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【映画】プロフェシー ネタバレ感想~モスマンは含みをもたせるのがお好き。

プロフェシー [DVD]

ミステリー度 ★★★
恐怖度 ★★
結論:全編匂わせていくスタイル。

原題:
The Mothman Prophecies
2002年 アメリカ
主演:リチャード・ギア

※結末含めたネタバレあり。未視聴の方はご注意!※

目次

ストーリー

クリスマスイヴの夜、妻・メアリーと交通事故に遭ってしまったジョン。メアリーは一命を取り留めるが『何か』を見たと怯えるようになり、不気味な絵を描き残してこの世を去る。それから2年後。ジョンの身の回りでも、次々に不可解な出来事が起こり始める。赤い光、鳥のような影、金属音のようなノイズ、死者からの電話・・・一体、これらはジョンに何を伝えようとしているのか?

あらすじと登場人物紹介

■ジョン・クライン(吹:原康義)
ワシントン・ポストの敏腕記者。
クリスマスイブの夜に家の下見にいき、テンション上がりすぎて不動産屋そっちのけでクローゼットでイチャこらしはじめたりと幸せの絶頂にいたが、交通事故に遭い妻を亡くす。

2年後。
妻の死の痛みを引きずっていたが、ある日の深夜、ワシントンからリッチモンドに向かっていたが、気付けばたった1時間で、600キロ離れたウエストバージニアの見知らぬ町・・・ポイントプレザントに迷い込んでいた。

その後は妻が見た影と同じ『何か』の目撃情報が多発していた町に残り、周囲で起こる怪奇事件の正体を突き止めようとする。

■メアリー(吹:勝生真沙子)
ジョンの妻。
長年の夢である豪邸を買った帰りヒャッハー状態で車を運転していたが、大きな鳥のような影を目撃し事故ってしまう。目覚めた後は何かの影に怯えていたが、検査の結果、側頭葉の腫瘍(グリア芽腫)が発見される。目立った治療法がない珍しい病気だったため、のちに亡くなる。ジョンには「全部台無しにしてしまってごめんなさい」「あなたは幸せになってね」と言い残していた。遺品のノートには不気味な黒い鳥の絵を幾枚も描かれていたが・・・

■ゴードン(吹:斉藤志郎)
ジョンが迷い込んだポイント・プレザントの住人。
電話を借りにきたジョンにいきなり銃をつきつけたとんでもないおっちゃんだが、彼の話によれば、ジョンそっくりの男が真夜中に三日連続で尋ねてきたというのだから無理もない。

保安官の説得により冷静さを取り戻した後はジョンと和解、友人となる。彼もまた他の住民と同様怪異に悩まされていたが、「99人が死ぬ」と未来の出来事を予言され、さらに職場の化学工場の近くで、怪異の正体である「インドリッド・コールド」と名乗る男と出会ったと言い出し、仕事をやめてまで彼に入れ込むようになり、妻とも離婚してしまった。終盤、ジョンに電話を遺して凍死する。

その遺体は死後8時間が経過していたが、ジョンへの電話は遺体発見から1時間前にかけられていた。

■インドリッド・コールド(吹:???)
ゴードンが出会ったという謎の男。
てっきり彼の思い込みが創りだした人物かと思われたが、中盤にジョンに電話をかけてきており、ジョンの部屋の様子や家族構成などを言い当て、自分が予言の主だと暗に伺わせた。話によると「自分の姿は見る者によって変わる」という。

音声解析しても100%本人のものと言われるほど声真似が超得意で、作中ではゴードンやジョンのふりをして関係者に電話をかけまくっていた。ただしコールドの録音された声を解析した結果、彼の声は人間のものではなく、電気信号的な何からしい。

モスマンの正体かと思われるが、自ら名前を告げたり、電話で直接コンタクトをとったりと、自分の存在に気付いた人間には積極的にアプローチしていくタイプらしい。

■コニー(吹:佐々木優子)
ポイントプレザントの保安官。
ゴードンの妻・デニースに呼びだされ、一触即発状態だったゴードンを諌めた。ここ数ヶ月で町中の人々が「奇妙なものを見た」と言い出す怪奇事件が続発しており、ジョンとともに調査にあたる。その間に急速に関係を深め、あっという間にヒロインポジに落ち着いた。

実は彼女も「海で溺れ、ラッピングされたプレゼントをつかもうとするもそのまま沈んでしまう」という夢を見ており、目覚める前に「目を覚ませ。37番」という謎の声を聞いていた。

■リーク博士(吹:森章二)
過去に予言について研究していた。
黒い影の存在を以前から知っており、蛾の姿をしたそれを「モスマン」と呼ぶ。未来を見通すモスマンを「神ではない」といい、なぜ災害前に人に予言を与えるのかは、「人間がコキブリに自分の存在を説明しようとしない」のと同じで、その意図は全く読めないとジョンに忠告する。

実は彼も過去にモスマンから予言を受け、とある爆発事故を防ごうとしたが誰も信じず大勢の人間が亡くなってしまった。さらに警察からは犯人と疑われ逮捕されてしまい、妻とは離婚し子供とも疎遠となった。その後は精神病院に4年間入院させられ、学者としてのキャリアなど全てを失ってしまったという。

彼のいう「蛾は霊魂が~」という話は、古代ギリシャで「蝶」が人の霊魂の象徴であったことからだと思われる(蝶と蛾には生物学上の違いがないため)。ならせめて蝶男って呼んでやれよ・・・。また「ウクライナ人がモスマンと呼んでた~」ともっともらしい説明がされているが、実際の事件ではモスマンと呼びだしたのはマスコミであるため、モスマン自体は作中のような神話や伝承の存在ではない。

■CJ
ジョンが調査した町の住人。
車で彼女とニャンニャンしていた最中にモスマンらしき影を目撃したのち、両目が腫れあがり出血したという。原因は不明。作中で彼女が「私たち結婚するの」と絶対にいってはいけない一言をいってしまい、この映画唯一のグロシーンを担当するハメに。

ラストは?

コニーが死んだ妻・メアリーの姿を目撃したことで、冷静さを欠いていくジョン。さらに自分を騙った何者かが「化学工場について過去に事故なかったかどうか」の探りを同僚に入れていたこと。「オハイオ州で大惨事が起きる」と録音されていたことから、モスマンの予言が化学工場の爆破にあるのではと考えたジョンは、自身の記者としての立場を捨ててまで知事の工場視察を阻止しようとするが、結局は何も起きなかった。

失意の中。「メアリーが家に電話する」というメッセージが送られ、クリスマスイヴの夜にワシントンの家に戻るが、コニーの説得により彼女の元に帰ることを決意する。

しかし、ポイントプレザントまでのオハイオ州の境であるシルバー・ブリッジ付近が、信号の故障により大渋滞となっていた。だがジョンが車を降りると、キィキィと金属音が響く。それは何度も聞いた、あの金属音のノイズだった。

崩壊していく橋。
ジョンは落下したパトカーの中からコニーを救い出す。
やがて救援がかけつけ被害状況が報告された。ジョンが必死に呼び掛けたことで難を逃れた人もいたが、それでも36名が犠牲となった。

コニーが夢で見た「37番」。
それは、37人目の犠牲者となるはずだったコニーへの、モスマンの予言だったのか・・・。

真実はいまなお、明らかにされていない。

実際の事件をモチーフにしたストーリー

わざわざ「人いっぱい死ぬよ~」ってことを伝えるために、何年も前から町中の人に匂わせまくるとか、何がしたいんだわりと親切なモスマンさん。でも人数よりも事故が起こる場所をもうちょいピンポイントで教えて欲しかったなモスマンさん!化学工場のくだりとか完全にミスリードさせる気まんまんじゃないですかー!やだー!

ちなみに映画の元となった「モスマン遭遇事件」とは、1966年にポイント・プレザントで実際にあった事件であり、シルバーブリッジ崩壊事件も現実の出来事。(ただし映画では犠牲となった46名という人数が大人の事情で変えられている)

モスマンは現在UMA(未確認動物)扱いとなっているが、目撃情報にある「赤い目玉」や「鳥のような翼」、「キィキィという鳴き声」という特徴から、実際はフクロウだったんじゃねーか説もある。

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確かに宇宙人っぽい。

「モスマン」と呼ばれる前は、住人からは「バード(鳥)」と呼ばれていたようで、私たちがいま想像するこんな感じの「蛾人間像」は後からできたものらしい↓

大神秘博物館 第1集 モスマン
ライバルは蝿男。

60年代当時のアメリカはUFOブームがきており、ポイント・プレザントも事件前からUFOがよく目撃されていたことで、宇宙人のペットや!とか、いやいや先住民の呪いダー!とか色んな噂があったモスマン。鳥から蛾人間とか嫌過ぎるクラスシェンジだけども・・・果たして正体はなんだったのか。

画面上に溢れる伏線っぽいもの

冒頭の電話シーンでスペルを確認しているジョンが書いた「Y」と同じ形のものが、メアリーの脳のレントゲン写真や、ラストの事故現場のシーンに登場したり、鏡越しになんかヘンなのが映ってたり・・・と、意味があるんだかないんだかわからない伏線っぽいものがたくさん登場する。(Yは恐らく両手を上げて飛翔する形=モスマンの暗示なんだろうが・・・)

しかしこの映画の見所は謎解きではないように思う。
中盤のゴードンがコールドに入れ込んでいく描写や、ジョンが工場の影を病院で出会った謎の看護師に重ねたりする演出で、「こういった意味ありげなものをさも予兆として捉えて増長しているだけなのではないか?」という、全部人間の思い込みなのではないか、ジョンは愛する妻を亡くした現実を受け止めきれず、何か意味があったように思いたいだけなのではないか・・・?という疑念を抱かせつつも、モスマンが想像上のものなのか、それとも未知の存在なのか?のギリギリを攻めていく展開が最大の面白みなのではないだろうか。

モスマンの正体や目的とは

作中では、モスマンは電気信号の塊=魂?でこの世界の未来を見る事ができ、様々なアプローチで災害の「予言」をかましてくる存在として描かれる。が、そもそもなんでそんなことするのか、ちゃんと意図を伝えないのはなんでなのか、そういったことは一切わからずに終わっている。

また、モスマンの存在に気付いたゴードンやジョンはわかるが、なぜ遠く離れたワシントンにいたメアリーがモスマンを見てしまったのかも疑問が残る。彼女が元々病気で死の運命が決まっていた人間だったからなのか?ジョンを町に呼ぶ伏線だったのか・・・?

・・・考えても、
「意味はない」のかもしれないが。

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プロフェシー (字幕版)

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↑こちらが原作というわけではないようですが、UFO研究家のジョン・A・キールという方が書いた、ポイント・プレザントで起きた「モスマン事件」を取材したノンフィクション・・・という体の小説(?)らしいです。現在、下記の日本語版は絶版で値段が4戦円くらいになっちゃってますが、kindle版は洋書しか取り扱いがないのでご注意ください。

最後に!

題名のプロフェシーとは「予言」という意味。
原題を直訳するならまんま「モスマンの予言」となるのでしょう。そいつはダサイぜ。

事件により、「災害を予言する怪物」「不幸が起こる前触れ」的なイメージがついたモスマンですが、凶兆を告げる妖怪といえば、日本なら「件《くだん》」の雌の方でしょうかね?(byぬ~べ~)。新耳袋なら「牛おんな」といったところでしょうか。

怪物の恐怖!といえるほど怖さに重きを置いた作品ではないですし、ことの原因もよくわからずじまいに終わるストーリーに好き嫌いは分かれるでしょうが・・・未知なものは未知のまま描いた、というのは潔いのかもしれません。

ホラー好きというより、実際にあった事件だったり、UFO関係が好きな人におすすめの映画かもしれませんね。

↓予兆っていえば・・・