びーきゅうらいふ!

 ホラー映画やアニメやゲームを好きに語る感想サイト。ネタバレ多め。

レゴムービー 感想(ネタバレあり)~オールLEGOブロックなアニメ映画!かつて子供だった、全ての大人たちへ捧ぐ感動作!

LEGO(R) ムービー(吹替版)
いつの日か黄色い顔の若者が現われよう
それは『選ばれし者』
彼の者深き地の底より
奇跡のパーツを見つけ出すであろう・・・

ブロック度 ★★★★★
ストーリー ★★★★
結論:ブロック好きによるブロック好きのためのブロック映画!

2014年 アメリカ
監督:フィル・コフィン

※ラストのオチのネタバレあり!
※感想だけを読みたい人は目次ですっ飛ばしてください。

目次

あらすじ

おしごと大王が世界最強の武器・スパボンを盗みだしてから8年。彼が市長を務めるブロックシティに住んでいる、ごくごく普通の建設作業員であるエメットは、日々何も考えずマニュアル通りの人生を送っていた。しかしある日。建設現場にいた謎の美女を追って穴に落ち、気がつけば背中に『選ばれし者』だけが見つけられるという奇跡のパーツをくっつけていた!

そのパーツを狙うおしごと社長と、その手先のバッド・コップに厳しい尋問を受けるエメットだったが、謎の美女・ワイルドガールに助けられる。エメットをウィトルウィウスの預言にあった『選ばれし者』だと崇拝するワイルドガール。そんな彼女の色気にまどわされ、全く意味がわからないながらも、おしごと大王からこの世界を救うため、仲間たちと冒険の旅に出る!

世界観

■世界について
全てがレゴブロックで出来た世界。
エメットが住んでいるのは『ブロック・シティ』と呼ばれる現代のビル街で構成される。おしごと大王ことおしごと社長が街の全てを取り仕切っており、市民にはマニュアル通りの生活をすることを強いている。エメットは楽しく暮らしているが、「全ては最高!みんなのマネして生きよう!」という洗脳まがいの歌が流れていたりと、ちょっとしたディストピアと化している。

ただし、空にある隠しトンネルを抜ければ、西部劇をモチーフにした「西部の町」や中世ファンタジーの世界「中つ国」など別の世界へ行くことができる(ちなみにこれらは全て実際にあるレゴシリーズ)。

かつてはそれぞれの世界に自由に行き来し、マスター・ビルダーたちが自由に創造していたらしいが、おしごと大王が壁を作って世界を区切り、マスター・ビルダーたちを次々に捕まえてしまったらしい。

■マスター・ビルダー
ブロックを使って様々なものを作り出すミニフィグたち。レゴシリーズのコラボキャラクター達で構成されていることが多い。作中ではスーパーマンバッドマン、グリーンランタンワンダーウーマンといったヒーローたちが数多く登場する。ほか、ダンブルドアやリンカーンといったキャラクターも登場する。

■スパボン
この世界で最強と言われる武器。見た目は小さなチューブのような外見で、透明な液体を吹きかけて街の住民たちをカチコチに固めてしまう。つまり・・・ ?

■奇跡のパーツ
スパボンを無効化できるという唯一のパーツ。見た目は四角がかった赤いパーツ。なぜかエメットの背中にくっついてしまった。

登場ブロック

■エメット(吹:森川智之)

主人公。
ブロック・シティに住む平凡な男性。頭からっぽのままマニュアル通りに規則正しく暮らしていた、完全に幸福な市民。仕事仲間はみんな友達だと本人は思っていたが、実は個性が全く無く、他人にのっかることしかしないエメットのことを誰も気に掛けておらず、本当はぼっちだった。美女にはめっぽう弱く、ブタが嫌い。普段はおとぼけ口調だが、たまに中の人の本気によりイケボになる。

奇跡のパーツを見つけた「選ばれし者」と言われているが、マスター・ビルダーの才能が全くなく、マニュアルや誰かに指示されなければ何も作り出せない指示待ち人間。自分の直感に従えと助言されて作ったのが二段ソファーという全く役に立たない代物だったが、それが功を奏しておしごと大王の目を欺くことに成功。徐々に才能を発揮していく。なぜかパーツに触れた時『上にいるお方』のヴィジョンを見るなど謎が多いが・・・?

元はレゴシティシリーズの建設現場に付随する作業員のミニフィグ。

■お仕事大王(吹:山寺宏一)
この世界最強の兵器・スパボンを盗み出した悪の親玉&ブロックシティの全てを牛耳る悪の市長。自由にものを作りかえるマスタービルダーを恨み、片っ端から捕まえている。謎の武器・スパボンを使って、この世界を完全に思い通りにしようと目論んでいるが、その真の正体は・・・?

■ワイルドガール(吹:沢城みゆき)
ヒロインのブロック。
エメットの仕事現場で奇跡のパーツを探していた美女。ウィトルウィウスの元弟子で、パーツを見つけたエメットのことを預言にある『選ばれし者』だと告げ、自慢の格闘術でエメットを全力で守る。が、彼がマニュアル通りに暮らす頭からっぽ人間だと気付いた時は扱いが雑になった。「イスはしゃべらないよ~」

ちなみにワイルドガールは自分でつけた名前で、その前はダークストームやクレイジークイーンだとかアイタタタな名前をつけていたらしい。どうやら昔は厨二病を患っていたようだ・・・。でも本名はルーシー。

作中ではバッドマンと真剣交際していたが、ラストではエメットと結ばれる。

■ウィトルウィウス(吹:羽佐間道夫)
冒頭でおしごと大王に預言をぶちかました盲目の魔法使い。耄碌したジジイかと思われたが、その実力は確かでたった一人でザコキャラを掃討するなど活躍する。出来れば熟練と呼んで欲しいらしい。しかし、志半ばでおしごと大王に粉砕されてしまう。その際、頭だけになった状態で実は預言が口からでまかせだとぶっちゃけて死亡するが、その後も幽霊となってエメットを励ました。紐が見えるのは気のせいですよ?

因みにオリジナル版で声優を担当しているのはモーガン・フリーマン

■バッドマン(吹:山寺宏一)
主人公たちのピンチを幾度も救う孤独なヒーロー。ブラック大好きでカラフルなものが嫌い。ロックは大音量で流す派。ワイルドガールの彼氏だったが、彼女の心がエメットに傾いていくのを見て身を引いた。

ちなみに吹き替えを担当している山寺さんは、89年版のバッドマン、92年のリターンズのテレビ放送版でバッドマンを演じている。

■ユニキャット(吹:沢城みゆき)
『雲の上の楽園』という世界に住んでいる、ユニコーンと子猫が合体したようなファンシーな生きもの。女児向けアニメみたいなキャラクターでいつでもポジティブでニコニコしているが、ブチギレると凶悪な一面をあらわにする。「あのクソ野郎どもぉぉぉ!」

■バッド・コップ(吹:玄田哲章)
T1000型みたいなヘルメットを被った警察官。グラサンフェイスの方は冷酷で残虐な性格をしているが、回転するとグッド・コップというもう一つの優しい性格となる。中盤でおしごと大王からグッド・コップの顔を除光液で消されてしまい悪に染まりきるも、終盤ではグッド・コップの性格が再び復活。主人公の味方となってくれる。

■ロボヒゲ(吹:間宮康弘)
レゴの海賊シリーズに登場する海賊のミニフィグ。以前おしごと大王のオフィスに忍び込むもに返り討ちにされ、サイボーグとなって復活した。当初はあまりのエメットの無能っぷりに呆れていたが、エメットが作った二段ソファーが意外に役立ったことで見直し、以降は仲間になってくれる。

■ベニー(吹:岩崎ひろし)
宇宙飛行士。
一人だけ80年代製の古いレゴシリーズのミニフィグだからか、ボディのシールが古ぼけている。重度の宇宙船厨でことあるごとに宇宙船を作ろうとするもその都度必要ないと止められていたが、終盤にようやく念願叶って宇宙船を作成することになり、ハッスルしまくる。「宇宙船宇宙船宇宙せぇぇぇん!!」

上にいるお方の正体(※ネタバレあり)

みんなの力でおしごと大王のオフィスに忍び込んだエネット。だが忍び込んだ仲間たち全員が捕まり、ウィトルウィウスも殺されてしまう。自分が選ばれし者ではなかったことに落ち込むエネットだが、大王に襲われるブロック・シティの住人たち、そして仲間たちを救うことを決意。自ら奈落の底へ落ちることでスパボンを止めた・・・。

だが目が覚めたエネットの目の前にいたのは、人間の男の子と、本物のレゴブロックで作られたブロックシティだった・・・!

■エメット(吹:矢島晶子)
現実世界(実写パート)でエネットが出会った人間の少年。彼がレゴワールドで言われていた「上にいるお方」の正体である。

■父親(吹:山寺宏一)
レゴワールドのおしごと大王そっくりの、エメットの父親。レゴをおもちゃではなく、結合式ブロック=大人の嗜好品として扱っているレゴ厨。全シリーズを買い求めては説明書どおりに完璧に組み上げ、作品として地下室にシリーズごとに分けて展示している。完璧な作品に手を触れられるのを嫌い、エメットが勝手に遊んでしまい場所を移動させてしまうので、その都度スーパーポンド(瞬間接着剤)でレゴを固めていた。つまり、おしごと大王の真の正体である。

ラスト~2つの世界のお話

重度のレゴマニアのエメットの父親は、様々なレゴを買い集めては地下に完璧な街や世界を組み立てていた。だがエメットが自由に遊ぶのをよしとせず、何かをイジるたびに彼を叱り、もう何も動かせないように、瞬間接着剤でミニフィグや建物を固定してしまう。

そう。
これは完璧な作品に固執する父親と、レゴで自由に遊びたい息子のエネットによる現実世界の物語と、劇中劇であるエメットたちの世界・・・2つの世界のお話だった。劇中のおしごと大王とエメットたちの闘いは、瞬間接着剤でレゴを固定しようとする父親と、自由に作って遊びたい子供との攻防だった・・・。

エメット少年が作った自由な創造物たちは、マスター・ビルダーたち。目の前で父親(おしごと大王)にバラバラにされていく姿を見て真実を知ったエメットは、なんと現実世界で自力で動き出し、奇跡のパーツを手に入れる。そしてエメット少年の力を借り、再びみんなの世界へ戻る。

そしてエメットは、おしごと大王と対峙する。
だが大王に差し出した秘密兵器は・・・自分の右手。そしてエメットは、ゆっくりと大王に語りかける。

エメットの説得と、現実世界のエメット少年の説得が重なる。マスター・ビルダーたちの自由な創造は、おしごと大王・・・父親が作ったものから得たインスピレーションで出来ているのだと。あなたも、『選ばれし者』だったんだと・・・。

父親は、エメット少年を抱きしめる。
そして、おしごと大王はエメットから奇跡のパーツを受け取る。その赤いパーツは、瞬間接着剤のフタだった・・・。

フタは閉められ、
スパボン溶解液がブロックシティに降り注ぐ。エメットとワイルドガールは結ばれ、世界には平和が訪れた・・・。

一方現実世界では、
瞬間接着剤溶かし、エメット少年と遊ぶ父親の姿があった。だが父親はいう。レゴで遊ぶのはエメットだけではなく、もだと。

そして平和が戻ったブロックシティに、ファンシーで可愛らしい侵略者がやってくる。

「おまえたちみんな、めちゅぼうさせる!」

さてさて、
エメットたちの運命やいかに・・・?

全部レゴ!!!

冒頭の「ワーナーブラザーズ」のロゴマークから、水や海といった無機物、爆発のエフェクトに至るまで全てがレゴで出来ているという驚愕のMADE IN LEGO映画!

まるで本物のレゴを動かしているような、カクカクとしたキャラの動き・・・わざとストップモーション調に作られているCGがまた素晴らしい!「ナイトメア・ビフォアー・クリスマス」や「コララインと魔法の魔女」などストップモーションアニメが好きな人間なら、レゴ感溢れる映像にまず感動できるはず。実際のレゴシリーズに登場する小道具なども豊富に登場するので、子供のころレゴが大好きだったファンには嬉しいところだろう。

豪華ゲストキャラ!

レゴシリーズでコラボしているヒーローたちや作品のキャラクターが登場するのもお楽しみの一つ!バッドマンがバッドモービルに乗って現われたり、スターウォーズのミレニアム・ファルコンが登場したりと、パロディを見ているような楽しさがある。

しかも日本語吹き替え版はムダに本気を出しており、バッドマンの吹き替えは山寺さんが担当。ゲストキャラとして登場したスターウォーズのC3POは、オリジナル版が実際の中の人であるアンソニー・ダニエルズであることを踏まえ、日本語吹き替え版でもエピソード1以降の担当声優・岩崎ひろしさんが演じている。おかげで本人ご出演感がハンパねぇ。

また日本語吹き替え版は、一人数役に定評しかない山寺さんをはじめ、映画の吹き替えはちょっと珍しい沢城みゆきさん、森川智之さんや玄田哲章さんや矢島晶子さんなど8名で全てのキャラクターを演じている。そのため、現在ではクールな女性を演じる事が多い沢城さんの貴重なロリボイスを堪能できたり、一人二役キャラの会話など色んな意味で楽しめる。ほか、「吉祥寺の裏通りにある雑貨屋みたいな部屋だね~」など、日本訳ならではのメタいセリフや言い回しなど、テンポのよい掛け合いも見所(聞き所)となっている。

創造するということ

まさにレゴによるレゴのための映画!とはいえ完全に子供向けではなく、大人にも響く要素もたくさん詰まっている今作。

特に、こういう子供のおもちゃにハマってコレクターになって遊ぶことをやめてしまった大人へのメッセージは・・・こう戒め的な意味でぐっさぐさ刺さる人には刺さるのではないだろうか。勿論コレクターになることが悪いことじゃないけども。でもなにかレゴの信念として『子供に自由に創造して欲しい』というメッセージみたいなものはあったんじゃないだろうか。

ブロックは創造のために。何かを自分の手で新しく、自由に創り出すためにあるのだと。創り手になって欲しいという願いみたいなものを感じた作品だった。

LEGO(R) ムービー(吹替版)

LEGO(R) ムービー(吹替版)

 

最後に

見終わると本気だしてレゴやりたくなる。

作品では完璧にこだわる大人と自由に作りたい子供の対比が描かれましたが、もう一つ。クリエイティブなことは特別なことではないんだよ、というテーマもあったような気もします。(創作することを生業としない)普通の人だって、何かを生み出す力はあるんだよという、どんなヘンテコなアイディアだって、決して馬鹿にしない・・・そんな優しさが込められているように思いました。

吹き替えキャストに釣られて何気な~く映画天国で放送していたのを見ましたが・・・とっても素敵な作品でした!次放送する時はぜひ金曜ロードショーでお願いしますっ!

↓アニメ映画感想!