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【映画】ヴィジット ネタバレ感想~シャマラン監督が描く、はじめてのおでかけ おばあちゃん家編!

ヴィジット (吹替版)
不気味さ ★★★
恐怖度 ★★★
結論:3つの約束とは何だったのか。

2015年 アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
※本編のネタバレ含まれますので未視聴の方はご注意ください※

目次

ストーリー

19才のとき駆け落ちして以来、疎遠になっていた両親の元へ2人の子供を1週間預けることになった。姉弟は初めて会う祖父母に胸躍らせていたが・・・

登場人物

■お母さん(吹:久行敬子)
姉弟のママ。
高校最後の年に国語の臨時教員だったコリンと恋に落ち結婚しようとするも、両親から付き合いを猛反対され、罵倒されたことで大喧嘩して家出して以来、両親と疎遠になる。その後結婚生活は10年続き、ベッカとタイラー二人の子供をもうけるも、コリンが浮気したことで離婚。
両親とは15年会っていなかったが、最近になってネット上で自分を発見した両親から「孫に会いたい」と言われ、子供たちを1週間預けることに。そのあいだ子供たちの後押しもあり、新しい恋人と一緒に豪華客船の旅へと向かう。

だが、今なお喧嘩した日に何があったのかを頑なに話そうとしなかったり、子供たちが滞在中も両親とは話そうとしないなど溝は深い。

■コリン(吹:なし)
ベッカたちの父親。
子供たちを可愛がるいい父親だったが、スタバで出会った女と浮気しカルフォルニアのパロアルトへ行ってしまった。
終盤に映像だけ登場する。

■ミゲル(吹:なし)
ママの現在の恋人。
ベッカ曰く「チョイ悪な独身男性」。
豪華客船の旅行中に胸毛コンテストに参加していたので、さぞ立派なギャランドゥをお持ちなのだろう。

■ベッカ(吹:清水理沙)
15歳のお姉ちゃん。弟曰く「貧乳」。
新しい恋人と母を旅行に行かせるため、そして母親と祖父母を仲直りさせるための『万能薬』を求めてペンシルバニアに向かう。

ドキュメンタリー映画を撮るためいつもビデオを回しており、どれだけパニックになろうとも撮影を続けるスーパーカメラマン。
ノートパソコンには動画編集ソフトも入っており、自分でBGMを入れたりとなかなか本格的な編集作業を行っている。

女性蔑視発言を嫌悪したり、盗撮はしないなど非常に倫理的な女の子だが、それゆえか父親が他に女を作って出て行ったことをいまだ許せずにいる。(年上の彼氏がいるのは父親の影を追い求めて?)
また、そのことが原因で鏡で自分の顔を直視できなくなっている。

■タイラー(吹:河杉貴志)
ベッカの弟。13歳。
彼女候補のメル友がいる。が、向こうには絶対その気は無い。
ラップが大好きでどこでも即興で歌える。ステージネームは「Tダイヤモンド」。
姉と同じく彼も動画をアップするのが趣味(ただし再生回数は347回)。

姉とは違い、自分たちを捨てて出て行った父親のことを責めきれずにいる。以前アメフトの試合でプレッシャーからか動けなくなってしまい敗退するも、父親がそのことを一切責めなかったことで、過ちは許さなければと思っているようだ。

明るく年相応に生意気なお子様だが、先のように極度の緊張に弱く、プレッシャーがかかる場面では全身が硬直して動けなくなってしまったり、父親がいなくなった後はトイレのレバーに触れないほど極度の潔癖症になってしまった。しかしそんな彼に終盤最大の試練が・・・。

■おばあちゃん(吹:野村須磨子)
名前はマリア。お菓子作りが趣味。
少し痴呆が入っているのか、夜な夜な家の中を徘徊するクセがある。
今作のセクシー担当。半ケツやヌードまで様々なサービスカットを見せ付けてくれる。

■おじいちゃん(吹:側見民雄)
名前はフレドリック。最近の流行にもノってくれるおじいちゃん。
おばあちゃんと一緒に病院のボランティアで相談員も務める。農作業のおかげか、力は今でも強い。

■車掌さん
ペンシルバニアまでの列車の中で会う。
元役者で、二人がビデオを回していることに気付くといきなり芝居をはじめてくるお茶目な人。その後もノリノリで(列車内なのに)タイラーのラップに付き合ってくれる。

■サム
滞在中に祖父母の家を訪ねてきた人その1。
祖父母が相談員を務める病院の医師。
元役者で、ベッカがビデオを回していることに気付くとこの人もノリノリで台詞を言い出す。ゴシップ好きな祖父母のために、病院でちょっとした騒動が起きたと伝言を残す。

■ステイシー
滞在中に尋ねてきた人その2。
相談員仲間でお菓子を持ってきてくれる。自然な演技が全くできない。
今作のトラウマ要員。

あらすじ~ビデオ越しに語られる1週間!

本編は序盤を覗き、ベッカとテイラーが撮影しているという体のPOV形式でストーリーが進んでいく。

月曜日─Monday─

ママが泣きながら見送るなか、ペンシルバニアに向かう列車内で撮影する二人。
ママに幸せになってもらう為、自分たちが二人きりの時間を作ってあげたのだと自慢げに語る。ノリノリでラップを披露するタイラー。「エンディングは僕のラップでどう?」

メイソンビル駅では祖父母が出迎えてくれる。二人はそのまま母親の実家へと向かい、楽しく過ごすが・・・

・地下室はカビだらけだから入るなといわれる。

・タイラーがおじいちゃんが外の小屋に入っていく姿を目撃。声をかけるも、何故か無視される。
・夜9時半には寝ている祖父母。だが10時半すぎに、祖母のマリアがエクソシストよろしくゲーゲー吐きながら徘徊している姿をベッカが目撃。

火曜日─Tuesday─

ノートPCをおばあちゃんにみせるタイラー。ベッカは祖父に「昨日のあれはウイルス性胃腸炎」と説明される。

・家の軒下で這いずり回ってかくれんぼをして遊ぶ二人。その後ろを貞子よろしく四つんばいで追いかけてくるおばあちゃん。半ケツ見えてるよ!!

・祖父母が外出中、彼らがボランティアをしている病院の医師・サムが、「先週の当番の日に来なかった」「電話をかけても繋がらないから心配して様子を見にきた」と尋ねてくる。病院で騒動があったとも。

・タイラー、昨日祖父がいた小屋で大量の使用済み紙オムツを発見。祖母から祖父が失禁症であり、プライドの高さからこっそり隠して畑で焼いていることをきく。

・祖父に車で街にいく。道中、建物にいる人物を即興で作るというゲームをする子供たち。「警察署」では全然出勤しないし電話にも出ない、ジェリーという架空の刑事を作り出すが・・・?

・母親の母校に行くが、突然祖父が「ずっとこっちを見ている」といって通行人に殴りかかろうとする。

そして夜10時すぎ、ばーちゃんの全裸を目撃。
タイラー&視聴者「ヤバイもの見ちゃった・・・」

水曜日─Wednesday─

・祖父からばあちゃんは日没症候群・・・夜9時を過ぎると奇行に走るという病気だときかされる。そのため、「9時30以降は部屋の外から出ない」と約束する。

・しかし祖父自身も仮装パーティーに行こうとするなど、やはり痴呆気味。

・祖母がノートパソコンにクリームをこぼしオーブンクリーナーで拭いたため、カメラ部分のみピンポイントで壊れる。

・ベッカ、祖母にインタビュー撮影する。だが母親と喧嘩した日に何があったかを聞きただそうとすると、全力で拒否される。

※この日から、ノートパソコンを使っての母親と会話する際こちら側の映像が映らなくなる。

木曜日─Thursday─

・家の周りに井戸を発見。
・祖父母が外出中、今度は更正プログラム中に世話になったというステイシーという女性が尋ねてくる。「土曜の夜にきてくれるはずだったけど、来なかった」と発言。

・ベッカ、祖母が壁に向かって笑い続けている姿を発見。「くらやみさんがいるの」とスカーフで自分の首を絞めようとする。祖父を呼びにいくも、祖父は猟銃を口にくわえていた。

・自殺するのではないかという懸念から、タイラーが提案していた通り居間に隠しカメラを設置する。その夜の映像には、祖母が包丁を持ってベッカたちの部屋の前で佇む姿が映っていた。

金曜日─Friday─

前日の映像をみて流石にヤバいと思った二人。今日の夕方、母親が帰ってくるまで注意する事に。

・ベッカ、祖父にインタビュー。祖父は石炭の採掘工場に勤めていたが、夜勤中「走り回る白いヤツ」を見たが周囲には見えておらず、結果クビになったという。

・昨日家を訪ねてきたステイシーが、庭で祖父母と言い争っている姿を目撃。

・祖母が嫌がっていたインタビューに出てくれる。が「ある池に、宇宙からやってきた小さな生き物が住んでいた。生き物たちはその池に人を眠らせるツバを吐き、たくさんの人を眠らせ、たくわえていた。いつの日か故郷のシンモフィテリア星に連れていくために・・・」というガチでヤバめな話をする。

・・・その後、結局母親と何があったのかは話してもらえなかったが、どうしてもベッカが撮影したかった、祖母からの「おまえのことを許す」という母親への言葉をひきだすことに成功する。

真相

カメラが直り、ノートパソコンで母親と会話する二人。
すぐに迎えに来てもらうようにいう。が、カメラで祖父母の姿を見た母親は・・・

「あれは本物のおばあちゃんたちじゃない」

危険を察し、母親が迎えにくるまでの間なんとか逃げ出そうと裏口から外にでようとする二人。しかし、外の木には吊り下げられたステイシーらしき姿が・・・!

そして『祖父母たち』とゲーム中一人抜け出したベッカは、ついに開けてはいけないという地下室への扉を開く!

正体

地下室には本物の祖父母の写真と、祖母マリアの撲殺死体と凶器があった。

あの『祖父母』の正体はメイプルシェイド精神病院から抜け出した患者。つまり正真正銘の狂人だった。

■ミッチェル&クレア
祖父母を騙っていた狂人カップル。
ミッチェルの妻であるクレアは自分の子供を池に沈め殺していたが、そんな彼女にベッカの祖父母が「来週孫がやってくる」と子供の話をしてしまい、その後どういうわけか、クレアのためだとミッチェルが本物の祖父母を殺害。成り代わる。

正体が明らかになった後は子供であるベッカとテイラーを殺すため完全に暴走。ミッチェルに至っては「最初からお前が嫌いだった」と、潔癖症であるタイラーに自分の使用済み紙オムツを顔面にこすりつけるというイヤ過ぎるスカトロプレイをかましてくる。しかし、クレアと一緒に部屋に閉じ込めておいたベッカが鏡の破片でクレアを返り討ちにしたことで形成が逆転。
完全にブチ切れたタイラーがアメフト仕込みのタックルをかまし、最後は冷蔵庫のドアでミッチェルを倒した。

ちなみにクレアが子供を殺す理由は、池に沈めて殺すことでシンモフィテリア星に送れると信じているから。そう思い込むことで子供を殺したことを納得させようとしたのか、それとも最初から狂人だったのかは不明である。

結末

ラストは母親が警察をつれて無事救助される。

そして全てが落ち着いた後、ベッカにあの家出した日に何があったのかを語りだす。

母はあの日、祖母であるマリアを殴ってしまい、そのことで父親に殴られたのだという。祖父母はその後、自分を許し歩み寄ろうとしてくれていたが、自分の方からずっとその許しを拒否し続けていたのだと。

「恨む気持ちは捨てて」と泣きながらベッカ告げる母親。
その後、ベッカとタイラーの父親との思い出の映像が流れ、《映画》は終わる。

感想

最後は潔癖症を克服したタイラーのラップが本当にエンディングとなる。最後の最後まで謎のラップ推し。
ラストに父親の映像が流れたのは、この映画がベッカが撮影し編集したドキュメンタリー映画であり、最後には自分を捨てた父親を許したという証明なのだろう。

基本はじーちゃんばーちゃんによるびっくり大会で構成されている。だがオーブンのくだりなど視聴者をハラハラさせるためにわざとやってることがバレバレだったりと、この恐怖描写が怖いかどうかは人によって分かれるだろう。とりあえず毎回カメラ目線でドヤ顔で驚かせてくるばーちゃんには笑いしか漏れなかった。

シックスセンスのオチが序盤で解った人には医師のサムの発言で。少し勘のいい人ならステイシーのセリフやカメラの件からラストのオチは大体予想できるので、あとはタイラーのラップなど妙にコメディなノリが許せるかどうかで評価が決まりそう。

最後にタイラーが潔癖症を克服したであろうこと、鏡を見れないベッカが鏡の破片でクレアを倒したことなどは、子供の成長への暗喩だと思うので、ホラー要素のある家族ものだと思って観たほうがいいのかもしれない。

ちょこっと考察

劇中のミッチェルの「当番は火曜と木曜」というセリフと、医師が「当番の日に来なかった」というセリフから、恐らくはベッカたちが来る前の週の木曜日には本物の祖父母は殺されていた計算になる。前日にも当日にも泊まり先に連絡しないとかありえるのかいお母ちゃん・・・。

ミッチェルとクレア。二人には年による病気(失禁症)はあるものの、タイラーからノートパソコンにカメラがついていることを聞いた直後にカメラを壊したり、母親の過去の話をされた瞬間に通行人を殴りに行ったりと上手いことごまかしているので、本当の痴呆症ではないように思える。

最終日にヤッツィーというゲームをしていた時、ミッチェルが販売会社が変わっていたことを知らないというシーンがあるが、うぃきによるとセリフにあったミルトン・ブラッドレイがゲームを販売していたのは1973年のこと。だとすると彼らは70年代からずっと病院にいたことになる。

また、クレアがインタビューでおじいちゃんと始めて会った場所を聞かれたとき『庭』とだけ答えていたことから、二人は精神病院の庭で出会い、その後結婚したのではないだろうか?

過去に殺人を犯している患者に対し、いくらなんでも精神病院のセキュリティがザルすぎるとは思うが、ボランティアと会話できる程度ならば比較的病院では危険性が低いと判断されていたのかもしれない。(もしくはクレアが子供を殺していた過去は病院側も知らなかった可能性も)

気になるのは、ベッカたちが空想で語った「メイソンビル警察のジェリー」の設定が、母親が警察に電話をしたシーンで現実となって現れたこと。「ジェリー巡査は外出中で出られない」と言われるが、このシーンは何の暗示だったのか?一瞬、これはベッカとタイラーが父親のトラウマを乗り越える為の物語で、全て彼らの妄想でしたみたいなオチになるかと焦った。恐らくは、「ウソからでた真」的なノリなんだとは思うが。

ヴィジット (吹替版)

ヴィジット (吹替版)

 

~こんな人にはオススメできません~
■スカトロNGな人
オムツのアレのシーンは人によって最大級の恐怖シーン。生理的に無理ィィィ!!という人はやめておこう

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最後に

「もしかしてこいつらの中身宇宙人とかワンチャンあるで・・・」って思いながら見てましたがそんなことはなかった。
多分、最初に出てきた車掌さんや医者が役者志望というのも暗に偽者フラグを匂わせるためだったんでしょうが・・・とはいえ犯人が精神病院の患者で、「ただの認知症のじいちゃんたちだと思わせておいで本当にキチガイでしたー!」というオチや、頭ん中が一人サイン状態の精神異常者という描写はちょっと安直すぎるんじゃないかと思いました。宇宙人を信じている人に何か恨みでもあったのか監督は・・・。
ミッチェルやクレアが自殺しようとしていたことなど、彼らが罪悪感も持ち合わせている「人間」だという点をもっと丁寧に描いてもよかったような?

父親との確執や、母親を思う健気な子供たちなど家族の愛情物語はそこそこ楽しめましたが、肝心のホラー部分については個人的にはちょっと腑に落ちない映画でした。

↓BBAが怖い映画といえば・・・

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