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【映画】マスク ネタバレ感想~テレビ版の山寺さんの吹替えが最高なコメディ!でも原作はホラー!?

マスク [DVD]
絶っっ好調ぅ!!

コメディ度 ★★★★★
ストーリー ★★★★★
歌 ★★★★★
結論:ベスト・オフ・山寺映画。

1994年 アメリカ
監督:チャールズ・ラッセル

※ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

あらすじ(ネタバレあり)

お人好しで冴えない、地っ味~~な銀行員・イプギス。口座を作りにきたビッショビショの美女・ティナに一目ぼれするも、クラブからはつまみだされるなど散々な毎日を送っていた。

だがある日。
川で拾った謎の仮面を被ったところ、顔面緑色の超人《マスク》に変身してしまう!なんとその仮面は魔神・ロキの力が込められた、つけた者の願望を暴きだす魔法の仮面だったのだ!

マジメな性格から一転、超ハイテンションの《マスク》となったイプギスは、銀行で金を盗み出しクラブで豪遊!ティナの唇を奪うなどやりたい放題!

だが恋人のティナを使い銀行強盗を企てていたギャングのドリアンが、計画を台無しにされた恨みから《マスク》を捜し始める。また、現場に残されたパジャマの柄から正体がバレたイプギスは、警察に追われてしまうが、新聞記者のペギーによって救われる。

しかしすぐに彼女の裏切りに遭い、ドリアンに売り渡されてしまうイプギス。そのままマスクを奪われ、警察に捕まってしまう。だがドリアンにさらわれたティナを救うため、飼い犬マイロの助力もあって刑務所を脱走。自分の力で彼女を助けにいく。

一方そのころ。
マスクの力で悪の権化と化したドリアンがクラブを襲撃。自分のボスを殺害し、裏切ったティナを縛りつけて爆弾で吹き飛ばそうとする。

だがティナのハニートラップとマイロのアシストにより、マスクがイプギスの手に戻る。《マスク》に変身したイプギスはギャングどもを一掃。爆弾を丸呑みにし、クラブの客たちとティナの命を救った。

その場にいた市長のおかげで今までの罪は全てドリアンのせいとなり、無罪放免になったイプギスは、ティナと友人のチャーリーと共に仮面を拾った川に行く。

本当にいいの?というイプギスの質問にキスで返したティナは、そのまま仮面を放り投げる。するとすぐさま友人のチャーリーが川に飛び込み、仮面を手に入れようともがく。が、目の前でマイロがくわえて持っていってしまう。

イチャつくイプギスとティナをよそに、水面では一人と一匹の攻防戦が繰り広げられていた・・・。

ロキの仮面

北欧神話の神・ロキが宿った木製の仮面。物語の冒頭、川に沈んでいた宝箱の中に封印されていたが、ダイバーの事故によりフタが開き、現世に解き放たれる。その後は川をさすらいゴミに絡まっていたが、お人好しなイプギスが人が溺れていると勘違いして飛び込んだ際、彼の手元に渡る。

装着すると肌に吸い付き、その人間が普段持っている願望が暴かれ、欲望のままに行動する顔面緑色野郎に変身する。この際ロキの魔法により肉体は超人化し、銃で撃たれようがどんなことがあっても死なない不死身の肉体となる。さらに魔法も使えるというオマケ付き。ただしロキは夜の神なため、変身できるのは夜の間だけとなる。

作中ではイプギスドリアン、そして犬のマイロまでもが《マスク》となるが、変身後の性格は異なる。ドリアンの場合は殺人を厭わなくなるなど極悪人となったが、イプギスの場合は根が善人なためか、強盗を働く時もギャングを追っ払う時もジョークグッズを多用するだけで決して死人は出さないようにしており、生来の人の良さはそのままだった。またマイロの場合もイタズラっ子に磨きはかかっていたが、イプギスを苛める人間をこらしめる程度になっている(マスク化してもイプギスにじゃれるなど、ほぼ性格は変わっていない)

実際の北欧神話に登場するロキは悪戯好きな神様で、変身が得意と言われている。

登場人物

※日本語吹替えキャストは金曜ロードショー版のものです。

イプギス(吹:山寺宏一)

主人公。
マジメな銀行員だが遅刻が多い地味な男で、パジャマの柄のセンスは最悪。マイロという犬を飼っており、犬に話しかける時の一人称は「パパ」。カートゥーンアニメのビデオやグッズを大量に持っている。つまりアニオタである。

推しに弱く、女性はおろか色んな人にしょっちゅう騙されカモにされているが、(実際はゴミだったが)人が落ちていると思い込み躊躇無く夜の川に飛び込むなど、心優しくお人好しな性格。そのためか《マスク》となった後も、「スーパーヒーローとなり世界平和につくすのダー!」と発言し、ハチャメチャに暴れまわる。

だが終盤ではマスクの力無しでもティナを救うおうとするなど勇敢となり、サシでドリアンと戦った際には彼を殴り倒すなど意外な腕っぷしの強さをみせた。

演者は若き日のジム・キャリー。
劇中では地味でおっちょこちょいなイプギスの演技に、マスク時のキレっキレな動きとハイテンションな話芸で、ギャップを見事に演じきっている。

■マスク
イプギスが変身した夜の姿。
スキンヘッドの緑顔に黄色いスーツ姿がデフォ。常にまくしたてるように喋りたおすなど異様にテンションが高いザッツエンターテイナー。イプギスが好きなアニメの影響をモロに受けてか、冒頭で見ているアニメのキャラクターそのままのリアクションをする。得意技は場をミュージカル空間(※映画によく登場する、その場にいる全員が歌いだす謎の力場)に変えることで、歌とダンスは抜群に上手い。

日本語吹替え版ではジム・キャリーの名演にあわせ、山ちゃんが様々な声色を披露してくれる。特にテレビ版の吹替えは名言が非常に多い。「絶っっ好調ぅ!!」「おせんべいになっちゃった!」

その他の登場人物

■ティナ(吹:井上喜久子)
クラブ「ココ・ボンゴ」の歌姫。
クラブを経営しているギャング・ドリアンの恋人で、彼の指示により、顧客のフリをしてイプギスの銀行に現われた。この時の登場シーンのインパクト・・・長い足といい見事なおっぱいといいリアル乳揺れといい、キャメロン・ディアスの美貌にメロメロになった視聴者は数知れず。イプギスをprprするシーンで「そこ代われ」と思った変態紳士や、ダンスシーンでパンチラばっか探していた野郎は多い。

一見するとビッチにみえるが実は純粋な面を持ち、初めて出会った時からイプギスの誠実さに気付いていたようで、何度か会っただけの彼を信頼するようになる。また、マスクのことを知ったあともマスクを通してイプギス自身に惚れこんだ。

終盤マスク化したドリアンに捕らわれるも、「最後に素顔の貴方とキスがしたい」といってマスクを脱がせ、その素晴らしいおみ足でマスクをけっ飛ばしてイプギスに貢献する。

■マイロ(吹:なし)
イプギスの飼い犬。
首をかしげる時の仕草がとんでもなく可愛い。

ご主人のことが大好きで、おりこうさんなわんこ。イプギスの言葉をすべからく理解しており、とってこいが半分まで完璧に出来る(ただしとってくるだけで離してはくれない)。作中ではイプギスのピンチを幾度も救い、さらわれたご主人を助けに車を追跡したり、車のロックを一人で外し、ドリアンから仮面を取り返したりと終始大活躍し、助演男優賞ものの名演技を披露する。

■ドリアン(吹:大塚明夫)
今作の悪役。
ボスのニコを裏切って、ティナを利用し銀行強盗を計画していた。が、マスクを奪った後は性格がさらに極悪になる。(マスク前は捕らえたイプギスを殺さないなどギリ殺人まではしなかったが、マスク化したあとはニコを射殺するなど残虐になった)

が、ティナの色気に負けマスクを脱がされて敗北。今までのイプギスがした罪を全部背負わされ御用となった。

■ミッチ警部(吹:若本規夫)
マスクを追う刑事。
一人だけミュージカル空間でも歌わないマトモな刑事。つまりこの映画唯一のツッコミ役である。マーガレットという奥さんがいるが、マスクにNTRれたらしい。終盤はイプギスを逮捕するが、脱走に協力させられた挙句、市長からもキツく言いつけられ逮捕できなかった。なんだかんだでノリがいい。「溶けてよぉ~し!」

■ドイル刑事(吹:安西正弘)
ミッチ警部の相棒の刑事。
太めでのんびりしており、どこか抜けている。ミッチとは違いミュージカル世界に呑まれ歌いだそうとするも全力で止められる。つまりボケ役である。

■チャーリー(吹: 大塚芳忠)
イプギスの同僚で良き友人。
・・・のはずだが、誘っておいてクラブからつまみだされるのに気付かないとかちょっとヒドい。終盤ドリアンが襲撃したクラブに客としており、イプギスから拳銃を渡されお客さんの避難を頼まれた時はノリノリで協力していた。終盤、マスクのことを聞いたのか川に落ちたマスクを拾おうと躍起となっていたが、続編の内容を見るに手に入れることは叶わなかったようだ。

ソフト版の吹き替えは速水奨さん。

■大家のおばちゃん(吹:青木和代)
イプギスのアパートの大家。
騒音に厳しくいつもわめきちらすヒステリックなばーちゃんで、マスクとなったイプギスを見た瞬間に猟銃をブッ放した。強ぇ・・・。金持ちなのかなぜか終盤の襲撃時にも客として登場しており、ギャングにもビビらずいい返すなど最後までアクの強いキャラだった。

■自動車整備の2人組
イプギスの人の良さにつけこみ、車にわざと故障箇所があるといって盛大にぼったくった意地悪な2人組。後にマスクと化したイプギスに、ケツをオーバーホールされる。

■ペギー(吹:高島雅羅)
新聞記者の女性。
人生相談コーナーを担当しており、過去にイプギスが送った「マジメ男の嘆き」という投稿を掲載した。現在はマスクの事件を追っている。

序盤でギャングの手先と判明したティナと入れ代わるように現われ、警察に追われていたイプギスを助けてくれるなど正ヒロインのような活躍をする。が!実は金目当てでドリアンと繋がっており、あっさりとイプギスを売り渡した。だがイプギスが殺されそうになった時は「乱暴はしないって約束でしょ!」と止めていたため、あながちイプギスの投稿を褒めていたのはウソじゃなかった可能性もあり、根っからの悪人というわけではなかったようだ。本編ではこの後の行方がわからないが、実はDVDの特典映像では・・・。

感想:奇想天外なマスクの七変化が楽しい!

映画 マスク

20年以上前のCGだがアニメを意識した演出のせいか、今でも見劣りしないクオリティ!飛び出す目玉、ハートになって飛び出す心臓、水を飲めば穴だらけの体から水が零れたり・・・と、子供のころ夢中になったマスクのどっきりリアクション。

映画 MASK

一番好きなのはこの走る直前の助走のポーズ。子供のころ見たバックスバニーとかロードランナーみたいで大好き。

ハイテンションな山寺さんの芝居といい、テレビ版の吹き替えは本当にノリが格別に楽しい!物語のテンポとスピード感を崩さない言い回しを選んでいるし、吹替えのクオリティはかなり高め。山寺さんだけでなくツッコミ刑事役の若本さんとおとぼけ部下のやりとりとか面白セリフは、はじめて金曜ロードショーで見てから十数年経っても覚えているぐらいインパクトがあるものだった。

そういえば大人になったいま見てようやく、マスクに最初に変身した夜にごろつきにバルーンアートを創ってる最中、一瞬出すアレが風船じゃなくてコ○ドームだと新たな発見をしたなあ・・・見覚えがなかったのは、子供のころ理解できなかった部分は覚えていない、ということなんだろう。下ネタが理解できるようになる度に汚れちまった悲しみを感じるぜ・・・・。

まるでミュージカル!名曲多し!

ギャングもポリスも、ミュージカル映画のノリで歌いだす・・・劇中に登場する歌はどれも名曲!好きすぎて思わずサントラを買ってしまうほど。ちなみにサントラの説明書の冒頭には、原作者John Arcudiによる映画の一場面をマンガ化したものが載っている。ほか、曲の解説や原文の歌詞と日本語訳が載っているので、マスクの音楽が好きな人にはサントラ版はかなりおすすめ。

以下、劇中でも有名な3曲を紹介する。

Hey Pachuco(ヘイ・パチェコ)

やはりMASKといえばこれ!メインテーマにもなっている「Hey Pachuco!」。マスクが魔法で周りの演奏家たちの衣装を変えみんながノリノリで演奏する中、ティナとのダンスシーンがはじまる楽しい1曲。くるっくる回されるキャメロン・ディアスのミニスカートに釘付けになったのはいい思い出である。

ちなみにタイトルになっている「Pachuco」とは、やんちゃしているメキシコ系アメリカ人の少年のこと。不良とかギャングとかそういう意味合いで使われる言葉のようだ。

CUBAN PETE(キューバン・ピート)

前述のパチェコと並び印象が強く、負けないぐらい楽しい曲と言えばこれ。警察のみなさんとミュージカルする、ラテン系のノリが楽しい「CUBAN PETE」だろう。

この「CUBAN PETE」は説明によれば映画のオリジナル曲ではなく、1936年の同名のアメリカ映画「キューバン・ビート」内の使用曲で、ラテン・クラシックの名曲の一つ(映画は日本では未公開)。歌詞の内容からタイトルの「キューバン・ピート」というのは人名のようだ。

ジム・キャリー本人が歌っている曲であり、吹替え版でもこの曲のシーンでは原音が流れる。歌声を聞けば解るが、ジムキャリーの地声に山寺さんはよく似ている。字幕版で見るとマスク変身時のダミ声部分も似ているので、演技も声色も大分寄せていることがわかって面白い。

Gee baby,Ain't I Good To You

パチェコの前にティナが歌っているセクスィーな1曲。妖艶なバラードで、歌詞の意味は「ねぇベイビー。私あなたに尽くしてないかしら」。男に尽くして尽くして尽くし続ける女性の、見ようによってはちょっとヤンデレにみえなくもない歌詞となっている。

ちなみに歌っているのはキャメロン・ディアス本人ではなく、スーザン・ボイドという歌手が担当している。

原作はホラー漫画!?

原作は「ヘルボーイ」や「メンインブラック」などを生み出したダークホースコミックのマンガ。つまりアメコミ作品!

ただしこの凶悪な表紙が意味するように、実は内容はコメディではない。映画と同じくイプギスが仮面によって緑の超人へと変身する設定は変わらないが、映画とは違い性格は凶悪で残忍になり、ストーリーも、超人となったイプギスが気にくわない人間を殺戮しまくるというホラーな作品となっている。しかもラストは歯止めが効かなくなった自分を恋人に殺してもらうという救いのなさ。映画の印象で読んだら間違いなく子供が泣く。ただしこの内容は1993年まで。これ以降のストーリーは映画の影響を受けギャグ寄りになっているようだ。

2017年現在も日本語訳はなく、国内では未発売となっている。ホラーからギャグに変わる経緯はダークホースコミックのページを見ると解りやすい。詳細はリンク先参照。

Search :: Dark Horse Comics

DVDとテレビ版の吹替えの違いについて

DVDの吹替えもイプギスは山寺さんが担当。だがそれ以外のキャストが異なるのと、山ちゃんのセリフの言い回しやテンションがテレビ版とはかなり違う。特に子供のころ金曜ロードショーで見たという人は、「絶好調!!」という特徴的なセリフが「決めたぜ!!」に変更されていたり、ダミ声の言い回しが少ないぶん違和感ハンパないことだろう。かといってDVD版の吹替えが楽しくないわけではないが、テレビ版の吹き替えは現在も収録されていない

さらに最大の注意だが、
Amazonで2008年に発売されているブルーレイには、日本語吹替え、及び日本語字幕は収録されていない。レビューがDVDと共通になっているので、吹替え版目的で購入する際は必ず、2011年に発売されたDVDを購入するよう注意して欲しい。

※DVDにはテレビ版で放送されない未公開シーンが収録されている。

最後に

原作がホラーということをつい最近知りました。

いや~サントラの説明書に載っている絵が随分コエーなとは思ってたけども!原作よりも映画の方がポップだよ!ぐらいのことしか書いてなかったけど、もうそういうレベルじゃないやんけ!!

山寺さんの吹替えが大好きな作品第一位ですが、1作目のあまりの人気に続編の評価が散々なことになってますし、恐らくこれからもリメイクなどもされないであろう作品です。もういっそのこと、原作を忠実に再現したら別の意味で伝説になるかもしれませんね。

↓山ちゃんの吹替えといえば!