※アニメ第一話のネタバレあり!
※原作はほぼ未読の状態で視聴しています。
結論:音が素晴らしい・・・!
出所したその日に、落語家・八代目有楽亭八雲の元へ赴き、「弟子にしてくれ」と頼む元チンピラの与太郎。彼は1年前、慰問で訪れた八雲の落語「死神」を聴いてから、心底八雲に惚れ込み、八雲の弟子となり落語をやると心に決めていた。八雲は弟子はとらない主義と言われていたが、「帰るところがない」という与太郎の話を聞き、何故か与太郎を「拾って」家へ連れていく。其の日から与太郎の、落語漬けの日々が始まった──
■キャスト
八雲:石田彰
与太郎:関智一
小夏:小林ゆう
松田:牛山茂
忠実に再現された落語シーン!!
落語のシーンは端折ることなく、石田彰さん演じる八雲による「死神」などは、かなりたっぷりと時間をかけていました。別録などで一人で演じたりすることは多いでしょうが、声優さんがアニメで、たった一人で一つの物語を演じるということは滅多にないように思います。落語家さんの様に動きはないけれど、声だけで他人を演じきる声優さんの底力が試されているよう!そして石田彰さんは見事、昭和最後の名人と呼ばれる落語家の噺っぷりを演じきっていました。
映像面では、落語家さんの一挙一動が本当に事細かに再現されていました。
普段客席からは見えない足の裏の部分や首筋を流れる汗など、細かい所作の描写が丁寧にされていてびっくり!
上記の演出が使われた、与太郎が兄貴分の男に聞かせた落語「出来心」を、ほぼ10分間、ずっと喋り続けた関智一さんのシーンは素晴らしかった!近年のアニメでこれほど声優さんの芝居が重視されるアニメがあっただろうか・・・!
ひよっこ新米の役をベテラン声優さんが違和感無く演じれるということも、本当に凄いことなのだと思います。またこの時の、最初の嘲笑のようなお客さんの笑い声が、徐々に本物の「笑い」に変わっていく流れがしっかりと演出されていたのにも涙がでました。
1話で登場した落語
■「死神」
与太郎が八雲に弟子入りするキッカケとなった落語。ヨーロッパの死神の話を翻案し作られたもので、死神が見えるようになった男の顛末を描いたもの。
■「出来心」
兄貴分にいいように使われる、間抜けな泥棒の男の噺。与太郎はこの噺に、チンピラ時代の兄貴分の男と自分の姿を重ねていた。
■「鰍沢」(かじかざわ)
1話のラストで八雲が演じたもの。大雪の中道に迷い、とある一軒家に助けを求める。そこで出逢った女の話。女の声色を演じる石田さんの色気が半端ない。
ベテラン声優陣の抜群の安定感
どこか色気を感じさせる八雲を演じる石田さん。近年は若い役だけではなく、中年以上のお歳の役をやることも増えてきた印象。声色を一瞬で変えるシーンでさわっと鳥肌が立っちゃった。当初の与太郎に接する態度は、「師匠」というより本当に父親のような感じで、微笑ましいような、何か裏がありそうな、ちょっと引っかかる態度でした。「ひ」を「し」と発音するのは江戸っ子・・・つまり八雲は東京生まれの東京育ちということなのかな?
他、八雲の世話役兼運転手の松田を演じているのは、幼い頃ディズニー映画などでお馴染みだった牛山茂さん!聴いているだけで安心するお声です。最近のアニメでお声を聴くのは久しぶりかもしれません。その他にもサバサバした女性・小夏を演じた小林ゆうさんをはじめ、役者さんの声の芝居をじっくりと聴けて嬉しかったです。
【来週の展開は】
1話は必死の思いで弟子入りした与太郎が舞台での失敗により破門され、それでも尚食い下がり、八雲から「自分の落語を見つけろ」、そして「自分より先に死ぬな」と、どっかのアパートの管理人みたいなことを言われて終了。来週は、小夏の父親と八雲の過去話が主となるようです。
最後に!
このアニメの太鼓や三味線の音のリアルさや、細かい落語家さんの所作の演出の素晴らしさに1話目から酔いしれました!来週、林原めぐみさんが歌う「薄ら氷心中」に映像がつくのが楽しみです!
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