恐怖度 ★★★
おバカ度 ★★★★
殺人鬼 よく吹っ飛ぶ
結論:動機?なにそれおいしいの?
1996年 アメリカ
監督:ウェス・クレイヴン
ホラー映画をこよなく愛する人間たちに捧げられるスプラッタームービー!犯人フラグ、死亡フラグ、生存者フラグ・・・入り乱れるフラグを、あなたはすべて見ぬくことができるか!?
ホラーのお約束を制するものが全てを制す
登場人物全員がフラグを乱発するので、怪しいヤツが多すぎて逆に犯人が誰だかわからなくなるという斬新なストーリー。あらゆるところにホラー映画の名セリフや映画に関するうんちくが披露され、そのスジの映画を愛する人間にはたまらないものがある。
また、「外へ出れば助かるのにわざわざ2階へ逃げる」「殺人鬼が後ろにいるのに気付かない主人公」「すぐ戻るといったヤツは死ぬ」などいわゆるホラー映画のお約束の行動を、ランディや登場人物たちが揶揄したり徹底的にこきおろしながら、それらが悉くブーメランしていくというブラック・コメディ映画でもある。
監督は「エルム街の悪夢シリーズ」で有名なウェス・クレイヴン。至る所にパロディシーンを作るだけでは飽き足らず、なんと監督自らフレディと同じしましまのセーターをきて、校長のシーンにちょこっとだけ現れるフレッドという用務員をノリノリで演じたりと、監督全力の悪ふざけが光る。
※以降、ストーリー、ラストのオチ、犯人の正体のネタバレあり。また続編のストーリーのネタバレも若干あり。未視聴の方はご注意ください。
ネタバレしかない登場人物紹介
■殺人鬼(???)
↑コレを被った殺人鬼。犠牲者の下へ電話をかけ、ホラー映画に関するクイズを出題する。
神出鬼没で次々に登場人物たちを惨殺しまくるが、冷蔵庫の扉にぶつかって吹っ飛んだり女の子に蹴られて悶絶したり、割と弱い。果たして正体は・・・?
■ケイシー(吹:林原めぐみ)
この映画を象徴する第一犠牲者。
殺人鬼からのクイズで「13日の金曜日は?」との引っ掛け問題に「ジェイソンよ」と即答。なんでもこの映画は20回ぐらい見たらしい。哀れにもアメフト部の彼氏ともども惨殺されてしまう。吹き替えは人気絶頂期だった林原めぐみさんが担当。出番が冒頭10分程度にも関わらず、一番最初にクレジットに記載されるなどインパクトが凄い。(だがめぐさんの声自体はその後もテレビ局のモブやレンタルショップでランディに声をかけるモブとして何度か登場する)
演者は「ET」で主人公の可愛い妹ちゃんだったドリュー・バリモア。
■シドニー(吹:根谷美智子)
ヒロイン。
付き合って1年だが恋人のビリーとは一線を越えていない。1年前に母親がレイプされ惨殺されていることがトラウマになっているようだ。
か弱くみえるが、女リポーターのゲイルを右ストレートでぶっとばし、殺人鬼の猛追を華麗にスライディングでかわし、腹蹴りで容赦なく撃退するファイティングガールでもある。
■ビリー(吹:三木眞一郎)
シドニーの恋人。
1年間おあずけを喰らっている。両親が離婚し、母親が家を出ていったので現在父子家庭。
シドニーが家で殺人鬼に追われた際、窓から現れた事と携帯電話を持っていた事で犯人と疑われるも、シドニーの家に電話をかけていたのが、シドニーの父親だとわかり、後半疑いが晴れてようやくシドニーと結ばれる。が、セックスシーンに現れるというホラーのお約束通りに殺人鬼が登場、メッタ刺しにされる。
■ティタム(吹:渕崎ゆり子)
シドニーの親友。巨乳。
保安官デューイを兄に持ち、ステュワートと付き合っている。一見チャらそうにみえるが、事件に巻き込まれてしまったシドニーを常に気遣うなど、友達思いの良い娘。だが後半のパーティー会場で一人で行動していた際に殺人鬼に襲われ、おっぱいのデカさが災いし、この映画のトラウマシーンとなってしまった・・・。
■ステュワート(吹:森川智之)
ティタムの彼氏。
頭悪そうにみえるDQNだが、本当にただのバカだった。
■ランディ(吹:神奈延年)
ホラー映画ヲタク。
ビデオ屋で働いている。ステュワートと組んでよくバカをやるひょうきん枠だが、彼が語るホラー映画のお約束はこの映画の最重要事項である。後半犯人たちに刺されても撃たれても死ななかった。
「童貞でよかった!!」
※ただし1作目だけなァ!
■校長(吹:納谷六朗)
シドニーたちが通う高校の校長。同じ学校に通う生徒が二人殺され、さらにシドニーが襲われたのにも関わらず、ゴーストフェイスをかぶってふざけまくる生徒を叱り付けるなど人格者。
・・・に見えたが、自身も一人きりになった途端ゴーストフェイスで遊んじゃうお茶目さん。憎めないキャラだったが、あえなく3人目の犠牲者となった。
■ゲイル(吹:佐々木優子)
マスゴミを絵に描いたような女性リポーター。
被害者にずけずけと取材したりと無神経極まりない。シドニーの母親の事件では、犯人として逮捕されている男はただの浮気相手で無実だと主張している。今回の連続殺人事件の情報を聞き出す為、保安官のデューイをたぶらかすが・・・
前半は憎らしさしか感じずに何番目の犠牲者になるのかわくわくしてしまうが、終盤には漢をみせる。女だけど。
■ケニー(吹:辻親八)
ゲイルとコンビを組む、太っちょでちょっとトロいカメラマン。
ゲイルともども性悪かと思われたが、殺人鬼に追われたシドニーを助けてくれたり、隠しカメラの映像から殺人鬼に襲われそうになっているランディの姿を見つけると、助けに行こうとするなどわりと常識人だった。
だが車から降りてしまったことで殺人鬼に襲われ、首を裂かれながらも車に残っているシドニーに「ドアを・・・閉めて・・・」と言い残して絶命。死の間際までシドニーを気にかけてくれたいい人だったが、その後の死体の扱いといい、最後まで不憫なキャラだった。
■デューイ(吹:宮本充)
ティタムの兄。
ビビりでヘタレで役立たずの保安官。妹からもママからもなめられまくっている。ゲイルの色気にころっと騙され、終盤も行動を共にする。シリーズに渡って殺人鬼に何度も刺されてるのに死なない凄い人。
■バーク保安官(吹:石波義人)
デューイとコンビを組む保安官。犯人と同じクツを履いているが・・・。
■ニール(吹:仲野裕)
シドニーの父親。
冒頭で出かけると娘に告げているが、シドニーが襲われた事件後は行方不明になっている。
殺人鬼の正体は!?
後半、パーティー会場で親友と恋人を殺されてしまったシドニーは、互いに互いを「コイツが犯人だ!」というランディとステュワートに出会う。果たして、二人のうちどちらが犯人なのか!?人殺しもノリでやっちゃいそうなステュワート?それとも脳内ホラー映画祭り男のランディ?もはやどっちも信じられないシドニー。
だが、そこに瀕死の状態のビリーが現れる。彼はランディを家に招きいれるも、なんとランディを撃ってしまう!
ビリーの血はコーンシロップ。
映画「キャリー」の豚の血と一緒・・・。
犯人はビリー、
そしてステュワートだった!
神出鬼没だったのは犯人が二人いたから。冒頭のケイシーも、シドニーの母親も、全部こいつらが殺したのだ。
内容が内容だけに「なぜ殺人を繰り返したのか」という動機は、「殺人鬼に動機なんて無意味だ」と本人たちも語っている通りなのだが、一応説明すると、
シドニーの母親は家にいないことが多い夫との生活が淋しかったのか、かなりの数の男と不倫しまくっており、ビリーの父親とも関係を持っていた。それがバレてビリーの両親は離婚し、ママは出て行ってしまった・・・その復讐だった。つまりマザコンである。
また、序盤でステュワートがケイシーのことを「元彼女」と話していたりするので、ケイシーカップル殺害の動機は恐らくは振られた腹いせ。校長は多分なんとなく流れで。
ステュワートの彼女のティタムが殺されたのは、非処女だったせい・・・ではなくて、シドニーと常に一緒にいるのがジャマだったからというのと、彼女を苦しめるために親しい人間から殺したというのが考えられる。
とはいえ、とかくこいつらは(事件の容疑者と疑われているシドニーの父親に罪を着せる為とはいえ)ヒロインを殺す前に自分たちで刺し合うという、視聴者からのツッコミ待ちとしか思えない謎行動をしたりしてるので、正直動機に関してはその場のノリでぐらいに思ってた方がいいかもしれない。
~こんな人にはオススメできません~
■アホすぎる登場人物の行動にイライラしちゃう方
ただこの映画でそれを気にしてはいけない。元よりこの作品はメタホラーである。
最後に!
ホラー映画に対し
「展開みえみえww」
「こんなもん何度も見るヤツの気がしれねぇww」
とか抜かしたモブは死すべき。死なないけど。何度も見るヤツがここにいるぞケンカうってんのかゴルァ!!
ホラーのお約束をこれでもかとメタる映画で、こーゆーノリはもう楽しんだもん勝ちです。そして90年代のアニメや声優陣がお好きな方は、ぜひ一度吹き替え版でみてみることをオススメします!
↓豚の血はシロップ☆