ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館
2012年 イギリス
監督:ジェームズ・ワトキンス
※本編ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意ください※
/主要人物/
■アーサー・キップス(吹:小野賢章 )
妻を亡くし、一人で息子を育てている。
演じているのはハリーポッター役でお馴染みのダニエル・ラドクリフ。
吹き替えもハリーと同じく小野賢章さんが担当している。
■サム・デイリー(吹:菅生隆之 )
アーサーが仕事で村を訪れる際、汽車の中で出会った男性。
何かと手を貸してくれる親切な人。
■黒衣の女
アーサーが仕事で訪れたイールマーシュの館で見かけた謎の女。
最大の見所:父親役を演じるラドクリフ!
どうしても見た目が「4~5歳の子供がいるには若すぎね!?」って思ってしまう。演じているのが22~3歳の頃なので実際若いのだが、やっぱりハリーのイメージが強すぎるのが原因なんだろう。吹き替え版の小野賢章さんもアニメではもっぱら少年役を演じているので、ラドクリフ&賢章先生の父親役の演技を観れる(聞ける)のはこの映画だけかもしれない。(因みに、ラドクリフも小野さんも1989年生まれなので同い年)
ゴシックホラーの定番:不気味な館!
満潮になると道が消える、モン・サン・ミッシェルの様な場所にポツンと佇む古い館。周りは沼、海からは霧・・・日本では絶対に存在しない英国ならではの屋敷の雰囲気はゴシックホラー好きにはたまらないものがあります。
館には古びたオルゴールや不気味な子供のおもちゃがたくさんありますが、三猿(見ざる・聞かざる・言わざる)の置物やサルのオルゴールなどが意味ありげに映るのは、"見ざる"に「黒衣の女を見ると子供が死ぬ」という暗喩が込められているのではないかと。
世界観や舞台など、ゴシックな雰囲気は非常に良い作品です。
亡霊の理不尽さ
家に一歩でも足を踏み入れたら即呪ってくる「呪怨」の伽椰子といい、幽霊とは大体理不尽なものですが、この映画の亡霊の理不尽さもなかなかのもの。
息子を実の姉にとられてしまい、更に息子が沼で溺死してしまってからは完全に正気を失い、絶対に許さないと書き記して自殺。その後全然無関係の村人の子供たちを死に追いやり、子供達の幽霊を周りにはべらせるという・・・
泥だらけになりながら沼に沈んだ我が子の遺体を引き上げてくれた主人公に対しても容赦が無かった亡霊の姿に、井戸から自分の死体を見つけてくれた主人公の旦那を全力で呪ってきた「リング」の貞子を思い出しました。
成仏してくれよ!!
~こんな人にはオススメできません~
■ビックリ系は怖くない人
不気味な館の雰囲気はいいのだが、いかんせん恐怖描写は古典的な「おっきい音で驚かす」タイプのものなので、それ系が怖くない人は肩透かしを食らうかもしれない。
■子供が犠牲になるホラーはNGな方
子供を奪っていく亡霊という設定なので、小さい子供が死んでしまう描写が多い。苦手な方にはオススメできない。
最後に!
びっくり系ホラーではありますが、画的な怖さもさほど無く、謎解き展開も静かに淡々と進んでいくのでホラー映画としてはそれほど怖い部類には入りません。
個人的な不満は、思わせぶりに出てきた主人公の奥さんの幽霊が何もしなかったこと。守護霊的にダンナと子供守ってくれるとか!何か無いんかい!!
妻を亡くして以来 幽霊でもいいから会いたいと願っていた主人公がラストで奥さんに会った時、子供と一緒に嬉しそうに笑い、奥さんと手を繋いで歩いていく姿に「これがメリバってヤツか・・・(*1)」と思ってしまいました。
そしてまさかの続編が本日から公開!
この設定で続編って・・・嫌な予感しかしない!
↓理不尽な呪いといえばこれも負けてない。
*1:メリーバッドエンドの略。周りから見ればバッドエンドだが当人たちにとってはハッピーエンドかもしれないエンディングのこと。