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【映画】ハロウィン ネタバレ感想(1978年)~伝説の殺人鬼、マイケル・マイヤーズ登場!彼が人を殺す理由とは?

ハロウィン オリジナル劇場公開版 [DVD]
恐怖度 ★★★
BGM ★★★★★
結論:ある意味おねショタ?

1978年 アメリカ
監督:ジョン・カーペンター

※犠牲者&生存者、ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

ストーリー

1963年10月31日。
ハロウィンの夜。
ハドンフィールドに住むジュディス・マイヤーズが、実の弟のマイケルに殺されるという事件が起きる。

わずか6歳の少年の犯行に、裁判所は「マイケルを精神病院に隔離し、21歳になったら改めて彼を裁判にかける」という判決を下す。しかし、マイケルの担当医のルーミス医師は、マイケルは善悪の区別がつかない非常に危険な人物だと警告する。だが、その話に耳を傾けるものはいなかった・・・。

そして15年後・・・
1978年10月30日。ハロウィン前夜。
マイケルが収容されている精神病院にやってきたルーミス医師は、病院から患者が解き放たれているところを発見。その混乱に乗じ、なんとマイケルはルーミスの公用車を奪い逃走してしまう。

そして10月31日。
ハドンフィールドに再び、ヤツが帰ってくる・・・!

登場人物

ローリー・ストロード(吹:藤田淑子)

ハドンフィールドに住む女子高生。
本が好きで勉強が得意。真面目で奥手な性格で、同級生たちのように男遊びに積極的ではない。子守のバイトをしており、ハロウィンの夜はトミーという男の子の面倒を見る予定だった。
そしてハロウィン当日。自分を見ている不審な男がいることに気付いたが・・・。

包丁を持った殺人鬼を、編み棒とハンガーという生活雑貨で撃退した最強のヒロイン。だが、撃退成功!→安心する→近くに包丁を放置→マイケル復活。・・・というコンボを2回繰り返す学習しない系ヒロインでもある。せめて包丁は遠くに捨てろよ・・・。

1作目ではなぜ彼女が狙われたのか意味がわからないが、2作目では「マイケルの実の妹」という設定が追加され、その後何作にも渡り命を狙われ続ける運命となってしまった(高校の授業で先生が運命について話していたのは伏線だったのだろうか)。

ちなみに演者のジェイミー・リー・カーティスは、映画「サイコ」でヒロインを演じたジャネット・リーの娘。親子そろって絶叫クイーンとなった。

ルーミス医師(吹:石田太郎)

マイケルを担当した精神科医。
姉を殺したマイケルを診察し、彼の底知れぬ邪悪さに気付いた唯一の人物で、最初の8年間は彼を理解することに努め、その後の7年間は彼を拘束し続けることに全力を注いでいた。

マイケルの危険性を誰よりも理解しており、脱走後の彼の部屋から「SISTER(姉)」という言葉を発見したあとは単身マイケルを追ってハドンフィールドへ。彼の実家に張り込みをする(その際、肝試しにきた子供たちをオバケのフリをして追い払うなどちょっとお茶目な面がみれる)

マイケルを倒すことに執念を燃やしており、遭遇した時は躊躇なく発砲するなど殺すことも厭わない。シリーズ通してマイケルのライバルだが、まだ方向性が定まっていなかった1作目ではやることなすこと裏目に出ているように見えなくもない。

犠牲者たち

■ジュディス・マイヤーズ
マイケルの姉。
ハロウィンの夜カレシといちゃいちゃしたあと、パンイチでいたところをマイケルに刺殺された。

■ゆきずりの作業員
マイケルがハドンフィールドへ向かう途中、「服を奪う」というただそれだけの理由で殺害されてしまった可愛そうな男性。

■アニー(吹:弥永和子)
ローリーの勝気な女友達。
保安官の父への反抗心のせいか、隠れてタバコを吸ったり、父親がいない隙に男友達を連れ込んだりと自由奔放。作中ではナマ着替えシーンやパンツまる見えシーンがあったりとセクシー担当でもある。

中盤はホラー映画のフラグ(急に外から聞こえた物音、吠えていた番犬が急に静かになる)をことごとく無視したおかげで生き残っていたが、男を迎えに車に載った途端マイケルに殺されてしまう。その死体はベッドへと運ばれ、マイケルの姉の墓石が供えられていた。

■リンダ(吹:小谷野美智子)
ローリーの女友達2。
ハロウィンの夜、アニーの家まで男友達と共にやってくる。アニーが子守をしていた子供がいないのをいいことに、人ん家で彼氏と盛り上がりまくっていたが、ローリーと電話中、彼氏のフリをしたシーツおばけ姿のマイケルに、受話器のコードで首を絞められて殺害される。

■ボブ(吹:田中秀幸)
リンダの彼氏。メガネ。
アニーの家でイチャコラしまくっていたが、一人でビールを取りにいったところをマイケルに殺害される。死体はその後、ローリーをビビらせるためだけに吊り下げられてしまった。

生存した人物

■トミー(吹:池田真)
ローリーがベビーシッターを担当しているショタ。
イジメっ子たちから「ブギーマンがくるぞ~」と吹きこまれて素直に信じたり、近くにあるマイヤーズの家にオバケが出るといって怖がったりと、色々と可愛い。

序盤でローリーと共にマイヤーズの家の前にいたところをマイケルから見られているせいか、学校までストーキングされていた。犠牲者になるんじゃないかとハラハラしたショタコンも多い。

中盤はマイケルを幾度も目撃するも、つなぎに白マスクという不気味な姿から「(ハロウィンのおばけの)ブギーマンがいる!」と騒いだため、ローリーに信じてもらえなかった。しかし彼の存在がルーミス医師がローリーの家にやってくるきっかけとなったため、ある意味ローリーの命の恩人ともいえる。

■ブラケット保安官(吹:細井重之)
バトンフィールドの街を守る保安官で、アニーの父親。
マイケルが危険人物であると再三警告をしてくるルーミス医師に付き合い、ハロウィンの夜に見回りをしてた。娘の友達にも気さくに話しかけたり、ルーミスの話をとりあえず信じたり、「もしそんなヤツがいたら、滅ぼすのが私の使命です」と発言するいい人だったが、娘を失う形となってしまった・・・。

■リンジー(吹:土方結香)
アニーがベビーシッターをしている三つ編みの少女。テレビ大好きで観ている時は片時も離れようとしない。この子も結構フラグが建っていて気が気ではなかった。

アニーが男とイチャつきたいがためにローリーの家に預けられる。ブギーマンを信じてくれないとスネるトミーに「信じてあげるわよ」と言っておきながらその数粉後には「そんなのいないわ」というクールガール。トミーと共に無事生還した。

■助手の看護婦
序盤に登場した、ルーミスの助手らしき看護婦。
21才になったマイケルを外へ連れ出すため、護送車らしきものを運転していた。マイケルに襲撃されながらも生き残った珍しい登場人物。

■ウィン医師(吹:桑原たけし)
1ではちょろっとだけ登場。
ルーミスと懇意の医者でちょい役だった。
だが6作目でろくでもないことをしやがる。

マイケル・マイヤーズ(ブギーマン)

白マスクの殺人鬼。
6歳で実の姉を殺したあと15年間精神病院に入れられたが、そのあいだ一言も話さずにいたらしい。が、これはルーミス曰く「ただ病気を装っているだけ」であり、彼からは純粋な邪悪さがあると称されていた。

作中では15年間病院にいたはずなのになぜか車の運転ができたり、脱走するときも他の患者を解き放ち現場を混乱させるなど、知能はかなり高いことが伺える

正真正銘の人間だが、素手で車の窓ガラスを叩き割る、ドアをぶち壊す、片腕で男を持ち上げるなどとんでもない怪力の持ち主・・・のはずなんだが、編み棒とか針金とか細いもので倒されすぎじゃねーの!?
1作目の殺し方は、基本は馬鹿力で首を絞める、包丁で刺殺などごくごく普通の殺害方法であり、他のホラー映画のモンスターたちと比べると地味。作中では終始無言で、荒い息遣いだけが聴こえてくる。
しかしルーミスから銃を6発撃ちこまれても死なないなど、人間のはずなのに不死身の体を持つという不気味さもある。

作中での活躍

ルーミスの車を奪いハドンフィールドへ戻る最中、作業員を殺害。服(つなぎ)を奪い、街につくとまず姉の墓石を盗み出していたようだ。その後、今は空き家となっている実家へと戻る(のちにルーミスが家に入った時には、犬の死骸があり「マイケルが食べた」と発言しているが、本当に食べていたのか、単に殺していたのかは不明)。

その際、玄関越しにローリーとトミーの姿を目撃。その後はそれぞれの学校までストーキングを繰り返し、ローリーと一緒にいるアニーやリンダの姿も目撃している。

店で包丁やロープやマスクを盗んだあと、スピード出しすぎと煽られたのが腹が立ったのか、それともただのついでだったのか、まずはアニーを殺害。アニーの家にいたところにやってきたボブとリンダも殺害する。このリンダ殺害時の、シーツをかぶって死体から盗んだメガネをかけ、ボブのふりをしているマイケルの姿は一見の価値あり。

3人を殺した後は死体をセッティングし、家にやってきたローリーを死ぬほどビビらせる。そのあとは仕留め損ねたローリーを追いかけ彼女の家にまで乗り込んでくるが、逃げ出してきたトミーを見てやってきたルーミス医師の銃弾を喰らい、2階のベランダから落下するも、忽然と姿を消した。

素顔は?

作中では抵抗したローリーにマスクをはがされ、一瞬だけ素顔がみれる。が、白マスクの下の素顔はいたって普通の人間の顔(むしろ中の上)である。姉を殺したときもマスクをしていたので、素顔を隠して殺すことに何かこだわりがあるのかもしれない。

家庭環境について

1作目ではとくに虐待されていたとか家庭が壊れていたといったことはなく、ごく普通の両親に育てられた大変可愛らしい少年である。
その後マイケルが精神病院に入院しているあいだに、両親は交通事故で亡くなっている。

なぜ実の姉を殺したのか?

「ハロウィン」の面白いところは、理不尽な殺人ではあるものの理由なき殺人ではないというところ。そして「なぜ肉親を殺したのか?」が謎に包まれているところである。
2作目以降、マイケルが「なぜか血縁を殺すことに執着している」ということは明らかになっているが、1作目ではまだローリーが妹ということが判明していないため、ここでは敢えて違う解釈をしたいと思う。

ルーミス医師曰く、姉を殺した時の状況から「ここから(彼氏といちゃつく)姉を見た。そして激しい興奮を覚えたに違いない・・・」というセリフがある。そのため、1作目で姉を殺した理由は「姉への嫉妬」だと推測される(姉の彼氏を殺さなかったのは力では叶わないという冷静な判断だったのかは不明)。

また「血縁を殺す」というルールだが、1作目では彼は両親は殺していない。殺す前に事故死したせいかもしれないが、SISTERという文字を残していたことから、1作目ではやはり家族というより「姉」への執着が凄まじいように思える。

15年経って姉と同じ年ごろの女を中心に殺していたことや、アニーの死体に自分の姉の墓石を供えていたことから、姉と同年代の女性を、自分の姉と同一視していたように思える。

姉をとられたことからの暴走だったのか。淫らな姉ではなく、自分だけの姉を望んだ挙句の犯行なのか。姉への性的興奮と殺人衝動が結びついてしまったのか?

彼の異常な執着の正体は、今なお明らかにされていない。

ジョン・カーペンターの秀逸な演出

暴力シーンは殆ど無く、昨今のような荒唐無稽な殺し方もないこの映画。見ようによっては静かすぎるとも言えなくもないが、冒頭のジュディスが殺害される一連のシーンが犯人側の目線で描かれており、目線の低さや一瞬映る手の小ささからそれとなく「犯人が子供」であることが解るニクい演出など、低予算ながらも秀逸な恐怖演出が随所に見られる。

そしてなんといっても、無言の殺人鬼がつきまとい、微動だにせずじっと見つめてくる・・・そんな恐怖を彩る、ジョン・カーペンターの「HALLOWEEN THEME」!この映画を傑作にしている要因の一つである不安を掻き立てるようなこの旋律は、声無き殺人鬼の言葉そのものなのかもしれない。

Halloween Theme

Halloween Theme

  • ジョン・カーペンター
  • サウンドトラック
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

最後に!

ハッピーハロウィン!!
・・・な日にはぴったりな映画!次々に人が殺されるホラーですが、冒頭の姉の殺害シーンをマスク越しに描くことで露骨なグロ表現を避けていたりと、殺人描写が案外グロくないというのも魅力ですね。常識的な殺し方なのに、存在はどこか非現実。現れる時も基本棒立ちで、気付いた瞬間にはふっと姿を消す・・・みたいなのの繰り返しは、日本のホラーの幽霊の描き方とも似ています。

70年代のホラーですが、なんともいえない不気味さがたまらない作品でした!

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