パニック度 ★★★★
映像 ★★★★
結論:犬を連れていれば勝つる。
2004年 アメリカ
監督:ローランド・エメリッヒ
※犠牲者&生存者、ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。
目次
あらすじ
南極で巨大な棚氷に亀裂が入るところを目撃した気象学者のジャックは、国連会議で、地球温暖化の影響で大量に氷が溶けることで海流の流れが止まり、やがて地球に氷河期がやってくると警告するが受け入れてもらえない。だが世界中のあちこちで異常気象が起き、ジャックの予想を遥に超えるスピードで地球の環境は激変する。
東京では巨大な雹(ヒョウ)が降り、アメリカでは竜巻や高潮が発生。さらに、一歩外へ出れば全てが凍りつく摂氏マイナス101度の冷気・・・スーパーフリーズが人々を襲う!
対応が後手に回ったことで、北部地域の住民の救出が絶望的になる中、息子のサムがニューヨークに取り残されてしまったことを知ったジャックは、サムの救助へと向かうが・・・
登場人物
気象学者たち
※吹き替えキャストはテレビ朝日版のものです。
■ジャック(吹:江原正士)
主人公の気象学者。
冒頭で棚氷が割れ、ファイトォーいっぱぁーつ!な目に遭う。主人公でなければ絶対に手袋が脱げて死んでいる。有史以前の古代の気象変動について研究をしていたが、地球に再び氷河期がやってきたことで急遽、異常気象の予報モデルを作成することに。
しょっちゅう家を空けるため息子との間に距離が出来ていたが、NYに取り残された息子を救う為、吹雪の中命がけの救助に当たる。
■ラプソン教授(吹:矢田耕司)
スコットランドの研究者。
国連会議後に最初にジャックの話を信じて味方となってくれた人間。仲間たちと共に海面温度の観測を続けていたことで異常に真っ先に気付き、ジャックにすぐに連絡をとる。
その後も観測データをジャックたちに送り協力し続けていたが、データの解析をした結果、スコットランド一帯は既に避難も間に合わず、自分たちの生存は絶望的という状況に陥る。ジャックに電話で「一人でも多く救ってくれ」と託した後、仲間2人と12年もののスコッチで乾杯し、その後停電したのを最後に彼と仲間たちの出番はない。明確な描写はないが、恐らく全員凍死したものと思われる。
■トミー
ロサンゼルスの気象センターに務める男性。彼女とオフィスラブ中に巨大ハリケーンが発生。緊急警報を出そうと情報を集めていたが、ビルの半分がハリケーンに持っていかれてしまい、彼女ともども犠牲となった。
■ジェフ
トミーの同僚。
休暇中だったが、トミーからの電話で職場に駆けつけようとしていた最中に巨大な竜巻に遭遇。車に乗って逃げようとしたところ、真上にバスが落下し死亡した。
■フランク(吹:宝亀克寿)
ジャックの20年来の同僚。
サムを助けに行ったジャックに自ら付き添うも、途中ショッピングモールのガラス屋根から落下。「買い物したくてちょっと寄ってみたんだ」と軽口を叩いていたが、2人分の体重を支えきれずガラスが割れそうになっていることに気付き、自らロープを切って落下。死亡した。
■ジェイソン(吹:山野井仁)
ジャックの仲間。
3人組の中で一番の若手。美人に弱い。冒頭で掘削機を操作を任されるも、起動してすぐに棚氷に亀裂が入ったことでビビりまくっていた。サムの救助にもついてくるが特に何をする訳でもなくあっいう間に気絶し、寝ている間に全てが終わっていた。
■ジャネット・タカダ(吹:藤本喜久子)
ジャパネットタカタではない。
NASAの研究者でハリケーン専門家の女性。ジャックの話を聞いて以降は味方となり、最後まで助力してくれる。
■トム(吹:津田英三)
ジャックの上司。
フランク同様トムとの付き合いが長く、かれこれ20年以上ジャックの無茶に振り回されっぱなしらしい。当初は予算状況をガン無視して副大統領にケンカを売ったジャックに苛立ちを隠せずにいたが、事態が緊迫していくにつれ正しく状況を把握。事態収拾のために尽くすようになり、彼に代わって政府の説得にあたる。ラストではヘリでジャックたちを迎えに来てくれた。
息子サイド&その他のキャラ
■ルーシー(吹:野沢由香里)
ジャックの妻。
医者であり、重病患者の子供・ピーターをほうっておけず最後まで一人病院に残っていた。一時は死を覚悟したが、終盤に無事救助された。
■サム(吹:野島健児)
ジャックの息子。飛行機が大の苦手。
天才的な頭脳を持つ高校生だが、頭の中で計算を行えるため、テストで途中までの式を一切書かずに答えだけ書いたところ、カンニングを疑われ留年させられてしまった。
学力コンテストのために訪れていたNYで事態に遭遇。仲間たちと共に図書館に逃げ込む。その際父親と連絡をとりその場に留まるよう厳命されるも、大勢の民衆を説得する事が出来ず、仲間と一部の人間と共に図書館に篭城することになる。
内気な青年だが、片思いの相手であるローラを救うためなら津波だろうがオオカミ相手だろうが立ち向かう勇気をみせた。
DVD版の吹き替えは浪川大輔さん。
■ローラ(吹:坂本真綾)
チームの紅一点。
サムたちのマドンナ的存在。外国語を話せることで、タクシーに乗っていた外国人親子を救う(この親子は後にローラたちと共に図書館に残る)。
最初はJDに惹かれていたが、窮地を救われたことでサムに心惹かれていき、水に濡れたサムを自らの体を使って暖めた(が、残念ながら不二子ちゃんのように素肌で暖めてはくれなかった)。
のちに、図書館へ避難する途中に足を切ったことで傷口が化膿し敗血症を起こしてしまう。
■JD(吹:渋谷茂)
学力コンテストに参加していたライバル校の高校生。序盤にローラとフラグを建てた。家が金持ちで、NYの交通が麻痺した際に家にローラたちを泊めてくれた。フィラデルフィアに弟がいる。
終盤にローラを救うために薬をとりにいくサムたちに同行するも、動物園から脱走したオオカミに襲われ、足を噛まれて負傷する。
■ブライアン(吹:勝杏里)
サムの良き友人。
オタク青年キャラ特有の機械いじりのスキルを持つ。DVD版の吹き替えは日野聡さんが担当している。
■ルーサー
ブッタという白黒わんこを連れた黒人ホームレス。自分たちを煙たがっていた警官についていくことを良しとせず、主人公たち側についたことで助かる。
■司書
ニューヨーク公共図書館の司書のおばさん。愛着ある職場を離れがたかったのか、主人公側につく。終盤では医療の本を使って、ローラの病気を敗血症だと判断した。
■ニット帽の女性
なぜか主人公側についた女性。描写が殆どないため、なぜ残ったのか理由がハッキリしないキャラ。
■メガネのおっさん
本を愛するおっさん。
図書館の常連だったためか外へは出ずに、主人公と共に残った。火を絶やさないために次々に本を燃やす中、活版印刷された最初の聖書・グーテンベルク聖書を守り続けていた。ちょい役ではあるが、文明が終わりを告げる中、人類の文化の始まりである『本』を守り続けたその姿は、人類が再び有史以前の文明に戻ってしまったことを意味するのかもしれない。
■警官
図書館に逃げ込んだ民衆をまとめていた警官。だが吹雪の中、南へ逃げ出す人間の姿を見たことで、大勢を誘導して図書館を出てしまう。サムの提案を聞かずに外へ出るも、同行者は次々に凍死。やがて、彼を含めた全員の凍死体をジャックが発見した。
■ベッカー副大統領(吹:糸博)
今作のヒール。
国連会議中からジャックの発言を軽視し、異常気象が活発になっても彼の助言に耳を貸さず、ギリギリまで民衆の避難指示を出さなかったことで最悪の事態となる。だが最後までホワイトハウスに残っていた大統領が吹雪に巻きこまれて死亡したことで今までの行いを悔い、臨時の大統領となった時にはこれからの環境修復に全力を賭けると考えを改めていた。
ラストのオチ
敗血症になってしまったローラを救うため、流れ着いたタンカーの中から抗生物質を取りに行ったサム一行。だがそこで、NYが台風の目の中に入ってしまう。スーパーフリーズが頭上から襲い来る中、間一髪図書館へ逃げ込むサム。
一方。
フランクを失うも何とかスーパーフリーズを回避したジャックはジェイソンと共に息子の捜索を続けていた。その後、雪に埋もれた図書館を発見。生存は絶望的かと思われていたが、本を焚き続けたサムたちは無事全員が生存していた。息子を助けたジャックを、救助のヘリを出迎える。そして彼らは高層ビルの屋上に次々に現われる、生存者の姿を発見する・・・。
最大の見所:見えない敵、スーパーフリーズ
ハリケーンのような姿をした低気圧。
台風の目に当たる部分には大気圏からの超低音の空気が一気に流れ込んでくるが、この冷気は一瞬にして人間を凍らせる威力を持つ。この『冷気』が今作の最大の脅威である。
高潮やハリケーンとは違い本来なら目には見えないが天空から降り注ぐように冷気が到来する様子や、はためく旗が一瞬で凍りつくなど視覚的に解りやすいCGで表現されており、また、人間に襲いかかるかのように氷ついていくスピード感がいい感じにスリルを煽っている。テンポよく物語が展開していくため、登場人物は多いが終始飽きさせず、見やすいパニック映画となっている。
感想:正しい判断をするという難しさ
ヘリが来れるなら父ちゃんが来る必要は果たしてあったのか。フランク無駄死にだったんじゃね?などツッコミどころはあれど、結構好きなパニック映画。
特に印象的なシーンは、当初大勢いた図書館の避難民が、2つのグループに分断してしまうという展開。
ジャックの情報など状況が全部解っている視聴者には、あの警官の行動にムキー!となるが、当初はジャックも「とにかく南へ逃げる」という見解を示していたし、サム自身はジャックが気象学の権威で政府に影響を持つような調査をしていることを知っているが、他の人たちはそんなことは知らない。本当にサムが正しい知識を持っている人物なのか、第三者には判断がつかないのである。なのであの警官の判断もやむを得ない点もある(それにあの人数が全員残っていればどちらにせよ燃料が足りず、大半は凍死しただろう)。
だが。
やはり人は、「みんなやってるから」という理由で流されてしまうイキモノだというのは感じた。恐らく外を歩いていた人たちも、ああやって歩いている人を見かけたことで「早く避難した方が安全な気がする」「みんな逃げてるから自分たちも」という意識を持ったのかもしれない。
携帯やラジオ・テレビなどあらゆる情報機器が使えず、正しい情報が入ってこない状況で、正しい知識がない状態なら、どうあがいても正しい判断はできない。こういった災害が起きれば、大半の人間が陥る状況は、主人公のジャックやサム側ではなく、あの警官たちに着いて行った人間側だろう。それか序盤で登場した、ハリケーンが迫る中のんきに撮影をしている人間側かも・・・。
自分ならどうするか。どう判断してどう行動するか・・・パニック映画を見る度、考えさせられてしまう。
吹替え版は2種類!
今作もソフト版とテレビ放送版で吹替えの声優陣が違うので注意。ただし日本語吹替えが収録されているソフトは、2005年に発売された「アルティメット・エディション」のDVDのみ。それ以降に発売された通常DVD・ブルーレイには吹替えが収録されていないので、アマゾンなどで購入される際は十分注意して欲しい。
最後に!
フローズンの時も思ったけど、アメリカの人はオオカミになんぞ恨みでもあるのだろうか。必ず悪役で登場するけれども。
そういえば公開当時、札幌では大泉洋さんが宣伝部長をやっていたので、大泉さんがラジオで「(当時出来たばかりの)JRタワーが凍りつく!ってポスターのアイディアを出したら、『洒落になりません』って言われてボツになった」というエピソードを披露していたことを思い出しました。
作中に登場する東京千代田区の光景が妙に古くさく、戦後初期みたいな格好をした人間がいたりぶっちゃけ中国にしか見えなかったりとちょこちょこ作りの荒さはあるものの、最後の主人公以外にも生き残っている人がちゃんといるというラストは好き。死者の数はとんでもないことになってるしぶっちゃけ世界の半分は崩壊してるんだけども。
津波の描写もあるので地上派での放送は厳しいけど、温暖化で逆に気温が下がるということを知れた作品でもあるので、数年に1回ぐらいはどこかで放映して欲しい作品です。
↓こっちは自業自得。
↓パニック映画といえば!