辞書とは、その海を渡る一艘の舟だ。
アニメ「舟を編む」1話「茫洋」感想。
映画版のネタバレを含みますのでご注意ください。
※原作は未読。映画版のみ視聴。
結論:猫が可愛いアニメにハズレなし。
原作は三浦しをんによる小説で、2013年には松田龍平主演で映画化された、言の葉の海を渡る舟・・・辞書を編む者たちの物語が、2016年10月、ノイタミナでついにアニメとなりました!
キャラクターデザインの原案が「昭和元禄落語心中」の雲田はるこさん、主人公の馬締役に櫻井孝宏さんという個人的に気になる要素が盛りだくさんの今作、早速視聴いたしました!
※2話以降の登場人物は各話放送後に追加予定。
目次
- タイトルの由来について
- ストーリー
- 馬締光也(CV:櫻井孝宏)
- 林香具矢(演:坂本真綾)
- 西岡正志(演:神谷浩史)
- 佐々木 薫(CV:榊原良子)
- 荒木公平(CV:金尾哲夫)
- 松本朋佑(演:麦人)
- 映画版とは真逆の演出
- 謎コーナー・おしえて!じしょたんず
- 最後に!
タイトルの由来について
作中では辞書を「言葉の海を渡る一艘の舟」と例えており、その舟を編むものが編集者であるという考えから来ている。また、「舟」とは手漕ぎの小さいものを表す漢字。言葉の大海原を、本来は海を渡るものではない小さな「舟」で、手探りで渡っていく・・・そういう意味が込められているのだと思われる。
ストーリー
玄武書房の営業部で働いていたマジメな社員・馬締。
ある日、彼を訪ねて荒木という男がやってくる。
定年退職を控えていた荒木は、自身の代わりとなって、辞書編集に心血を注いでくれる若者を探していた・・・。
馬締光也(CV:櫻井孝宏)
「まじめ・みつや」と読む。27歳。
仕事ぶりは非常にマジメだが、要領が悪く営業成績はすごぶる悪い。
タケおばあさんの下宿に長く住んでおり、たまに一緒に夕食を食べたりする。
映画版と比べればはるかに口数が多く、営業中も(いっぱいいっぱい感はあるものの)それなりに大きな声を出してしっかり喋っており、そもそも櫻井さんの滑舌が良すぎるため、あまり口下手には聞こえない不思議。どちらかといえば天然な面が強調されている。
ちなみに『馬締』とは、旅人に馬の手配する"馬の元締め"からきている苗字らしい。
林香具矢(演:坂本真綾)
2話のラストで登場した女性で、馬締の恋のお相手。
馬締が住んでいるアパートの大家の孫娘で、高齢の祖母と同居する為にやってきた。板前の修行中で、湯島にある「梅の実」という店で働いている。ちなみにかぐやという名前は「満月の夜に生まれたから」。
初めて会った時に言う「迎えにきてくれたんだ」というセリフは、その前のシーンで馬締が(猫のトラさんに向かって)「迎えにきたよ」と言ったことへの返しだが、おそらく「かぐや姫」ともかけているのだろう。
西岡正志(演:神谷浩史)
馬締と同い年の編集部員。
辞書編集室の人間だが対人スキルは高く、馬締とは違うベクトルで有能な人物。
アニメ1話では営業中の馬締を本屋で見かけ、失敗をすかさずフォローしたことで知り合いとなり、名刺を交換。この時のやりとりが、のちに馬締が辞書編集室に異動になるキッカケとなる。
映画版では1995年と言う時代設定を意識してか、チャらくはあっても髪は黒だったが、アニメでは描き分けの関係もあってか茶髪となっている。
佐々木 薫(CV:榊原良子)
辞書編集部にて事務を担当する女性。
榊原さんボイスというだけで仕事できる感がある。
荒木公平(CV:金尾哲夫)
松本とタッグを組み、たくさんの辞書を世に送り出してきたベテラン編集者。妻の病気を機に定年退職することとなったが、まだ道半ばの松本のため、若く有望な人材を探して奮闘。『言葉』に対して豊富な知識を持ち、右という言葉の説明もよどみなく答えたことから、馬締を辞書編集部に引き抜いた。
アニメでは熱血漢な面が強調されており、馬締を一目見た瞬間から気に入ってるような描写がある。
松本朋佑(演:麦人)
長年辞書作りに携わってきた国語学者。
新しい辞書『大渡海』発行の企画中に、右腕ともいえる荒木が去ることを心から残念に思っている。「荒木のような優秀な編集者とはもうめぐり合えない」と口にしていたが・・・?
映画版とは真逆の演出
1話は荒木が馬締を営業部からひきぬくことを決心したところで終わり。文字(漢字)が次々に浮かびあがるなど、アニメならではの独自の演出も多い。淡々と描かれていた映画版とは違い、荒木と馬締のはじめての邂逅シーンではドラマチックなBGMがかかるなど、演出の方向性も違うものとなっている。
しかし盛り上がりすぎて、なんかもうここから二人の恋がはじまりそうなシーンに・・・。
観覧車
冒頭に登場する、海の中に浮かぶ観覧車。
原作では馬締が香具矢とデートした場所だが、アニメ版ではこの観覧車が随所にモチーフとして現れる。
松本先生の自室にも模型の観覧車が飾られている。
お馴染みの用例採集カード
辞書に載せる「言葉」・・・単語に語釈をつけて記録したもの。
映画を観ているとわけもなく欲しくなる重要アイテムの一つ。アニメでも描写されているが・・・
用紙が・・・白い!!
映画版とは違いなんか新しそう。
リアリティ?を考慮してか、エンピツで書かれていたものもボールペン的な字に。
綺麗な作画でスッキリと描かれているせいか、全体的に小道具などから古臭さは抜けている印象。携帯を使う描写も一切なく、時代設定は1995年のままだと思われるものの、年代を表すものがあまり登場しないので、もしかしたらもっと近代を舞台にしている可能性も・・・?
※10/17追記※
「四次元ことばブログ」様の記事にて、雑誌などの年代からアニメの時代設定はおそらく「2000年」となっているとのこと。詳細は下記リンクから。
そしてどこのアニメでも気合が入っている猫
タケさんが飼っている猫のトラさん。
耳がピクピクッと動く様子や尻尾のフリフリ具合など、3月のライオンといい、描写にものすごい力が入っている。可愛い。
謎コーナー・おしえて!じしょたんず
サンリオとコラボした結果うまれた、擬人化・・・じゃなくてマスコット化した辞書たちによるショートアニメーション。毎回辞書にまつわるちょいネタを披露してくれる、CM前の謎コーナーである。・・・誰得?
最後に!
映画版の静かな雰囲気しか知らない人間だと、思いのほかポップなOPや馬締のキャラの違いに若干とまどうかも?逆に、映画が静か過ぎてつまらなかった!という人はアニメの方が観やすいかもしれません。
個人的な感想ですが、「僕街」では主人公に俳優を起用したこともあるノイタミナで、今回の櫻井孝宏さんと神谷浩史さんという人気声優コンビのキャスティングは、できるだけ映画版の松田龍平さんのイメージから変えようとしているからなんじゃないか?と思いました。演出も明るめで、盛り上がるところは盛り上げていこーぜ!的なノリでしたし。
どのメディアから観たかで印象が変わりそうなので、特に原作しか知らない方、全くストーリーを知らないで見ている方、それぞれの感想が聞きたいところです。
↓映画版はこちら!
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