炎放射器で見事に撃退した。さすがレプラー先生。

■ダン(吹:佐々木敏)
序盤に霧の中にいる何かに襲われ、鼻血を出しながらスーパーに逃げてきた男性。一緒にいたジョン・リーという人物が目の前で襲われパニックになっていたが、買い物客たちに外へ出るなと警告する。彼の存在がのちの薬局とスーパーの命運を分けた。事の重大さを身を持って知っていたためか、最後までデヴィットの味方として行動を共にする。薬局では弾切れとなったオリーに代わり巨大蜘蛛を撃退するなど活躍した。最後まで生存したが、己の最期をデヴィットに託し死亡する。

その他のキャラ

■ノーム(吹:中野光貴)
店員の若い青年。
「シャッターの外に何かいるから出るな」と忠告したデヴィットをビビリ扱いし、外へ出ようとしたところで触手プレイされる。一番最初の犠牲者となった。

■ジム(吹:辻親八)
機械系の作業員。
レプラー先生の元教え子でもある。
低学歴らしくデヴィットやノートンのような人間にコンプレックスがあり、田舎者とバカにされることを嫌う短気なおっさん。デヴィットの忠告をガン無視してシャッターをあげた挙句、ノームが触手に襲われた時はビビるばかりでデヴィットやオリーに一切手を貸さなかったヘタレ野郎。

実は作中でカーモディの次に最も事態を悪化させた人物であり、光に引き寄せられて虫が集まっていると大騒ぎになっているのに後方でサーチライトを全開にしたり(なんでライトを全部点けたんだ!?)、薬局に同行した時も蜘蛛にただ絶叫するだけで全く戦力にならず、その後は乱心してカーモディ教に入団。ジェサップ二等兵を突き出し彼を外へ追放するなどほんとロクなことしてねぇ。そのクセ最後まで生存した。

■マイロン(吹:ふくまつ進紗)
ジムの同僚。
デヴィットたちとシャッターを確認しに行った一人。触手相手に動けずにいたビビりだが、その後はジムと違い最後まで主人公組の一員となる。しかし終盤、スーパーを脱出する途中で足を捻挫し、仲間たちにかつがれるも蜘蛛に遭遇。そのまま襲われ死亡した。

■コーネル
ヒゲのじいさん。
最大の武器になったであろうショットガンを所持していたが、残念ながら車の中に置きっぱだった。序盤からデヴィットに協力的な人物の一人で、二等兵を助けようとしたデヴィットを必死になって止めてくれた。しかし脱出時に足首を捻挫したマイロンを庇いデヴィットとはぐれてしまい、マイロンが襲われたあと霧のなかを逃走するも結局は襲われてしまった。

■店長(吹:小室正幸)
スーパーの店長。名前はバト。
ノームが怪物に殺されたと訴えるデヴィットたちの話を信じず笑い飛ばしていたが、ちょんぎった触手を見せ付けられ事態を把握。客たちをまとめ自衛を図る。最後まで主人公組の一員だったが、脱出時ケガをしたマイロンを支えていたが彼が怪物に襲われた後はスーパーに逃げかえり、生き延びる。

■バイカー
バンダナを巻いたおっさん。
序盤から登場していた厳ついファッションをした荒くれ者風のモブで、ノートンが外へ出る際、コーネルの車にあるショットガンを取りにいった。デヴィットのロープ作戦に同意し、外が危険かどうか自ら実験台となってくれた人物。出ていく途中でカーモディに「神は血に飢えてるロクデナシじゃねぇぞ。あんたが言うほど」とかっちょいい一言をくれてやったが、彼の腰にくくられた白いロープは途中で赤く染まり、下半身だけが帰ってきた。

■サリー(吹:うえだ星子)
レジ担当の女性店員。
ビリーの子守のバイトもやっており、デヴィットとも顔見知り。中盤では軍人のジェサップ二等兵と高校の頃から恋仲だったことが明かされ更衣室でイチャついていた。が、最後までヤらなかったのに例のフラグが発動。虫襲撃時に首を刺されて死亡する。死に顔は生前の見る影もなく腫れあがっていた。

■ジェサップ二等兵
軍人トリオの一人。
地元生まれで街の人とも殆ど顔見知り。サリーとは恋人同士だが一度も致したことはないらしい。しかし彼女が死亡フラグの餌食となったあと、MPの死を知り仲間の2人が首を吊って自殺。コイツが元凶だ!とジムに喚かれ、山の頂上にある軍の施設で極秘裏に行っていた、異次元を観察する「アローヘッド計画」で事故があったことを喋るも、カーモディに煽られた客たちから元凶扱いされ、コックに刺される。その後外へ追放され、怪物に殺された。勿論彼は配属されただけで計画とは無関係。アローヘッド計画もほぼ仲間からの又聞きの情報である。

■トミー
名前は海外版うぃきより。
虫襲撃時に一人窓際に残り、虫を退治していたおっさん。だが虫を追って新たに入ってきたプテロ(翼竜のような怪物)に首をがぶりんちょされて死亡した。

■ハティ(吹:新田万紀子)
店の掃除で忙しいサリーに代わり、序盤からビリーとずっと一緒にいてくれた短髪の女性。レプラーとも知り合いだった。虫の襲撃時もずっとビリーを庇い続けていたが、度重なる異常に精神がついていけず、棚にあった睡眠薬を過剰摂取し自殺した。

■ジョー
デヴィットとも顔見知りの客の一人。中盤に虫の襲撃が始まった際、盛大にファンブったのかよりにもよって火をつけたモップを持った状態ですっ転び、ガソリンの真上に引火させ炎上、大火傷を負う。ぶっちゃけ自滅だが、痛さの余り自殺しようとしている彼を助けようと、弟やデヴィットが正義感を燃やし隣の薬局に抗生物質をとりにいったことでさらに犠牲者が増えた。しかも彼自身は待っている間に死亡するという救いの無さ。

■ボビー
前述のジョーの弟。
兄を救う為に薬局へ向かうも、蜘蛛の強酸糸の餌食となり死亡した。

■マイク
虫を真っ先に発見した客の一人。
デヴィットに協力的な人物で一緒に薬局まで同行していたが、帰り際に蜘蛛の強酸糸を顔面に受けてしまい死亡。その死体は新たな苗床となってしまった。

■MP(吹:魚建)
MPと書かれた白いヘルメットを被っていた黒人。
序盤に軍人3人組に休暇の取り消しを告げにきた人物で、その後「薬局を見に行く」といっていたが、デヴィットたちが薬局に来た時は生きたまま蜘蛛の苗床となっており、全身から子グモが吹き出す彼の死に様はトラウマもの。

ちなみにMPとは「ミリタリーポリス」の略称で、アメリカ軍の憲兵隊のこと。死の間際に何度も「すまない」「オレたちのせいだ」と繰り返していたことから、軍の極秘計画のことを知っていた人物だと思われる。

■ステファニー(吹:加納千秋)
デヴィットの妻。
デヴィットたちに買い物を任せ家で留守番をしていたが、家は霧がやってきた湖のそばにあり、さらに窓は壊れていた。嫌な予感は外れることなく、終盤デヴィットたちが家を訪ねた時には、窓の修理をしようとしていたのか窓辺で糸にぐるぐる巻きにされて死亡していた・・・。

■序盤に家に帰った女性
「すぐ戻る」と言って、家に8歳の長女と弟を残し買い物に来ていた女性。ダンが襲われスーパーにやってきた直後、家まで送って欲しいと頼みこむも誰も名乗り出ず、「みんな地獄へ落ちてしまえばいい」と言い残し、ひとりスーパーを後にする。てっきり怪物に襲われたものと思われていたが、なんと終盤に現われた救助用トラックに子供たちと共に乗っており、無事に生存していたことが明らかとなった。

結果だけ見ればあの時一緒についていけば・・・と思ってしまうが、その前後に駐車場へ行った人物は怪物に即効で襲われており、あの時点でついていくのは自殺行為である。彼女が死ななかったのは単純に運が良かったのと、まだ騒動の序盤で怪物の数が少なかったこと。家がスーパーまで歩いて5分ほどの距離にあったこと。そして怪物が駐車場の人間を襲って食べていた間に、黙って静かに行動していたことが功を奏した可能性が高い。恐らく単独行動ではなく同行者がいた場合は、他の被害者同様襲われていたと思われる。

ちなみに彼女を演じているのは海外ドラマ「ウォーキング・デッド」で現在も生き残っている数少ないレギュラーキャラ・キャロル役で有名なメリッサ・マクブライドである。

アローヘッド計画~ダーク・タワーとの関連

山の頂上にある軍の施設で科学者たちが極秘裏に行っていた、"窓"を開けて異次元を観察する『アローヘッド計画』。だが事故で穴が開いてしまい、異次元の世界がデヴィットたちの世界に流れ込んでしまった。これが今作の事件の発端であり、現われた怪物は元々異次元の世界に住んでいたもの。

実はこの異世界とはキングのファンタジー小説『ダーク・タワー』に関連しており、怪物たちは作品内で中間世界と呼ばれているところからやってきている。『ダーク・タワー』には全ての宇宙と世界を繋ぎとめている「暗黒の塔」が存在し、この塔が崩壊しかかっていることが、「呪われた町」や「It」など、キング作品で描かれる数々の怪異の原因となっている。

登場する怪物たち

異次元に住まう異形の怪物。
既存の蜘蛛・翼竜・イカ(?)に似た冒涜的な生き物たちで、どこぞやのクトゥルフ神話を彷彿とさせるデザインをしている。基本異次元の霧の中でしか生息できないのか、窓やドアを締め切った店内や車内には侵入してこない。また、小さいタイプならば現実世界の銃や打撃武器、炎などで対処する事も可能。

※虫嫌いな方はこの先要注意!!

惑星Xの触手

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映画 ミスト 触手

名前はノートンがそう呼んだことから。元ネタはもちろん「遊星からの物体X」。作中では触手のみ登場し全体像は判明しないが、何本もの触手を持つ巨大な"何か"。イカのような触手には鋭い爪があり、先端がくぱぁ☆と開くとギザギザの歯をもつ口がのぞく。これでノームの足や胸の肉を剥ぐように食いちぎって殺した。作中ではドッグフードの袋も食べており、触手で触れたものはなんでも喰らおうとする獰猛な性格であることが伺える。

デヴィットが触手の先端を斧で切り落としたが、声帯もあるのかピギィ~!と甲高い声で鳴いていた。切られた先っちょはしばらく生きていたが、やがて真っ黒な液体となって消失した。

アラキニロブスター

映画 ミスト 怪物

Arachni-Lobster。
下半身がクモ+上半身が巨大なザリガニみたいな怪物。作中ではジェサップ二等兵を喰い殺し、みんな大好き副店長を屠った憎き仇でもある。大きなハサミで体をチョン切っていたことから、序盤にバンダナのおっさん(バイカー)を真っ二つにしたのもコイツかもしれない。

スコーピオン・フライズ

映画 ミスト 虫

Scorpion-Flies。
サソリバエみたいな意味だが、おそらく名前の由来はカーモディが聖書を引用した際、サソリの力を持つイナゴと呼んだことから。

人間のような顔をした奇怪な異界の虫。だが通常の昆虫と同じく光に引き寄せられる性質を持ち、夜になって灯りをつけていたスーパーのガラスに密集。そこを後述のプテロ・バザードに狙われる。針には強力な神経毒を持ち、作中ではサリーを刺し殺すも、じっとしているものは攻撃しない。そのためカーモディは襲わなかった。仕事しろよォ!物理攻撃が有効なためホウキでのせるなど、登場した怪物の中では最弱。ただし数が多いのが難点。

プテロ・バザード

映画 ミスト 翼竜

Ptero-buzzard。
名前の通り4枚羽のプテラノドンみたいな怪物。スコーピオン・フライズを餌にしており、彼らを食べようとしてスーパーのガラスを突き破って侵入してくる。トミーを殺害したがそれ以外では基本虫を追っかけているだけで人を積極的に襲っているわけではない。防御力もないため炎や打撃攻撃、銃で倒す事が可能とそこまで脅威的な怪物ではなかったりする。

グレイ・ウィドワーズ

映画 ミスト 蜘蛛

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赤い目(?)をしたでっかい蜘蛛のような怪物。
薬局でMPをはじめ大勢の人間を苗床に爆発的に増える。しかも苗床となっている人間は子グモが孵る寸前まで意識があるという地獄。尻から噴出する糸は触れるだけで人間の肌を一瞬にして溶かすほど強い酸性を持つ凶器であり、作中で最も多くの人間を殺した。(人間を繭にすることから、ラストでデヴィットの妻を殺したのも多分こいつ)

ヘビーモス

映画 ミスト ヘビーモス

スーパー脱出したデヴィットたちが遭遇した、超巨大な6本足の怪物。どうみてもクゥトクルフ神話です。本当にあり(ry・・・という見た目をしている。触手のようなヒゲのようなうねうねとしたてがみ(?)らしきものの中から馬のような口が見えるが、名前の由来の通り象なのか何なのか正体は不明。道中では唸り声をあげていたが、小さきものたちには気付かず立ち去っていった。

■参考サイト

Stephen King's The Mist Wiki | Fandom powered by Wikia
※海外のサイトなため全文英語。

感想~先のことは誰にもわからない

原作はゲーム「サイレント・ヒル」のオマージュ元となったキングの小説『霧』。小説版ではスーパーの外で出たところで物語は終わり、霧の中に消えていく主人公たちの結末は明かされない=「先が見えない」終わりとなっている。その終わり方も小説としては趣があるものだったが、映画では見ている人間を絶望の淵に叩きのめす最悪のバッドエンドとなっており、ホラー映画の中でも衝撃の結末を迎えた作品として名を残している。だが映画版のエンドも「先が見えない世界では、何がどうなるのかは誰にもわからない」とある意味原作と同じことを言っているように思う。

例えホラーといえども、「最終的には頑張っていた主人公が報われる」という終わり方が多い中、今作では人として正しいことをしている(ようにみえる)主人公は一切報われない。(とはいえわざわざ危険をおかして無意味に犠牲者を増やしてしまう主人公の行動には結構問題はある。なんで薬局にあんなに人数連れたっていったのかは今でも疑問。囮用だったとしか思えん)

エンディングを見た後では、狂信者のカーモディの言っていた「スーパーの中にいなきゃダメ」という言葉が結局は正しかったんじゃないか!と思いがちだが、既に軍人を殺しており殺人に抵抗がなくなっているあの集団の中にいれば、少数派のデヴィット、その中でも子供のビリーやアマンダ、老人のレプラーは軍の助けがくるまでに確実に殺されていたと思われる。

霧の中にいる主人公には何が正しいのかは見えない。正しいと思って行動しても、それが報われるとは限らないのだ。

おぞましい『怪物』

異世界の怪物という人間にはどうしようもない脅威。一度目にすればリアルSANチェック不可避なおぞましい姿をした凶悪な怪物たちだが、実はホラー映画でお約束の「明確に人間に殺意を持って襲ってくる怪物」というわけではない。ぶっちゃけ今作では人間側が勝手に自滅していっているだけである。(意味なく外に出る、一人炎上芸etc。ただしクモタイプだけは人間を苗床にしようと匂いで攻撃してくるらしいので除外)

2007年当時のCGなので10年経った今では多少見劣りするものの、霧の中、巨大なものはシルエットだけで、小さい怪物はグロテスクなビジュアルを細部まではっきり映すという演出や、ロープの引っ張り具合だけで直接殺害シーンは映さないシーンは古典的だがやはり面白い。

そして人間側の怪物である女教祖・カーモディ。
彼女も当初死人が出た時は普通にビビっており、実際は「自分の信じているもの(だけ)が絶対的に正しくあってほしい」という願望を持っている普通のヤバい人だった。それが周囲に祭り上げられいくにつれ増長していく・・・集団の狂気が彼女を怪物役にしていく様子は、もしかしたら異次元の怪物以上に醜悪なのかもしれない。

~こんな人にはオススメできません~
■後味悪いENDが地雷な人
ホラー映画でも最後は主人公が助かってすっきり!みたいなのが好みの人や、あらすじを読んだだけで腸が煮えくり返りそうになった人は要注意。

最後に!

舞台が精神安定剤からアスピリンまで何でも揃っているゾンビ映画御用達のスーパーマーケット。さらにクトゥルー系の怪物ときたらもうそれだけで面白いんですが、多数派VS少数派となってしまう集団の脅威を描くなど、パニック映画としてもホラーとしても、エンディングさえ受け入れられれば楽しめる作品です。本国ではドラマになるそうですが、キャラクターはオリジナルなんだそう。一体そちらではどんなエンディングを迎えるんでしょうねぇ・・・。

↓キング原作映画といえば!