びーきゅうらいふ!

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ナイトミュージアム 感想(ネタバレあり)~夜になると動き出す!わくわく魔法の博物館☆

ナイトミュージアム (吹替版)

ワクワク度 ★★★★
コメディ度 ★★★★
結論:館長が涙目。

2006年 アメリカ
監督:ショーン・レヴィ
主演:ベン・スティラー

※あらすじ・ラストのネタバレあり。未視聴の方はご注意!※
※感想だけを読みたい人は目次から。

目次

ストーリー

何をやっても長続きせず、妻からも離婚され、息子のニックからも「夢見てないで仕事探した方がいいかも」と諭されるダメ親父・ラリー。愛する息子のために今度こそはと見つけた仕事は、何故か次々に人が辞めていく"自然史博物館の夜の警備員"だった。だが前管理人の3人組は「誰も中に入れるな。そして誰もすな」と謎の忠告をする。

そして迎えた最初の夜。
ラリーの目の前には信じられない光景が広がっていた。

歩く恐竜の骨格標本。
ガムをせがむモアイ。
剥製のライオンは牙を剥き、
はてはミニチュアまでもが動き出し、ラリーに襲い掛かってくる始末。

そんな中助けてくれたのは、アメリカ合衆国第26代大統領・ルーズベルト!・・・を模した、蝋人形のテディだった。

彼は言う。
ここは「アクメンラーの石版」の魔法により、夜の間だけ命を宿した展示物が動き回る、本当に歴史が"息づく"博物館であると・・・!

アクメンラーの石版とは?

エジプトの王・アクメンラーの最も貴重な遺品。博物館の「エジプト王・アクメンラーの神殿」エリアに王のミイラと共に保管されている。石版とあるが実際は24金で出来ておりかなりの値打ちもの。1952年に博物館に収められてから、夜な夜な魔法の力で展示物たちに命を与えては全ての騒動の発端となっている。

あらすじ

大混乱な初日

魔法の力で動き回れるのは夜の間だけ。彼らは陽の光を浴びると灰となり消えてしまう。博物館の夜の警備員の本当の仕事は、展示物たちを外に出さぬよう管理することだった。 

とんでもない事態に愕然とするも、テディの力を借りて何とか展示物たちを元に戻すことができたラリー。すぐにでも仕事を辞める気満々だったが、テディからの「ある者は生まれつき偉大。それ以外は強いられて偉大になる」──ラリーにとってこの仕事が偉大になるチャンスだという言葉、何より愛する息子・ニックのために何とか踏みとどまる。

2日目

歴史を勉強し直し、
準備万端で臨んだ二日目の夜。

骨格標本のレクシーはラジコンであやし、モアイにはガムボールをくれてやる。
ミニチュアたちは即効で檻に閉ざし、鍵を盗むいたずらっ子ザルには子供用のおもちゃの鍵をわざと盗ませた。

だが互いの領土拡大を狙いいがみ合うジェドとオクタウィウスが暴れだし、さらにサルに本物の鍵を盗まれてしまい動物たちが暴走。博物館は再び阿鼻叫喚の大混乱に・・・

テディの静止も聞かず今度こそ辞めようとしたラリーだったが、サルのいたずらにより外に出てしまったネアンデルタール人のひとりが目の前で灰となってしまう。

後悔したラリーはあともう1日、続ける決意を固めたのだった。

3日目※ラストのオチのネタバレあり

自分の仕事ぶりを見せようと、夜の博物館にニックを連れて来たラリー。
だが肝心な時にレクシーはうんとも寸ともいわない。息子に本気に頭の心配をされるも、展示物はぴくりとも動かない。

それもそのはず、魔法の石版が誰かに盗まれていたのだ。
犯人は・・・前管理人の3人組!

実は年老いた彼らもまた、魔法の石版の力により夜だけ若返ることができたのだ!(見た目変わらないけど)
リストラされてなお石版の力を欲した彼らは、ラリーに石版を盗んだ罪を着せ、自分たちだけ逃げようとしていた。石版の魔法により動き出した展示物たちと共、石版を取り戻そうとするラリー。いがみあっていたジェドとオクタウィウスたちも手を取り合い、全員の力をあわせ見事に石版を取り返した。

夜が明けて。
王の力を借りて全員を博物館へ戻す事ができたものの、荒れ放題な博物館。様々な目撃情報により街は大騒ぎとなっており、ニュースをみた館長からあらためてクビを言い渡されるラリー。

だが館長室の外には、騒ぎをうけ大勢の人々で賑わう博物館の姿があった。その現状を見て、あっさりとクビを撤回する館長。

それから──
石版の力を借りて安全になった博物館では、夜な夜な展示物たちによるダンスパーティーが開かれるようになっていた。楽しい夜はまだ、終わらない。

登場人物

主人公一家(色んな意味で)

■ラリー(吹:檀臣幸)
バツイチの主人公。
スナッパーという指パッチンでつくスイッチを開発したものの、指パッチンは案外出来ない人が多いという事実に気付かず、競合(手拍子でOKのヤツ)に負けた過去を持つ。その後も夢のような技術を追っては同じような失敗をして、3ヶ月ごとに仕事を辞めては引っ越すという残念なコンボを繰り返した結果、元妻から最後通告・・・仕事見つけるまで息子をアンタの家に泊めるの禁止令を突きつけられ、ようやく本気出したダメ親父である。

とはいえ初日は真面目に仕事をせず、もらったマニュアルにも一切目を通さずに館内放送でボイパしたり一人カラオケしたりと遊び呆けた挙句居眠りしていた。が、現実離れした事態を目の当たりにした際は持ち前の運動神経を発揮。さらにマニュアルを失うも、彼らの性格を考慮した上でそれぞれの対応策を用意するなど並々ならぬ適応力をみせた。

その後不注意でネアンデルタール人が灰となった時には反省し責任感も芽生えはじめ、彼らを守るために尽力するようになる。

■ニック(吹:千葉翔也)
ラリーの息子。
離婚後は母親に引き取られ、再婚後の父親・ドンとの仲も良好。尚且つラリーのことも「父さん」と呼び慕っているなどフクザツな環境の割には素直で擦れていないお子様。だが好きなアイスホッケー選手になる夢の"代案"として、ドンと同じく債権トレーダーを目指すなど、ラリーとは違って現実的な子供でもある。

■ドン
ニックの二人目の父親。
債権トレーダーでベルトに携帯電話を何個も括りつけている。本来は気まずい元夫と妻との会話を、調子と天気の話と寒いダジャレで乗り切ったつわもの。

■エリカ(吹:山崎美貴)
ラリーの別れた妻。
離婚後もラリーとは頻繁に会っているようで仲自体は険悪とはいかないものの、いつまでもフラフラしている父親に振り回されるニックを心配し、ラリーに仕事を見つけ腰を落ち着けるように忠告する。

■デビー(演:アン・メアラ)
職業斡旋所に勤めて43年のベテラン職員のおばさん。ラリーの口の上手さにノせられ警備員の仕事を斡旋してくれたことが、結果的に運命を決定づけた。「ひょっとしたら、あなたツイてるかも?」
因みに演者のアン・メアラは、ラリー役のベンの実の母親である。

博物館関係者

■レベッカ(吹:高乃麗)
自然史博物館の従業員。
受付から子供たちの案内役まで幅広く活動している。サカジャウィアについて研究しており4年間も論文を書いているが、彼女の人間像をつかめず思い悩んでいる。終盤、ラリーから「展示物が夜になると動き出すんダー!」と言われた時は(当然だが)まるで信じずにいた。だが生きている展示物を目の前にし、その後はラリーと秘密を共有する人物となる。ちなみに憧れのサカジャウィアと会った時は嬉しさのあまり興奮しすぎてただのファンと化していた。

■マクフィー博士(吹:佐藤晴男)
展示物に登ったり触ったりする無神経なガキ・・お客様に辟易している博物館の館長。今作の憎まれ役だが、普通に考えれば毎日の様に備品がぶっ壊れてたり展示物の位置が変わってたり、消火器をブチまけられた挙句窓ガラスを粉々に割られればクビは当然である。むしろ客が増えただけで許してくれるのであれば心が広いほうなのでは・・・。

■ガス(吹:永井一郎)
客足が遠伸びた博物館の経費削減のため、リストラされた元管理人の一人。3人組の中では一番背が小さい。基本いつも怒っており、何かにつけて攻撃的。顔を合わせれば「パンチ食らわしてやる」「この唐変木!」などと罵倒する。だが初めて会ったラリーを「こいつは変わり者だ!」と評したので人を見る目は割りとあるのかもしれない。自称ボクシング経験者で1918年に没したジョン・L・サリバンと戦ったこともあると抜かしていたが、石版の力で若返った時にはラリーに見事なパイルドライバーを喰らわせた。

■レジナルド(吹:坂口芳貞)
管理人3人組の一人。
杖をついた黒人の男性で、ガスを諌めたりと基本はツッコミ役。だがラリーのロッカーから鍵を盗み合鍵をつくるなど抜け目ない。

■セシル(吹:中村正)
管理人3人組の中で一番穏やか(に見えた)人物。だがその正体は石版を盗み出そうと画策していた黒幕のリーダー格。初日にラリーにマニュアルを渡していたが、石版の力は真ん中の石をちょっとずらしただけで簡単に封印できることは伝えておらず、ラリーに全ての罪をなすりつけるためあらかじめ家に盗品まで仕込むなど用意周到に準備していた。

仲間が捕まった後も現金輸送用の馬車を盗み一人逃げだすが、皮肉にも自分が送ったアドバイス通りに歴史を勉強していたラリーにより、馬を止める暗号『ダコタ』を使われ、最後には捕らえられる。EDでは警察へ突き出す代わりに清掃員として働かされていた。

スタッフロールでは掃除しながら軽やかなステップを披露しているが、これは演者のディック・ヴァン・ダイクが映画『メリー・ポピンズ』のバート役で有名だからだと思われる。

展示物たち

今作の見所である「命を与えられたフェイクたち」。彼らが動けるのは夜の間のみであり、太陽の光を浴びると灰となり消えてしまう運命にある。みな与えられた設定通りの性格をしているが、中には自分たちが創られた存在であることを認識している者もいる。(この辺りはトイストーリーのウッディたちが自分はおもちゃだと理解しているのと似ている)

そのため、朝になれば大体はテディのように大人しく自分の持ち場に帰る者が多い。
・・・しかし興奮しすぎるとうっかり朝まで外で過ごしてしまうこともあるため、夜間警備員は彼らを管理し、その安全を守らなければならない。

■レクシー
ティラノサウルスの骨格標本。
一番最初に遭遇した展示物で、某恐竜映画よろしくラリーに襲い掛かってきた。が、実際は遊んでもらいたかっただけ。尻尾を振って喜んだりと子犬のような性格で、ちゃんとおもちゃ用のを自分で用意したり、朝になると自分から定位置に戻ったりととても良い子である。終盤では乗り物として活躍し、ラストでは石版の力なのかそれとも単に人を乗せるのが気に入ったのか、ニックを背に遊んでいた。

■デクスター
オマキザルの剥製。
ラリーから鍵を盗み出し窓やドアを開放した博物館一のトラブルメイカー。特にラリーに対しては放尿したりビンタしたりと扱いがヒドい。

■セオドア・ルーズベルト(吹:岩崎ひろし)
愛称はテディ。
立ち居振る舞いや発言はルーズベルト大統領そのもので、作中では幾度もラリーを助け、導いてくれる。因みに彼がラリーをローレンスと呼ぶのは、英語名ではローレンスの愛称がラリーであることから。

自分が蝋人形であることを自覚しているが、同じく展示物であるサカジャウィアに惚れており、話しかけることができずいつも窓越しに見つめていた。しかし終盤は彼女のピンチを身を挺して救い、胴体から真っ二つになってしまう。

ちなみに演者はディズニー映画「アラジン」でジーニーを演じた俳優・ロビン・ウィリアムズ。厳しくも優しいテディを好演しているが、この4年前には狂気のストーカー役を演じて評価を得ていた。役者ってすげぇ・・・。

■ジェド(吹:森川智之)
ちっちゃいものクラブその1。
本名はジェデダイア・スミスという、西部開拓時代に活躍した探検者。巨人(ラリー)を捕らえようとするなど血気盛んな人物で、お隣の展示物であるオクタウィウスとは仲が悪くケンカばかりしていたが、困難を共にしたことで後に親友となる。奪還作戦では馬ではなくラジコンカーを乗り回し奮闘。クラッシュしながらも見事に生還を果たした。

■オクタウィウス(吹:水野龍司)
ちっちゃいものクラブその2。
部下を率いて火矢を放ったり投石したりとわりと実害がある攻撃をしてきたローマ帝国将軍のミニチュア。ラリーの提案に真っ先にノり忠誠を示すなど強い者には媚びる忠誠をしめす主義。狭い展示の中では侵略ぐらいしかすることがないらしく、ジェドとは争ってばかりいたが、終盤の石版奪還作戦では彼を信頼し、良きコンビに。この時の彼らの活躍は本人目線の熱気と現実のギャップが見事な名シーンとなっている。

■サカジャウィア(吹:本田貴子)
インディアンの娘。
史実で有名なルイスとクラーク遠征隊に同行し、通訳など重要な役割を担った女性である。作中ではラリーが何度も読みを間違えるが、実は彼女の名の正式な読み方や発音は現在でも解っていない。

ガラス越しの展示のため常に眺めているだけの立場だったが、石版奪還作戦の際に外へ始めて出る。その際自分を庇って負傷(?)したテディの体を蝋燭を使いくっつけてくれた。EDではテディといい仲になったのか、馬に同乗していた。

■モアイ(吹:玄田哲章)
イースター島にあるアレ。
ガムガムが大のお気に入りでラリーのことを「ボケボケ」と呼ぶ。ピンチの時には「ニゲニゲしろ」と言ったり、終盤では大声で周りを黙らせるなどラリーの味方となってくれた展示物である。

■アッティラ
フン族の王。
マジックなど不思議な術と人間を八つ裂きにするのが三度の飯より好き。序盤ラリーを追いかけてエレベーターに首が挟まっていた。バイオなら死んでいる。終盤になんだかよくわからないがラリーと大声でわめき散らしながら和解した。

■ネアンデルタール人
火をつけることにご執心な原始人たち。
ラリーからライターを貰って念願の『火』を手に入れるも見事に炎上。消火器で泡だらけとなった。しかしなぜかその泡を気に入り、生クリームのように喜んで食べている。だが2日目の夜にデクスターのイタズラにより開いていた窓から一人だけ外へ出てしまい、朝までそのままいたため灰となって消滅してしまった。しかし一体減ったというのに特に騒ぎになることもなく、仲間もあまり気にしていないという不遇。

■コロンブス
・・・の銅像だが、ラリーは「ガリレオだっけ?」と名前が出てこなかった。喋る言葉はラテン語だがラリーの言葉はわかるらしく、何かと手助けしてくれた。奪還作戦時には自ら剣を抜いて戦う。

■マヤ族
ミニチュアサイズながらも某巨人駆逐兵団が如く果敢に弓矢で攻撃してくる。刺さるとちょっとシビれる。

■アクメンラー(吹:小森創介)
石版と共に展示されていた王のミイラ。
いつも棺の中で暴れていたが息苦しかっただけだった。素顔は普通にイケメンの好青年で、元々ケンブリッジ大学のエジプト学科に保管されていたので英語がペラペラ。なぜかその他の言語にも詳しくフン族の通訳まで出来る。登場するのは終盤だが恐ろしく察しが良く、ラリーたちに終始協力してくれた。元々石版は彼の物なので魔法の力を制御する事ができるらしく、ラストでは展示物を大人しくさせ事態を円満解決させた。ぶっちゃけラリーよりもお役立ちとか言ってはいけない。ラストではキレキレのダンスを披露する。

ちなみに上述の展示物たちは全て実際の歴史の登場人物だが、アクメンラーは映画オリジナルの設定であり、実際のエジプトにこのような王やアイテムは存在しないのであしからず。

感想~ドタバタハートフルコメディの王道!

なんでカウボーイとローマ帝国将軍で言葉が通じるんだよ!とか細かいことは気にしてはいけない。不思議なことは大体魔法のせいにしておけばなんとかなる素敵空間だからこれでいいのだ。

メトロポリタンミュージアムからホラー要素を抜いたストーリーで、まさにTHE・ファミリー向けな作品だが、大人は夢見がちなラリーの成長っぷりに、子供は純粋に動く展示物たちに、そしてアクメンラーのまさかのイケメンっぷりに心ときめかせること間違いなしである。

上述の通りたくさんの展示物が登場するが、セリフもないまま画面の端々に登場するキャラも多く、中には日本の狛犬(シーサー?)みたいなのもいたりする。顔面にガムがはりついたモアイを心配そうに見ていたりと結構可愛い。

実は原作は絵本。
映画よりもファンシーな物語となっている。

最後に!

ちっちゃいものコンビが大奮闘するシーンのコミカルな演出や、主役のベン・スティラーの軽やかなアクション(?)が楽しく、大人でも最後まで飽きずに観られる作品です。そして気付けばこの作品も10年前という恐怖・・・あれ、そんなに前だったっけ・・・。三部作となるほどの人気シリーズとなりましたが、それも初代のワクワク感があってこそ!初見で観るもよし、懐かしさに浸りながら観るのもよしな良作です。

↓コメディ大好きィィ!!