グロ度 ★★★★
恐怖度 ★★★
BGM 突然のメタル
結論:チンパンジー最強!!
1984年 イタリア
監督:ダリア・アルジェント
※ストーリー、ラストのオチのネタバレあり
※クロックタワーのネタバレも含まれます。未プレイの方はご注意!
/主要人物/
■ジェニファー・コルビノ
演:ジェニファー・コネリー
有名な映画俳優を父に持つ14歳。父親が多忙なため、奇宿制女子学校に転入してきた。夢遊病者で、虫と交信する力を持つ超絶美少女。その愛らしさは発情期前の昆虫がプロポーズしてくるほど。
■ブルックナー
演:ダリア・ニコロディ
ジェニファーの付き添いの、いかにも神経質そうなメガネをかけた女性。虫が大嫌い。
■ソフィ
演:フェデリカ・マストロヤンニ
ジェニファーと同室になった少女。部屋で煙草をすっぱすっぱ吸う不良娘。ジェニファーは彼女のことを親友だと思っているが、ソフィ自身はジェニファーの夢遊病のことをカレシにぺらぺらと面白おかしく話していたりするので、本当に友達なのかというと疑わしい気も・・・。
カレシと逢引したあとに待ってましたとばかりに殺されるが、実際の殺害シーンよりジェニファーの夢遊病(未来予知)シーンに登場した時の殺され方の方がエグい。
■校長
演:ラリア・ディ・デザーロ
黒幕フラグを匂わせる女校長。
厳格で冷徹。夢遊病に加え特別な力があるジェニファーを精神異常者と判断、施設に収容しようとする。
■マクレガー教授
演:ドナルド・プレザンス
昆虫学者。
事故で下半身不随になったため、車椅子で生活。
近辺で起きている少女だけを狙った殺人事件の調査に、死体を喰らう虫の成長具合から殺害時期を特定するなど、学者としての視点から協力している。一人娘のグレタがいたが、現在は行方不明中。事件に巻き込まれ殺害されたと考えられている。
偶然出会ったジェニファーに娘の姿を重ね、以後彼女の良き理解者となり、虫の力を使って犯人の居場所を突き止めることを提案する。が、真犯人の正体に近づきすぎた為に殺されてしまう・・・。
■インガ(演:???)
マクレガー教授の優秀な"看護婦"のチンパンジー。主演女優賞ものの名演技を披露する。ジェニファーと手を繋いで家の中を案内したり、教授の車椅子を押してくれたり、座る時に何故か腕を組んで座っていたりと仕草が人間らしくてカワイイ。
■ルドルフ警部
演:パドリック・ボーショー
少女連続殺人事件の調査をマクレガーに依頼してきた警部。警部なので「警部補だ・・・」とか言ったりしない。ジェニファーを尾行し犯人の元隠れ家を調べるなど、事件の調査をしているうちに真犯人にたどり着いてしまい、逆に犯人に襲われ瀕死の状態に。拉致されたジェニファーを救うべく、傷だらけの体で自分の親指を折ってまで手錠を抜け、ジェニファーを救ってくれたが・・・
■モリス
演:マリオ・ドナトーネ
本作の切り株枠。
父親の弁護士で、多忙な父親に代わりジェニファーとの連絡を取り次ぐ。教授が殺害され、身の危険を感じたジェニファーのSOSの電話を聞きはるばる駆けつけるが、出番わずか数分たらずで退場となった。シャイニングの黒人コックさんに並ぶ不憫キャラ。
今作は「逃げゲー」の元祖ともいえる作品「クロックタワー」のオマージュ元であり、ゲームの主人公・ジェニファーは映画のヒロインそのままの姿をしている。ゲームのストーリーにも多大なる影響を与えているので、ぶっちゃけこのゲームをプレイしたあとにこの作品を見ると、ほぼオチはわかる。
少女だけを狙う殺人鬼!その正体は?
無慈悲に教授を殺害し、執拗にジェニファーを狙う犯人は一体誰なのか?
その正体とは・・・
なんとジェニファーの付添い人・ブルックナー!
彼女の家は鏡が全て布で覆われているという異様な風体をしており(彼女の「気を病んだ息子」が鏡を異常に怖がるので覆っている)、さらにボタン一つで全ての窓に鋼鉄製のシャッターがおりるなど、もはや要塞。
ルドルフ警部に瀕死の重傷を負わせ、マウントをとられて顔面を殴られるも逆に警部を殺害したり、助けに駆けつけたモリスを鉄板で一瞬で切り株にするなど、メガネをはずした彼女の本気は凄かった。どっかの金曜日(初代)の犯人といい、狂った母親の戦闘力というのは常人ではないらしい。
だが!
ブルックナーが教授や刑事を殺したのは、真犯人の正体に気づきそうだったから。
つまり、ソフィや少女たちを幾人も葬ってきた真犯人は別にいる。
その真犯人とは、彼女の息子!!
息子は顔面が恐ろしく歪んでいる奇形児。小さな子供の様な背格好だが、実際に子供なのかは疑わしい。少女を殺すことに異常に執着しており、最後の最後までジェニファーを追うも、ジェニファーを愛する虫たちに全身を啄ばまれ、最後はクロックタワーのラストのように、炎によりその生涯を閉じた・・・(はず)
冒頭で繋がれていた様な描写もあり、元々殺人に執着するなど気が触れていたから監禁されていたのか、それとも奇形のため母親にそのような仕打ちをされていたことから精神が捻じ曲がってしまったのかは劇中では不明のまま。
ちなみに「クロック・タワー」といえば大バサミを持った怪人・シザーマンとの鬼ごっこが有名なゲームだが、本作で息子がハサミで人を殺すのは冒頭の少女一人だけで、実際の凶器は主に自身のリーチをカバーするための長いヤリとなっている。
最大の見所:ジェニファー・コネリーの美しさと生きた昆虫のグロさ
最初のカットで思わず息を呑むほどの美少女っぷりを魅せつけた、当時14歳のジェニファー・コネリー!黒髪ロングにハズれがねぇのは東洋も西洋も一緒だった。
真っ黒な髪に白い服、白い肌、そしてふともも・・・一目見ただけで「普通の人間とはどこか違う」という神秘的な美しさを兼ね備えつつ、物静かな雰囲気だけれども、言いたい事はハッキリ言うという芯の強い部分が同居している。(この芯が強いという設定はクロックタワーのジェニファーにも受け継がれた)
(全部ではないだろうが)生きている虫を触るシーンや、棚から落ちる、ゲーゲー吐く、蛆虫プールに落ちるなど、現代では考えれないほどの体当たりな芝居を披露。これで14歳だったのだから本当に凄い。
そしてその少女の美しさを際立てているのが、CGではない生きた昆虫たち!死体にウジがうぞうぞとたかっている図に鳥肌が止まらなくなること請け合いである。また、ジェニファーが大量のハエを呼び寄せ、無数のハエが窓ガラスにひしめきあっているシーンも本物のハエであり、生きている昆虫のヴィジュアルそのものを使った映像は、グロテスクだがどこか芸術的で素晴らしい映像美(?)となっている。
助演賞ものの名演技・チンパンジーのインガ!
人間顔負けの名演技をみせた今作のチンパンジー。
教授が殺される直前、教授に危機を伝えようと追い出されてしまった家の外から教授を呼んだり、無理やり窓を破壊しようとする必死さはまさに迫真!その後殺されてしまった教授に哀しそうに縋りつく姿が胸をうつ。
さらに、モリスを殺害したブルックナーに襲われているジェニファーのピンチを救ったものもインガ。ゴミ箱から拾ったメスで主人の仇とばかりにブルックナーの顔面をメッタ切りにするも、彼女が死んだのを見届けると、まるで「復讐なんざ空しいもんだ・・・」と憑き物が落ちたような顔でメスを投げ捨てるという芝居まで披露した。
インガのインパクトが相当だったのか、アメリカ版の映画のパッケージはまるでインガが少女を殺す殺人鬼のように描かれており、ちょっとしたパッケージ詐欺となっている。
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こうして比べてみると、パッケージのジェニファーの雰囲気は、本当に映画のジェニファー・コネリーそのまま!
~こんな人にはオススメできません~
■虫が大嫌いな人
CGではないモノホンのハエや蛆虫のオンパレード。虫嫌いにはこの映画は吐いちゃうぐらいキモいと思われる。
最後に!
現代ならおどろおどろしいBGMを流すようなシーンで無駄にかっこいいメタルを流しちゃうところにアルジェント監督らしさを感じる。ちなみに「Phenomena」という原題は、「(奇怪な)事件」もしくは「非凡な人、神童」を意味する「phenomenon」という言葉の複数形。これは少女惨殺事件や、ジェニファーや真犯人の息子といった常軌を逸した能力を持つ人間のこと。両方を指しているのだろうか・・・。
人によってはギャグにしか聴こえないBGMのセンスや、都合よく現れるモリスやブルックナーにツッコミどころは多かれど、30年経った今でも、虫のグロさと少女の美しさで右に出るものはない、超好みのホラー映画でした!
↓大人になったコネリーが主演!
↓この映画も犯人は・・・