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撫物語 ネタバレ感想~1000%撫子一色!だけどこれ絶対にアニメ化できねぇヤツだ!

撫物語 (講談社BOX)
「せーのっ!」

撫物語《ナデモノガタリ》
講談社
作者:西尾維新

※あらすじ・ネタバレあり。未読の方は非推奨。

物語シリーズの最新刊!今作の主人公は「撫」という文字が現すとおり、かつてラスボス(神様)だった少女・撫子のその後のストーリーです!

目次

なでこドロー

かつて神様だった少女・撫子。盛大にやらかしてしまった彼女は見事に不登校になってしまったが、マンガ家になるという夢を叶えるため、日々絵を描いて過ごしていた。しかしついに両親から、「中学を卒業したら働きなさい」と言われてしまい悩む撫子。だが、そんな彼女に余接がある提案をする。それは、撫子を増やすという方法だった──!

撫子だらけなストーリー

中学卒業まで、一人で出来る努力には限りがある。だから代わりに「自分自身」の人数を増やす・・・愚物語でやったように、撫子が描いた「過去の撫子自身」の絵を余接が式神化。4人の撫子と今現在の撫子(今撫子)と合わせて5人の撫子が存在することに。だが過去の時間軸の撫子を元に作られた4人の撫子は、マンガの作業を手伝うどころか逃げ出してしまう!

街中に逃げた彼女たちを追い二手に分かれた余接と撫子。撫子は自分を探している途中で忍野扇(男子Ver)と出会い、彼が見かけたという『撫子』を探しに中学校へ・・・。

■今撫子
本体。
現在の撫子は「マンガを描くのにジャマだから」という理由で自分で髪をベリーショートに切っている。部屋からでないひきこもり生活を送っていたため当初はスウェット姿だったが、途中で(勝手に)月火の私服を借りて黒ニーハイ姿になった。

式神の撫子たちを元の紙に戻すには、彼女が白紙のページを直接式神たちに叩きつけ、折り畳むようにして挟み、調伏しなければいけない。

4人の撫子

撫子の分身(式神)たち。
ちなみに彼女の名付け親は全て余接である。

■おと撫子
長い前髪で目を隠していた、内気で一番大人しかった頃の撫子。式神としての能力は「人払い」。物語中、他の撫子に服をとられてしまったのか、上半身裸でブルマ一丁(つまり手ブラ)という、通報モノの格好で街中をウロついていたが・・・?

■媚び撫子
カチューシャ姿でおでこ丸出しヘアー。わざと露出が高い服を着て、暦に猛アタックしていた頃の時間軸の撫子。普通に中学校へ通い、みんなとコミュニケーションがとれる子だったら・・・という憧れからくる能力で、3年5組の生徒たちに見事に溶け込んでいた。ある意味クラスメイトを盾にしていたので厄介な相手だったが、一緒に行動していた扇くんの機転により無事調伏される。

■逆撫子
恋物語で盛大にブチ切れていた「あぁん!?」状態な撫子。月火に切られた前髪を再現しており、服装もその時着ていた浴衣となっている。怒りのままに行動する身体能力特化型。誰もいない阿良々木家で、おと撫子が持っていた彫刻刀で攻撃してくる。

■神撫子
ラスボス形態の撫子。
おと撫子を囮に使い、余接を一度はバラバラにした。最終決戦では自ら上半身裸ブルマの撫子(通称:ルマ撫子)を描き、コピー機を使って大量生産し盾にした。今作がアニメ化できない理由は大体コイツのせい。

努力すれば夢は叶う、は本当か。

撫子は何時間でも同じポーズをとれる式神の余接に人物デッサンのモデルを頼み、余接はその間、月火の愚痴をいうという・・・『愚物語』の事件をキッカケに、この二人が友情を育んでいたという意外な展開からスタート。

序盤は、「人とコミニュケーションをとるのが難しい中、働きながらマンガを描くのは無理。でも働かず、親の金を使い続けながらずっとマンガを描くことはできない。ならば中学卒業までにデビューするか・・・!?」と悩む撫子と余接のやりとりが中心。

ただひたすら『努力』すればいいのか?
自分が今やっていること・・・『努力の仕方』がこれであっているのか悩んだり、悩む時間があったらやれというが、悩まないことが本当に正しいのか?と考えたり・・・。

この辺りの撫子の悩みは、夢や目標に向かって努力していた人ならば誰もが一度は経験する悩みではないだろうか。

特に作中の余接のセリフである

『努力する事が許される環境』と『努力しなければ生きていけない環境』は似て非なるもの。

という言葉は、環境というスタート地点がまずバラバラであること。そもそもが『努力することすら許されない環境』があることを物語る。他にも、練習量で夢が叶うか決まるという「根性論」のような風潮は、故障者の出現率を考慮していないことにも触れていて、色々と考えさせられる内容となっている。

育も再び登場!

愚物語に続き、老倉育が登場。
公園で上半身裸ブルマ一という衝撃的な格好でうろついていたおと撫子を目撃しており、式神を探していた今撫子を見て声をかけてきた。髪が長かったおと撫子の姿を見たあとでベリーショート姿の今撫子と出会ったので、「イジメにあっているのではないか」と真剣に心配してくれる。

現在の育は大学生だが、授業をサボったりするなど大学生活に馴染めず、あまり上手くはいっていない様子。だが、撫子が不登校なことを相談した時には親身になって答えるなど、以前よりは大分穏やかになっている。

本当の恋の終わり

撫子を隠すなら撫子の中。
・・・というわけで、自身もブルマ一丁となってルマ撫子の中にまぎれた今撫子の活躍により、最難関と思われた神撫子も調伏完了。

だが、街中にいたルマ撫子は全て神撫子が作った式神だったこと、媚び撫子と服を交換したり、逆撫子に武器を渡していたことから、実際の黒幕は実はおと撫子だったことが判明。

全ては時間稼ぎのためにおと撫子が仕組んだことだった。彼女は以前よく着ていたあのオーバーオール姿で、一人、直江津高校の校門前で、誰かをずっと待っていた・・・。

おと撫子が持ち続けていた暦への恋心。「そんな大人になっちゃうの?」と問う過去の自分自身に向き合った撫子は、「"あの人"よりかっこよくて、ロリコンじゃない人を好きになる」と、新たに恋をすることを彼女に約束し、最後の式神を調伏した。

最強のサポート役だった余接

結局4体の式神を全員自分の手で調伏した撫子。物体具現化能力もさることながら、トラブルを冷静に、かつ勇気を持って対処したことを評価され、臥煙さんから専門家としての仕事の手伝いを依頼されるようになる。

実は撫子は元神様であることから専門家たちから殺されかねない立ち位置だった。しかし余接がサポートに徹底し、今回の経緯を撫子自身の手で解決させたことで、監視対象ではなく、投資対象へと対応を引き上げさせた。さらに、中学卒業までにお金を工面することが出来ない撫子のために、仕事先まで用意してくれたのだ。

余接がここまで撫子と仲良くなり、こんな立ち回りを演じるとは意外だった。愚物語でも既に片鱗を見せていたが、余接はもはや心無い人形ではないように思える。

最後に

電子書籍版の撫物語は8月19日から配信のようです。ついに物語シリーズも電子書籍に!嬉しいような、ちょっと切ないような気分ですね。

しかし今回の撫子の衝撃のブルマ姿!本来ならえろえろ萌え萌えなシチュエーションなんですが、なんか「変態発見!」的な雰囲気で全くそそらないという・・・(笑)

意外にも今回は余接との心温まる友情物語のようなストーリーでしたが、気になるのは次作の「結物語」のストーリー!あとがきでは「暦とひたぎの結婚式の話なのかな~?」と作者自らが疑問系でしたが、ほんと一体どんなお話になるんでしょう?あとがきに書いてあるってことは、逆に100%内容が変わるフラグなんじゃねーかって思っちゃいますが・・・。本当に結婚式だったら、入場曲は「君の知らない物語」かけるしかねぇな・・・。

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↓劇場版「傷物語」完結!