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スケア・キャンペーン ネタバレ感想(結末・あらすじあり)~ドッキリかと思った?残念!本物でした!!

スケア・キャンペーン(字幕版)

グロ度 ★★★★
テンポ ★★★
要約:やらせは死ぬべし。

2017年 オーストラリア
監督:コリン・ケアンズ

※ラストのオチのネタバレあり。
※感想だけを読みたい方は目次から。

目次

あらすじ

ドッキリ企画

『スケア・キャンペーン』
毎回ターゲットを手の込んだ仕掛けと本物の役者を使って驚かせる、本格派ホラー系ドッキリ番組。5シーズンを越えるそれなりの人気長寿番組だが、ここ最近はネット上で本物の殺戮ショーを繰り広げる『マスクフリークス』に若者は夢中で、番組の視聴率は下がり続けていた。

この状況を打開しようと、もっとリアルで胸糞な方面に舵を切ろうとするクソ野郎こと女プロデューサーの命令により、急遽新しい企画を練りだすはめになったディレクターのマーカス。だがマーカスの恋人でありスケア・キャンペーンの仕掛け人役でもある女優のエマは、段々と過激になり、死人すら出しそうな勢いの番組に嫌気がさしていた。

そんな中
新人女優のアビーも加わって、廃墟と化した精神病院での新生ドッキリ企画がスタートする。

ターゲットは以前この精神病院で庭師として働いていた男性・ローハン。アビー演じる少女の幽霊が窓辺に佇む姿を目撃し驚愕するなど、心霊ホラーな雰囲気で掴みもバッチリ。だが、ローハンみるからに情緒不安定で、ヤバい雰囲気を醸しだしている。番組の中止を訴えるエマだが、マーカスは耳を貸さない。そして本格的にドッキリが始まった。

一人でに開くドア、不気味な笑い声、走り去る少女の幽霊・・・。次々と仕掛けが作動していく。だがアビーが目の前に現れた途端、ローハンは持っていたペーパーナイフでアビーを滅多刺しにし、隠しカメラで撮影していたトニーを絞殺してしまう!

アビーを助けようとするエマだが、駆けつけた時には彼女は窓の下に放り投げられた後だった。そしてマーカスから、ローハンは以前精神病院の庭師として働いていたが、患者もであり暴力事件も起こしていた過去を持つ狂人だったことを聞かされる。

病院内を逃げ回るエマ。
だがスージーを殺され、さらに、武器をペーパーナイフから斧に持ち替えいよいよ本気出してきた殺人鬼に追い詰められてしまう。

そこへ仲間のJDが現れエマを助けるも、制御室にいたディックとマーカスまでローハンに襲われてしまう。車で逃げようとする2人だが、キーがない。JDはスペアを探しにいってしまい、一人車内に残ったエマ。だが後部座席には、B級映画よろしくゆっくりと起き上がってくるローハンの姿が・・・!

彼に驚き、咄嗟にアイスピックで応戦し逃げ出すエマ。手を貫かれ、痛みに絶叫するローハンは、イヤホンから誰かに連絡をしていた──。

そう。
これこそがスケア・キャンペーンのドッキリ企画だった。

ターゲットはローハンではなくエマ。ローハンに殺されたメンバーは仕掛け人だったのだ。全員スタッフのくせに演技うますぎるだろとか言ってはいけない。

全てはイタズラ・・・のハズだった。

殺人鬼現る。

撮影の中止をマーカスに訴えるローハンことトレント。そんな彼の目の前に仮面の集団が現れる。てっきりこれもドッキリかと思いきや、トレントは本当に殺されてしまう。続いて管制室にいたディックを殺し、監視カメラのシステムを乗っ取った仮面の集団・・・《マスク・フリークス》は、マーカスたちをターゲットに殺戮ゲームを開始する。

自分がドッキリのターゲットだったことを知り怒り心頭状態だったエマも、仮面集団が現れたことで今度は本当に自分たちが殺人のターゲットにされていることに気付き、マーカスと一緒にアビーや他の仲間たちを助けようとする。が、アビー以外の仲間は全員殺され、残るアビーもゲームの材料として生き埋めにされてしまった。

制限時間の5分以内に助けなければ窒息死という結構な無理ゲーだが、構わずアビーを救おうとするエマ。だがそう簡単にクリアさせるわけにはいかないと、彼らの後ろを電動カッターを武器にしたマスク野郎が追う!

が!!
いかんせんミスが多く、物音を立てて気付かれるわ、持ってた武器のカッター部分が外れて一瞬で攻撃力0になるわ、ザコもいいとこなマスク野郎。しかもやけっぱちになったのか女性とはいえ凶器を持っているエマに向かって自ら突進し、盛大に自滅する。そのおかげで制限時間にはあっさり間に合い、アビーを助けることに成功した。

だが勿論それでめでたしハッピーエンドというわけにはいかず、マスク集団に囲まれてしまう3人。だがリーダーから、今回は騙される側だったエマに「マーカスかアビー、どちら一人を選んで良し!」という、ラッキーボーナスが与えられる。

マーカスも覚悟を決め、アビーを助けてマスクフリークスの正体を暴くようエマにいう。恋人と泣きながら別れのキスをかわしたエマは、アビーを連れ車で脱出した・・・。

結末(※ラストのネタバレあり)

拘束されたマーカス。
仮面集団に向かって「残酷さで気を引くだけで創造性のかけらもない!」「トリックや意表をつく展開は!?」など割とブーメランな発言を繰り返す。

そんな彼の目の前に、アビーが生き埋めにされた時の映像が映される。そこには苦しむ演技をしたあと、「カット」の声と共に楽しそうに笑い出すアビーの姿があった。マスクフリークスのスパイはアビーだったのだ。

真実を知り、全てに観念したマーカスは、生きたまま地獄の業火に焼かれていった・・・。

主要人物

■エマ(演:ミーガン・ワーナー)
今作のヒロイン。
3年間「スケア・キャンペーン」で仕掛け人をやっている女優。番組が過激になるにつれ、いつか問題を起こすのではと心配していた。ディレクターのマーカスとは恋人同士だが、しょっちゅう別れ話をしてはくっつくを繰り返している。とはいえ、なんだかんだでラブラブ。

仲間思いで正義感が強く、アビーが襲われたと知った時には危険を顧みずに一人で助けにいった。が、イっちゃってる男に超近距離武器のアイスピック1本で立ち向かおうとするなどかなり無鉄砲。それでどうやって勝つ気でいたのか。後半はドリル的な手術道具に持ち替えたが、それだけで武装集団相手に立ち回れるのは某スリラー映画の最強逸般人ヒロインぐらいである。

これまでの善行と一人を屠った功績を認められたのか、なぜか生存権を与えられ脱出するも、ラストでは車内に残されたカメラとアビーのやけに落ち着いた様子から、何かに気付いた素振りをみせていた。

■マーカス(演:イアン・メドウズ)
「スケア・キャンペーン」のメインプロデューサー。ハプニングを好み、エマとは別れ話が絶えないというのに今回のようなドッキリを仕掛けたり、手を串刺しにされたローハンに「もうちょい頑張って」とムチャぶりするなど倫理観に大いに問題はあるものの、マスクフリークスの殺人フィルムには難色を示すなど、一線はギリギリ越えていない。本来この企画も、「ターゲットの男がスタッフを殺害。だが死んだと思われたスタッフたちが目の前に現れる・・・」的な、悪趣味とはいえ結局はB級ホラーのようなフザけたノリのものだった。

事態に気付いた後はエマと共に行動。終盤にマスク集団に捕まった時も、命乞いをすることなくアビーを助けるようにいうなど漢っぷりをみせる。スパイの存在には気付いていたものの、ラストで真相を明かされた時は「なかなかのオチだ」といって、諦めきった表情で暴れることもなく炎にまかれていった。

■アビー(演:オリヴィア・デヨング)
本名はアビゲイル。
新人の若手女優で絶叫が得意。ホラーもイケる口らしくノリノリで悪霊を演じていた。だが少々芝居がデカい。幽霊少女役としてローハンを驚かしている最中に殺され、窓から放り投げられる・・・という役だった。

その後は生き返ってベッドでのんびりと待機していたところを仮面集団に拉致され、「リミット」が如く生き埋めにされてゲームの時間制限役となってしまう。だがエマとマーカスの活躍により救われ、最終的にはエマがアビーを救うと選んだことで無事生還した・・・かに見えたが、実際は彼女こそがマスクフリースクのスパイであった。(マスク集団の台詞から、彼らのファンであり、彼女が企画を提案した可能性が高い)

ちなみに、演者はシャマラン監督のホラー映画「ヴィジット」でお姉ちゃん役の人だったりする。

TVクルーたち

■ディック
音響やカメラ、メカニックによるギミックなど、機械系全般を担当。頭を輪切りにされるという今作一グロい死に方をした。

■スージー
スタッフの女性。
衣装担当だが仕掛け人もこなす。追われているというのにドアの窓ガラスの目の前にぼけっと突っ立っている時点でイヤな予感はしていたが、お約束通りにガラス越しに首をかっ切られて殺される・・・という役だった。

後半に目を潰された首吊り死体となって制御室の天井から吊るされていたが、ローハンの殺人ごっこ以降真っ先に姿が見えなくなったため、マスクフリークスに殺された最初の犠牲者かと思われる。

■JD
悪霊や魔女などホラーっぽい企画を打ち出すネタ係。B級ホラー的なノリが好きらしく、スナッフフィルムなど殺人拷問系は管轄外。血のりを用意したり幽霊メイクを担当したりと、裏方や雑務もこなす。終盤、アビーをさらおうとしたマスクフリークスを止めようとして殺害されてしまった。

■トニー
カメラマン。
プロデューサーのような気の強い女がタイプ。ホラゲーじゃないんだからそこは普通バレるだろ!という場所に隠れて撮影していたことが仇となり、絞殺される・・・という役立った。終盤は同様に隠しカメラ担当として狭い場所に隠れていた所を、隙間からチェーンソーでざっくりやられて死亡する。

■ローハン
精神病院編のターゲット。
以前病院で庭師をやっていたが、窓に映った少女(アビー)を異常に気にかけるなど、精神的にどこかヤバめな雰囲気が漂っていた。実は精神病院の元患者で、暴力事件も起こしていたマジモンの狂人であり、TVクルーたちを次々に殺害。本物の殺人犯となり、エマを追い詰める!

・・・と思われたが、実際は彼もマーカスが用意した役者の一人で本名はトレント。圧巻の演技力を持って見事に殺人鬼を演じ、その名誉にアイスピックで手を串刺しにされる。その後車内にいたところをマスク連中に殺害された。最高の芝居をしたのに・・・。

■ヴィッキー
番組のプロデューサー。
ガチ犯罪のマスクの動画をみて同じようなことをやれといった今作の元凶。なぜにこいつが丸焼きにされなかったのか理解に苦しむ。

殺人集団:マスクフリークス

『仮面の怪人』を名乗る厨二病的マスク集団。ネットで「スケア・キャンペーン」を真似たなんちゃってスプラッター映像を撮影しているグループに混ざり、その場にいる人間を皆殺しにしていく映像を動画で流していた。

2ヶ月前まではホームレスのおっちゃんをイジめるイタズラ動画ばかりだったが、視聴者が増えるにつれ拷問や殺人を平気で行うガチ犯罪集団となるまでエスカレート。現在のチャンネル登録者数は1500万人。バックになにがいるのか知らないが資金力のある世界的な組織らしく、接触は不可能。警察にも捕まらないらしい。んなアホな。

全員がピエロやアニマルマスクや透明宇宙人風マスクなど、どっかのホラー映画で見たことあるような仮面を着用。ナイフや近接武器にカメラをくくりつけた特製の凶器で武装しており、獲物を殺害するシーンをリアリティありすぎるアングルから撮影しネットに流している。常に集団で行動し、一帯を圏外にしたりハッキングを担当するメンバーがいたりと細かく役割分担がされており、グループの中に潜入するのにあらかじめスパイを送り込むなど、かなり大規模な犯罪組織であることが伺える。だが自滅ったメンバーがまだ10代だったことから、若者で構成されている組織のようだ。

感想:犯罪組織がチートすぎる

マスク集団はドッキリ被害者の会かなんかなの??なんでヒロインにそんな甘いんだあんたら。

勘のいい人なら、アビーが中高生が好きそうな動画を見ていたり、出番前に「もうすぐ始まる」と誰かにメールを送信していること。彼女だけが都合よく殺されないことやあのウソくせー映像で彼女が犯人側であることは解ってしまうので、オチは弱い。あと、犯罪集団が世界規模の組織で金持ちだからなんでもアリに出来るとか設定があまりにもチートすぎで草も生えない。なんなんだそのケロロの西澤さん家みたいな設定は・・・。

とはいえ、この強引なご都合主義が許せれば、あとはグロ描写も胸糞にはならない範囲に収められており、スピート感とテンポがいいため比較的見やすいスプラッターホラーとなっている。 あまり期待していなかったが、ローハンとエマの病棟内の鬼ごっこシーンのスピーディーさや、どんでん返しがぽんぽん続いていく感じは嫌いではない。だがあのカッターが外れてカラカラカラ・・・とエマたちの間を転がっていくシーンの一連の流れはギャグとしか思えねぇ。

リアルでこんなもんネットにあげたら人気どころか焦土と化すまで炎上すると思うが、反面、アメリカでは親が自分の子供のイタズラ動画に反響があったことでどんどんエスカレートしていき、しまいには虐待じみた動画を笑いながら投稿するようになった・・・なんて事例もある。殺人動画をフェイスブックにあげるという事件も少ないが起こってはいる。

反応があれば。
誰かが見ていれば。
評価されて目に見えて数字が上がれば・・・人間なんてなんだってやってしまえるのかもしれない。媒体がネットかテレビかなんて関係なく。

なーんて承認欲求を揶揄したようなストーリーに見えるけど、それならマスク集団はマーカスじゃなくて女プロデューサーを焼却処分するべきだったと思うけどな!!殺されたクルー側にそれほど悪人がいないせいか、諸悪の根源が生き残るとかまじ理不尽。(まぁ実際アビーがまぎれこんだ時点でどんな企画でも死んでたかもしれないけども)

スケア・キャンペーン(字幕版)
 

最後に!

タイトルの「Scare」とは「怖がらせる」「驚かせる」みたいな意味があるので、直訳すればまんま「ドッキリ★キャンペーン」みたいなタイトルになる今作。オーストラリアのスプラッター映画でしたが、ここ最近の新作ホラーの中では映像にも拘りが感じられて、案外悪くないクオリティでした。ラストの真相を知ったマーカスが泣き叫ぶこともなく静かに殺されていくシーンなど、アメリカン風のノリノリなスプラッター映画にはない、微妙な後味の悪さが逆に新鮮でしたね。吹替えがなく字幕版しかないのが惜しい作品でした。

↓すぷらったー、お好きですか!?