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【アニメ】昭和元禄落語心中~演出や登場人物についてのまとめ【総括】※ネタバレあり

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アニメ全話を視聴し終えたので、毎度お馴染みの総括記事です!キャスティングや演出、登場人物にについて思うことなど色々とまとめています。

※アニメ1期のネタバレありなので、未視聴の方はご注意ください。

目次

キャスティングについて

2016年冬アニメの中でも、最高に聞き応えがあったアニメでした!これは指名することも多い実力派声優をオーディションで選ぶという、製作陣の並々ならぬ情熱のたまものだったと思います。

コメントでもご指摘いただきましたが、今回主要キャストのみなさんはみな落語に何かしら造形が深い方が多く、関智一さんは2014年に落語家の立川志ら乃さんに弟子入りしており、山寺さんは声優になる前は元々落語研究会に所属。小林ゆうさんは落語好きとして有名で、自身で落語のCDをだすほど。

↑落語を現代のオタクカルチャーバージョンにアレンジしたもの。寿限無、死神、まんじゅう怖い、芝浜 の4作品が収録。上記のアマゾンのリンクからそれぞれの冒頭部分がちょっとだけ視聴可能。

石田彰さんも落語好きで、小林ゆうさんとは落語繋がりで交流があるのだとか。

ベテラン勢による落語シーンは、観ているこちらも思わず黙って一言一句聞き逃すまいと集中するほど、どれも素晴らしかったです。またキャラに声色がハマっているというだけでなく、与太郎や菊の新人時代というような、同じ人物を年齢によって様々に演じ分ける芝居部分も大変聞き応えがありました。特に意図的に「ヘタな芝居」をベテラン勢が演じているというのは面白かったですね。

そんな中、幼少時代の助六を違和感なく演じきった女性落語家の立川こはるさんは凄かった!この方の「子供の落語」という芝居は絶品だった思います。なんとか時間を作って、こはるさんの落語はぜひ聴きにいきたいですね!

圧巻だった落語の演出

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落語のシーンで印象的だったのは、首筋の汗・足裏やつま先など、普段客席からは見えない、演者の後ろ姿の細かい描写です。これはアニメならではの描写でしたね。

全十三話の中で様々な落語が登場しましたが、1話の与太郎の「出来心」、OPもEDも削った12話の助六の「芝浜」は特に引きこまれました。(ただ、落語に疎い自分にはわかりませんでしたが、「芝浜」は普段から落語を聞きなれている人にとってはやはり尺の都合からか大分テンポが速かったそうですね)。

また、8話の菊比古の「死神」の覚醒のシーンでもう1人の自分が見下ろしているというような、心情面の演出も目を惹きました。

落語界の衰退の描写

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そういえば1話では満杯に人がいた寄席が、最終話で与太郎が真打となった時の寄席は人がまばらになっていましたね。

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1話では八雲があがっていたから、というのもあるでしょうし、与太郎が弟子入りしてから真打になるまで具体的に何年経過しているのかわかりませんが、作中では確実に落語が衰退していってるようです。ここからどう落語が生き残る道を作っていくのか・・・その奮闘が二期で描かれていくのでしょうか。

登場人物について

ここでは登場人物たちの疑問など、おもに恋愛面中心にまとめてみました。

菊比古について

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芸子の家に生まれ、女性として生まれていればという想いからか、女性的な面が目立つ菊。落語に悩んでいた時期はみよ吉とかなり親密な関係になるも、その後落語が起動にのり始めると、自身を求めてくるみよ吉をあからさまに避けるようになり、結局はほぼ捨てるような形で別れてしまう。

・・・これだけだとまるで芸の道をとって女を捨てたひどい男にもみえる。菊は本当にみよ吉を愛していたのか、「恋愛」というものをどう捉えていたのかは最後まで自分にはよくわかりませんでした。元カノと現カレシとその子供と暮らそうとするとかどうかと思うよ!

途中どうあがいても助六と夫婦にしかみえなくて「原作が女性向けってそういうこと??」と勘ぐってしまったが、別にそういうことじゃなく、単に菊比古の中で「恋愛」の優先順位が低かっただけなのかな、とも思います。

最終話で小夏に「忌々しい」と口にしていたのは衝撃的でしたが、これは彼女がいなければ、自分も二人の後を追って地獄へいけたのに・・・という恨み節なのかな。

みよ吉について

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一途なのか悪女なのか。
菊に惚れていたのか。
助六に惚れていたのか。
彼女の心情も最後まで掴めなかった。

先代の八雲師匠に捨てられ、同じく菊に捨てられた彼女。男に翻弄され続けた人生で、菊がこれほど彼女の中で特別になったのが何故なのか・・・。(アニメを見るに肉体関係まであったように思えないのだが、みよ吉をそういう目で見ない男性ならば、本当の自分を愛してくれるというような考えがあったのだろうか?)

彼女の生き方は1人の男に尽くして生きる事が幸せというより、1人の男に愛し抜いて欲しいと渇望しているようにもみえます。

そして後半は捨てられる原因となった落語を、そしてそれ以上に菊への恨みを募らせていったみよ吉。彼女は助六と子供を作ったことで助六を落語から遠ざけ、菊から大事なものを奪って復讐しているように思えました。が、彼女が本当に助六や小夏に愛情が無かったとも思えず・・・全てが菊へのあてつけだったとも思えない(というより思いたくない)。

菊のことを愛していたのか、助六のことを愛していたのか、二人とも愛していたのか。どうして菊に心中を迫ったのか・・・彼女の本心も、どうにも最後までつかみきれませんでした。この辺りは原作で補完されているのかもしれませんが、とりあえず二期終了まではおあずけですね。

小夏の八雲への恨み

昭和元禄落語心中 小夏

1話で小夏は「女になんか生まれたくなかった」と悔し涙をみせています。自分の性を憎むという気持ちは、芸者の家に生まれた八雲とも共通していますね。小夏は落語家として八雲を見返してやりたい、助六の名を継いで遺したいという強い思いがあるからなのでしょう。名前に生き方を縛られてしまった先代の師匠といい、芸の道を進もうとした者には得てしてこういうことが起きてしまうのかも。

しかし最終話の与太郎の「野ざらし」を聞いた際に流した涙は、在りし日の助六と、そして菊がやってくれた思い出の落語を思い返してのこと。根っこには、幼い日に抱いていた親情も残っているのでしょうね。

彼女が母親としてどう生きていくのか、そして与太郎との関係がどうなるのか?これもまた二期のお楽しみですね。

OPとEDについて

めぐさんが歌うOPは雰囲気ぴったり!最終話を見た後だと、「わかんないの、幸せって何?」という歌詞がみよ吉の心情と重なって切なくなります。(映像が若干ホラーっぽい気がしたのは自分がホラー脳だからなのかな?)

しかしEDは・・・ジョジョの時もそうでしたが、個人的に曲だけのエンディングっていうのがあんまり好きじゃないんですよね。特に過去編の中盤は物語の展開か淡々として、終わり方も淋しいものが多い中、あのジャズ調の曲だけだとあっさりしすぎていて、余韻をあまり感じられなかったのが残念でした。

あと不満点と言えば、CM後に入る画面半分を埋め尽くす長いテロップ!!二期ではせめて、キャラの顔には被せないで欲しいですね。せっかく喋ってるのにお口隠れちゃうんだもの・・・。

最後に!

正直、三人の関係が
前半が菊←みよ吉VS助六
後半が助六←みよ吉VS菊
・・・に見えて仕方ありませんでした。女一人に男二人の三角関係なのに、みよ吉を奪い合う展開にはならないという不思議(笑)

二期のメインの与太郎と小夏の間にも恋愛が絡んでくるのでしょうか??山寺さんの落語がもう聞けないのは残念ですが、今から二期、すっごく楽しみです!

↓ついに2期放送開始!

↓1期感想記事はこちら!