パニック度 ★★
グロ度 ★★
サメのスピード感 あくびがでらぁ。
結論:当時は飛び出ていたんだよ・・・。
1983年 アメリカ
監督:ジョー・アルヴス
※ラストのオチのネタバレあり。
※感想だけを読みたい方は目次から。
目次
あらすじ
サメ、三度登場
アミティ島で二度もホオジロザメの惨劇に巻きこまれたブロディ署長の息子、マイケル。成長し青年となったマイケルは島を出て、現在はフロリダにある巨大水族館『シー・ワールド』でエンジニアとして働いていた。だが水族館のオープン直前。壊れていた柵を修理していたスタッフが行方不明になっていたことを知り、海中エリアを捜索していたマイケルの前に、ホオジロサメが現れる。海と繋がっていたシー・ワールドにサメが迷いこんでしまったのだ。
金儲けのため、ホオジロザメを殺すところをショーにしようとする社長だったが、世界初のホオジロザメの飼育のチャンスだと、マイケルの恋人で生物学者のケイが生け捕りを提案。冒険家のフィリップと相棒のジャックの協力を得て、なんとか捕獲に成功する。だが捕獲したばかりで弱っていたホオジロザメを社長が勝手に客の前に出してしまい、サメはそのまま死んでしまった。
だがその後。
海底トンネルの客たちが海中を漂う死体を発見。それは行方不明になっていたスタッフのものだった。噛み傷から、彼を殺したのは捕獲したサメではなく、体長10メートルほどもある巨大なサメであることがわかる。
サメは1匹ではなかった。死んだサメは子供であり、まだ水族館には人間を喰い殺した母親ザメがいるのだ──!
混乱
その事実に気付いた直後、母親ザメが水族館を襲撃。大勢の客で賑わうシー・ワールドは一気に大混乱となる。さらにサメの襲撃で海底トンネルが浸水。隔離したエリアに一部の客が取り残されてしまった。
客を助けるにはトンネルを修理しなければならない。そこでフィリップとジャックが囮となって、サメをろ過パイプの中に閉じ込める。だが脱出の最中にフィリップの命綱が切れ、彼もまたサメと一緒に閉じ込められてしまった。持っていた爆弾を使うヒマもなく、喰い殺されるフィリップ・・・。
ラストのオチ
その後、パイプの中にいるサメを窒息死させようと社長がポンプを止めてしまったことで、再びサメが脱走。サメはそのままトンネルを修理中のマイケルに襲いかかる。一緒にいたケイがいちはやくサメに気付き、さらにイルカたちの助けもあって中央管制室まで逃げ切るも、サメが管制室のガラスを突き破り飛び込んでくる。
絶体絶命な状況のなか、マイケルたちはサメの口の中にフィリップの死体があることに気付く。その手にはいまだ手榴弾が握られたままだった。マイケルは爆弾のピンを抜き、サメを吹き飛ばす。
水面に出るとイルカのシンディが出迎えてくれた。だが、サンディの姿が見えない・・・。
諦めかけたその時。
2人の目の前に水飛沫があがる。サンディが飛び上がってきたのだ。
こうして、
マイケルにとって三度目の惨劇は、ようやく終わりを告げたのだった。
登場人物
■マイケル・ブロディ(吹:柴田侊彦)
演:デニス・クエイド
シリーズの主役であったブロディ署長の息子。島こそ出たが、あれだけサメに襲われてもなお海の近くで働いている。
三度サメの騒動に巻きこまれるが、サメの背びれに麻酔銃を命中させるなど主役らしく活躍。終盤は金具を溶接しトンネルを修理し、取り残されていた客の命を救う。
■ケイ(吹:幸田直子)
水族館でシャチやイルカの調教を担当している生物学者。イルカのシンディとサンディにはよくなつかれている。マイケルとは恋人同士だが、1年間スペイン語を習いにベネズエラにいくマイケルについていくか悩んでいる。
海洋生物全般に愛情を持っているようで、前例のないホオジロザメの飼育のチャンスだといって、サメを殺すことに唯一反対していた。また、サメの捕獲に同行したり、マイケルが修理中の時には彼の背後を守るため海に潜るなどなかなか度胸があるヒロインである。
■ショーン・ブロディ(吹:大塚芳忠)
マイケルの弟。
オープン前日に兄の家に遊びにきていた。
前作で目の前で人がサメに喰われたりとがっつり襲われた事がトラウマとなっているらしく、兄とは違って今でも海が大嫌いで、現在はコロラドに住みカウボーイをやっている。だが女の色気に負けてあっさりと海に入り、そのまま海の中でイチャついていた。
その後、肝心のサメ襲撃時には襲われたケリーに付き添いさっさと戦線離脱してしまうので、見せ場は殆どない。
■ケリー(吹:麻上洋子)
水上スキークラブの女性。
水族館のオープンイベントに出演予定で、前日にはリハーサルをしていた。が、実は危うくサメとニアミスするところだった。手押し相撲で大の男を倒すほどバランス感覚に優れていたが、ショーンの姑息な誘導で負ける。その後ショーンといい感じになり、夜の水族館に2人で忍びこんでイチャコラしていた。
オープン当日は休憩時間中にショーンとボートに乗ってデートしていたが、ホオジロザメに襲撃に遭い足を噛まれるも何とか逃げ切り、救急搬送された。
■フィリップ(吹:野島昭生)
海の冒険カメラマンとして有名な男性。捕鯨活動家でもあり、日本の捕鯨家をブン殴ったこともある。が、サメを壮大に殺して客寄せに使おうとするなど、サメは別に殺しても構わないらしい・・・。
中盤は真っ赤なダイビングスーツを着こみサメの捕獲を行う。サメに襲われたケイを助けるためナイフ1本で立ち向かうなどフラグを建てるが、終盤自ら囮となってサメを誘いこんだ際、命綱が切れてパニクっていたところをサメにぱっくんちょされ、お口の中でもぎゅもぎゅされて死ぬ。だが死してなお持っていた爆弾が、のちに主人公たちの命を救った。
■ジャック
フィリップの良き相棒。
彼のことを「伯爵」と呼び慕っている。終盤、血をまいて特殊な金属音でサメをおびき寄せ、フィリップが囮となっている隙に彼が外から柵を降ろし、サメを閉じ込めることに成功するも、フィリップが死んだと気付いた時には号泣し、誰よりも彼の死を嘆いていた。
■カルビン(吹:小林清志)
水族館の社長。
莫大な費用をかけて海底トンネルなど大規模な設備を持つ豪華な水族館を作り上げた。サメが出た時は真っ先に客の避難など対応は早かったものの、たかが魚1匹に水族館を壊すことをよしとしないなど、悪人ではないが欲深である。
そのため作中では、生け捕りにしたサメをケイの許可なく勝手に客の前に出して衰弱死させてしまったり、サメを閉じ込める作戦がうまくいったのに、サメを窒息死させようとして勝手にポンプを止め、逆に窒息しかかって暴れたサメが檻を突き破って逃げたことでフィリップの犠牲が無駄になったうえに、自分の甥っ子までそのせいで死ぬなど、ほんとに余計なことしかしやがらねぇ。
なのにラストでは女性オペレーターを救い、ちゃっかり生き残る。そこはおまえが喰われないとダメだろ!?
■オバーマン
水族館のスタッフ。
壊れた柵を修理していた最中にサメに襲われ死亡した。死体はのちに水中トンネルを歩いていた女性に発見される。今作唯一のグロ担当。
■シャーリーン
オバーマンの彼女。
家に帰ってこないオバーマンにブチ切れて水族館まで荷物を預けにやってくるが、それでようやく彼が行方不明になっていることに周囲が気付いた。「怒ってはいるけど憎んではいない」といってオバーマンを探すようマイケルたちに頼むなど彼のことを心底愛していたが、その思いが報われることはなかった。
■サンゴの密猟者
水族館のサンゴの森に忍び込み、サンゴを盗もうとしていた2人組。ショーンとケリーがイチャついてる最中に喰われたが、サメに襲われる直接的なシーンもなく、その後触れられることすらないため殆ど記憶に残らない。
■ガイドの女性
海底トンネルで客たちのガイドをしていた女性。サメの襲撃で浸水したトンネルに閉じ込められてしまうも、パニックに陥った大勢の客たちを落ち着かせ、残りの酸素を気にして息を浅くするよう進言するなど、突然の混乱にも関わらず冷静に対処していた。ガイドの鑑である。
■リサ
中央管制室のオペレーターの女性。ラストでサメの襲撃に遭い意識を失うが、カルビンによって助けられる。
■黒人のオペレーター
リサと一緒に中央管制室で働いていた男性で、カルビンの甥っ子。ケイを気遣うなど優しい男性で特に悪いこともしてないのに、なぜかカルビンではなくこの人がばっくりと喰われた。解せぬ!!
■シャチ
序盤にケイを乗せて登場するが、その後もずっと可愛い声で鳴いてエサをおねだりしている。いい子いい子~とケイの動きにあわせてうんうん頷く仕草がものすごく可愛い。
■シンディ&サンディ
水族館で飼われているイルカ。
そっくりで見分けがつかないが、ケイによると大きい方がシンディらしい。
今作一番のお役立ちコンビで、ケイを守るためサメがいると必死に訴えようとしたり、「来ちゃダメ!!」と首を振ったりとジェスチャーを繰り返し、サメ襲撃後は全速力でケイとマイケルを岸まで送り届けた。さらに終盤、サメから2人を守るため体当たりをぶちかますなど活躍。その際サンディがサメに襲われるも、最後の最後で無事であることがわかった。
今作の舞台:シー・ワールド
社長のカルビンが大金をつぎ込んで作り上げた巨大水族館。海に面しており、一部のエリアは海をそのまま使っている。「海底王国」という海中施設には、「沈没船」「海底ファン・ハウス」「サンゴの森」「海底レストラン」などがある4つのエリアと4本の海底トンネルがあり、トンネルは全て中央管制室と通じている。
水族館と海の境には柵があり普段は閉じられているが、何故かオープン前日に柵が壊れているのが発見された・・・。
今作のボス:親子ザメ
娘ザメ
体長3メートル。
オバーマンを捜索しに沈没船エリアにいたマイケルたちを襲撃した。その後の捕獲作戦中にはケイのボンベに噛みつくもフィリップに撃退され、マイケルに麻酔銃を撃ちこまれて捕獲された。
ストレスからかエサや薬を受け付けず、しばらく安静にさせる予定だったが、カルバンが独断で勝手に客たちの前にだしてしまい、イベントの最中に衰弱死してしまった。
母親ザメ
10メートルもあるバカでっかいサメ。
今作はアミティ島が舞台ではないので、これまでの個体とは一切関係が無いと思われる。
オープン前日に娘と共に水族館に迷い込み、柵を破壊。金属音に敏感で、柵の鍵をしめようとカチャカチャやっていたオバーマンを喰い殺した。その後はうろちょろしていた娘とは違い、ろ過パイプの中に隠れていたが、ポンプを止めたことで酸素がなくなり、マイケルたちの前に姿を現す。
水族館では水上スキーショーの女性たちを襲ったり、ピンポイントでショーンとケリーを襲ったり、トンネルを襲撃して浸水させるなど縦横無尽に暴れまわるが、死人は出ていない。
その後はフィリップたちの囮作戦に乗せられパイプの中に再び閉じ込められるが、フィリップも追いかけている時はものすご~~~~くゆっくり泳ぐ。終盤は狭いところに入ってくるシーンが多いせいか、とにかくのろい。シリーズ最遅のサメである。
また今作ではやたらお口の中がフューチャーされており、普段はなかなか見えない舌っぽいものまでよくみえる。そしてなぜか獲物を歯で噛まないで丸呑みにし、ずっとお口のなかに入れたままにしていた。人を食べるときはちゃんとよく噛んで食べなさい!?
感想:圧倒的スピード感のなさ
数年前にテレビで見た時は「なんだこのフザけた映像は!?」と思ってしまったのだが、あのクソひどいCGと止め絵のような演出は公開時3Dだったから、ということを最近知った。この事実を知らないと(知ってても)絵的に視聴は厳しいかもしれない。
だがそういった事情を抜きにしても、今作の前半のダルさ。特に物語に生きてこないマイケルとケイの遠距離恋愛話。メリハリのないカメラワーク。そしてなんといってもスピード感がまるでないノロノロしてるサメ・・・。これだけそろえばいかにあのBGMを使ったところで緊張感なんて出るわけがない。
ただ、1ではチビっ子だった息子たちが立派な青年となって主人公になっていることや、舞台が島ではなく当時の最先端の大型水族館になっていること。めんこいイルカやシャチの登場。サメが実は2匹いたというオチは悪くない。今作の数少ない見所の一つである「フィリップがお口の中でもぐもぐされているシーン」の、これがやりたかっただけだろ感とかも決して嫌いではない。むしろ好き。口の中からの視点で描かれる、まだ生きている状態でサメの口の中にいるという絶望感とかは、最高にありえなくても力技で面白いのだ。食材(ネタ)はいいのに調理を間違っちゃったという感じだろうか・・・。
そしてなんともいってもあのラスト!
10メートル級のでっかいサメの口の中にある、あんなちっっさい手榴弾のピンにだ
!針金みたいな鉄の棒ひっかけて爆発させるというあのちまちました感じ・・・。サメ映画史上、最高に地味な爆発オチとなってしまった。
何かと不遇な今作のボス。
せめて娘の仇ぐらいとらせてやって欲しかったぜ・・・。
日本語吹替え版について
日本号吹き替え版は2016年に発売されたブルーレイのみに収録されており、レンタル版には日本語吹替えはない。だが今作は字幕版の訳がかなりアレなことになっており、シーワールドがまんま「海中世界」と訳されていたり、「残業なしだぞォ~」「しみったれェー」などとにかくイカさないものが多い。フィリップの死に悲しむジャック・・・というシリアスシーンで「伯爵ゥ~」とか出てきた時にゃ笑ってしまったので、吹替版で見た方がいいかもしれない・・・。
また、このブルーレイには劇場公開時を再現した3Dバージョンが収録されている。当時映画館で見た!という人にはたまらない1品かも。2Dではどうしてもイマイチな評価になりがちな「3」だが、今の技術の3Dで見たらまた違った面白さがあるかもしれない。
最後に!
イルカ助かって喜んでるけど、名前も出てこない社長の甥っ子の死を誰か悲しめよぉぉ!!いい人だったろうがぁぁぁ!!
ど~しても事態を無駄に悪化させたカルビンが最後に助かるのが納得がいかねぇ・・・。あと、サメが完全に悪者なのに対し、イルカがあまりにも人間側に描かれているのにはちょっとうーむとなってしまうかも。可愛いんですけどね。
全体的にイマイチではあるものの、それでもまだ主人公一家の奮闘!という点ではシリーズとしてギリギリ機能はしていたと思う今作。けど今作の続編の「4」は正直・・・なかったことにしたいっ・・・!!
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