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フライング・ジョーズ ネタバレ感想~この邦題つけたヤツ、あとで体育館裏な。

フライング・ジョーズ [DVD]

Z級度 ★★★★
恐怖度 

デブとマッチョのお役立ち度 ★★★★★
結論:飛 ば ね ぇ じ ゃ ん!!!

2011年 アメリカ
原題:SWAMP SHARK
監督:グリフ・ファースト

※犠牲者&生存者、ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

※注意喚起※

まずこの映画を見る前に皆様に注意しなければならない。それはこの映画の邦題が、近年最大級の「タイトル詐欺」である点だ。今、世間ではサメが台風に乗ってやってくる時代である。当然この「フライング~」というタイトルを見て、誰もが「ついにサメも自らのアイデンティティーを葬り去ってしまったか・・・」とため息をつき。羽でも生やして空中からフライングアタックかましてくるトンデモサメ映画を想像するだろう。

だがこの映画のサメは、別に飛ばない。
普通にエアジョーズするだけでフライングはしない。別に太古のメガロドンが復活したとか放射能の影響で知能が数倍になったとかそんなこともない。ただ深海に棲んでいたのでちょっとばかり銃が効かない程度の、でっかくて人喰いに熱心などこにでもいる普通のホラーザメである。

その点を留意して、このあとのあらすじを読んで頂きたい。

ストーリー

ワニ祭りを間近に控えたある日。
希少生物の密輸をしていた保安官が、あろうことか巨大ザメを沼に解き放ってしまう。沼のそばでレストランを経営するレイチェルは、名物であるペットのワニをサメに喰われ、さらに、ワニが客を喰い殺したと疑いをかけられ、営業停止命令を受けてしまった。ことの原因がサメであることを証明するため、レイチェル一家はサメを殺して捕まえようとするが・・・

登場人物

■レイチェル(吹:林真里花)
主人公。
沼地のそばで、ワニのえさやりショーが名物のレストランを家族で経営していた。結構なボインの持ち主で、作中の男キャラは大体彼女に惚れている。

■ジェイソン(吹:高岡瓶々)
お役立ちその1。
レイチェルの兄で、足を大怪我して引退するまでアメフト部で活躍していたオーバーオール・マッチョ。良識人の力持ちというキャラ付けで、大抵の映画では序盤~中盤くらいに仲間を庇って死ぬパターンだと思われたが、ヒザをケガしたりスタンガンで撃たれたりと文字通り体を張るも、そのマッチョパワーであらゆる敵を撃退。作中最強キャラとして、後述のマーティンと共にサメに挑む。

■マーティン(吹:安齋龍太)
お役立ちその2。
映画によくいるやたらIT系に詳しいデブ。店の従業員で、レイチェルの妹・クリスタルに惚の字であり、序盤に登場した時は誰もが彼女を守ってサメのエサになると思っていた。しかし!作中ではサメを倒すため、主要キャラの誰よりもアイディアを出し、ジェイソンとコンビを組んで最後の最後まで大活躍する。

■タイラー(吹:宮下弘充)
レイチェルの恋人。
女ったらしの浮気人のクセに、レイチェルが他の男を頼るとキレる。めんどくさっ!
サメを見つけた途端ビビって引き返したり、ピンチの時には自分だけ無関係を装うなどの究極のヘタレだが、レイチェルは一体こやつのどこに惚れたのか。

作中ではクリスタル救助の際、ムダにかっこつけたせいで当たり前の様にサメに喰われた。

■トミー(吹:藤真秀)
レストランの常連客。
ミステリアスな雰囲気を醸し出し、あっという間にレイチェルとフラグを建て、なぜかサメ退治に名乗りをあげたが・・・?

彼の正体は実は魚類野生生物局の潜入捜査官。この町で希少生物の密輸を行っていた保安官を調査しにきていた。

■クリスタル(吹:斉藤佑圭)
レイチェルの妹。
日々の生活に窮屈さを感じており、家を出たいという願望を持っていたところをナンパされ、ワニ祭り会場へ向かうボートに乗ってしまった。

■スコット
クリスタルをナンパしたDQN。
再三サメの危険について訴える彼女の言葉を聞かず、携帯は沈めるわ無線は壊すわ、ロクなことをしない。が、サメ映画お約束のボートが何かに絡まって立ち往生するイベントが発生し、見事に犠牲者となった。

■ノア(吹:石狩勇気)
スコットの友人。
DQNとは違って良識人であり、ボート内ではクリスタルの味方となってくれていた。が、彼女のサラが大怪我をしたことで焦り、救助を待たずしてボートを動かそうとムチャしたのがアダとなってしまった。

■サラ
ノアの彼女。
サメが引っ張ったロープが首に絡まって一人首吊り状態となり、危うく死に掛けるも助かる。DQNの方の彼女だったら死んでた気もする。

■クーパー保安官
ワニ祭りの警護をしていたモブ。
仕事そっちのけでカップルのイチャイチャを覗きまくっていた不忠実な職務態度を買われ、エア・ジョーズをぶちかまされるという名誉を賜った。

■ワトソン保安官(吹:佳月大人)
この映画の元凶。
立場を悪用し、希少生物を密輸していた。冒頭でサメが沼にいることを知っていたにも関わらず「厄介な夏になりそうだぜ・・・」と呟いただけで放置したクソ野郎。レイチェルにゾッコンで、ジェイソンの逮捕をとりやめて欲しければ自分のものになれ的な取引をしかけたり、調子にのった挙句「未来の夫」を自称したりともう完全に終わっている。終盤、ワニ祭り会場でサメが暴れ大騒ぎになってから、やっとこさ喰われた。

あらすじ

ワトソン保安官が動物密輸犯だと確信したトミー捜査官と共に、彼の元に乗り込む面々。だがワニ祭りの中止を求めるレイチェルたちに対し、街の経済発展のためだといって頑なに中止を拒否するワトソン保安官は、共犯である同僚たちと一緒に全員を逮捕しようとする。だが、ここでジェイソンが体を張ってレイチェルたちを逃がしてくれる。

一方。
ナンパされボートパーティーに訪れたクリスタルだったがサメの話を信じてもらえず、案の定ボートがサメに襲われ、男性陣が慈悲なく死ぬも、レイチェルたちに救助される。代わりにタイラーが死んだそれはそれである。レイシェルはサメを殺すため、サラの血を囮に、ワニ祭りの会場まで誘いだすことに。

同時刻。
捕まったジェイソンを助けにきたマーティンは、自力で脱出したジェイソンと合流。豪快なジェイソンに振り回されながらも、爆弾を口の中で爆発させカマボコにするという、サメ映画の伝統を忠実に守った作戦を提案。爆弾作りに勤しむ。

だが、ワニ祭り会場で元凶である保安官をサメがはぐはぐしている間にお手製の爆弾を喰らいつかせるところまでは成功するも、この爆弾、なんと不発。

・・・あっさりと作戦が失敗したにも関わらず、一瞬で「ならエアボートだ!!」と次の作戦を思いつくトミー捜査官は凄い。

ラストのオチは?

トミーの作戦とは、
地上にあるエアボートのプロペラ部分にサメと繋がったロープを絡ませ、回転の勢いを利用してサメを地上まで釣り上げて、そのままプロペラでミンチにしてやろうというもの。

何故かエアボートのアクセルを踏み続ける役目はマーティンが担当することになり、突然の無茶振りに涙目になりがらも、絶叫しながら必死でプロペラを回転させる。そんなマーティンの背後で、冒頭でトラックを横転させるほどの馬鹿力を見せた巨大ザメは、あっさりとかまぼこになっていった。

サメの流血シャワーを全身に浴びながらも、勝利に喜ぶ家族たち。レイチェルはトミーとフラグを建て、マーティンもクリスタルとの仲を深めたようだ。こうして、事件は無事、解決したのだった・・・。

最大の見所:ジェイソン&マーティンの凸凹コンビっぷり

肝心のサメの画面は暗くしてごまかすという低予算ならではの演出で乗り切っていく前半。そしてボートパーティー襲撃パートでは、クリスタル役の人がサメに追われているスコットを明らかにやる気のない立ち姿で見守っていたりと、まるで気合の入ってないカメラワークや演出が続くが、それでも敢えて見所をあげるのならば、どれだけピンチに陥ろうと自分の力で全てを解決し、死亡フラグをへし折っていく最強キャラ・ジェイソンと、意外に勇気も知恵もあるマーティンとのコンビっぷりだろう。

彼らがコンビを組んで以降の展開はマーティンの絶叫芸が冴え渡っており、Z級映画に華を添えてくれている。なので、ラストのサメの「深海の水圧にも耐え切れるほど頑丈な体」がエアボートのプロペラごときでミンチになるという強引な設定も、恋人が死んだというのにもう新しい恋に生きるわ的なノリの主人公も、許せないことはなくもないのかもしれない。

最後に!

原題の「SWAMP」とは「沼地」という意味で、直訳すれば「沼地のサメ」・・・。確かにこの地味な字面で世のサメ映画戦国時代を生き抜けるとは思えない。邦題で何とか箔を付けてあげようという涙ぐましい努力は認めてあげたい気持ちもあるのだが・・・。

とはいえ、実はこの作品が公開されたのはシャークネードよりもダブルヘッド・ジョーズよりも前のこと。『メガ・シャーク』などのキワモノ系はあれど、まだトンデモサメ映画というジャンルがいまほどは確立されていない時の作品なのだ。一応この作品のサメは沼地にいる以外に目立った特徴はなく、倒し方が斬新なだけの普通のZ級サメ映画である。しかしもしかしたらこの作品を踏み台に、サメであることをやめてしまったサメ映画が生まれてしまったのかもしれない・・・。そう思うと感慨深い・・・・・・なんてこともないな、うん。

↓監督一緒かァァ!!