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ザ・グリード ネタバレ感想~最高に楽しい傑作ホラー映画!「お次はなんだ?」の決め台詞がかっこよすぎる!

ザ・グリード
お次はなんだ?

ストーリー ★★★★★
パニック度 ★★★★

グロ度 ★★★
結論:パニックホラーのお手本。

1998年 アメリカ
原題:Deep Rising
監督:スティーブン・ソマーズ

豪華客船・アルゴノーティカ号の処女航海パーティーを楽しんでいる3000人の乗客たち。そこへ、深海から招かれざる客がやってきたことも知らずに・・・。

※犠牲者&生存者、ラストのオチのネタバレ有。初見の方は完全に非推奨です。
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

あらすじ

消えた乗客

とある嵐の夜。
フィネガンが船長を務める密輸船・サイパン号は、ハノーバー率いる怪しい傭兵集団の依頼により、大量の武器と魚雷を積んだまま南シナ海を航海していた。が、途中モーターボードにぶつかってしまいエンジンが壊れ、船は操行不能の状態に。近くに豪華客船を発見したフィネガンは、修理工具や部品を貰い船を修理しようとするが、ハノーバーはフィネガンと機械整備士のパントゥーチを脅迫。自分たちと一緒に船に来るよう命令する。

実は彼らは最初からアルゴノーティカ号をジャックしようと目論んでいた武装集団だった。金品を奪おうと意気揚々と船に乗り込むも、船内はすでに荒らされ、乗客の姿は一人もない。一体この船に何があったのか・・・?

怪物登場

船底で部品を物色していたフィネガンたちは、同行していた武装集団のメンバーが巨大なミミズのような怪物に殺される姿を目撃する。スリの現行犯で貨物室に捕らわれていたトリリアンや金庫の中に隠れていた生存者たちの証言によると、船は船底をぶち破って現われた怪物に襲われ、今ここにいる人間以外、全ての乗員乗客が喰われてしまったという。

実はハノーバーの一味であった船のオーナー・サイモンによると、あの怪物は深海に棲む古代のワームの1種であり、人間を生きたまま丸呑みにして溶かすという恐るべき生物らしい。だが船のシステムはサイモンが完全に破壊してしまっため修復不可能であり、救助を呼ぶこともできない。

一刻も早く逃げだすため、一行は船内に詳しいサイモンの案内で脱出を試みるも、その間にハノーバーの部下は次々に怪物に食われてしまう。さらに怪物は彼らを先回りし次々にハッチを閉めてしまう。どうやらフィネガンたちを船首に追いやるつもりのようだ。それに気付いたサイモンは道案内中にウソの道を教え、ひとりだけ逃げてしまった。

ハノーバーの最期

怪物が船体を突き破り大量の水が押し寄せる中、フェネガンとトリリアン、そしてパントゥーチとハノーバーが分断してしまう。さらにハノーバーは逃走中、怪物の囮にするためパントゥーチの片足を撃ち抜き、一人だけ逃げてしまった。

それでもなんとか寸前のところでエアダストの中に避難し無事だったパントゥーチは、カジノでハノーバーと再会する。だが彼は下半身を怪物に丸呑みされており、上半身だけで踏みとどまっている状態だった。逃げようとしたパントゥーチだが、最後の慈悲だと、「自分で撃って楽になれ」と彼に拳銃を渡す。そんなパントゥーチに発砲するハノーバー。だがいざ自殺する為に引き金をひくと、弾が出ない。さっき撃った一発が最後の一発・・・。絶叫するも時既に遅し。彼は生きたまま、怪物の胃袋の中に納まった。

脱出

生き残ったフェネガンとパントゥーチは、なんとかサイパン号を動かそうとする。一方、トリリアンはアルゴノーティカ号の水上ボートを動かすキーを探していたが、サイモンに邪魔される。彼女を救いにフェネガンが駆けつけるが、そこへ怪物の本体が姿をあらわす。巨大なタコのような姿でフェネガンに襲い掛かるが・・・

「ガンつけてんじゃねぇ!」

の一言で目を撃ち抜かれ撃退される。

しかしフェネガンがサイパン号に戻ってきた時、そこにパントゥーチの姿はなかった・・・。

失意に沈むフェネガン。
だが彼は、サイパン号を自動運転にしてアルゴノーティカ号にぶつけ船を爆発させ、自身はトリリアンと一緒に水上ボートで脱出する作戦を思いつく。そうとは知らずサイパン号に乗り込んでいたサイモンは、自らの夢の結晶であった豪華客船と共に散った・・・。

ラスト

怪物を屠り、トリリアンと共に近くの無人島へと逃げてきたフェネガン。だが水上ボートは壊れてしまった。思わずパントゥーチがいてくれたら・・・とつぶやくフェネガンをキスで励ますトリリアン。するとそこに「やぁお2人さん!」という聞き慣れた声が。パントゥーチは生きていたのだ!

再会を喜ぶ3人。
だがそこで、島に地響きが鳴り響く。

そう。
彼らがたどり着いたその島もまた、怪物の巣窟だった──。

登場人物

※吹替えキャストはテレビ版です。

■フィネガン(吹:菅生隆之)
密輸船・サイパン号の運転手にして船長。
金さえもらえれば依頼主の目的や仕事内容は問わない主義だったが、今回はそのせいで偉い目に遭う。だが実際は武装集団にも物怖じしない度胸とリーダーシップの持ち主で、どんな状況でもユーモアと勇気を忘れない頼れるナイスガイである。

■パントゥーチ(吹:檀臣幸)
サイパン号の機械整備士。
口から生まれてきたと称されるほどのおしゃべり野郎で、この映画の愛すべきボケキャラ。終始お間抜けな行動と言動で視聴者の心を和ませる。中盤にハノーバーに足を撃たれても生き残ろサイパン号に戻ってくるが、恋人を失い涙しながらの作業中に姿を消す。てっきり怪物に喰われたものかと思われていたがなんと生き残っており、夜通しボード1枚で海を泳ぎきったという最強のキャラでもある。

■レイラ(吹:石塚理恵)
サイパン号の乗員。
ボーイッシュな韓国系の女性で、パントゥーチの恋人。彼のことを「ダーリン」と呼びチュッチュするなどラブラブだった。が、サイパン号に残って損傷部分を修理していたところ船の乗客の溺死体を発見。直後怪物に襲撃され、帰らぬ人となる。

武装集団

ハノーバーをリーダーにした傭兵グループ。全員が軍隊のような訓練を受けており、メンバーの国籍はバラバラ。寄せ集めのメンバーだと思われるが、それなりの仲間意識は各自持っている。最新式の銃や武器、果ては魚雷まで所持しているが実戦経験には乏しく、無意味に銃を乱射しまくるなど所詮は荒くれ者の域をでていない。

■ハノーバー (吹:麦人)
グループのリーダー。
荒くれどもをまとめあげる軍人系ボス。豪華客船をジャックしようとしていた極悪人だが、部下を失って激昂するなど仲間意識はあった模様。序盤は自分たち以上にリーダーシップを発揮するフェネガンと衝突するも、本人が実力主義なためか、段々と彼の力量を認め銃を預けるなど、意外なコンビネーションをみせる。

とはいえ根っからの悪人であることにはかわりなく、後半パントゥーチの善意を無下にしたことで自業自得な最期を迎えた。

■T.レイ (吹:中田和宏)
ゲロ担当。
乗り物に弱いらしく、序盤では彼を吐かせようとからかわれまくったりと扱いが可愛そう。わりと真面目な性格なのかマムーリとは衝突が耐えなかった。傭兵グループのうち一番最初に死亡する。

■マムーリ(吹:成田剣)
人生の目的が「死ぬまでに世界中の全ての女と寝ること」と豪語し、レイラのことをやらしー目で見ていたり、見張り中にグラビアに夢中になったりと根っからの女好き。だが余所見している間に一緒にいたTレイが死に、彼もすぐに後を追うこととなった。

ちなみに演者であるクリフ・カーティスは現在、フィアーザウォーキングデッドで主演を務めている。

■ヴィーヴォ(吹:田中正彦)
黒人のスキンヘッド。
金庫に忍び込もうとしたところ、怪物と間違われ斧で頭をかち割られる。運がないように思えるが、怪物に丸呑みにされて殺されるのと比べたら、こちらの方が幸運なのかもしれない。

■ビリー(吹:森川智之)
ただ一人レイラと共に船に残ったメンバー。見張り担当だというのにレイラが襲撃されたことに結構な時間気付かず、レイラを探しに来た時には待ってましたといわんばかりに怪物に喰われた。

一見すると出番がない幸薄い人にみえるが、中盤に怪物の腹の中から生きたまま吐き出され、半分溶けかかった状態で絶叫し息絶えるという最高の見せ場がちゃんと用意されている。

■メイソン(吹:廣田行生)
黒人男性。
ハノーバーの部下の中でも地位が高い。中盤、水没した船内をフェネガンたちが先行して様子を見に行った際、同じく待機組となったトリリアンとパントゥーチに「正直にいうと、怖くてチビりそう」と素直に弱音を吐いていた。そこを怪物に襲撃されたときもしんがりを務めたが、泳いで逃げる最中に触手に襲われ、持っていた爆弾で自爆した。

■モリガン(吹:小野健一)
白人男性。
ハッキングなど電子機器を担当していた傭兵。豪華客船内では遠隔操作でハッチを解除したり、船内の地図の確認・誘導を行っていた。

メンバーの中では唯一肉体派ではないためか、序盤に移民の国やオーストラリアをバカにするなど嫌味なインテリっぷりを披露していたが、仲間が殺された時は怒りくるってフィネガンにつかみかかるなど人並みの情はあったらしい。

後半は怪物の襲撃に神経が参ってしまったのか、救助を待てば逮捕されるにも関わらず、怪物に喰われるよりはマシと厨房室に立てこもることを提案。「みんなで力を合わせて乗り切ろう」と悪役らしからぬセリフを吐き、フィネガンどころかフィネガンに同意するハノーバーとまで対立し、頑なにその場を動こうとしなかった。全員で必死に説得に当たるも、ようやく納得しかけた彼の後ろには・・・?

生存者

■トリリアン(吹: 日野由利加)
今作のヒロイン。
セクシーなドレスの美女だが、スリの腕前はピカイチ。その正体は世界を股にかける泥棒で、4つの国から国際指名手配されている犯罪者。船長のカードキーをすり金庫に忍び込もうとしたところをサイモンに見つかり貨物室に閉じ込められていたが、オードブルを勝手に開けてワインまで飲むという豪胆な女性。だがそのおかげで生き残る。

フェネガンに色仕掛けで自分を助けるよう頼むも、見返りに安いビールが欲しいと粋な答えをしたナイスガイにコロっと落とされたのかばっちりフラグを建てる。彼のピンチには拳銃一つで怪物に立ち向かうなど勇気ある一面も。

■サイモン(吹:池田勝)
アルゴノーティカ号のオーナー。
序盤にトリリアンを捕まえたメガネの男性で、ハノーバーたちが金庫に押し入った時は生き残った乗客と船長と共に中に避難していた。怪物の姿を目撃しており、早く逃げるよう進言していた人物だったが・・・

実はハノーバーたちの仲間で、船を止めた張本人。フィネガンの前で「ハノーバー」と名前を呼んだことから、船のシステムを止めた人間だと見抜かれた。莫大な建設費がかかった豪華客船は運行費だけでは維持費が保てないため、保険金目当てに船を沈めるつもりだったらしく、運行システムを完璧に破壊し、緊急信号すら送れない絶望的な状況を招いた。一応本人は人的被害は出すつもりはなかったらしい。

中盤では怪物が深海に棲む肉食系ワームが異常進化したものであるとの仮説をベラベラとまくしたてるが、なぜそんなに深海生物に詳しいのか謎。

■アサートン (吹:小島敏彦)
アルゴノーティカ号船長。
乗客たちと生き残っていた人物。サイモンが裏切り者と知った時には、罪のない人々を巻き込んだことに怒るなど良心的な人物だったが、中盤怪物に丸呑みにされてしまった。

今作の怪物:グリード

映画 ザ・グリード

深海からやってきた巨大生物。
豪華客船の船底を突き破り、中にいた乗客3000人近くを喰いつくした、まさに『強欲』。

ミミズのような姿をした怪物だが、サイトン曰く、カンブリア紀に存在していた肉食系の蠕虫(ワーム)の1種。のちにこれが本体の触手部分であることが発覚する。触手には視覚はないが、鋭敏な触覚と聴覚で動くものを識別。触腕にはそれぞれに口があり、基本そこから人間を丸呑みにし、生きたまま体液を全て吸い取った後は、残った骨を全て排泄物として外に出していた。中盤では自らハッチを操作し、生き残り組を自分の下へ誘導するなど知性も高い。

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本体はどでかいタコのような姿をしている。
間近でみるとくりくりした青いおめめが可愛らしいが、弱点の一つでもあったようで、フェネガンに撃ち抜かれた時には悶絶していた。

厨房でも炎や熱にビビっていたことからやはり「火」は有効だったようで、最後は爆発で木っ端微塵になった。

感想:パニックホラーとして最高の出来

日本版キャストでやるなら、パントゥーチは絶対に片桐仁さんでオネシャス!!

3000人いる乗客が皆殺しにー!!と書くと凄惨なストーリーだが直接殺害する描写は殆どなく、その後も血でデロデロになった白骨死体があるぐらいでグロ自体は控えめ。敵同士である武装集団となんだかんだで一緒に危機を乗り越えたりしちゃう奇妙な人間関係や、終始テンポがいいストーリーとノリノリなラスト、パントゥーチなどユーモラスなキャラの存在などポジティヴな要素が多いため、死亡人数のわりに展開が重くならず、最後まで爽快感たっぷりというB級ホラーとして最高のクオリティな今作。(ただし制作費自体は結構な額がかかっているので、本来の意味でB級ではないのだが)

約20年前のCGはぬめぬめとした質感にチープ感はあるが、動きや迫力などは案外申し分なく、最後のどでかい本体のヴィジュアルなど決して悪くなく、意外にBGMなど細かいところも良く出来ていたりと、もっと評価されていい1作である。

日本語吹替え版と配信状況について

ブルーレイは発売されておらず、DVDも既に廃盤。現在Amazonで発売されているものはプレミア価格となっており、1万円ほどの値段になっているので注意。また、ソフト版の吹き替えは、ラストのセリフがテレビでお馴染みの「お次はなんだ?」の台詞回しではなくなっており、声優陣も違うので注意が必要。2017年4月現在、dtv、Netflixが字幕&吹替え版、U-NEXTが字幕版のみ配信となっている。また、どれも吹替えはソフト版のキャストである。

最後に!

 日本語吹替え版でおすすめしたいホラー映画ナンバーワン。本当にラストの「お次はなんだ?」の言い回しが大好きで・・・TVでやるたびに嬉しかったものです。現在は午後ローぐらいでしか放送されなくなったのが悔やまれます。こんな楽しいホラー映画なのにDVD廃盤とか本当に泣ける!どうかテレビ版の吹替えも収録したスペシャルボックスとかブルーレイが、今後発売してくれますよーに!!

↓ワーム型モンスターといえば!