お祭り度 ★★★★
推理度 ★★
登場キャラの身体能力 もはや迷宮入り。
結論:キングまじキング!
2013年 日本
監督:亀垣一
※犯人の正体やラストのオチ含むネタバレあり。
ご注意!
目次
あらすじ
偽怪盗キッド現る
怪盗キッドの登場で湧き上がる東京・月島で、今日こそはキッドを捕まえようと、大規模作戦を開始する中森警部。だが、なんとあのキッドが発砲!仰天する警部たちを余所に、キッドは逃げ去ってしまう。しかしその一部始終を、黒羽快斗が目撃していた。
そしてキッドを追うコナンも、正体があの男の変装だと見破る。
かつてヴェスパニア王国で起きた大事件を元に出会った、あの伝説の大泥棒だと・・・。
謎の男・アラン
コナンを撒いた後、とある男と連絡をとるルパン。
電話の相手はアラン・スミシーという謎の男。
彼は不二子を人質に捕り、ルパンが本当に彼女のために動くのかを月島でテストしていた。
彼の本来の目的は若護茂 英心(わかごもえいしん)という男が米花銀行に預けているという宝石「チェリー・サファイア」。
ルパンは銭形警部と佐藤刑事の守りを高木刑事に変装することで裏をかき、見事に盗み出すと、宝石と不二子を交換しようとする。
しかし、不二子とアランは実はグルであった。
だが最終的には不二子もアランに裏切られ、チェリーサファイアもとられてしまう・・・。
エミリオ脅迫事件
ルパンを取り逃がしてしまうものの、人気アイドルのエミリオ来日のニュース映像で、パパ・・・もとい次元大介の姿を発見していたコナンは、小五郎や園子と共に、エミリオがいるというサクラサクホテルに向かう。しかし、エミリオの元には「ライブを中止しろ」という脅迫状が届いていた。
そんな中、コナンはエミリオの護衛として日本にきていた次元と再会。ルパンが何をしようとしているのかを尋ねるも、はぐらかされる。
その後、園子と蘭と共にホテルを抜け出したエミリオが、ベルツリータワーの屋根から強風に煽られ、助けようとした蘭ごと落下するというアクシンデトが発生。蘭が片腕のみでギリギリ耐えるも、園子一人の力では二人を引き上げる事ができず、絶望的な状況だったが、コナンと次元の力によりピンチを脱する。
イタリアン・マフィア
実は、あの脅迫状はエミリオ自身が作ったものだった。
彼は自身のプロモーターのルチアーノの正体がイタリアンマフィアであることを知り、ライブの陰で行われる闇取引を阻止しようと試みたのだ。
ライブが中止になれば・・・と思っていたが、蘭の励ましや、コナンの「取引は絶対にさせない」という言葉を信じたエミリオは、ライブを決行。
闇取引を止めるため、ルチアーノを追うコナン。
その裏で暗躍するイタリアンマフィア。
アランを追うルパン。
様々な思惑が交差するなか、再び対峙する探偵と泥棒。
「今度会ったら、捕まえる」
果たして、二人の対決の行く末は・・・?
登場人物
ルパンサイド
■ルパン三世(演:栗田貫一)
「諦めろ。あれがあいつの運命だ」
神出鬼没の大泥棒。
ギャグテイスト全開だったスペシャル版とは違い、発砲シーンがあったり、悪人すら救おうとするコナンにも上述の一言を言い放つなど、今作では全体的にハードボイルド路線である。
ちなみに冒頭でキッドに化けていたのは、不二子ちゃんがキッドにお熱だったため。
前作のアニメスペシャルではコナンが離陸直前の飛行機に飛び乗るという離れ業をやってのけた為か、今作では彼も負けじと同レベルのアクションを披露した。そういえばこの人も結構人間を辞めていた。
■次元大介(演:小林清志)
「パパとよぶな!」
「せきにんとってね!」
アニメで好評だったためか、今作でもコナンとのあの掛け合いが復活。前作以上に見事なコンビっぷりを披露する。もうパパでいいんじゃないかな。
ルパンがシリアス寄りなためか、看板で会話したりとコメディ担当でもある。
■石川五ェ門(演:浪川大輔)
「おなごも剥くのか!?」
CVは新キャストの浪川さん。
前作と比べ大幅に出番が増えており、序盤ではコナンのおニューのスケボーを斬鉄剣で真っ二つにした。冷静に考えれば結構危ない。
しかしアジトに少年探偵団とは名ばかりのお子3人がやってきたときは、流石に困惑しまくっていた。
■銭型警部(演:山寺宏一)
「緊張を解いてあげようかなー・・・と」
CVは新キャストの山ちゃん。
今作ではルパンから普通にメールがくることが判明した(ただし返信は出来ない)。メル友とかマジかよとっつぁん・・・。
今回のルパンの行動に疑問を抱き、背後関係を調べるなど基本は有能。ここ一番というところでは、コナンの後を追うなど「刑事の勘」を優先させた。
■峰不二子(演:沢城みゆき)
「裏切りは女のアクセサリーよ」
B99・W55・H88の、ナイスバディな謎のおねーさん。
CVは新キャストの沢城さん。
冒頭でアレンに捕まり、首に爆弾をつけられていたが、後にグルと判明する。しかし裏切られ、「おともだち」と世界大戦レベルの抗争をしかけようとしていた。怖すぎる。
コナンに続き灰原哀がシェリーであること、シェリーがアポトキシンの開発者であることも知っており、彼女から若返り薬の秘密を教えてもらうため、一時行動を共にする。
コナンサイド
■中森警部(演:石塚運昇)
冒頭に登場。
キッドからの予告を受け、強風を発生させる装置を用意するなど、莫大な費用をかけた大規模な捕獲作戦を決行する。しかし、キッドが絶対に使うはずのない本物の拳銃を使用したことで失敗。責任を取らされ謹慎処分となる。
そのため惜しくも銭形警部と会話することなく出番が終了となってしまった。
■黒羽快斗/怪盗キッド(演:山口勝平)
冒頭で自分の姿を借りたルパンに好き勝手やられてしまう。
しかし、ラストでは一泡ふかせることに。
■江戸川コナン(演:高山みなみ)
もはや説明不要の「体は子供、頭脳は大人」な名探偵。
改造屋形船で逃走したニセキッドを追うために、水上を改良版スケボーで激走したり、蘭を助ける為にバンジーしたりとやってることが探偵とかそういうレベルじゃない気もするがツッコんではいけない。
■毛利蘭(演:山崎和佳奈)
いつもの蘭ねーちゃん。
今作では前作とは違い自慢の戦闘シーンは出てこない・・・と思いきや、エミリオがベルツリータワーから落下した時には片腕1本で支えるなど、やはり腕っ節は強かった。
■毛利小五郎(演:小山力也)
いつもの迷探偵。
今作から中の人がジャック・バウアーになった。
あんまり活躍しない。
■鈴木園子(演:松井菜桜子)
前作では出番はほぼ無かったが、今作ではエミリオ来日のウワサを聞きつけ、彼がいるホテルを調べたりと活躍。蘭のピンチにも駆けつけ、腕を支え続けるなど、相変わらずの良き親友っぷり。
その際「私の親友をこんな目にあわせて・・・!イケメンじゃなくなるくらいひっぱたいてやるんだから!!」という台詞を吐くが、実際にエミリオをひっぱたいたのは蘭とクラウディアだったりする。
■少年探偵団
歩美、元太、光彦のお馴染みの3人組。
前作では出番は全く無かったが、今作では阿笠博士の入れ知恵により、なんと本当に五ェ門がいるアジトを見つけ出してしまう。が、一服盛った菓子まで手土産に持っていくものの、出されたお茶を素直に飲み、逆に盛り返され眠ってしまう。
あとあとコナンにこっぴどく叱られるも全くめげておらず、最後までルパン一味を捕まえることに執念を燃やしていた。
■阿笠博士(演:緒方賢一)
毎度お馴染みの万能博士。またの名をご都合主義の権化。
今作では歩美たちにびっくりアイテムを大量に貸し与え、ルパン一味のアジト探しにも全面的に協力してしまう。
しかしその強力すぎるアイテムの威力に、さしものルパンも「こんなもんガキに持たせやがって、ロクな大人じゃねえな・・・」と苦言を呈していた。
しかもコナンにめちゃくちゃ怒られても全く懲りてない。大人なんだからしっかりしてください。
■灰原哀(演:林原めぐみ)
「女が若さに囚われたら、終わりなんじゃない?」
今作では少年探偵団と引き換えのような形で、峰不二子と行動を共にすることに。
そのためか、不二子との入浴シーンや全裸シーン(※後ろ姿のみ)などサービスシーンがやたら多い。
しかも、二人乗りという形で不二子の単車のハンドルを任された際、きっちろと乗りこなせていたことから、実はシェリー時代の愛車がハーレーであったことも判明する。
若さへの渇望からアポトキシンの秘密を探ろうとする不二子に対し「ガッカリさせないで」と言ったり、不二子の性格や経歴などに妙に詳しかったことから、案外彼女も不二子のファンの一人だったのかもしれない。
■高木刑事(演:高木渉)
前作に引き続き目暮警部と共に登場。
前半にルパンに拉致られるため出番はあまりないが、後半は少年探偵団と合流。
■佐藤刑事(演:湯屋敦子)
今作では初恋の人であるルパン逮捕のため、銭形のとっつぁんと共にルパン逮捕に乗り出し、見事な一本背負いを喰らわせる。が、初恋の人の上手具合は伊達じゃなく、とっつぁんの巻き添えでスタンガンよりちょい強いレベルのビリビリを喰らいまくったりと、結構ヒドい目に遭う。
■白鳥刑事(演:井上和彦)
ルパンに捕まったことで現場を外されてしまった高木刑事の代わりに、中盤以降は佐藤刑事とコンビを組み活躍。だが終盤は彼女の暴走っぷりに「ついてこなきゃ良かった・・・」と弱音を吐いていた。
■ジュディ&ジェイムズ
(演:一城みゆき&家弓家正)
FBI捜査官コンビ。
コナンからの連絡を受け、「日本の警察に恩を売るのも悪くない」との考えから、ルパン確保に駆けつける。その際、不二子のスリーサイズを暗記で言えたり、こっそりと写メを撮ったりと、ジェイムズが不二子ファンであることが明らかになった。仕事中に何してんだおっさん!!
オリジナルキャラクター
■エミリオ(演:入野自由)
大人気のイタリア人アイドル歌手。
中の人の入野さんは、99RadioServiceと共に劇中歌の「wonderland」も担当している。
■クラウディア(演:夏菜)
エミリオのマネージャー。美人。
エミリオたちがまだ売れていない時期から彼らのことを支え続けていた。
ルチアーノの正体には気付いているが、プロモーターに逆らうことができなかった。
中の人はゲスト声優だが、違和感があまりない。
■ルチアーノ(演:金尾哲夫)
エミリオのプロモーター。
脅迫状が届いてもライブを続行させようとする。
その正体はイタリアンマフィア。とあるブツを巡り、アランと取引をしていたが・・・。
■アラン・スミシー(演:内野聖陽)
不二子を使い、ルパンに宝石を奪わせた謎の男。
ケイン・ゲジダスという男から、ルチアーノとの取引にはチェリー・サファイアが必要なこと、そして「チェリー・サファイアを盗めるのはルパンだけ」と推薦されていた。
中の人は俳優の内野さん。味のある芝居をしている。
■キング(演:三浦知良)
プロの殺し屋。
ルパンとは顔見知りで、イタリアンマフィアに雇われて日本にきたが、沖野ヨーコの生写真に加え、不二子の恥ずかし~い写真と引き換えに去っていった。
中の人は名前の通りキングカズ。俳優ですらないゲスト声優だが、劇場版2度目の出演であることと、本人の本気度が半端なかったためか、驚くべきことに違和感が仕事してない。さすがキング。
ルパンの本当の目的
ルパンの本当の狙いは、盗まれたヴェスパニア鉱石を取り戻すこと。
サクラ王女に縁があるルパンは、前作でも登場した娘のミラ王女に、世界の軍事バランスを揺るがすことになりかねないヴェスパニア鉱石を取り返すよう依頼される。
ルパンは「次元大介」のアナグラムである「ケイン・ゲジダス」を使い、鉱石の取引をしているアランにニセの情報を流すことで、誰が盗んだのかを突き止めようとしていた。(ちなみにチェリーサファイアの持ち主である「若護茂英心(わかごもえいしん)」は「石川五エ門」のアナグラム。チェリーサファイアが無名だったのは、この宝石はルパンが作ったお手製のものだから)
その結果、
盗んだヴェスパニア鉱石をキーボードの鍵盤に偽造し日本に持ち込み、ライブ中、秘密の抜け道を使いアランと取引をする予定だったのはルチアーノだったことが判明。
その取引の現場を押さえ、偽情報に踊らされたアランとイタリアンマフィアを衝突させて双方の破滅を狙い、その隙に鉱石を盗みだす算段だったが、コナンがFBIを介入させたことで、銃撃戦が繰り広げられたにも関わらず死人が出なかった。
しかし。
ルパンを後一歩のところまで追い詰めるも、マフィアの銃撃からルパンを庇ったコナンは負傷。コナンを人質に取ったアランとルチアーノは輸送機で飛び立ってしまう!
結末
不二子や諸々の助けを借りて、飛行機に飛び乗ったルパンはコナンと合流。
しかし、怒りに狂ったルチアーノがガトリングを乱射、窓をブチ破ったことで、自業自得な最期を遂げる。
一方。
コクピッドでは銃撃を受け機長が死亡。アランも虫の息だった。
アランはコナンが工藤新一を名乗り、高校生探偵であることを知ると、「・・・まだこれから・・・何でもできるな」「私の国にも、多くの若者が・・・」と呟き、息を引き取る。
アラン・スミシーの正体
・・・実はアランは、隣国から植民地のような扱いを受けている、ジランバ共和国の人間。ヴェスパニア鉱石を使い軍事力を上げることで、祖国の未来を救おうとしていた。
「アラン・スミシー」とは、アメリカの映画で監督がクレジットを拒否した場合など、何らかの理由で付けられる架空の監督の名前。つまり本名ではない。
利用した不二子やルパンを殺さなかったり、作中でもムダに死人は出していないことから、コナンを人質にとった時の「子供を撃たせるな!!」という言葉は脅しではなく本音だったのかもしれない。
ラストのオチ
墜落しそうな機体を何とか操縦するルパンとコナン。
が、真相を闇に葬ろうとするジランバ共和国と、万が一鉱石の奪還に失敗した時には、撃ち落すようルパンから伝えられていたヴェスパニア王国により、撃墜命令が下される。窮地に陥るも、電圧を加えればあらゆる電子機器を全て無効化できる特性を持つヴェスパニア鉱石で作ったチェリーサファイアを使い、周囲の戦闘機を退ける。
2人はパラシュートで脱出後、不二子のお友達の潜水艦に拾われる。
ヴェスパニア鉱石も、海の藻屑と消えた・・・。
前作よりハードボイルドなストーリー!
その後、ただでは帰らないと大阪のとある美術館でルパンがお宝を盗もうとするも、そこには獲物の姿はなく、キッドからのカードが残されていたのみ。そして平次たちを引き連れたとっつぁんに、いつものように追われるルパン・・・というエンディングとなっている。
ギャグシーンは多いものの、悪役が捕まらず死亡する描写があるなど、前作と比べればハードボイルドさは増している。
また、セリフの端々にアニメスペシャル版の設定が盛りこまれているので、視聴には問題ないレベルではあるが、映画を見る前にアニメ版を視聴することをオススメする。
コナン勢のオールキャストっぷり
少年探偵団や灰原だけではなく、ジュディや宮本由美&三池苗子の交通課コンビなどかなりの人数が出演している様子は、まさにオールスター。お祭り映画らしいノリとなっている。さらに、「11人目のストライカー」の設定が引き継がれていたり、「銀翼の奇術師」に登場していたキャラクターが登場していたりと、歴代の劇場版を見ているファンにも楽しめる作りとなっている。
最後に
違和感が目立つことも多いコナン劇場版のゲスト声優陣において、今作では全員が好演しているというのがかなり良かったです。誰役かを知らないまま視聴したので、キングの役を知った時は本当に驚きました。すげぇ。
とはいえ、少年探偵団がわかるレベルのアナグラムだったりと推理要素もあまり無く、相変わらず無茶すぎなアクションが多めなので、設定の矛盾とかは深く考えず、あくまで気楽に、お祭り映画の一つとして楽しんで観るのがいいかと思います!
↓前作もおすすめ!