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【映画感想】劇場版 零~百合好き大歓喜!女の子だけがかかる呪いの正体とは?※ネタバレあり

劇場版 零?ゼロ?
──私の呪いを解いて──

美少女度 ★★★★
恐怖度 ★★
結論:零要素、ゼロ!!

2014年 日本
監督:安里麻里
原作:大塚英志
「零~ゼロ~女の子だけがかかる呪い」

※あらすじ・本編ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意ください

閉塞感漂う女学園。
女生徒たちの間で密かにささやかれる噂──「0時きっかりに好きな人の写真にキスをすると、想いが叶う」。だがそれは"女の子だけにかかる呪い"だった。0時、昼でも夜でもない時間に、亡霊が耳元でそっと囁く。「私の呪いを解いて・・・」

/主要人物/
■アヤ(演:中条あやみ)
学園のカリスマ的存在。
だが、ある日突然部屋にこもりきりになってしまい、そのころから女生徒の失踪事件が相次ぐようになる。

■ミチ(演:森川葵)
ショートカットの美少女。
友人のカスミが消えたことにより、アヤと一緒に事件解決に奮闘する。が、特に何もしてないような気もする。

■唐津九郎(演:渡辺裕也)
単なるスキンヘッドの葬儀屋のおにーちゃんではなく、『黒鷺死体宅配便』の主人公。死体に触ることで死者の残留思念を聞くことができるという、イタコのような能力を持つ。普通に活躍する。

■槙野慧子(演:柳生みゆ)
外見はギャルだがエンバーミングのプロ。

同じKADOKAWA系列だからこそできたコラボ。「黒鷺~」がドラマ化できなかったことへの作者の怨念が込められているのか・・・。てか、本来ならこいつらが解決した方がはやくね?

最大の見所:右も左も百合ばかり

映画の登場人物たちの9割が百合という驚くべき百合率。

アヤというカリスマ美少女に学園中の生徒が惚れており、次々に両思いのおまじないをするという内容もさることながら、元々この土地は女の子同士の許されざる恋をしたものたちが、来世で結ばれることを祈りながら入水自殺をしてきたという曰くつきの土地という設定なのだ。んなとこに女学園建てんなや!

そのため最初から最後まで美少女同士がちゅっちゅする。殆どが写真越しだがナマでキスするシーンもあったりするので、まさしく百合厨大歓喜なホラーとなっている。

美少女ホラーとしては悪くない。が・・・

閉鎖的な女学院を舞台にした、耽美系美少女ホラーだと思ってみれば、案外悪くないホラー映画である。

特に序盤の、学校中から羨望を集めるアヤがオフェーリアの歌を歌う場面は、聞いているこちらも思わずハッとさせられるほど美しい歌声だった。(この歌のメロディは映画オリジナルで林祐介さん作曲によるもの)

さらにそこから、
オフェーリア=入水自殺と、"溺死"と関連した少女たちの死が続いていくという展開ははなかなか良かった。(溺死というワードは零の最新作「濡鴉ノ巫女」にかけたものなのだろうが)

ぼぅっと白い顔だけが浮かび上がるだけで視聴者をビビらせるアヤの写真や立ち姿など、幽霊の持つ「ぼぅっ」とした感じを使ったジャパニーズホラーらしい静かな恐怖演出や、幽霊の美少女の唇が、これまた美少女の耳元に引き寄せられていく構図は美しく、個人的には決して嫌いではない。

後半の謎解きパートの盛り上がらなさ

しかし後半、引きこもっていたアヤが部屋を出てから、ほんの少しあった恐怖度が消滅。 申しわけ程度に登場した射影機とかほんと何にも意味なかったな!!

多分ムリやり零らしさを出す為に登場させたのだろうが・・・。幽霊を倒さない射影機なんて射影機じゃない。正直零要素よりも、コラボキャラである黒鷺死体宅配便の方が割合が高かった。

何より、展開として一番致命的だったのは、「アヤとそっくりな幽霊」という時点で双子オチの予想が大方つき、謎解き要素が盛り上がらなかった事だろう。(確かに双子要素やラストのアヤの死んだ姉・マヤとのやりとりは「朱い蝶」など零シリーズのオマージュなのかもしれないが、ぶっちゃけ零シリーズのオマージュというより美少女ホラーの類型の踏襲といった方がいい気がする)

黒幕の正体が、行き過ぎた姉弟愛の結果、女生徒たちを殺していたという女学院の先生・・・と思わせて、真の黒幕は学園長でした☆というどんでん返し的なオチもあるが、正直コイツがなんで逮捕されないのか意味がわからない。双子の片割れを生贄にするぐらいなら、自分の相方の供養なんだからまずおまえが飛び込まんかい!!

前半がまだそれなりだっただけに、この学園長の動機ふくめ、事件部分のストーリーの甘さが本当に残念だった。

サブタイトルの意味

この「女の子だけがかかる呪い」が何なのか?これは最後に、ミチがアヤにキスをしようとする描写があることから、恐らく「思春期の少女の恋」のことだと思われる。

そしてアヤは、ミチのキスを受け入れない。これは呪いが解けた=少女が大人になった、ということでもある。

「こうして、普通の大人になっていく」
「私たちの、少女の時間は終わった」 

作中でキスをした二人が、最後の別れではキスをしないことで大人への成長を描くというエンディングは非常に良かった。だから射影機を無理に絡ませる必要は無かったんや・・・。

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零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い (角川ホラー文庫)

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~こんな人にはこの映画はオススメできません~
■幽霊を倒さない零とか許せない人
アクション要素を廃し、あくまで美少女ホラーとしての側面だけを強調した映画となっている。射影機がただの飾りになっていることを許せない人には視聴は厳しい。

【最後に】
零要素を全っっっっく期待せずに見れば、思っていたよりは悪くないホラーでした。マジでオリジナル美少女ホラー映画として、もっとしっかりやればよかったんじゃないかなぁ。零と無駄に絡ませる必要皆無だったよねぇ・・・。

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