恐怖度 ★★★★
ストーリー ★★★
幽霊の理不尽さ ある意味伽耶子レベル
結論:劇場霊もこれくらいやってくれればいいのに・・・
1996年 日本
監督:中田秀夫
撮影所。
そこは偽りの物語を、偽りの人生を、偽りの感情を映す場所。
だがもしかすると、いつしか偽りだったものが本物になることもあるのかもしれない──
/主要人物/
■村井俊夫(演:柳ユーレイ)
新人の映画監督。
■村上沙織(演:石橋けい)
新人の女優。
■黒川ひとみ(演:白島靖代)
沙織の母親役を演じている女優。
リングの中田秀夫監督のデビュー作!!
中田秀夫さんが映画監督としてデビューした記念すべきホラー映画。更に脚本は、後にリングで再びタッグを組むことになる高橋洋さんだったりと、忍び寄る恐怖が売りの、Jホラーの元祖とも呼べる作品!
自分たちが撮った映画のフィルムをチェック中、別の映画とおぼしき映像と、白い服の女性が映りこむ。その日から撮影所では不可解な出来事が続く──という、あらすじだけを見ればごくごく普通のホラー。
ですが、映画の製作現場のリアルさや、派手ではなくともさりげない恐怖を丁寧に描いた演出は、今見てもなかなかクるものがあるのです。
謎多きストーリー
まずフィルムに映りこんだ別の映画の撮影風景は何なのか?という謎について。
映りこんでいたのは着物姿の映画女優と、いくつかの映画のカット。そして、女優の後ろにぼぉっと佇む白いワンピースの女性・・・音が入っていないこの映像で、その白い女性は肩を震わせ笑っていました。
撮影で使っていたフィルムはどれも古いフィルムだったので、その中に未発表の映画でも紛れ込んでいたのだろうという話になったのですが、
「俺が子供の頃、この映画をTVで観た事があるんだ」と言う主人公・村井は、その映画を探し出そうとします。
が、そのTVを見た期間を特定しても、その日の新聞のテレビ欄には映画やドラマはやっていませんでした。しかし、新聞を開くとフィルムに映っていた映画女優の転落死亡事故の記事が・・・。しかもその撮影所は、今現在自分たちが映画を撮っている撮影所!
撮影仲間が調べてわかったことは、その事故の際撮っていたドラマの内容が、
"とある屋敷に住んでいる母親と子供が、『屋敷には、自分達以外にもう一人女が住んでいて、そいつが夜中になると屋敷を歩き回っている』・・・という怪談話を作って遊んでいた。
が、母親に男が出来て子供が邪魔になると、母親は人格が分裂してしまい、怪談話の女になりきって子供を殺そうとする"
──そういうドラマだったらしい。(普通にその設定で見たい)
が、撮影現場では何故かこの怪談話の女が現れるとウワサに。落ちた女優もその女に殺されたのだと・・・
結局、この映画はお蔵入りになってしまった。
なのになぜ、村井が子供の頃に、このドラマを観た記憶があるのか?
白いワンピースの女性が元々ドラマの中の怪談話だとすれば幽霊ですらないが、一体正体はなんなのか?
・・・それらの答えは、この映画中では一切明らかにされない。
名無しの幽霊が怖い!
リングの貞子を髣髴とさせる白い服に黒く長い髪──女優の背後に佇むフィルム映像から徐々に現実を侵食してくる今作の幽霊には、貞子や伽耶子と決定的に違う点があります。
それは幽霊が、
基本爆笑しているという点。
文字にすると全然怖くない。
が!
ぎゃはははははッ!!
と肩を震わせ笑っている姿はまさに狂気!!映画ではこの「笑い声」がキーワードなのか、彼女に取り憑かれた新人女優が狂ったように笑いだすシーンなど、特に何の映像トリックも使わずとも怖ぇぇ!と思わせる演出になっています。
~こんな人にはオススメできません~
■謎が解けない映画がダメな人
ストーリーは解明されない部分が多いので、スッキリしないのがイヤ!という方にはオススメしない。
■もっとがっつりホラーがいい!人
笑う幽霊も人によっては怖くないはず。ホラー演出もそこまで解りやすいものはないので、見た目怖いホラーが好きな方にはオススメできないかも。
最後に
間違いなくこの映画で一番怖いシーンと言えば、沙織の死にっぷりと幽霊の狂気の笑い声のシーンだと思うのですが、個人的にスゲー怖かったのが冒頭の人形劇のシーン。音楽怖すぎィ!!
東京国際映画祭で最新作の劇場霊と合わせて公開されていましたが、劇場霊は・・・個人的にはなんか映像がクリアすぎて・・・あとヒロインとか色々・・・ですが新作と旧作の違いを比べてみるのもまた一興、ぜひ2作品とも視聴して頂きたいですね!
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