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テイルズオブベルセリア クリア感想(EDネタバレあり)~演出やストーリー、キャラクターについて

『テイルズ?オブ?ベルセリア』オリジナルサウンドトラック(初回生産限定盤)

ベルセリアを一通りクリアしてみての感想!ベルセリア・ゼスティリア両方のエンディングのネタバレがあるので、どちらかが未プレイの方はご注意ください!

※エクシリア2のエンディングのネタバレも若干あり。

結論:大体天族のせい。

目次

ベルベットの心情を丁寧に描いたストーリーと演出

暮らしていた村が業魔に襲われ友人含め全滅。
さらに弟ライフィセットを義兄と慕っていたアーサーに殺され、自身も喰魔となり3年間も幽閉されてしまう・・・という歴代でもトップクラスに酷い目に遭う主人公のベルベット。

すっかりグレきった彼女が旅に出る目的が「アーサーを殺すため」という、設定だけ見れば初代ファンタジアのクレス達とそう違いはないのだが、一方的な侵略者ではなく、殺したい対象が「家族」というのが救いの無さに拍車をかける。

ベルセリアのストーリーの中心は最後までベルベットの『復讐』であり、今までのシリーズと比べると遊び要素や寄り道要素は少ないが、辛すぎる過去から復讐のために暴走する彼女が、仲間やライフィセットたちと旅をするうちに徐々に表情が柔らかくなり、自分を取り戻していく過程が非常に丁寧に描かれている。

ベルセリア ベルベットの夢

合間合間に入るベルベットの『夢』のパート。
失ったきた人たちと会話するという、ベルベットが心情が痛いほど伝わるシーン。

ゲーム中も街の人間との会話や細かなところでイベントが発生し、アーサーとの回想シーンが頻繁に入るなど、ベルベットの過去を掘り下げていくストーリーはとても良かった。

一方で、色々事情がありそうなマギルゥやアイゼンなど、その他のキャラクターの過去はゲームを進めていくうちに解ってはくるものの深く掘り下げられることはないので、各キャラのファンの人には物足りないかもしれない。でもきっと小説で補完されそうな予感。

プレイ時間は少なめだが・・・

メインストーリーを攻略するだけなら30時間ほどでクリアできるので、歴代と比べ短めであはあるが、緩急と勢いがあるストーリーで、中盤以降は怒涛の展開が続き、終盤まで一気に駆け抜けていくので飽きさせない。

また、
前作とは真逆の「災禍の顕主VS導士」というラスボス戦の展開は熱く、ゼスティリアをプレイしていれば、ヘルダルフと同じ手を持つベルベットと、スレイと同じく神依を使うアルトリウスとの戦いに、感慨深いものがあると思う。

『人間』だったアルトリウスとベルベット

アルトリウスの最後の「死んだのがセリカではなく、おまえたちなら良かったのに」というセリフは衝撃的だが、この『理』に反する本音が、彼が感情を捨てきれない、ただの人間だったことの証明だったように思える。本当は世界よりも何よりも、己の感情を一番鎮めたかったのもしれない。

そして終盤。
心から愛していた人たちが自分を選んでくれなかった事が、ただ「悔しかった」と認めることができたベルベットもまた、世界の理よりも、自分の感情を優先させたただの『人間』であり、最後までベルセリアのテーマである、人間の理性と感情の戦いを描ききったストーリーだったのも良かった。

魅力的なキャラクター

元々フェイスチャットなどキャラクター同士の掛け合いには力を入れているテイルズシリーズだが、今作では、序盤のシリアスさをロクロウとにぎやかし役のマギルゥがうまく中和し、中盤ではアイゼンがまさかのギャグ担当なことが判明したりと、全体的に和気藹々とした雰囲気が伝わるチャットが多く、キャラに愛着が湧きやすい。

また、
実の姉という設定や、演じている新井里美さんの芝居もあって序盤&終盤に何度も泣かされることとなったシアリーズなど、サブキャラクターも総じて魅力的。

モアナやダイルといった喰魔たちが頻繁にチャットに登場するなど、操作キャラ以外の脇役たちも出番が多いのは嬉しかった。

特にモアナは、
「今作はショタばっかでロリがいねぇ!!」とお嘆きの紳士に全力でオススメしたいキャラクター。喰魔時の衣装がエロすぎる。

声優陣も総じて良い!

たまにみせる女性らしい気遣いと暴走時の迫力とのギャップに聞き惚れた、ベルベット役の佐藤利奈さん。極度のブラコン素朴な村娘→グレる→暴走→絶望→復活という、緩急ありすぎなキャラの熱演が素晴らしかった!

ベルセリア ベルベット

発売前は「黒ミラ」にしか見えず、キャラが被るのでは・・・とか思ってたけどいらぬ心配でした。ゴメン!

ほか、
発売前の情報と劇的に印象が変わったキャラはマギルゥ。
クセのある話し方で一歩間違えればウザキャラになりかねない雰囲気から「自分で操作することはないかな・・・」と思っていたが、実際プレイしてみたら全然そんなことはなく、佐藤聡美さんの演技もあって非常に愛らしいキャラクターとなっていた。心が壊れている状態でこれだけいい子なら、案外壊れる前のマギルゥは素直で純粋な性格だったのかも・・・?

おねショタを全力で殺しにいくスタイル

TOBには、
ベルベットの弟のライフィセット(CV::くぎゅう)
途中で仲間になる聖隷ライフィセット(CV:浅倉杏美)

と2人のライフィセットがいるが・・・
どちらも歴代でもトップクラスに可愛いショタ。

両方とも天使には変わりないが、やはりはずせないのがくぎゅうこと釘宮理恵さんのショタ演技!!
冒頭の姉が大好きな可愛い男の子が、後半、容赦なく姉に言葉責めする病みショタへと変貌を遂げた様子に興奮した紳士淑女は多い。よね?

好き嫌いはわかれる?悪側の主人公

今まで「法で裁けない悪人を殺す」というユーリのような主人公はいたものの、無関係の人間を巻き込んでも構わないスタイルの主人公はベルセリアが初。なので今までのテイルズシリーズのように、「マグニスさまだ豚だ・・・」みたいなキャラクターをブチ殺すノリが好きだった人にはやや厳しめかもしれない。完全に巻き添えで全滅したモアナの村人たちにとっては涙目どころじゃない。

この辺りの暴走は、中盤以降にベルベットを徹底的に打ちのめすための伏線のようなものだが、キャラの言動や行動などは人を選ぶストーリーともいえる。

個人的に残念だった部分

チャットの発生タイミングや内容などは前作から大分改善されているが、個人的に「これはどうにかして欲しかった!」というところも。

一つが
モアナ村全滅イベントやアバル村の幻覚イベントという欝展開の直後に漫才イベントが発生すること。

基本船移動なので、港→街→ダンジョン→イベント→また港へ・・・という流れになるが、これらの欝イベントの直後に港でマギルゥ奇術団イベントが発生する。これはヒドい。サブイベントが元々少ない中、「マギルゥが各キャラとコンビを組んで漫才をする」というお笑い枠のイベントで、内容自体は楽しいのだが、強制ではないとはいえ発生タイミングが悪すぎる。決戦直後ぐらいで良かったんじゃ・・・。

2つ目が
序盤の戦闘の掛け合いが終盤まで出ること。
チャットでいいだけデレだあと、戦闘後にライフィセットに冷たいベルベット・・・というチグハグさ。アイゼンに何回も業魔の左手のことを聞かれたりと、このあたりは細かいイベントにまで気を配ったストーリーだっただけに残念だった。

あと気になったのはダンジョンのフィールド。
アバル村や異国情緒溢れるイズルドなど、街フィールドは綺麗だったものの、ダンジョンは前作の使いまわしもあるせいか、やはりムダに広すぎる。
中盤でホバーボードという移動時間短縮アイテムが使えるようになるが、走るよりはマシぐらいのスピードしかでないので、なるべく戦闘を避けてストーリーを進めたい人はイライラしちゃうかも。

エンディングについて

ある意味ゼスティリアと一緒の「主人公が眠り続けるエンド」。
たくさんの人を傷つけてきたベルベットが世界に希望を残すため、フィーや喰魔たちを助ける為、そして弟とずっと一緒にいるために決めた・・・というEDなので、個人的には不満はない。

だが、
最後のベルベットとライフィセットがくるくる回るイラストを見て
「これ絶対入ってるよね」
って思ったのは絶対に自分だけじゃないと思う。

しかしTOX2・TOZと自己犠牲エンドが多い中、そろそろこの流れもしんどい人も多そう。

どうあがいてもゼスティリア

TOZが好きな人には本当に申し訳ない言い回しだが、ベルセリアでアイゼンを好きになればなるほど、ゼスティリアでああなることが辛くなってしまう・・・。

やはり、最初から死亡することが解っているキャラクターがいるのは心情的にキツい!(しかも殺すのは前作の主人公だし)。エドナとアイゼンが幸せに暮らせるβ世界線はどこですか・・・?

ただ、自分がゼスティリアの『人間が持つ自然な感情(怒りや悲しみ、憎しみ)が"穢れ"となる』という、人間の感情や存在全否定という一番納得できなかった部分が、今作では逆に「穢れない世界を否定する」という方向性だったのには一安心。

「怒りや憎しみの感情がない状態での殺人行為や暴力行為は穢れを生まない」ということがハッキリ明示されたのも、前作で非難轟々だったロゼの問題に対する答えだったのかも。

一応、聖隷がドラゴンになる謎・・・穢れという概念が、"呪い"がどうして生まれたかのか?という疑問も、隠しダンジョンをプレイすればわかる仕様になっている。しかし都合が悪い事(設定上の矛盾やつじつまが合わない事)を、全部「それは呪いDEAH★」でごまかしてる感はどうしてもあるのだが・・・

っつーかこの世界設定だと霊応力がある人間の負担重すぎだし!
どうにかしようと真剣に悩んでいる人ほど、最終的には感情を消すみたいな結論になっちゃうじゃん!

総括!

・遊び要素が少なく、重めで悪役目線の展開に好き嫌いはあるかもしれないが、ストーリーや演出、キャラクターは非常に良い!!
・前作が満足できなかった人にもおすすめできるし、ザビーダが大活躍したりと、前作が好きだった人はなお楽しめる!
・前作が未プレイでも、ストーリー自体は独立しているのでそこまで問題はない。

反面!

・戦闘システムは好き嫌いが分かれ気味?
・ムダに広いダンジョンフィールドはちょっと苦痛
・ストーリーは短めで、やりこみ要素も歴代に比べると少な目

戦闘システムは個人の好き嫌いで大分評価が変わってくるので、「テイルズは戦闘が命!」というくらいバトルシステム重視の方は、体験版などで一度プレイしてみることをおすすめします!

最後に

今更ながらのクリア記事。
個人的には満足できた作品でしたが、この穢れの世界観は無理がありますし、使いまわし感も目立ってきたので、個人的には次は完全新作がいいな~と思っております。

戦闘システムについては、爽快感重視で非常にスピーディーですが、通常攻撃という概念が消えたことでコンボを繋げる楽しみが減った、ラスボスなどレベルが高い敵にダウンをとられすぎて連携が一切できなくなる、ブレイクソウルでゴリ押しになりがち、秘奥義演出があっさりめ・・・という点も。1人プレイで遊ぶか2人プレイで遊ぶか、など戦闘スタイルは人によって違うので、難しいところです。自分はラスボス戦以外は楽しかったです(レベル低すぎた)。

ただいまプレイステーションストアにて、
10月11日まで期間限定で、ゼスティリア・ベルセリアのダウンロード版が25%オフになっているので、ベルセリアだけをプレイして前作はしていない方、やろうか悩んでいる方はダウンロード購入を考えてもいいかもです。ただ容量に十分な空きがないとベルセリアはちょっとキツいかも?その点だけお気をつけください!

↓前回のレビューはこちら!