ZQNのグロ度 ★★★★★
大泉さんのヘタレ度 ★★★★
ロレックスの強度★★★★★
結論:終盤のヘッドショット祭り最高!
2016年 日本
監督:佐藤信介
※あらすじ・本編ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意ください※
登場人物紹介
■ZQN
いわゆる感染系ゾンビ。
発症源は不明だが、感染者に噛まれることにより血液感染する。人間を見つけると全力で追いかけてきたり噛み付いてきたりとホラー映画のゾンビそのものだが、生前の行動を繰り返したりと不可解な点も多い。
■鈴木英雄(演:大泉洋)
漫画家。35歳。
アシスタントをしながら持込を続けるも一向に芽が出ず、彼女のてっこからも愛想をつかされ追い出されてしまう。趣味はクレー射撃。
映画では矢島は登場しない。
■徹子/てっこ(演:片瀬那奈)
英雄の彼女。34歳。
映画では触れられていないが、実はコロリが元彼。いつまでもくすぶっている英雄にキレて追い出してしまうが・・・。エクソシスト並みのブリッジを披露する。
■中田コロリ(演:片桐仁)
でしゅましゅ言葉の売れっ子漫画家。
英雄と同期。映画では殆ど出番は無いが、原作では英雄たちとは違う場所でたくましく生き残っている。
連載当初から仁さんに似ていると思っていたらまさか本当にキャスティングされるとは・・・。
■早狩比呂美(演:有村架純)
英雄が逃げている時に出会った女子高生。
赤ん坊に首筋を噛まれており、途中でZQN化してしまうが・・・?
■藪/小野つぐみ(演:長澤まさみ )
英雄と比呂美が逃げた先の富士アウトレットモールで出会った女性。看護士だった。ZQNであることがバレて撃たれてしまった比呂美を介抱してくれるなど、英雄の力になってくれる。
彼女がアウトレットモールに来る前、勤めていた病院で起きたパンデミックの様子を描いたドラマがdtvにて配信されていた。現在は「はじまりの日」としてDVDになっている。
■伊浦(演:吉沢悠)
アウトレットモールの屋上に篭城していたリーダー。オーバーオールがやたら特徴的。丁寧な物腰だが、裏では自分の気に入らない人間に制裁を加えていた。途中、英雄の銃を手に入れたサンゴにリーダーの地位を奪われるも、食料調達作戦中に一人抜け出し、地下駐車場にモール中のZQNを呼びよせるなど暗躍。駐車場に止めていた自分の車で逃走を図ったが・・・。
■サンゴ(演:岡田義徳)
真性のDQN。
ZQNより生きているDQNの方が厄介だと視聴者に教えてくれる存在。最初から最後までノリノリ。
■アベさん(演:徳井優)
アウトレットモールにいた男性。
伊浦たちに逆らわず、使い走りのように働いていた。地下駐車場ではZQNの群れと最後まで戦い、DQNとは違って自分でケジメをつけた。
■陸上部ZQN
下半身パンツでスキンヘッドというとびきり目立つ出で立ちで、アウトレットモールをウロついていたZQN。
陸上部だったらしく、毎日背面飛びをしては地面に落下を繰り返していたが・・・
近年の邦画ホラーでは抜群のグロ描写!
最近ただのおもしろモンスターと化してきた貞子や、アイドル映画ばかりになってきた近年の日本ホラー映画の中で、グロ方面にかなり力を入れた正統派ゾンビ映画でした!
とくにZQNのヴィジュアルの再現率は素晴らしく、ぐんにゃぐんにゃと四肢をありえない方向に動かすてっこZQNのキモさや、屋上を全滅させる強烈なインパクトを持つ陸上部ZQNのシーンは見ごたえばっちりです。明らかに嘘臭いCGっぽさがなく、特殊メイクや演出でグロテスクさを強調しているところが良かったですね。
次々に襲い掛かる絶望的シチュエーション(要はあらすじ)
その1:彼女がZQN化
彼女から家を追い出されてしまった英雄。
だがアシスタントの仕事中「ヒドいこといってごめんね・・・」とてっこから謝罪の電話が。具合がひどく悪そうなてっこを心配した英雄が部屋を訪ねると、新聞受けから見えるてっこは恐ろしい柔軟っぷりを見せ付け、そのまま英雄に襲い掛かってくる!
のっけから凄まじいインパクトを持つこのてっこZQN。玄関のドアをガリガリしながら歯がポロポロととれるシーンは、原作では「英雄を襲わないよう、わざとてっこが抜いたのではないか」と英雄から推測されている。
売れないばかりに最近こそ仲が険悪なものの、それなりにラブラブであったことが伺える二人。てっこが最期まで良き彼女だったことが胸に痛いシーンである。
その2:仕事仲間が全滅
仕事場に戻ると、アシスタント仲間の三谷(演:塚地武雅)が血塗れに。平然を装った彼の口から「コレは頭を完全に潰さないと死なない」など衝撃的な事実が語られる。アシスタントの女性を片っ端から喰っていたという漫画家先生をメッタ打ちにしながらも、実はその先生に噛まれていた三谷。「オレはああはならない!!」といって自らカッターナイフで首を掻っ切ってしまう!
大泉洋さんをはじめ、普段コミカルな役の印象が強い俳優陣が大流血する展開はなんだか新鮮でした。周囲が異常事態なのに会話がフツーに面白かったりするこのギャップ・・・これを狙ってこそのキャスティングなんでしょうね。
その3:街中が地獄絵図
和製ワールド・ウォーZのような、逃げ惑う人々の中に"感染者"が入り乱れ大パニックに!!
東京のどこにでもある普通の住宅街・・・異変に気付かずに普通に歩いている人たちが混乱に飲まれていくシーンは見ごたえがありました。女性も子供も平等に襲われていくという邦画ホラーでは珍しい描写があったのも良かったですね。
その4:タクシーで逃げたら隣の人が感染者
どうあがいても絶望。
運転手も感染するとか"走る密室"の中で考えられる限りの最悪のシチュエーション!
この絶望的な状況を乗り切った英雄はぶっちゃけ悪運強すぎると思うんだ・・・。ここの高速道路のカーチェイスシーンは韓国で撮影されているようで、日本では撮りづらいであろう、かなりの長距離を爆走する迫力ある映像となっています。
優良運転手がZQNと化した途端、隣にいる比呂美を襲うよりも先にものすごいスピードで爆走するというのが、ZQNの性質について考えさせられるシーンでした。そして出会ったばかりの比呂美をしっかりと守る英雄の姿にちょっとトキメく。大泉さんが演じているというのが大きいのでしょうが、映画の英雄はお人良し度がアップしてる気がします。
その5:同行者が実は感染者
ネットで「標高が高いところなら感染しない」との情報を頼りに富士山へと向かう二人。ですがここで、比呂美が実は赤ん坊から首筋を噛まれ、既に感染していたことが明らかになります。結局は生きている人間を撃つ事ができない英雄。そして樹海の中、比呂美は発症してしまいます。
思わず逃げ出す英雄。
山道で出会ったZQNに襲われ絶対絶命のピンチに陥りますが、そこに現れた比呂美がヒーローが如く助けてくれます。発症した彼女は一切喋りませんが、なぜか英雄は襲うことはなく、猫缶を食べながら二人の放浪は続きます・・・。
ぶっちゃけZQN化した比呂美の方がかわいくね。
本来、原作ならばこの樹海が比呂美との出会いの場なので、この辺りの設定改変は原作好きな人にとっては賛否が分かれそうですね。
その6:リアルDQNが支配しているアウトレットモールに篭城
ゾンビ映画でショッピングセンターはお約束。そしてそこから生存者たちのコミニュティが崩壊していくまでがテンプレです!
吉沢悠さん演じる伊浦の不気味な感じと、サンゴの無駄な再現率の高さが素晴らしい。
陸上部DQNによる、戦闘班がいない屋上が殲滅されていくシーンも鮮烈でした。BGMとZQNの後姿を主に描くという演出が、弱者ばかり殺されるという胸糞さをうまく中和していた感じです。
その7:大量のZQNに挟みうちされる
伊浦の暗躍により、地下駐車場にモール中のZQNが集まり挟み撃ちにされてしまう!
ここからの英雄の猟銃無双シーンはこれぞまさにグロホラー!ヘッドショットでハデに散っていくZQNの群れは爽快でした。
しかも猟銃を持っている英雄だけではなく、普通の武器しか持たないメンバーも全員でZQNに立ち向かっていくという胸熱展開!
サンゴめっちゃムカつく役なのに、なんか終盤で戦っている姿が勇ましくてちょっと腹立つ(笑)一人だけ中年のアベさんの奮闘ぶりもよかったです。ラスト可愛そうだったけどね・・・。
大泉洋さん演じる"英雄"
ボサっとした見た目は英雄そのものだった大泉さん。普段絶叫する役をあまり演じることがない大泉さんのビビリっぷりはある意味見どころの一つでした。ビビって口元に手をやったりする一つ一つの仕草さがもう本当に弱っちぃ(笑)
個人的には伊浦を撃つときの「はーい」の一言が凄く好きです。ユルい!!
映画内では、英雄は臆病な性質だけれど「英雄願望を持っている人間」というところはそれほどクローズアップされておらず、冒頭の妄想シーンでわずかに描写されたのみでした。ZQNが溢れているというのにケガ人を心配したり、人影を見かけたら話しかけちゃったり、出会ったばかりの女子高生をタクシーの中で必死に守っちゃうところとか・・・原作未読の人だと、英雄の印象は本当にただただ優しい人になってしまうかも。
この辺りも賛否が分かれるところかもしれませんね。
~こんな人にはこの映画はオススメできません~
■原作が至高な人
アウトレットモール脱出までのお話を2時間以内に収めるには削るのもやむなしではあるが、矢島の存在や比呂美の背景などは一切説明されないので、それらが許せない人にはオススメしない。
■大泉さんが嫌いな人
コミカルな場面はやっぱり大泉さんまんまなので、あのクドさが嫌い!という方にはおすすめできません。
最後に
英雄が比呂美を守るため、人間に銃を向けて結局は撃てなかったシーン・・・ここの目元のアップで、「river」を思い出した道民は私だけじゃないって信じてる。
キャラクターの心理背景やZQNの謎よりも、あくまでもゾンビ映画としてのエンターテイメント性を重視した作品でした。グロさはここ最近の邦画ホラーの中ではズバ抜けていますが、大泉洋さんのコミカルさやお人好しっぷりがいい清涼剤となっているので、胸糞さや後味の悪さはない映画となっています。(ラストはむしろあっさり気味かも?)
3D要素はないものの、猟銃無双シーンやZQNのヘッドショットのブッ飛び具合はテレビ画面よりもスクリーンで見た方が絶対楽しいと思います!
「最近の邦画はグロさが足りない!!」と思っている方にオススメです☆
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