びーきゅうらいふ!

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子供の頃買ったミドリガメの話。

dabunmaker.hatenablog.com

ミドリガメが特定外来生物となり、2020年に販売禁止になるそうです。昨日コバログさんの記事を読んで始めて知りました。
私の実家には1匹のミドリガメがいます。今日はそのミドリガメのお話をしたいと思います。

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小学生の頃。

ゴジラよりガメラ派だった私は(*1)、札幌市内に存在していた「トップスエイト」というお店で、安そうなプラスチックの水槽に入った、小さくて可愛らしいカメを見つけた。そのカメは子供の私の手のひらよりも小さく、まるでガメラのミニチュアのようだった。

一目見て欲しくなった。

ちょうどその頃ハムスターがブームになっており、友人たちにはハムを飼っている家が多く、自分も何か生き物を飼いたいと思っていた時期でもあった。家は狭く犬や猫などのペットは禁止だったが、水槽で飼える生き物なら問題ない。

何より「500円」という値段。
これなら買ってもらえるかもしれない・・・。

「飼いたい」というと、母は私が面倒を見ることを条件に、特にねだることもなくアッサリとOKしてくれた。自分なりに顔つきが一番可愛いと思ったミドリガメを選び、近くにあった安物のプラスチックの水槽とカメのエサ、「ミドリガメの飼い方」という本を買い帰路についた。

きっと、母も私もこう思っていたのだ。
エサ代が犬や猫ほどかからず、エサやり以外に特に世話に手もかからないし、場所もとらない。子供が始めてペットを飼うには管理も楽だしいいだろう。


そして何より。
屋台の金魚と同じで、きっと長くは生きないであろうと。

だが想像もしていなかったのだ。
このミドリガメが、小さな動物のフンのような丸い粒状の「カメのエサ」だけで、20年以上も生き続けるということを。

ミドリガメを買ったトップスエイトはその後数年で店が無くなった。現在ではその面影も残っていない。調べると95年には倒産していたらしい。

自らが売られていた店舗よりも遥かに長生きしたミドリガメは、脱皮に脱皮を重ねもはや大人になった私が手のひらを限界まで開いても乗りきらないほどデカくなった。巨大になるにつれ可愛らしい緑色だった体は岩の様に黒い。

とはいえ、これは私が愛情尽くして世話をしたから・・・とは思えない。現在に至るまで彼女──家に帰り、本で性別を確認したらメスだった──は、エサは「カメのエサ」のみ。家族で1週間ほど出かけて無人になる時は、冬場は新聞紙をまき、エサは初日になるべく多めにあげる・・・ぐらいのものだった。家で水槽で飼っているとはいえ、真冬の札幌である。よくあの程度の扱いで大丈夫だったなと思う。

水槽は初期は頻繁に洗っていたが、体がデカくなるにつれ水槽も巨大になる。洗うのが大作業になると週に1度ほどに減っていった。汚れた水やフンを洗い流す際にひっくり返してお腹のあたりや甲羅のフチなどを歯ブラシでゴシゴシする際も、片手で容易にひっくり返せていた昔とは違う。割と重い。なかなかに凶悪なツメを持っている上にジタバタと暴れるので扱いも丁寧だったとは言いがたい。

病気にでもなったらこれは病院に持っていけないし、どうすればいいのだろうと思っていたが、未だにそんなそぶりも見せず彼女は元気である・・・母曰く。

私が家を出る時、母はミドリガメを絶対に持っていって貰おうと思っていたらしいが、関東の狭い部屋にこの巨大な水槽をおくのは現実的に不可能だったので、今も実家暮らしだ。

ガメラが好きという理由で飼ったのに、女の子であるという理由から世界的に有名なアニメキャラの名前を付けられてしまった彼女。今ならキラキラネームといわれかねない。もし喋れたら「訴訟も辞さない」と言われていただろう。

亀は千年生きると言われている。
さすがにそこまで長生きはしないだろうが、彼女は今日も明日も生きていく。

2020年まであと4年。
飼い続けるには書類手続きがいるらしい。もう60に近い母にそれができるだろうか。

人間の都合で飼われ人間の都合で捨てられ、人間の都合で排除される生き物に思いを馳せた1日でした。

*1:ゴジラも好きでしたが、ガメラが子供の味方だったので。