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【映画感想】呪怨~例えオズが破産しても伽椰子は永遠に不滅です!※ネタバレあり

呪怨 劇場版 [Blu-ray]

強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。
それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。
その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。────呪怨 冒頭

絶望度 ★★★★★
恐怖度 ★★★★
俊雄くんの可愛さ 人による
結論:伽椰子さんマジ理不尽。

※ストーリー、ラストのオチのネタバレあり。感想だけ読みたい人は目次からあらすじを飛ばして各リンクへ。

目次

登場人物紹介

呪怨 劇場版 (日本/2003年)
監督・脚本:清水崇

■仁科理佳(演:奥菜恵)
介護師を目指し臨時ヘルパーをしている主人公。
因みに海外版では伽耶子に一矢報いるが、ラストは日本版と一緒である。
彼女が何故ああなったのかはオリジナルビデオ版や小説を読めば解る。

■佐伯伽椰子(演:藤貴子)
すっぴんは意外に美人な人妻28歳。
この映画のヒロイン。

■俊雄くん
パンツ一丁で全身白塗りという姿で登場する。

■佐伯剛雄(演:松山タカシ)
全ての元凶。
だがしかし演者はおじゃる丸の多山さんの中の人*1

その家はどこにでもある普通の一軒家。
だが、その家に足を踏み入れたものは、全員 

内容はもうこれ以上説明しようがない。
だが、だからこそ十年以上経った現在でも十二分に楽しめる。
スプラッタ要素が無くても怖い、それが日本のホラーの良いとこ。

映画はオムニバス形式となっており、各回の冒頭にはそれぞれの主人公の名前が左下に浮かび上がる。時間軸も敢えてバラバラな構成になっていて

映画では
理佳→勝也→仁美→遠山→いづみ→伽椰子(映画ラスト)

となっているが実際の時間軸は
勝也→仁美→理佳(冒頭部分)→遠山→伽椰子(映画ラスト)→いづみである。

また実際に伽耶子がどんな人物だったのか、何故殺されてしまったのか、俊雄が何故ネコの声で鳴くのか、特に勝也が何故ああなったのかはオリジナルビデオ版を観なければ一切解らない。
が、ホラー映画ではよくあること。逆に何故そうなったのか解らないからこそ怖いとも言える。

あらすじ(時系列)

ある程度時系列にそって解説していく。

■徳永家
和美と勝也、勝也の母の幸枝の3人暮らし。
引越してからなぜか幸枝の痴呆が著しく悪化。そのため、勝也の妹の仁美が幸枝の様子を見に来る予定だった。※徳永家が引っ越してきたのは、ビデオ版の北田家以降。

勝也

昼間。
家の中で黒猫の姿を目撃する和美。しかし、黒猫は誰かが2階へ運んでいってしまった。恐る恐る2階の部屋を確かめにいく和美だったが・・・

その夜。
勝也が家に帰ってくると、妻の和美がベットに倒れこんで動かなくなっていた。しかし、救急車を呼ぼうとする勝也の前に白い少年が現れる、その直後、仁美は息を引き取ってしまい、勝也も正気を失ってしまう。家を訪ねてきた妹の仁美を無理やり追い返した勝也は、そのまま仁美の遺体と共に2階へ・・・(二人の遺体はその後、2階の押入れの天井裏で発見される)

爪を噛む佐伯剛雄のクセや、「俺の子供じゃない」という独り言を繰り返していたことから、勝也に取り憑いたのは剛雄の霊だと思われる。

仁美

会社のトイレで不気味な影に遭遇した仁美。すぐさま警備員に知らせるが、見回りにいった警備員に黒い影がまとわりつくのを監視カメラ越しに目撃。すぐさま家に逃げ帰る。しかし、エレベーターに乗る仁美の姿を、白い少年がずっと見つめていた・・・。

部屋に帰った仁美の元に、勝也から「マンション前にいるけど、何号室だっけ?」と電話がかかってくる。ほどなくチャイムがなり、覗き穴から確認するとそこには勝也の姿が。安心してドアを開けた仁美だったが、そこには誰の姿もなく、電話からはうめき声が・・・。

ふとんを被りひきこもる仁美。
TVをつけるも映像は乱れ、レポーターの女の顔が恐ろしく歪む。そして仁美の手には、なぜかトイレで落としたくまのマスコットが握られていた。恐怖に震える仁美を、伽耶子は容赦なくひきずりこんでいった・・・。その後、仁美は失踪扱いとなる。

TVの恐怖シーン特集などで必ずといっていいほど紹介される仁美の消失シーン。「なぜ家に入っていない警備員が呪い殺されたのか?」という疑問だが、ビデオ版では家に入っていない人間でも、周囲にいただけで巻きこまれて殺されている人間も多くいる。

またこの警備員は、「あなたはここで待ってて。いいね」と言って仁美の肩に手を乗せるシーンがあるので、冒頭の『呪いに触れたものは命を失う』という文章通り、呪われた仁美に触れてしまったことで命を落してしまったのかもしれない。

理佳

福祉センターの職員・広橋から「担当者と連絡がつかなくなった」という理由で、徳永幸枝の家へ向かうよう頼まれた臨時ヘルパーの理佳。一目見た瞬間、理佳はその家の異様な空気を感じとっていた・・・。

放置されていた幸枝の世話を済ませ、部屋の掃除にとりかかった理佳は、ガムテープで目張りされていた2階の押入れの中から、何かを引っ掻くような音がすることに気付く。押入れを開けると、なんとそこには黒猫を抱いている男の子・・・俊雄がいた。

理佳はその後、黒い女の影が幸枝に襲い掛かるところを目撃。意識を失ってしまう。

※幸枝はそのまま死亡する。
※理佳が俊雄のことを報告している最中にかかってくる電話が、『仁美』の冒頭の電話である。

遠山

部屋の隅で呆然としているところを広橋に発見された理佳。のちに刑事に俊雄のことを尋ねるが、「徳永家には子供なんていない」という事実を告げられる。佐伯俊雄は、父親の剛雄が妻の伽椰子を殺害した事件が起きた5年前から行方不明になっており、いま生きていれば11歳になっているという。では、理佳が見たあの少年は一体・・・。

その夜、
理佳は俊雄と伽耶子の幽霊に遭遇してしまう。

事件を追う刑事
あの家に住んでいた人間は、死ぬか、失踪する──。
刑事たちは、一連の事件の発端が佐伯家にあると気付き、当時佐伯家の事件を担当していた、元刑事の遠山雄治に話を聞きにいく。

刑事たちに仁美が映っている監視カメラのビデオを見せられた遠山。その映像には黒い女の影が映りこんでいた。画面越しに自分を見つめる女に気付いた遠山は、ついに元凶である家を燃やす決意をする。しかし何故かそこに、高校生に成長した娘・いづみの姿が現れる。さらに2階では、女子高生の3人組が押入れで何かを発見し、絶叫と共に消えてしまった。

そして、死んだはずの伽椰子が現れる。助けに来た刑事たちを振り切り、一人逃げ出す遠山。あとに残された刑事たちは、そのまま伽耶子の餌食となった・・・。

家に行ったセンターの職員・広橋も死亡。
ちなみに雄治が見たのは5年後の未来の光景であり、高校生になったいづみも、父親の姿を目撃している。

いづみ

女子高生の千春と美雪は、ある日急に学校に来なくなった友人・いづみの家へ、修学旅行の写真を届けにいく。しかし、いづみの様子はすっかりおかしくなっており、部屋は窓という窓に新聞紙が貼られていた。

いづみは、一緒に呪いの家に入り、消えてしまった3人の友人・・・沙織、綾乃、千晶が覗きに来るのだと話し、錯乱する。いづみの母は、亡くなった父親も同じように、ある日家中の窓を塞ぎだしたのだというが・・・。

帰り道、渡しそびれた修学旅行の写真を見る千春たち。だがそこに映っているいずみの顔は、すべておかしくなっていた・・・。

その夜、
父親の夢を見て目が覚めるいづみ。しかしそこに、消えた3人が現れる。逃げ惑ういづみだが、伽耶子に仏壇の中にひきずりこまれてしまう。彼女もまた、父親と同じ運命を辿ってしまった・・・。

物語の時系列で一番未来の話である(いづみが見ているテレビから、廃屋の天井裏から理佳の遺体が発見されたというニュースが流れている)。

いなくなった女子高生3人組の一人・高宮沙織は、オリジナルビデオ版の『沙織』。

伽椰子

念願叶って介護士として働いている理佳は、同じく夢を叶え小学校教師となった親友・真理子と久しぶりに会う。彼女が受け持っているクラスに不登校児がいて、色々と大変らしい。そんな中、俊雄の姿を再び目撃し、取り乱す理佳。

その日は家に帰るが、理佳の体調を心配する真理子から電話がかかってくる。しかし、電話口からはあの猫の鳴き声が・・・真理子は今、不登校の子供の家からかけているという。しかしその子供とは、俊雄のことだった。真理子はあの家にいるのだ!

親友を助ける為、再びあの家に足を踏み入れる理佳。しかし時すでに遅く、真理子は伽耶子に天井裏へ連れ去られてしまう。そして理佳は、日家に入ったあの日からずっと、伽耶子が自分の中にいたことに気付く。

そして理佳は、
伽椰子と同じ運命を辿ることとなった──。

最後に現れた男は剛雄。伽椰子を殺害した後、呪い殺された。(剛雄の詳細はビデオ版で詳しく語られている)

『遠山』から数年後~『いづみ』の間に起きた出来事なので、本来、俊雄は真理子の生徒になることはない。時間軸を捻じ曲げ設定まで改変するとは、伽耶子の呪いパワー恐るべし。

ちなみに理佳は家に入った日から伽耶子に取り憑かれているため、服装の趣味が以前と変わっている(伽耶子が好む白い服を着ている)

最大の見所:最凶に理不尽な"呪い"

家に一歩でも足を踏み入れたものは殺人事件を調査しにきた警察だろうが容赦なく死ぬという想像を絶する理不尽さ。
家に入らなきゃ死なないじゃん、余裕~!と思っても、たまたま標的の近くに居合わせたという理由だけで殺されるわ、更には時間軸まで捻じ曲げられるとか、伽耶子さんマジチート。
ラストでは家どころか街ごと呪って人類を滅ぼしている(らしい)。
このことからビデオを見れば死ぬリングの貞子の呪いとどっちが強いのかファンの間では良く話題になったが、2015年現在、最早ビデオのタビングという言葉が死後になってしまった以上、貞子には3Dの設定で頑張ってもらうしかない。

しかし2016年、なんとこの話題が現実のものに!

どこにでもある「家」が怖い。

階段、覗き窓、ふすま、押入れ・・・日本家屋独特の「家」を構成するありふれた要素、一つ一つが何故か怖い。どこにでもある住宅街の普通の一軒家、良く掃除され生活をしていた空気が残っている場所が、別の主人公の時間軸では恐ろしく荒れ果てているという何が起こった!?感が凄い。病院や学校と言った特殊な領域ではなく「家」という最も身近な領域で起こる恐怖が、ホラーというジャンルでありながら割と万人受けしたのかもしれない。
余談だがこの伽耶子の家は「放送止」というフェイクドキュメンタリードラマにも登場する。

小ネタ:伽椰子の声の正体

あの「ア"ア"ア"ァ~」という伽椰子ヴォイスの正体は監督ご本人。
この映画を観て布団の中でモノマネしまくったのは自分だけじゃないハズだ。

エンディング:鍵が開かない

映画のエンディングは推定少女の「鍵が開かない」。真っ暗な画面にスタッフロールが流れる中、最後の歌詞が「ひとりに しないで・・・」のだったのが印象的。歌詞を見る限り、俊雄の心情を歌っているように思える。

~こんな人にはオススメできません~
■ビックリ要素や謎が解明されないストーリーが嫌いな人
単純な脅かし要素も多い為、ホラー好きな人でも好き嫌いは分かれる。またオリジナルビデオ版を観ていなければ解らない点が多い為、理不尽さや意味が解らない部分をつまらないと感じる人もいるはず。

■俊雄くんが可愛いと思った人
俊雄くんがエレベーターでエンドレスストーカーしてくるシーンで可愛いと思ったら末期。

最後に!

元々「呪怨」はオリジナルのビデオ作品で、それの劇場版が今作。
色々な謎が解る作品なので劇場版を観た方は是非オリジナルビデオ版も観るべし!
・・・オズ破産しちゃったけど!(泣)

色々茶化して書いてますが、オムニバス形式で時間軸がバラバラという構成、因果関係がよくわからないストーリー、各主人公の「下の名前」が表示される導入、伽耶子のあの不気味な声のインパクトなどの演出は秀逸で、個人的にはとても面白いホラー映画だと思ってます。ただしファイナル、てめーはダメだ。

映画ではすっかりモンスターみたいな扱いの伽椰子さんですが、小説では伽椰子の心理が描写されているので、伽椰子の人間としての一面を垣間見ることができます(それもまた良し悪しでしょうが)。ホラー映画のモンスターとしてではなく、あくまでヒロインとしての伽椰子さんが好きな人には一読の価値アリです!

↓ビデオ版はこちら!

↓終わりの始まりはこちら!

↓Jホラー、お好きですか?

*1:TVアニメおじゃる丸の登場人物で陶芸家。他にも同作品で松山氏は声優として実演販売の押野など複数のキャラを演じている。