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レイジングループ 感想(ネタバレあり)~あの人狼がホラーゲームに?閉鎖された集落で繰り返される惨劇の宴!!

レイジングループ

村人の中にいる『狼』をくくれ!!
友情崩壊ゲーと名高い人狼をモチーフにしたホラーADV「レイジングループ」!登場人物やおおまかなあらすじ、メインルートプレイ後の感想です!

※Vita版をプレイ
※公式で許可されているメインルートまでのストーリーに関するネタバレあり。
※ただし、人狼が誰か?などの核心に触れるネタバレはしておりません。

※感想だけを読みたい人は目次から。

目次

ストーリー

バイク事故で森をさまよっていた主人公。
明かりを頼りに川をさかのぼっていたところに出くわしたのは、一人の女性。
芹沢千枝実と名乗る女子大生に救われた主人公は、彼女の故郷、休水集落で行われる古の儀式《黄泉忌みの宴》に巻きこまれてしまう。その『宴』とは、村人のふりをして隠れている「おおかみ様」をくくることだった・・・!

主人公には「死に戻り」という能力があり、一度死んだ記憶を引継ぎ、また村に迷い込むところからスタートできる。この能力をフル活用し、幾度も死に戻りながら宴の謎を紐解いていく・・・『レイジングループ』はサウンドノベルと同じ感覚で遊べるケムコ制作のホラーADV!

元はios版のアプリゲームだったが、1月11日、フルボイス&新規CG追加などの要素が加わったVita版が配信された。こちらはダウンロード版のみの販売となっており、価格は3000円。vita TVにも対応している。さらに2017年3月1日にPS4でもダウンロード配信されることが決定した。

舞台となる寒村『休水』

舞台は山深くにある『休水(やすみず)』と呼ばれる集落。
「藤良町」という自治体に属しているが、実際は藤良村から罪を犯したものや厄介者が追放される曰く付きの土地であり、地図にも載っていない。山の反対側にある上藤良の人間からは当然よく思われておらず、村は農作業を中心に自給自足の日々を送り、ほぼ世間から隔離されているような状態となっているため、余所者は敬遠されがち。藤良村には四家と呼ばれる名家、「回末」「能里」「日口」「三車」がある。

山岳信仰がいまなお残っている土地で、山を神格化した、申奈山=申奈(しんない)さんと呼ばれる神をあがめている。休水の人間は生まれてから一度はこの申奈さんの姿を見ているらしい。他にも村内には「首吊り松の墓所」と呼ばれる場所があり、大きな一本松のそばには墓(岩)があり、信仰の中心となっている。

メインルートで主人公がさかのぼってきた川『皿永の瀬』は、"よみびと”・・・死人がさかのぼってくる川と言われており、川からやってきためー子や主人公は村人からけがれている不吉な存在として扱われる。黄泉人というのは黄泉から戻った死者のことだと思われるが、正体は不明。申奈さまの敵勢力らしいが・・・?

黄泉忌みの『宴』

「夕霧が立つときおおかみ様はよみがえり、人を亡きにせんとされる・・・」

その昔。
しんない様はこの村をよみびと(黄泉人)の脅威から守るため、へび、さる、からす、くも、おおかみ・・・5匹の獣を遣わし人々を守っていたのだという。だがしんない様は山の掟を破った人間には容赦なく罰を与えるという神様でもあった。

獣のうち、人間を処罰する役割をもっているのが「おおかみ」だったが、ある時。人間とその他の獣たちは共謀し、狼を殺害。黄泉に落とした。
・・・だが、おおかみはよみびと側、よもつおおかみとなって人間に仇なす存在となってしまった。

それ以来。
この村では皿永の早瀬から夕霧が立ち込めると、「おおかみ様」が村人に紛れ込むのだという。休水の者は申奈さまからけがれを受けたくなければ、宴を開き、1日に一人おおかみ様をくくらなければならない。

宴が始まると、村の岩に書かれた"よもつおおかみの印"の数で宴にまぎれこんだ狼の数がわかるようになっている。

おおかみ様を全員くくれば村人の勝ち。
おおかみ様に全員殺されれば、負ける。

『宴』の禁止事項

基本的なルールは人狼と一緒(昼間に一人吊る人間を決め、おおかみは夜に一人人間を殺す、など)。その他独自のルールがいくつかあり、それらを破ると申奈様から「けがれ」という超常現象的な力がくだされ惨殺されてしまう。主人公がものいみ中に外へ出てしまうバッドエンドルートでは、人の体を持った狼に襲われて死んでいる。しかし、一部では発狂するという形で現れることも。

・《宴の支度》として「みそぎ(身を清める)」「ものいみ(鍵のかかった1つの建物に1人で閉じこもる)」「ゆめまくら(眠って朝を待つ)」があり、これらを破るとけがれる

・宴中は村は深い濃霧に包まれ、外へ逃げ出すことはできず、警察も呼べない。逃げ出すと死ぬ。

・昼間に一人以上の人間を殺そうとする(余計な殺人をする)とけがれを受ける。

役職

しんない様がおおかみを倒すために村人の与える御護りの力。各役職ごとに名家の守護獣として伝わっているが、その家の者がなるというわけではない。誰に役職が与えられるかは完全なランダムだといい、初日にしんない様が夢枕に立ち、しるしを残すことでそれぞれの役割を知ることになる。

■へび(占い師)
紙に名前を書き、枕の下に入れて眠ることで誰が狼なのかを知る事ができる。三車家の守護獣。

元々は予見により天気や農耕の吉凶を占い、人間に示唆を与えていたという。三車の家は矢倉を作り、そこから星を見ることで天候を読んでいたため、「倉の見張り」と呼ばれていた。

■さる(共有者)
2人一組の役職。
互いに人間であることが解る。しるしは腹に出るという。 ちなみに村で信仰されている「しんな様」とは「申」とかくが、関係があるのかはわからない。

日口家の守護獣。おおかみの目を盗み、人間に火の扱いを教えるなど知恵を授けていた。そのことから日口家は「水場の火守」と言われ、山火事を防ぐため火を使うことが禁忌だった時代、水場と偽り火を焚き、飯場を担当していたという(そのため藤良村の人々は自炊する習慣がなく、日口家が経営する食堂で三食をまかなう)

■からす(霊能者)
昼間処刑した人間が狼かどうかわかる、実際の人狼ではボロ雑巾と呼ばれる役職。能里家の守護獣。

元々はよみびとの肉をついばみ処分したと言われていることから、能里家は「軒の食み手(はみて)」と呼ばれ、屍を検分する役目を担うと言われていたが、実際は薬師として薬を作っていた家で、烏頭(うず。トリカブトのこと)を扱えるのはこの家だけだったらしい。

■くも(狩人)
紙に名前を書き、枕の下に入れて眠ることでその家を護衛することができる。回末の守護獣で、よみびとの訪問を退け、人間の眠りと夢見を守るといわれていた。

回末家では「くもは寝屋の端女」という役目があり、皿永から湧きだす黄泉の気から人々を守る夜番をつとめていたと伝えられている。

登場人物

学生寮メンバー

■房石陽明(CV:荒井智)
ふさいしはるあき。24歳。
大喧嘩の末に彼女と別れ、やけっぱちになって軽装のまま闇雲にバイク旅行へ出かけて、5月11日の深夜、休水に迷い込んでしまった主人公である。メインルートでは千枝実の助力により、「宴」の最中は千枝実の隣の部屋を借りることとなり、徐々に彼女に好意を持つ。

基本的には人当たりがよい普通の男性だが謎も多く、医療系に通っているという理由でぐちゃぐちゃになった死体を検死したり、死に戻りを経験したからなのか常軌を逸した事態に置いても冷静だったりする。メインルートでは、宴(投票)に直接関わることはなく、村のしきたりを「テーマにしたい」と言っていたり、「頑張ってくれよ、人間の諸君」などと怪しいセリフもあるが・・・?

■芹沢千枝実(CV:北澤しおん)
せりざわ ちえみ。21歳の女子大生。
閉鎖的な村の中では余所者の主人公にも好意的に接してくれる唯一の人間。愛想が良く、同じ寮に住む学生たちの姉御的存在で頼られている。しかし昔は相当やんちゃ(休水の子をイジめていた上級生をバットでボコるなど)していたらしく、老人たちからの評判はあまり良くない。実は猟銃所持の資格も持っており、クレー射撃の経験もあるなど銃の扱いにも長けている。

「かみさま」を見た事があるといい、かみさまの存在を心から畏れている。

■織部泰長(CV:松本恭平)
おりべ やすなが。16歳。
黒縁眼鏡の男子高校生。いかにも真面目そうな外見にたがわず、沈着冷静で理性的な少年。千枝実に惚れているような描写がある。また、本人は母親が弟・義次の方が大事にしていると思い込んでいるような節も。

■巻島春(CV:仮屋美希)
まきしま はる。15歳。
千枝実の隣である202号室に住んでいる女子高生。
千枝実の部屋に泊まっていた主人公を不潔と呼び毛嫌いし(とんでもない金切り声)をあげるなど、少々ヒステリーなところがある。泰長に対して恋心を抱いている。

■醸田近望(CV:古谷野紗羅)
かもだ ちかもち。男子高校生。
泰長の友人で、変わり者な少年。普段は学ラン姿だが、制服以外の時は基本、春からもらったお古の赤いワンピース(リボンつき)を着ている。オイ。だが男の娘というわけではなく、春のことを彼なりに大事に想っているから・・・なのかも。女装が趣味なわけではない、多分。

実はかなりの切れ者であり、「宴」の最中も鋭い指摘をしていた。古い習慣に囚われている人間が多い村の中で、主人公と行動をともにしてくれた人物でもある。

共同食堂メンバー

■織部かおり(CV:植木由美子)
泰長・義次の母親。
一人で共同食堂を切り盛りする女将さん。
目元に疲れが残っているが美人。さらに未亡人で、嫁いだ直後旦那が何らかの失態を犯し、休水に追いやられたという敬意を持つ。
村人たちは自宅で自炊せず、彼女の食堂で三食をとることが慣習である。

■織部義次(CV:鴨野孝昇)
おりべ よしつぐ。14歳。
見た目は金髪ヤンキーな男子中学生だが、言動は乱暴というより悪ぶっているだけであり、根はイイヤツという典型的なグレ方をした泰長の弟。

■室匠(CV:斉藤拓哉)
むろ たくみ。35歳。
ゴッツイ体をした男性で、村では農作業を営んでいる。
千枝実の兄貴分で彼女からは「匠にぃ」と呼ばれ慕われている。村の仲間たちのことを大事に思うあまり、村人の誰かが殺人を犯すという「宴」の儀式には懐疑的で、序盤に自身が「へび」であることを明かすという失敗をしてしまった。かおりに惚れている。

回末陣営(?)

■回末李花子(CV:岡村海那実)
うえまつ りかこ。村の中で「けがれ」を受け持つ回末家出身で唯一の末裔。
若く見えるが千枝実より年上の美女。真っ白な髪に赤い瞳を持ち、巫女のような衣装を着ている。初めて休水に訪れた主人公が何度か姿を見ており、さらに夕霧が起こる前には惨劇を予知しているのか「逃げて」という助言をしている。

神秘的な佇まいだが天然ドジっ子な面もありすぐ転んだり、男性慣れしてないため主人公から名前で呼ばれると「ほぉぉぉぉ」といって恥らったりととても可愛い。

■めー子(CV:南美穂)
主人公が迷い込む前日に、川をさかのぼり迷い込んだ、「めぇめぇ」が口グセの女の子。幼いとはいえ自分の親の名前も素性も一切不明であり、さらに「死者が蘇って来る」という伝承がある川からやってきたことで村人からは煙たがられているため、李花子が保護している。

ちなみに、主人公が死ぬとヒントコーナーに謎のマスコット(羊)が現れるが、果たして・・・?

■能里清之介(CV:勝畑伸之介)
のさと きよのすけ。
藤良村の三家「能里」の次男。休水にはたまたま寄生していた。自身の出身を鼻にかけるイヤミな男で、口だけは偉そうだが中身が伴っていないため何かと嫌われがち。匠とはぶつかることも多い。同じく名家の出身である李花子のことを唯一敬っている。元々は薬を作っていた家の出だからか医療の知識があり、毒物に詳しい。

いかにも最初に殺されそうなアレなキャラだが、実際「宴」の最中では(言い方はともかく)比較的おかしなことはいっていない。

年寄りたち

■山脇多恵(CV:鯛ゆみ坊)
休水の長老的立ち位置にいる、信心深いおばあちゃん。
「宴」の伝承について詳しい。

■巻島寛造(CV:松元一真)
まきしま かんぞう。
春の祖父だが、孫との仲はあまり良くない。
村で猟師をしており、60代の老人とは思えないたくましい胸板の持ち主。多恵と同じく村の重鎮で、実質的には彼がリーダーとなり取り決めることもある。

■狼じじい(CV:小沢直樹)
狼少年ならぬ狼じじい。
序盤に「おおかみがくるぞぉぉぉ」と言って視聴者と主人公をビビらす。だがのちに癒しキャラに。身なりもボロボロで見た目は妖怪みたいなボケ老人に見えるが実は多恵より年上であり、「宴」の知識もあった。

取材メンバー+a

■馬宮久子(CV:岩本悠花)
まみや ひさこ。
珍しい郷土料理を取材しにきたフードライター。実は以前はオカルトライターをしており、そっち方面の知識も豊富。メインルートでは帰り道が土砂崩れで通行できず、車中泊をしていたところ何かに襲われ、見るも無残なことに・・・。

■橋本雄大(CV:百瀬晃人)
有名カメラマン。とんでもなく巨漢。
メインルートでは殆どしゃべらず、あっという間に久子同様肉片と化すが、死に戻るとはじめて会話で声が聞ける。さらに彼が案外思慮深い性格であることや妻子がいることも発覚する。 

■コンビニ店員(CV:清水真梨菜)
主人公が最初に立ち寄ったコンビニにいた店員。
トレッドヘアーという気合入りまくったヘアスタイルの女性で、接客態度は超悪い。・・・が、なんだかんだで色々と用意してくれる。

メインルートの謎(※ネタバレあり)

李花子発狂の原因や、狼による襲撃ではなく殺された人間は誰が犯人だったのか?同期は?・・・という謎は解けないまま。また、上藤良では休水とは違い、おおかみ様も今も一緒に祀られており、おおかみ様を殺したという伝承が休水にしか伝わっていないという差異もある。

また、村中にある石はなんなのか?、けがれの代行者と思わしき、人身狼顔で3匹いるおおかみ様だが、けがれを与えている側と村人のフリをしているおおかみ様は同一なのか?目的は何なのか?

なぜ村人を1日で全滅させる力を持つ彼らも、申奈様が作ったルールを守るのか?そもそもこれらは本当に本当に超常現象なのか・・・?メインルートにはたくさんの謎が存在する。全ての謎は死に戻ることで解けるのだろう。

 

感想~人狼をモチーフにしたホラーADV!

ストーリーについて

異界と化した寒村で行われるリアル人狼ゲーム!
話し合いをし、投票結果で誰を吊るか決めるところの熱狂した討論っぷりはまさに人狼。占い師に「誰を占うか」予告投票させたり、狼側は誰が狩人なのかを探ったり・・・そういった駆け引きもちゃんと再現されている。ただし従来の人狼と違うところは、「ルール違反させることで、罰を受けさせて人間の数を減らせる」というところだろうか。また、どこまでが超常現象でどこまでが人間の仕業なのか?申奈伝承の謎といったミステリー要素もある。

システムについて

選択肢によって物語が分岐するが、序盤は選べる選択肢が限定されているため、最初は必ずバッドエンド→メインルートという展開は確定。新たな選択肢を解放するには様々なバッドエンドを見て、「KEY」と呼ばれる解放フラグを見つけなければならない。が、KEYがあるものは大体「これ選んだら絶対死ぬヤツだろ!」というわかりやすいバッドエンドフラグになっているので、メインルートは難なくクリアできるようになっている。チャートで以前の分岐に戻ることも容易なためセーブを頻繁にすることもなく、周回も余裕である。

ただしあまりにも易しいシステムなためバッドエンド回収が作業になりがちで、エンド後のヒントがほぼ無意味となっている。ヒント時に登場する羊のセリフも毎回同じようなことしかしゃべらないので飽きてしまうので、ここは何かしら話す内容が変わるなど工夫が欲しかったところ。

演出について

各キャラの死に方の描写はグロいが、あくまで文章上で表現されるのみで、グロ描写の背景画像はむしろ単調。絵的なグロがニガテな方でも楽しめるようになっている。が、ホラー慣れしている人間にとっては物足りないかもしれない。

vita版はフルボイスとなっているが拙さが目立つ声優も多く、序盤のギャグシーンのテンポはあまりよくない。主人公の陽明や春の金切り声など「大声を張り上げるシーン」で声が張れておらず、狼じじいも時々おじいさんに聞こえない瞬間があったりと違和感が強いため臨場感を削ぐが、文章は飛ばせるがボイスは途中では飛ばせないという仕様になっているため注意が必要。

最後に

vitaTVに対応してくれて本当に良かった。
キャラクターボイスの音量がBGMに負けるところがちょこちょこあったり、歌の箇所で録音ノイズが若干目立つなど作りが甘いところもありますが、3千円という値段でここまで遊べれば十分かな、とも思います。閉鎖的な寒村、陰惨な因習・・・和風ホラーテイストとミステリー要素が好きな方ならプレイして損はないかと。公式HPからニコニコ動画などの公式実況も見られるので、そちらである程度雰囲気を確かめてみるといいかと思います!

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