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【映画】ミュージアム ネタバレ感想~連続殺人鬼、カエル男の正体とは!?

ミュージアム (講談社プラチナコミックス)

グロ度 ★★★★
恐怖度 ★★★
結論:カエル男が楽しそうで何よりです。

2016年 日本
監督:大友啓史

※原作はほぼ未読の状態で視聴。
※あらすじ・本編ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意ください※

目次

登場人物紹介

カエル男(演:妻夫木聡)

映画 ミュージアム カエル男

雨の日にだけ現れる殺人鬼。
カエルマスク+レインコートという風体で、猟奇殺人を繰り返す。
一連の事件現場にはメモを残したり、自身の存在を匂わせるなど典型的な劇場型犯罪者で、自称「殺人アーティスト」。だが在宅している被害者を直接拉致したり、被害者について詳細を調べつくすなど緻密な情報収集を行っている。
何故か刑事の沢村に執着しているが・・・?

沢村久志(演:小栗旬)

映画 ミュージアム 沢村刑事

カエル男を追う刑事。

仕事人間だったことで母の死に目にも立ち会わなかった父親(演:大森南朋)を嫌っていたが、高校生の時に通り魔から少女を守って父が死亡したことをきっかけに、「同じ刑事になれば父と会話できる」と考え、刑事となる。

だが皮肉にも自分も父親と同じく仕事にかまけて家庭をおざなりにしてしまい、2週間前に妻の遥が一人息子の将太を連れて家を出て行ってしまった。

そんな中、遥がカエル男のターゲットとなってしまったことで、カエル男を追う側から、逆に追い詰められる側へ立場が逆転してしまう。

その他の登場人物

■西野純一(演:野村周平)
沢村を慕う部下。
まだ新米の刑事で、カエル男事件の現場では壮絶な遺体を見てゲーゲー吐いていた。
婚約者がいる。

■沢村遥(演:尾野真千子)
カエル男のターゲットとなってしまった沢村の妻。
実は3年前にとある事件の裁判員となったことで心労がたたり、流産していた。

■関端浩三(演:松重豊)
捜査一課の警部で沢村の良き上司。
この映画最大の功労者にて優秀な刑事である。

■菅原剛(演:丸山智己)
沢村の同僚。
沢村が暴走したあとも、関端と共にカエル男を追い続ける。

■岡部利夫(演:伊武雅刀)
捜査一課の課長。
ヅラっぽさがぱない。

■橘幹絵(演:市川実日子)
大学の医療センターで働く女医。
沢村がカエル男の正体を探るために尋ねた際、とある重要な情報を渡すが・・・。

■秋山佳代(演:田畑智子)
遥の親友。
遥をないがしろにしていた沢村に怒りを感じており、2週間自分の家で遥たちを匿っていた。彼氏はいない。

第1の事件:ドッグフードの刑

被害者は上原あさ美。26歳。
鎖で監禁されたところに飢えた大型犬3匹を放たれ、生きながらにして喰い殺されるという壮絶な殺され方をする。

恋人の男性によると、アレルギーの自分と暮らすために泣く泣く飼っていたペットの犬を保健所へ連れていったらしい。

第2の事件:母の痛みを知りましょうの刑

第2の被害者は堤優一。
父親が死んでから母親と二人暮らしをしていた。

絵に描いたようなキモヲタで母親のスネをかじりまくって生活していたが、突如家に侵入してきたカエル男に拉致される。ドア裏は基本。

イスに縛り付けられた状態で体を少しずつ切り刻まれ、最終的に出生体重分の肉片を切り取られて殺害された。この時、頬肉を削られた際に犯人の親指を噛むという最期の抵抗を行っている。

第3の事件:均等の愛の刑

3番目の被害者は小泉勤。
裁判官をしていたが、帰宅途中に行方不明となった。
遺体は縦に真っ二つに切断され、半分は妻の下に、もう半分は愛人のキャバ嬢の下に、それぞれ宅配便で送られた。

第4の事件:ずっと美しくの刑

小泉と同じく裁判官だった瀬戸内という女性も、全裸で冷凍されて殺されるという凄惨な遺体で発見される。稼いだ金を若い男や全身美容などにつぎ込み、50代とは思えぬ美貌で有名だったらしい。

第5の事件:針千本の刑

第4の事件とほぼ同時刻、占い師・マーヤとして活動していた真矢恒彦という男性が「針千本の刑」と称し、後ろ手に縛られた状態で、口に本当に針千本をつっこまれて殺害されていた。

被害者の共通点:全員が裁判の関係者

被害者には共通点があり、第1~2の事件の被害者は裁判員として、第3~4の被害者は裁判官として、3年前に当時4歳だった女の子がスーパーから連れ去られ、その後レジンに詰められた状態で遺体が発見されたという「幼女樹脂詰め殺人事件」の裁判に関わっていた。

逮捕されたのは大橋茂という男性。
状況証拠から死刑が言い渡された大橋は、その後精神疾患により警察署内で自殺していた。大橋が無罪を主張していたことから、この事件は冤罪であり、犯人は大橋の復讐のために動いている人物かと思われた。が、大橋は天涯孤独の身であり、こんな手の込んだ復讐をする人物はいないという。

お仕事見学の刑

犯人のターゲットが裁判関係者だと判明し、この事件の裁判員だった沢村の妻・遥の身に危険が迫る。連絡がつかない遥を探す沢村は親友の佳代の元を尋ねるが、既に佳代の家では彼氏を騙った謎の男・・・カエル男が遥と将太を拉致していた。車で逃走するカエル男を単身で必死に追う沢村だったが、事故に遭い車が横転。カエル男を取り逃してしまう。

西野と捜査にあたる沢村

捜査チームから外されるも、部下の西野を頼ってカエル男を追い続ける沢村。だがそんな彼らの目の前に、カエル男が挑発するように現れる。思わず追う沢村だが、このまえも散々車に轢かれたというのにまたもや車に轢かれ、西野一人でカエル男を追わせてしまう。

だがそれが仇となり、西野はカエル男に捕まってしまった!

カエル男の真の動機

カエル男は、幼女樹脂詰め事件の本当の犯人だった。
自身をアーティストと称し、殺人を『作品』だとのたまうカエル男は、自身の芸術作品が別の人間の犯行にされたことに激しい怒りを抱いていた。そのため裁判で間違った判決を下した人間を次々に殺害していたのだという。

だが、なぜか沢村に異常に執着を示すカエル男。「ボクにはキミが必要だ」と告げると、ビルの屋上から西野を落としてしまう・・・。

光線過敏症?

西野を失った沢村。
同僚たちの追跡も振り切り、もはや警察と言う立場も捨てる覚悟で、たった一人でカエル男を追い続ける。

沢村はカエル男が西野を殺す際、雨が止み陽射しが差し込んできた途端首を掻き毟っていたことから、ヤツが日光過敏症なのではないかとの疑いを持つ。

関東中の病院を回り、やがて橘幹絵が勤務する大病院へと辿りついた沢村は、わずかな日差しでも症状がでるような、20代ほどの男の重篤患者に心当たりが無いかを問う。その条件に心当たりがありそうな幹絵。沢村は彼女を銃で脅し、無理やり患者のカルテを奪う。

そこには「霧島早苗」という名前があった。

妻と息子を救うため、最後の戦いへ

一人で霧島の屋敷を訪ねる沢村。
家には今までの被害者たちの写真が貼られており、沢村の予想通り、霧島早苗こそ連続殺人鬼・カエル男だった。

だが逆に霧島に監禁されてしまった沢村。
部屋から出るにはパズルのピースをつなぎあわせ、パスワードを入力しなければならない。

カエル男が差し入れたハンバーガーを貪りながら必死にパズルを解く沢村。その絵柄はかつて将太が描いた家族の絵だった。しかし、以前ならそこにいた父親・・・自分の姿は無い。

「どうやって殺した?」
と問いかけてくる霧島の声が部屋に響く。

霧島は3年間裁判員たちを調べていく際、生きながらに遥の心が死んでいく様子を目の当たりにし、どうやったらこんな殺し方ができるのか、ずっと沢村に興味を抱いていたという。

「おまえも自分と同じ殺人鬼だ」と霧島に嗤われ、沢村は今までの家族との日々を振り返り、激しい後悔に苛まれる・・・。

衝撃のハンバーガー

やっとの思いでパズルを完成させる沢村。
ピースが足りずに穴となっている部分が、丁度「EAT」という文字になっていった。

そして冷蔵庫に無造作に置かれている妻子の首を発見した沢村は、今まで自分が食べていたハンバーガーの中身が何だったのかを察してしまう・・・!!

だが。
実はここまでが霧島の計算だった。

実際はまだ遥も将太も生きており、沢村が見た二人の首は精巧な作り物。霧島は将太を人質に取り、遥を脅してカエルマスクをつけさせる。
霧島は復讐に燃える沢村に、カエル男のフリをした遥を射殺させようとしていたのだ!

だが撃つ直前にカエルマスクが遥だと気付いた沢村。しかし霧島に将太を人質にとられ、子供を救いたいなら遥を撃てと言われてしまう。
遥の慟哭が響くなか、土壇場で「それだけは出来ない!」と銃口を霧島に向け発砲する沢村。だが致命傷を与えられず、沢村は逆に撃たれてしまう。

最悪のエンディング

残された遥と将太に向かい、霧島は自分が考えていた「3つのエンディング」について語り出す。

1つ目は沢村が妻を撃ち、沢村と息子だけが助かるエンディング。
2つ目は反撃を試みた沢村が自分を殺し、見事家族全員が助かるというハッピーエンド。

そして最後の3つ目は、家族全員が天国へいくという最悪なエンディング。

あわやバッドエンドになる直前。
霧島の屋敷に関端たちがなだれこんでくる。

既に周囲は完全に警察に包囲されていた。
逃げ出した霧島は日の下に飛び出し、焼け爛れていく・・・。

「裁判になれば、オレの作品をみんなが見る」
「そして訳知り顔で、学者たちが論じ合う」
「オレがどうして壊れたのかを」

「オレに同情するヤツも、いるかもな」

そうして稀代の殺人アーティスト・カエル男は確保された。

カエル男の正体

ネカフェで沢村が調べていた光線過敏症の情報から、霧島に辿りついた関端。彼が独自に調べたところ、美術商だった霧島の両親は、遺体をコマ切れにされるという異様な形で殺されていた。そして生き残ったのが「早苗」だけではなく、「幹絵」という姉もいたことも・・・。

女医の幹絵は、早苗の実の姉だった。
早苗の光線過敏症が心因性のものだと気付いていた幹絵は、病を治すには心の中の悪意に向き合うか、それが出来なければもう・・・と、入院中の早苗に薬を投与し、全てを終わらせてしまう・・・。

結末は?

事件から3ヵ月後。
体の傷は回復していた沢村。だが心の傷はいまだ癒えない。

しかし将太の運動会を遥と共に見守るなど、少しずつだが家族の形を取り戻しつつある。

だが。
ビデオに映る将太は、しきりに首を掻き毟っていた。
まるで、あのカエル男のように・・・。

感想~ベタな殺人鬼と暴走主人公

役者の力の入れ具合や、殺害方法などはえげつないが、年齢制限ギリギリのラインを攻めつつモロなシーンは見せないグロ描写、全体を覆う暗い雰囲気やダークな画作りは邦画の中では気合が入っている方。基本のストーリーもサイコサスペンスものの定番の流れをキチンと踏んでいて、ある意味安心してみられる。婚約者がいると解ったとたんに年下系キャラが死ぬのはお約束だね!

ただ!
終盤主人公が監禁されてからの、暗号要素といったSAWちっくな展開はちょっと食傷気味といえなくも無い。

嫌な予感しかしないハンバーガーの「あれ~これ誰のお肉かな~?」という展開も、カエル男の家に人間そっくりの置物が大量に置いてあってすぐに伏線に気付けるし・・・。妻と本物のカエル男が入れ替わるというくだりなど、視聴者にあらかじめ提示することでスリルを演出する方法が、ここではかえって緊張感を削いでいたように思える。結構ゆったりしていたのも原因かもしれないが・・・。

あと、犯人が同情の余地もねぇイカれサイコ野郎な殺人鬼、という設定は好き嫌いが分かれそうな予感(一応バックボーンはあるけど)。・・・あの喋る度に神経を逆なでするようなアニメ声は、原作を忠実に再現してのことなんだろう。妻夫木さんGJである。

松重さん、かっこよすぎ。

キャストは主役クラスから脇までしっかりと詰められていて凄く良い!とくに野村周平さん演じる西野はひよっこ刑事感があってすごく可愛らしいキャラなので、お約束とはいえ沢村の名前を呼びながら死ぬ時はカエル男に軽く殺意が湧く。

あと主人公たちの救世主とも言える関端刑事を演じていた松重さん!もう立ってるだけで「仕事できる良い上司感」が凄い。(終盤、主人公すら気付かなかった霧島の過去や経歴を調べ上げるなど優秀すぎる活躍をみせていたので、正直暴走しまくりな主人公よりも活躍してた気がしなくもない)セリフはそれほどないが目で語るシーンが多く、存在感が際立つ芝居で大満足。

主演の小栗さんが基本ずっと怒り狂ったり絶叫してるので女性ファンには厳しいかもしれないが、とにかくズタボロになる小栗旬さんが見たい!という方にこそおすすめな映画かもしれない。

最後に

そんなに悪くないグロ系スリラーでしたが、終盤の息子を人質にとって~という緊迫シーンで、霧島さんがスーパーハァハァタイムに突入しちゃったのは正直どうかと思う。普通に笑ってしまった・・・。あと、3回も車に轢かれちゃう主人公はちょっとタフすぎると思うな!

原作は1巻のキモオタ殺害シーンの回を試し読みで読んだっきりなので、ラストが映画オリジナルなのかはわかりませんが「もしかして息子が第二のカエル男に・・・?」みたいなラストは意外っちゃ意外でした。いやでも精神的にダメージ受けたからといってあんなヒャッハー系なサイコ野郎になるっつーのもどうなん??

それよりも一番驚いたのは、ハンバーグをうきうきクッキングしていたカエル男が口ずさんでいた「タイムマシンは、たのし(死)♪」というサビ・・・これは不気味な映像で幼稚園児に恐怖を植えつけた、NHK「みんなのうた」で有名なトラウマソング「メトロポリタンミュージアム」!!

メトロポリタン美術館

メトロポリタン美術館

  • 大貫 妙子
  • ジャズ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

「ミュージアムに迷い込んじゃう=閉じ込められる」という歌詞が世界観と微妙にリンクしていて、映画本編でも不気味なシーンになってましたね~。

原作が好きな方はもちろん、未読の人でも楽しめる作品になっていたので、ある程度の胸糞展開やグロ描写が平気であれば、ぜひ劇場で妻夫木さんのノリノリなサイコ演技と、車で事故っても轢かれても跳ねられても起き上がる小栗旬さんの勇姿を堪能して頂きたいですね!

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