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【映画感想】ダーク・ウォーター 仄暗い水の底からのリメイク版!日本版との違いは?※ネタバレあり

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母の強さ ★★★★
恐怖度 ★★
結論:仕事してないっていうレベルじゃねーぞ管理人!!

2004年 アメリカ
監督:ウォルター・サレス

※ストーリーやラストのオチ、及び「仄暗い水の底から」のネタバレあり。
未視聴の方はご注意ください。

/主要人物/
■ダリア(吹:田中敦子)
主人公の母親。
基本的な設定は変わらないが、「残酷小説を校閲したのが原因で精神科へ通院していた」という設定はなくなった。また日本版の明らかにヒステリックで気弱そうな性格とは違い、気はそこそこ強い。偏頭痛や、両親の離婚(特に母親からの扱い)によるトラウマが強調されている。演じているのはフェノミナでヒロインだったジェニファー・コネリー。日本版と同じく、徐々に追い詰められていく母親を好演している。

■セシリア(吹:堀江由衣)
ダリアの一人娘
こちらも原作とほぼ変わりないが、離婚中の母親を気遣ったり、基本言う事をよくきくいい子だった日本版と比べ、引越し先のマンションを「汚い」「小さい」とdisったり、拾ったカバンに執着したりとこちらも気が強い性格に。

■カイル(吹:小山力也)
ダリアの元夫。
ダリアの引越し先がルーズベルト島という、父親側からみれば交通の便が非常に悪い場所にあったため、本格的に親権を争うことになる・・・という、弁護士を雇うくだりが追加に。怒りっぽい性格ながらも日本版のような陰湿さはなく、終盤ダリアと和解して涙するなど、決して悪い人間ではい。だが途中、マンションに住んでいるDQNを買収しているようなシーンがあるが一体なんだったんだろう・・・(母親は自分たちへの嫌がらせに父親が雇ったと考えているが、そこまで悪人とは思えないので、金を払って母親の行動をスパイさせていた、ぐらいが妥当だろうか?)

ナターシャ(吹:川田妙子)
日本版における美津子ポジション
ずっと顔がぼけていて、登場した時はゾンビだった日本版とは違い、最初から可愛い幼女の姿で登場する。ママになってアピールも本人に直接お願いするなどド直球。

日本版では生前は父親と暮らしていたが、こちらでは母親と父親の思い違いにより、マンションに置き去りにされ事故にあってしまう。

■プラッツァー弁護士(吹:安原義人)
岸田弁護士ポジ
日本版がいかにもまじめな弁護士だったのに比べ、大分くたげたノリになっている。家族がいないのにも関わらず、「家族がいる」とウソをついていることでまさかの黒幕フラグかと思いきや、日本版と同じように力になってくれるただのいい人だった。(単に時間外には働きたくないでござるってだけだったっぽい?)

■ヴェック(吹:坂口芳貞)
マンションの管理人。
風貌がどことなく日本版の管理人と似ている。不動産屋ともども仕事しないところも日本版と一緒だが、こっちのはレベルが違った。

・・・実は、
この管理人が今回の事件の元凶。

貯水槽でナターシャの死体を発見しながらも、貯水槽の鍵を自分が掛け忘れていた責任をとらされることを恐れ通報しなかった。その後はずっと貯水槽の掃除もせず、天井の水漏れの件も不動産屋にはわざと連絡しないなどして事件を隠蔽し続けた。

最後は逮捕されたが、こいつが死体を発見した時点で警察を呼んでいれば、もしかしたらダリアは犠牲にならずにすんだかもしれない・・・

これはこれで!なかなかの良リメイク!

日本版の古臭く陰気なコンクリマンションの怖さや、本気でヤバそうにみえる母親のヒステリックさといった恐怖度はないものの、ダリアの母親のトラウマなどを追加、周りの人間の環境も上手く変えつつも、「母親の娘への愛情の深さ」や、母親を求める孤独な幽霊の恐怖といった日本版のエッセンスはうまくとりいれた作りになっていた。

日本版とのおもな違い

■ロゴ
「ダーク・ウォーター」の間の点が、エレベーターにつけられたタバコの跡になっている。

■主人公の過去の回想シーン
日本版では過去の映像は黄色がかった風景になっていたが、リメイク版はモノクロに近い色味となっている。

■主人公のトラウマ
ダリアが過去に自分を捨てた母親から激しく罵られる過去の幻を何度も見る。日本版では偏頭痛は霊感があることを匂わせるような描写だったが、こちらではこのトラウマからくるもののようだ。

■バック
日本版では「MITUKO」とかかれた赤いバックを拾うが、リメイク版は原作「浮遊する水」と同じくハローキティのカバン(リュック)となっている。版権をクリアするとは、さ、さすが天下のハリウッド・・・!

■マンションを選ぶ動機
日本版とは違い、リメイク版では娘は最初からボロいマンションへ住むのは嫌がっていたが、屋上で見つけたハローキティのリュックが欲しいが為にマンションへ住みたがる(が、これはナターシャの幽霊に操作されているという可能性もある)

■マンションの設定
10階まであるかなり大きなアパートとなっている。部屋の風呂場には強化ガラスが備え付けられており、これが終盤の伏線となる。地下にはランドリーエリアがあり、ドラム式洗濯機の中でナターシャの幻をみるシーンも。また、住人に人妻萌えの悪ガキ二人組が追加されている。

リメイク版ではさらに、マンションの住人=母親の失踪が相次いでいることになっている。

■天井のシミ
日本版ではベッドとは反対側の部屋の隅にあり、それが徐々に広がりベッドに近づいてくるが、リメイク版では最初からベッドの真上。イヤすぎる!

■水
日本版では天井のシミから零れる水は透明だったが、リメイク版の恐怖演出に使われる水は、どれもタイトル通り全て真っ黒に汚れた水となっている。

■娘が幽霊と友達
日本版では娘が幽霊を見ている描写はわずかだが、リメイク版では、セシリアはナターシャを「見えない友達」とハッキリと認識。ダリアが母親に捨てられているという過去や、ヴェックの「キティのカバンは持ち主が取りに来た」というのがウソであることを知っていたりと、かなりがっつり会話をしている。

■ナターシャの家庭環境
日本版ではどちからといえば母親が冷遇しているような描写があり、離婚後は父親にひきとられていたが、リメイク版では母親が娘を置いて出て行った際、父親が「母親が娘も連れて出ていった」と勘違いしたまま去っていったせいで、一人きりでマンションに取り残されてしまう。因みにこの両親は健在。(母親はアルコール依存症の治療ため病院へ、父親はモスクワの実家に帰っていることをプラッツァー弁護士が確認している)・・・ナターシャはこいつらを連れて逝ってくれれば良かったのに・・・

■主人公の生死
日本版ではおそらく失踪扱いになっている主人公だが、リメイク版ではダリアの遺体が運び出され、明確に死亡している。

■ラストシーン
日本版では10年後、16歳になった郁子が当時住んでいたマンションの部屋で再び母の霊と会うが、リメイク版では父親と共にマンションから退去する際、エレベーターの中に娘だけ取り残された際にダリアの霊が現れる(ただし画面に映るのはダリアの手のみ)。

優しく娘の頬を撫で、髪を結いながら「いつまでも見守ってるわ」という言葉を遺して消える。

父親はエレベーターが開いた途端、髪型が変わった娘を見て驚く・・・という演出になっている。

ダーク・ウォーター プレミアム・エディション (初回限定生産) [DVD]

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~こんな人にはオススメできません~
■怖くないホラーとかイマイチ!な人
怖さだけを期待すると肩透かし感はあるかもしれない。

最後に!

ラストシーンのエレベーターの中で娘の髪を結うシーンは、これはこれで結構好きです。最後まで切ないまま終わった日本版と比べて、明るく歩き出すセシリアの姿で終わる海外版は、展開は同じながらも希望を感じさせるラストになっていましたね。

ただナターシャの母親となる覚悟を決めるシーンは、リメイク版は娘を人質にとった脅迫に近いシーンになっているのに比べ、日本版では単に娘を守りたいというだけではなく、母親に捨てられた美津子への哀れみも感じさせるシーンだったので、ここは日本版の方が好きかも。

個人的にこのリメイク版は、単に設定や展開をアメリカに移しただけ・・・というだけでなく、オープニングでタイトルが画面右下に表示されるのが日本版と一緒だったりと、日本版の雰囲気をかなり重視して作ってくれたという印象です。

ひどいリメイク作が多い中、日本のホラー映画が持つ静かさや切なさを再現しようとしたこのリメイクは、結構良作だったのではないでしょうか?

好き嫌いは当然あるでしょうが、リメイク版はリメイク版で見てよかったと思う作品でした。

↓原作はこちら!

↓ジェニファー・コネリー、お好きですか?